388.迷宮探索終了?
誤字報告ありがとうございます…
大変助かっております
まだ未定ですが、完結したら見直して誤字を直します、多分…
僕は目を覚ます。なんか…変な感じ。まいっか。ラルクは目を覚ましていた。
「おはようラルク」
ラルフはふわっと笑うと
「おはようアイル」
そう言って僕の頬にキスをした。なんだかラルクの雰囲気が変わった?
「ラルク、何かあった?」
「いや、何も…。あ、変わったというか悟ったかな」
なんか難しい。
「良かったの?」
頷く。ラルクは晴れやかで調子が良さそうだ。それならいい。起き上がる、前にナビィに押し倒された。
朝からナビィの唾液まみれだよ…もう。可愛いから許すけどな。
さて、今日はお昼もどうなるか分からないし、サンドイッチをたくさん作ろう。
そうして作ったたくさんのサンドイッチ。半分は無くなったな。うん、まぁ想定内。
そしていよいよ40階層のボスに挑む…ちゃんと確認してね?
知らずに討伐は危険だから。
ということで、今日は雲に乗ってゆらゆら進む。まわりの鳥さんはディシーが担当。
「ディシー、大きな鳥さんはやっちゃダメだよ?」
『分かっておる!まったくどの口が言うか…』
なんかブツブツ言ってたけど大丈夫だよな。
順調に進んで、あれか?大きな鳥さんがやって来た。
「ディシーあれかな?」
『むっそうじゃな』
「美味しそう。骨はドロップしないの?」
『はぁ?』
「いい出汁が取れるのに…」
『気にするとこはそこじゃ無い!』
えー美味しいのに。
「ディシー、骨をドロップしてって願いながらよろしく!」
それにしてもどこ行ったんだろ?サフィアたち。見かけないんだよな。何となく魔力は感じるから遠くにはいないけど、転移陣が現れたらどうしようかな。
ボスを前にしてディスタンシアに丸投げした挙句、何やら考え事をしているアイルにナリスたちは呆れを通り越して尊敬した。
「なぁアイルって実はすっごい大物?」
「確かにな、考えてることが明後日すぎて凄いぞ」
「ボスを見ていい出汁でるって…食べ物に見えてるのか?」
どこからどう見ても凶悪そのもの。絶対に出会いたく無い魔獣だ。それなのに食料とか出汁とか。さらにはやり過ぎるなと注意をしている。
自分は魔力を開放して屠ってるくせに、だ。
「まぁアイルだから」
「アイルだし」
「…だな」
そうこうしていると、ドーナが前脚で瞬殺した。それを見たアイルは
「ドーナ凄いよ!」
拍手してた。ディスタンシアとの温度差酷く無いか?
そう思ったのだった。
てっきりディシーが瞬殺すると思ったボスはドーナが爪で切り裂いて終わった。やっぱり瞬殺で。大きくなったらドーナはとても立派だ。凄いや。
「ドーナ凄いよ!」
イカつい顔なのに照れてるのが可愛くて、その体に飛び乗って後ろから沢山撫でてあげた。
『転移陣見てくる!』
バサリッと羽ばたいたドーナに並走してブラン、ブランの背中にハク、その隣にはナビィ。
反対側の階段横に、宙に浮いた多分転移陣が現れた。
「あったよー!」
その横にはキラキラした箱もある。
「ドーナのだよ」
と言えば首を振って
『ご主人に…』
ドーナ、ありがとう。僕はその箱を吸い込むようにポーチに収納した。
そこでやっとみんなの乗った雲が追いついて来た。
ナリスはそれを見ると
「間違い無いな、これで地上に戻れる」
良かった。でもサフィアはこの先にいる。
「僕も乗れる?」
「見えてるなら乗れるさ」
「なら後で迎えに来て!僕はサフィアたちを探しに行くから」
えっとナリスが言った。そしてあっと言う顔をする。
沢山いるといないのに気が付かないよね。
僕は食事を出すから分かるんだ。朝ご飯にもサフィアたちはいなかった。
「ナリスたちは狼と先に地上に戻って!僕はサフィアを探してここに戻るから。そうだな、明日の朝に来てくれる?じゃね!」
僕は返事を聞かずに階段を降りた。この先のボスだったサフィアはもういないけど、他のボスがいるかもしれないしな。
ロキが罠に飛ばされた日、俺たち救出隊はその日は結局動かなかった。ロキが迷宮から吐き出される可能性もあった為、待機を選択したのだ。
しかし、結局ロキは地上に戻らなかった。
「20階層に飛んで下の階層を確認しよう」
「そうだな」
意見が一致したので翌朝、20階層に転移陣で飛んだ。
これは…無理だ。そこはマグマがぐつぐつと煮えたぎる階層だった…道はある。しかし細い道は踏み外せば下はマグマだ。
しかもこういう道は魔獣が襲ってくると相場は決まっている。飛獣がいなければ無理だろ。
諦めて地上に戻る。ロキ、無事で。それよりアイルもだ。大丈夫だろうか。祈るような気持ちで待つことしか出来ない。歯痒い思いをしながら、ただ待った。
すると1階層の転移陣が光った。誰だ?ロキか!
現れたのは3人の探索者とたくさんのシンリン狼だった。アイルがいない…もふもふもいない。
「お前ら、無事だったか?」
駆け寄ると違和感を感じた。何が?
そして分かった。きれいなのだ、彼らは。疲弊してもいない、ケガもしていない。それどころか血色がいい。なにやらいい匂いまでする。
何故だ?普通はボロボロで痩せこけて、しかも臭い。なのにいい香り…?訳が分からない。
「あ、あぁ…もう捜索隊が出たのか?早いな」
驚いている。新しい迷宮の可能性にしても、確かに早い。特殊な事情によるのだろう。
それよりも
「おい、アイルは?もふもふは?」
肩を掴んで聞く。相手はあっという顔をして
「明日迎えに行く」
平然という。なん、だと…?俺は怒りに手が震える。流石に言い方が不味かったと思ったのか
「本人がそう言って仲間を探しに下層へ降りたんだ!」
仲間、もしやもふもふか!
「もふもふだな?」
「あ、あぁ…もふもふでふかふかだ」
ぐっそれなら仕方ない、のか。
横からマッケンリーが
「上級のマッケンリーだ。ギルド職員が罠に飛ばされた。会ってないか?ロキって若者だ」
驚いた顔はどうやら知らないな。
「いや、会ってない。アイルが反応していないなら同じ階層では無いんだろう」
これは仕方ない。魔力を追えない迷宮ならば。
「明日まで待って、そのアイルと合流したら町に戻るぞ」
彼の無事が最優先だ。
「えっ?職員は…」
「この迷宮は難易度が高過ぎる。救助は危険だ」
なのにそのナリスと名乗った探索者は言葉を濁しながら
「あーアイルなら大丈夫だぞ」
と言う。歯切れは悪いが本心のようだ。
「しかしまだ小さな子供で」
困ったように
「見かけはな、だがしかし…大丈夫だ。彼ならば」
隣にいたテオと名乗った探索者も
「根拠は言えないが、大丈夫だ。職員が生きてればな。見つけたらアイルが助けるはずだ」
そう、生きていれば。
ラルクと名乗った探索者も
「彼の周りには彼を助けたいと思っているものが沢山いるからな…」
ぐっ、そこまで言うのなら…まずはアイルに会って確認するか。
その日は周りを狼たちが囲んで安心して眠れた。いや、なんでだよ?と突っ込みながら。
その頃のアイルは…
僕たちは結局、40階層に戻って家を出してそこで寝た。
その日、僕は昼寝をした。そして不思議な夢を見た。
―「アイ、助けて…」―
―「イル、もう一度に会いたかった…」―
―「アイル、最後に会いたかった」―
僕を呼ぶのは誰?いいや、誰であっても関係ない。だってきっと彼らは僕が守りたいものだ。だから僕は助けるよ!どんなに遠くても、どんなに離れてても…関係ない。僕の大切な人たちを守って…。決して傷つけさせないよ。
僕の最後の防御が突破されたら、そしたら全力でまた防御を展開しよう。
全てから守る為に、ビクトルの思考を組み込んで。2度と突破なんてさせないから。
想像して魔力を放出する。どれだけの遠くても確実に届け、守りたい人を守る為に…。
そこで目が覚めた。あれ?なんか凄くリアルな夢だった。汗をかいている。シャワーを浴びて来よう。
シャワーを浴びながら今朝のことを思い出す。全くもう…サフィアは自由なんだから。はぁ。シャワーを浴び終わると僕は居間に行った。
僕はソファで眠るその人を見た。
確かゴブリンの巣の討伐を案内してくれた冒険者ギルドの人だ。
死ぬなよ、なんて声を掛けられた。優しい人だなって思った記憶がある。
明るい茶色の髪に同じ色の目。小さな顔に細身の体。バランスの取れたその見た目はモデルさんみたいだ。
いやまぁこっちの人は総じて美形が多い気がする。
その中でも繊細なきれいさと言うのか、可愛さと言うのか。まだかなり若そうなのに。
そう、彼と会ったのはサフィアを探しに行った42階層だった。
サフィアの魔力は近くに感じたのに41階層にはいなかった。だからもう一つ降りたうさぎ階層でサフィアが背中にその人を乗せて歩いてるのに出くわした。
驚いたの何の。まだギルドからは人が来ていないと思っていたからな。
しかも頬は冷たくて真っ青だった。慌てて駆け寄ると息はしていた。でもかなり冷えてる。
とにかく早くて温めないと、と思ったのにサフィアが運ぶと言って聞かず。サフィアに合わせてやっと40階層に戻ったのだ。
見つけてすぐに、シルフィが着ていたドロップ品のふかふかローブを頭まで被せた。だからか、家に入った時には頬に赤みがさしていた。急いだからイヤーカフの家だ。狭いけど暖かい。そばにサフィアとナビィにコムギが寄り添っている。
人よりも体温が高いからあったかい筈。その頬はさらに赤みが増していた。
僕はお粥を作ることにした。ここの台所は小さいけど、食材は豊富だから。
作り終えるとサフィアから話を聞く。
どうやら罠にかかって誰かが飛ばされたのが分かったんだって。さすが元ボス。で、探しに行ったら42階層の階段に近い場所で彼が倒れていたと。
もうすぐ夜だったから動くのは危険と判断して、階段まで運んで寝たんだとか。大きくなってすっぽりとその人に覆い被さって。
その絵面を想像して羨ましいのか怪しいのか悩んでしまった。起きて目の前に圧倒的な胸毛と大きなネズミがいたら…想像してちょっと怖かったのは内緒だ。
時系列整理
1月1日 アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く
1月2日 麓の村をナリスと出発
1月6日 ロルフがフィーヤ着
アイルが町レイニアに着く。馬車を買う
1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着
アイルが布を仕入れて町を出発
ライラたちが襲われる
ゼクスと王都にロルフから手紙が届く
1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発
魔術師団がゼクスに出発
1月9日 アイルがハク、ブランと再会
1月10日 ミュジークと捕虜を解放
アイルが村が救う
1月11日 魔術師団がゼクスに到着
近衛騎士たちが村を出発
アイルたちが村を出発
1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発
1月16日 アイルたちがロイカナの町に到着
1月17日 アイルが探索者ギルドで依頼達成の手続きをする
1月18日 ロルフたちがフィフスに到着
アイルが川蛇の依頼を受ける
1月19日 ロルフたちがゼクスに到着
アイルたちがゴブリンの討伐依頼を受ける
アイルたちが迷宮を発見する
アイルが迷宮の罠に飛ばされて行方不明になる 46階層
ラルクたちが迷宮に潜る 9階層
1月20日 迷宮2日目 アイル聖剣、精霊と出会う
コムギと再会する 42階層
ハクたちはブランと再会する 30階層まで転移 35階層
1月21日 ロルフたちが死の森に行く
イーリスたちがアレ・フィフスに到着
迷宮3日目 アイルはナビィと再会する 40階層手前
ハクたち 37階層終わり
1月22日 イーリスがゼクスに到着
迷宮4日目 アイルたち39階層に到着
ハクたち38階層で休む
1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発 森人の隠れ里にに着く
迷宮5日目 ハクたち39階アタック開始
アイル捜索隊がロイカナの町を出発し、迷宮に向かう 5階層で仮眠
アイルたち39階層でハクたちと合流し40階層に向かう
39階層に戻り休む
1月24日
ロキたちは迷宮10階層に到達、転移陣で地上へ
迷宮6回目 40階層でひたすら採取
1月25日
ロキは19階層で罠に飛ばされる
バグスたちは迷宮20階層に到達、転移陣で地上へ
迷宮7日目 またしても採取
1月26日 イーリスたちが王都付近で襲撃される
迷宮8日目 40階層到着 転移陣でナリスと狼は地上へ
アイルはサフィアが助けたロキを保護する




