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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第1章 異世界転移?
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4.その世界と探索者

 次の日の朝、目が覚めてここはどこかな?と思う。そしてあぁ異世界転移だ、と昨日と同じように納得した。

 この世界は電気が無い。灯りはロウソク。トイレやシャワーは垂れ流しではなく下水道があるらしい。水も上水があって蛇口から水が出る。ただ、そのままでは飲めない。

 生活費は4人家族でおよそ大銀貨10枚。これらの情報は洞察力で見た。


 探索者の仕事は異世界あるあるの冒険者と同じでいわゆる何でも屋っぽい。自分はジョブとスキルがあるから採取とか良さそうだ。薬もジョブで作れるし、商人としても活躍出来そうに思う。

 取り敢えず、身分証明書にもなるから探索者になって情報を集めてからその先は考えよう。

 そう思ってようやく起き上がる。昨日着ていた服は汚れ玉に汚れを閉じ込めて捨ててから畳んで収納しておいた。


 朝食を取るために食堂に行く。昨日は見かけなかった女性が2人、ご飯を食べている。こちらを見ると驚いたような顔をしてから頬を染めて食事を再開する。その後もチラチラと視線を感じて居心地悪く感じた。

 今朝も相変わらず筋骨隆々な主人は朝食を置くと女性達に

「ジロジロ見てないでさっさと食え!嫌がってんだろ」

 と言ってくれた。女性達は気まずそうにそそくさと食べると食堂を出て行った。

「悪いな。あんたみたいな上品なのは珍しいから」

「いえ、ありがとうございました」

 そう言うと主人はやっぱり眉をひそめる。

「あんたいい所の坊ちゃんか?」

「…?違いますよ?」

「その話し方でか?」

 それで何となく察した。丁寧な言葉に違和感があるのだろう。これは日本人的な感覚だから違和感しかないのかも知れない。


「言葉使い?」

「あぁ。いい所の坊ちゃんじゃなきゃそんな言葉は使わん」

「俺は田舎の出でジイちゃんは目上の人には丁寧に接しろって言われて育ったから」

 そう言うと

「そりゃまた殊勝なおじいだな。ま、それなら分からんでもないが気をつけな。変なのに目を付けられたら面倒だ」

「あぁ、気をつけるよ。ありがとな!」

 すると主人は意外なほど優しく笑って

「おうよ!」

 と答えると厨房に入って行った。

 朝食はスープとパン。ボリュームたっぷりで優しい味だった。


 食べ終わり部屋に戻る。今日は探索者ギルドで登録することと、買い物かな。何かいい仕事があれば受けてみたい。その前にやりたい事がある。

 鏡の製作だ。ふと目に入った髪の毛の色に驚いて鏡を見たくなったのだ。今朝の女性たちの反応も気になるし。だって髪の毛の色がさ、銀色?艶のないやつね。艶ないと銀じゃなくてライトグレーかな。そんな色。純日本人だから元は黒髪黒目。憧れの艶のない銀髪。見てみたい。


 さて、こっちの世界には鏡が無いのか少なくとも宿には見当たらない。ならジョブの出番。鏡は表面のガラスと裏のガラスに薄い金属の膜かな?うん、分からん。それなら金属鏡を作ればいいだろう。あれだ、エレベーターの正面のやつ。金属ならこちらにもあるから表面ツルツルにしたらいけそう。


 早速、昨日の貧民街で拾っておいた金属クズを取り出す。薄く表面は平でツルツルに。大きさは上半身が映る程度でいいな。想像して作る。

 すると手元に鏡が現れた。成功だ。

 鏡に映る自分に少し驚いた。少しなのは髪の毛の色は分かっていたし元の顔とそんなに変わらなかったから。鏡の中の自分は艶のない銀髪に同じ色の目。肌の白さとか顔立ちはほぼ前のまま。多少、鼻が高くなってホリが深いかな?というくらい。

 元々地味顔だけどそこそこ整った顔立ちだったから性別変わっても違和感は無い。男として見るといわゆる優男って感じか。年齢は若返ってるみたいだ。15くらいかな?体つきは背が高くなったくらいか。もちろん胸の膨らみはないし少し肩幅は広いけどまぁそこは誤差の範囲かな。


 若くて優男。これって舐められるテンプレじゃないか。それでも女よりはマシかな。さて、探索者ギルドに行く前にしておきたい事がある。

 まず初期装備の変更。この町に5人の転移者がいるのであれば今は接触したくない。だから腰に装備されていたポーチをジョブで変えよう。

 今のはザ、ウエストポーチだ。これをシザーケースみたいな縦長でおしゃれに変える。イメージは帆布のような質感の縦長で蓋を被せるタイプ。蓋は金具で固定させる。色は褐色から濃い茶色へ想像して作る。

 さらに空間拡張を大きくする。推定45リットルくらいだからぜんぜん足りない。自分が想像できる大きなサイズは学校の体育館。メインアリーナにサブアリーナ、備品庫大と小、さらに更衣室男女の個室を作る。

 メインアリーナは時間停止の食料以外。サブアリーナが時間停止の食料。備品庫大が冷蔵で小が冷凍。更衣室はひとまず空けておく。

 よし、出来た。なかなかオシャレだ。ベルトは細く調整出来るようにしたからカッコよく腰の後ろ側につけられる。服も今着ているズボンを少し体にフィットさせる。

 今の剣帯は体の真横に縦で短剣がさせるタイプ。これを体の後ろで横にさせるように変える。

 これだけでだいぶ初期装備から変わった。他の人が見ても分からないくらいには。


 さぁ探索者ギルドに行こう。宿の主人にギルドの場所を聞くとここから10分ほどで行けるらしい。

 動き始めた町を見ながらギルドを目指す。

 探索者ギルドは探索者の登録や仕事の斡旋をする各国内にある国営の組合だ。探索者証は身分証明書にもなるらしい。

 探索者の仕事は色々あるが、レベルが上がると迷宮に潜ることができる。

 レベルは見習い、初級、中級、上級、特級とあって登録してすぐは見習い。実績を積むと初級に上がれる。初級だとそれだけで生活するのは難しいらしい。中級になれば探索者として一人前になる。迷宮に潜れるのも中級からだ。上級までいけば有名人、特級なんてもはや伝説らしい。昨日歩きながらレオが教えてくれた。




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