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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第2章 感謝祭と諸々の騒動

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65.屋台の準備

 私が考え込んでいるとイリィがどうしたの?と顔をのぞき込む。首を振って

「こんなに仕組みが違うなんて知らなかった」

「僕もだよ。でも安心して?僕の家族は僕の心を何より大切にしてくれる。出会えない筈だった魂の番を見つけたって聞いたら祝福してくれるよ。でももう少し待たないといけない」

「そうだね、家族もまだ会えていないし…」

「うん?違うよ。だってアイはまだ15だよね?成人してないから結婚出来ないよ?」

 え?あ…そうか。今はまだ15だ。あっちの感覚だったからうっかりしてた。

「残念だけど待たないとね。そういえばいつ誕生日なの?」

 分からない。こっちとあっちでは暦が違うから…。


『この世界に落ちた日でいいんじゃない?』

「それだと30人が同じ誕生日になるよ?」

『この世界で30人なら多くないよ』

 イリィを見る。頷いた。

「それならまだかなり先だね」

 イリィは私の頬を撫でると大丈夫と頷く。1年先も2年先も10年先だってずっと気持ちは変わらないからと。


 私には分からない。10年先も変わらないものなんてあるんだろうか?私がこの世界に飛ばされたように当然崩れてしまったりしない?そう思うと怖い。

 ぎゅっと握りしめた私の手を上からイリィが包み込むように握る。

「怖いかもしれないけど信じて。この思いはずっと消えない」

 私の目を真っすぐに見て言ってくれる。


 そうだね、この思いは消えたりしない。例えもう会えなくても…私が家族を思っているのと同じだから。頷いて抱き着く。温かい。イリィずっと傍にいてね?

 もちろんだよ。そう言ってふわりとまた抱きしめてくれた。イリィの匂いを嗅ぐ。私の大好きな森のような匂い…。笑って手をほどくと今度はハクに抱き着く。スーハ―スーハ―。ハクの匂いは草原の匂い。青くて温かくてポカポカする。首は相変わらずもふもふで、抱き着いた私の頭に顔を擦り付けてくる。

 ハク…大好き。そのまま背中を撫でてしっぽも撫でてお尻も撫でる。あぁ、そこは毛がないいからあったかいね。

 ナビィのお尻を思い出した。良く顔面ダイブしたっけ。

 ブランにも頬ずりする、ふわふわな羽毛を指でつつく。あぁブランもあったかい。私はこんなに大切な皆に囲まれてるんだね。ふふっ。元気出さないと。





 ふぅ、良かった。アイの涙には弱いんだよ。元気が出たみたいで何より。あ、ちょうど食事が来たみたいだ。

 扉を開けて受け取るアイ。変わらずにやにやしてるよ、全く。それと同じ顔を僕たちもされてたって気が付いてるの?ふふふっ。そんなところも可愛いね。


 一緒に食事を食べて、樹脂の使い方の話をする。花を閉じ込めるのもいいね。でも僕はアイの魔力がこもった石を閉じ込めたいな。僕のものだからね?

 そう言ったらまた赤くなったよ。まだしばらくそういう初心な反応を見せてくれるのかな?たまらないね…。


 トレイを運びがてら今日もシャワーを一緒に浴びる。昼は一緒に過ごせないから、今日みたいに一日一緒にいられるのは嬉しいよ。

 僕の店も軌道に乗って、アイも屋台が落ち着いたら一緒にまた温泉に行こうね。

 そう思ったのに…。




 部屋に戻るとアイのいた世界と僕たちの世界について話をした。あまりにも違い過ぎてちょっとびっくりしたよ。だって、僕たちみたいな恋人同士は珍しいって言うから。

 特にアイのいた国では奇妙な目で見られるって。

 それなのにアイは受け入れてくれたね?って聞いたら私は性別とか関係なくイリィって人に惹かれたから。だって…もう無意識の煽り発言だよ。

 無自覚って怖いよね?それを他でやってないかと思うと本当に不安。

 すでに貴族にも目を付けられてるし。大丈夫だよね?1年はなんとしても守り切らないと。

 でも離れたくないって思わせないとね?だからよそ見出来ないくらい僕に夢中にさせるよ。もう十分かな?ねぇアイ…。

 僕を見て?





 あちらとこちらの世界の違いを話していたはずなのになんかイリィのスイッチが入ったみたいで…急にその目が妖しくなって頬を優しく撫でる。キスをするとそのままその手は首筋をすべり肩から腰へと撫でおろしていく。

 あれ?なんでこうなった?

 今日はすんなり眠る日だと思ったんだけど、だってね…今日はお外でも…だし。あ、でも今日はいつもと逆って。



「何を考えてるの?僕がいるのに…?よそ見はダメだよ。いけない子だね?」

 優しくそう言う。あれ?また違うスイッチ入った?

 あ、待って…そこは…耳はダメ…う、うん。

 もうイリィが止まらない。熱い吐息を感じる。んん…。そして…一つになって…肩で息をする。

 背中にイリィがのしかかる。ぴったりと密着して腰のラインを撫でる。

「もう本当に可愛い。いつも僕を煽るから。止められない」

 煽ってないんだけど…。

「煽ってないつもりなの?それで?」

 うわぁ耳元で囁かないで…ゾクゾクする。




 こうして無自覚にもイーリスを煽って止められなくするアイルだった。



「ねえ、覚えてる?昼間の約束」

「えっ?」

「今日は僕に初めてをアイに…ね?」

 あ、覚えてる…どうしよう。恥ずかしい。どうしたらいい?来てって私を自分の上に乗せて…。

 私はぎこちなくイリィにキスをしてその体に手を這わす。唇は耳から首すじ、そして鎖骨を。手はその細い腰を、ゆっくりと動かして空いた手で撫でる。


 うん…イリィの綺麗な顔が感じている顔で凄くやらしい。少し空いた口にキスをして舌を絡める。激しいキスをして、そのまま口で優しくそして…。あぁ、可愛い。

 イリィが呼ぶから体を起こしてキスをすると消え入りそうな声で

「あんまり見ないでって」


 ゾクッとした。あ、ヤバい。イリィがいつも煽ってって言ってたけど、これ?

 これは…。わたし無意識にこんな風に煽ってるの?なんかいたたまれない。

 だってさ、あんまり可愛いから。そんなとこ見ていいの私だけだよ?誰にも見せないでって思ったら何だか愛おしくて。ピクってするのも可愛いし。

 そしたら涙目であんまり見ないでって…頬を染めて。もう美形の破壊力だよ。だって可愛いから、無理だよ?私はイリィの頬を撫でて。


「ダメ…いや…見ちゃいや…」

「ねえ?煽ってるの?ふふ。止めないよ?」

 その表情は見たことがないような…官能的で。

 ふぅダメ、我慢できない。「あっ…」イリィからか細い声が漏れる。そして「優しくして…」

 潤んだ瞳でそう懇願する。マズい。優しく出来ないかも。あぁ、イリィを攫った変態の気持ちが分かってしまうなんて…これは本気でヤバい。

 そのまま少しずつ…イリィは涙を流しながら私にしがみついてくる。私たちはそうして深く繋がっていく。


 そして私にとっても初めての経験は終わった。え?それはまぁ…ね。止まらなくなるイリィの気持ちが分かったよ?



 同じ部屋の隅でハクとブランが話をしている。

(本当に無自覚なんだよね?ブランどう思う?)

(ご主人だからね、しょうがないよ)

(人間は変な生き物だな。ああして体を重ねないと不安になるらしい)

(そうだねぇ。僕たちはすでに契約をしているからある意味、繋がっているし)

(その繋がりは人間同士にはないのだろうか?)

(分からないよ?)

(哀れだね。僕とアルはすでに魂で繋がっているから何の不安もないのに)

(ねー。僕たちとご主人は離れられないからね!)

(でも僕はいつか…魂だけじゃなく体でも繋がりたいな…)



 聖獣と契約者の絆に勝てないイリィだった。




 翌日、目が覚めると視界いっぱいに淡い金髪。もう毎朝の恒例だねこれは。

 最近知らないうちにイリィの妖しいスイッチを押しているらしくなかなか寝かせて貰えないから…今日は大人しくしてよう。


 イリィが私の胸の上で目を覚ます。

 瞬きしておはようとキスをする。ここまではいつも通り。私もおはようと言っておでこにキスをする。

「アイはおでこなの?」

 首を傾げて私を見る。うぉ、相変わらずの破壊力。そっと顎に手を当てて上向きにするとその唇にキスをする。ふふふっ。満足そうに笑った。

「体は大丈夫?」

「うん、ちょっと怠い」

 昨日は私が止まらなかったから。

「無理させちゃって」

「ふふっ、求められるのも新鮮でいいね。アイがあんなに積極的なんて」

「イリィが煽ったからだよ」

「そう?もう少し寝ていたい。今日はここにいるよ」

 色々と主張するモノは見なかったことにして起きあがろうとすると、後ろから抱きしめられる。もう少し側にいて?って…あうっ。

 そのままベットに逆戻りして朝から仲良くしましたよ。はい…。



 今度こそ起きて服を着て朝食を貰いに行く。最近は取りに行くことが多いなぁ。

 まぁ新婚の朝はね…。気を使ってあげないと。

 今日はスーザンが厨房にいた。その顔はまた気怠げだけど満足そうでなんかやたらと色っぽかった。

 筋肉より色気が勝つってどんな?



 こんなことを考えてスーザンをガン見していると奥からフードを被ったウールリアさんが来て

「そんなにスージィを見ちゃダメだよ?僕のモノだからね?」

 って言って後ろから腰を抱きしめてぴったりと体を密着させている。

 いや、別にそういう目で見たんじゃないけどさ…。あのスーザンが色気駄々洩れで驚いただけだよ。ってかウールリアさん、フード被ってるのにあなたも凄い色気ですね?

 しかも腰を密着されて固まって赤くなるのやめて?スーザン。私まで恥ずかしいんだけど…。

 思わず目を逸らす。

 目の端でウールリアさんの手がスーザンの腰を撫でているのとか私には見えてないから!

 トレイに乗せてもらった朝食を持ってそそくさと部屋に戻る。



 真っ赤になって部屋に戻った私をみてイリィが

「何かされたの?」

 って。そういう発想になるの?


 厨房で見た光景を話すと

「僕の色気では足りないの?」

 って。だからそっちなの?違うよ、そうじゃなくて…。

「全く仕方のない子だね、まぁもう時間がないし許してあげるよ」

 ふう危なかった。

 食べ終えると今日は部屋で色々考えるって。レオもルドも屋台の件で宿に来るし、まだ体がね?



 それからイリィを部屋に残して私は階下におりる。

 ちょうど入り口からレオとルドが入って来たからスーザンに声をかける。

 厨房の奥から

「お、おう…」

 ドタッ。ベットから落ちた音かな?

 慌てた声がするとガサガサと音がしてからスーザンが出てきた。髪の毛乱れてるよ?あ、ボタンも一個飛ばしてる。

 にやついてしまう。スーザンは私の顔を見ると嫌そうにそっぽを向く。

 呼ばれて厨房に入るとスーザンからウールリアさんの匂いがした。

 新婚だもんなぁ。3年も待ったって…純愛だね!とサムズアップすると頭を叩かれた。

 えーウールリアさんと態度違い過ぎない?あぁまぁイリィもそんなもんかと納得してしまった。



「おい、にやついてないで話を聞け」

 あ、ごめん。何か言った?

「新しい試作品だ。お前ちゃんと考えたんだろうな?」

 失礼な。さっさと考えたよ。しかも2品あるんだ。またサムズアップするとまた頭を叩かれた。

 すると奥からウールリアさんが厨房に入ってきて

「スージィ。触っていいのは僕だけだよ?」

 だって。あれかな?こっちの美形って愛が重いのかな?なんかイリィに通じるものが…。

「ソイツにはいるよ、重いヤツがよ。凄いぞ!」

「あぁ、あのフードの彼?ふふっ。なんか僕と似てるかも?」

 はい、独占欲とか似てます。お触り禁止とかも発想いっしょです。

 レオ、ルド。これが標準じゃないからね?



 2人は目を輝かせてスーザンとウールリアさんを見ている。

「凄げー。俺たちもこうなりたいな!」

 そう言ってルドと見つめあう。

 えっ?俺たち…?

 それを聞いてルドが頬を赤らめて

「まだ早いよ」

 だって。

 えっ君たちそういう関係?いやいやまだ7才でしょ?ルドは5才でしょ?将来決めるの早くない?

 カオスな状況に

「う、うん…屋台の試作品だよね?」

 軌道修正してみた。




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