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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第1章 異世界転移?
44/419

44.出発前夜

 運んで貰ったご飯を食べ終わって明日の準備を終えた。後はシャワーを浴びてイリィと話をして寝るだけだ。


 ねぇ、一緒にシャワー浴びない?とイリィが言う。

 ここの宿のシャワーは男女別になっていて複数人で入れるように少し大きめの作りになっている。確かに一緒に浴びようと思えばできるんだけど、なんとなく今まで順番に浴びてた。


 同性同士だし断る理由もないか、と思ってそうだねと答えた。ちょうど昨日精油を作ったときにラベンダーとシトラスを入れた石鹸を作ってみた。

 まだ使ってなかったから一緒に使ってみるのもいいかもしれない。連れだって部屋を出て階段を降り、シャワー室に入る。

 ここの客は探索者が多いからか夕食後のこの時間にはシャワー浴びる人がほとんどいなくて、いつも空いている 。


 イリィはいつも通りフードをかぶってシャワー室に向かった。扉を開けて服を脱ぎ、シャワー室の中に2人で入っていく。

 イリィは私より少しだけ小柄だけど、全体的にほっそりしたその体は白くてとてもきれいだ。

 私は男の体になってからあまり自分の裸をちゃんと見たことがないけど、やっぱり少し恥ずかしい。イリィが私の体をじっと見る。頬が赤くなる。

 恥ずかしいから目を伏せるとそのまま腰を抱きしめられてキスをされた。

 待って裸だからすごく恥ずかしい。そう言うと嫌なの?って。嫌じゃないけど…ならいいでしょ?

 アイは本当にに可愛いね。


 その手を逃れてお湯を浴びる。

「昨日作った石鹸なんだけど、初めて使うんだ。一緒に使おう?」

 優しく微笑まれる。うぅ、美形の全裸笑顔…破壊力が半端ない。

 石鹸をお湯で泡立ててイリィの体につける。

「すごくいい香りだね。体洗ってくれる?」

「えっ恥ずかしいよ」

 洗いっことかハードル高い…。

「どうして?あれだけ触れ合ってるのに?今さらだよ?」

 顔が赤くなる。俯いたままでイリィの体を洗っていく。それが終わると、イリィが石鹸を手に取って私の体を洗い始めた。いろいろと恥ずかしい。優しい手つきが…そんな私を見て

「本当にアイは可愛いんだから、ねぇ。そんなに僕を喜ばせてどうしたいの?かわいい人…」

 ふふっ。


 やめて、もう心臓がバクバクする。イリィは目を細めて私を見る…体を撫でながら。

 そっと体を離してお湯をかけて石鹸を洗い流す。イリィの肌は白くて艶やかで…とてもきれいだ。

 お互いの体を洗い終わった。

 次は髪の毛を洗い始める。その淡い金髪に石鹸を泡立て優しく洗っていく。そして洗い流し、今度はイリィが私の髪を洗ってくれる。

 流し終わって最後に顔を洗って、全身もう一度お湯をかけてから立ち上がる。

 シャワー出ようとすると、後ろからイリィが抱きしめてくる。そして首の後にキスをしてきた。

 何でだろうね?裸でベットで抱き合うより、立って後ろから抱きしめられるほうが恥ずかしい。


 早く部屋に帰ろう?私は赤くなりながらそっと頷いた。

 体を拭いた後は風魔法で自分の髪の毛を乾かす。そして服を着て部屋に戻った。

 部屋に入ってすぐイリィが抱きしめてきた。明日の夜一緒に過ごせないから…今日はたくさんアイを感じたいな。

 そう言うと、腰を抱きしめて私の顎に手を当て顔を見る。ゆるく微笑むとぎゅっと抱きしめてくれた。

 イリィ、渡したいものがあるんだ。喜んでくれるといいんだけど。そう言ってポーチからクッションとハンカチ、シザーポーチを出す。

 それを渡すと、イリィは凄くびっくりして。でもすごく喜んでくれた。

「ありがとう。大切にするよ。ねぇこのハンカチとかに入ってるモチーフって」 

「うん」

「月の女神だよね」

「これ素敵だね、僕の作品にこのマーク入れてもいいかな?」

「もちろん、気に入ってくれたのならぜひ使って」

「ねぇ。これはアイがいない間に代わりに抱きしめてって言ってるの?可愛いね、明日の夜はアイの代わりにいっぱいこの子にキスをするよ」


 それは私をデフォルメした腕に抱きしめられる位のクッションたった。

 髪と目は銀で作って、唇は薄ピンクで。服は濃いグレーで。私と同じ色で作ってみたよ?

 実はハクとブランのもあるんだ。かわいいでしょう。いっぱい抱きしめてあげてね。

「ねぇ。アイは僕のこと喜ばせ過ぎだと思うんだけど。帰ってきたら覚悟してよ?」

 そう色っぽくほほえんだ。


「その前に、今日はいっぱい愛し合おうね。離れているのが寂しくなるよ…嬉しいことをアイがしてくれるから」

 両手で頬を挟み、鼻を触れ合わせる。そのまま何度もキスをされる。

 離れている時間も…僕のことを忘れないように。たくさん体に刻み込まないとね?首を傾げながら指の背で頬を撫でて言う。

 ふふっ…。


 そのまま手を引かれて…ベットに入る前に服を脱がされる。唇を重ねたままで、手は体をなぞるように撫でていく。んっ…体が熱を持つ。私は立たされたまま、イリィはベットに腰かけて私の腰を抱く。

 下腹にキスをされ…あっ……待って…ダメ…呼吸が荒くなる。

 あっ…私はイリィの頭を抱きしめて体を震わせた。

 妖しく微笑んでイリィは立ち上がる。私をベットに座らせて私の頭を自分の下腹部に寄せ…私はそこにキスをする。

 んぁ…イリィの声が艶かしい。そして…私の顎に手をかけて上向きにする。そのまま唇が降ってきてそっと触れる。柔らかく温かい。

 そのままゆっくりとベットに押し倒されて…。



 恋人たちの夜はこうして更けて行った。



 目が覚める。目の前にはいつもの淡い金髪。暖かい…少し怠さと眠気があるけど大丈夫だな。

 ツムジにキスをしてそっと起きあがった。

 目を覚ましたイリィにおはようのキスをして、支度をしたら出発だ。集合が早いからね。


 昨日作ったパンサンド各種を渡す。レオとルドの分もある。ありがとうとイリィが淡く微笑む。

 そして出がけにしっかりと抱きしめられ、長いキスをされる。2日分だよ?そう言って体を離す。

 ハクとブランと一緒に行って来るね。

 その髪に手を入れて頬を撫でて部屋を出た。


 階段を下りると厨房から出てきたスーザンが包みを持たせてくれる。

「朝ごはんだ」

 中は暖かいスープだった。有り難く貰っていく。

「行って来ます」

「おう、気を付けてな」

 頷いて宿を出た。隣にはハクがゆったりとしっぽを揺らして歩いている。

『アルがこっちに定着して良かった』

「?定着…?」

『あぁ、イーリスのお陰だな?』

「ハクの言う定着は良く分からない。けど、ここにいる自分を否定したら、私が助けたハクとブランの存在も否定することになる…。

 だからイリィの存在はもちろん大きいけど、ハクが居てくれたから踏みとどまれたし、ブランがいるから、ここにいたいと思えたんだよ?ハクの可愛さと温もりにどれだけ癒されたか…」

『そうか…』

 ハクのしっぽが凄い勢いで揺れる。ふふふっ、可愛いな。肩の上のブランはそのふわふわな羽毛で頬にすりすりして来る。あぅ、これまた最高だ。





 そして私は馬車に揺られている。目の前にはロルフ様ラルフ様兄弟が座っている。はぁ…ラルフ様の目が怖い…。


 集合時間より早く西門に着いて待っていると、さほど待たずにロルフ様とラルフ様の乗る馬車が来た。

 前の時と同じ御者だ。私を見て頷くと、馬車の扉が開いてロルフ様が顔を出す。

「おはよう、アイル…乗って」

「おはようございます」

 挨拶して乗る。

 ラルフ様とロルフ様は並んで座っていたので、ロルフ様の向かいの席に座る。朝からラルフ様が怖い。するとおもむろに手を出す。

 あぁ、はい。クッションですね?

 2人分取り出すと留め具を外して魔法で空気を入れる。自転車のタイヤに空気入れる感じで。シューってね。

 そしてロルフ様とラルフ様、それぞれの目の色のクッションを渡す。

 ロルフ様は首を傾げ

「私たちの目の色…?」

 頷く。ラルフ様は裏返したり留め具を見たりしている。見終わるとお尻に敷く。驚いた顔をしている。

 ロルフ様はクッションの色を見て少し笑ってから尻に敷く。


 さらに同色のハンカチとシザーポーチも渡す。

「きれいに染まったので、ハンカチと腰から下げるポーチも作ってみました」

 驚きながらもハンカチとポーチを受け取ってくれる。


「これはアイルが自分で…?」

「はい。せっかく良さそうな布を見つけたので。でも色がちょっと地味で…だからお二人の目の色に合わせて染めてみました。染めた布が少し余ったので手を拭く布と採取の時に使えるようなポーチをと思って作ってみました」

「このマークは…」

「それは自分が作ったものに入れようと思って」

「これは犬…?」

「はい、ハクです」

 私はハクを撫でながら答える。


 凄いなぁよくできているよ、とロルフ様が感心したように呟く。

「やり始めたら楽しくなってしまって」

「気に入ったよ…ありがとう。お金は…」

「手拭き布とポーチは余りで作ったので気にしないで下さい」

「兄さん、これは値段が難しい」

「うむ、外に出せないし…今回の依頼とは別だからな…」

 2人は目配せして少し考えるよ。そう言ったので、私はもちろん頷いた。




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