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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第7章 新しい迷宮

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381.新しい迷宮20

「ナリス、テオ、ラルクー。果物持ってってー!なんか神の庭に生えてるのと同じ果物らしいから。美味しいしね!」

「ぐほうっ」

「ぐっ…」

「ぶっ…」

「「「神の庭に生えてるだと、」」」

「そうみたい。神様は美味しいものを食べてるんだね!」



 いや、そうじゃない。気にすることはそこじゃない!

 3人の意見は一致した。


「考えても仕方ない。あれこそがアイルだ」

「そうだな…自然体でどこまでも普通だ」

「普通の意味が違うと思うが、まあアイルだし」

 みんなで笑い合って果物を収納する。これを売ったら一生、暮らしには困らなそうだ。もちろん、売らないが。



 何やら仲良く話をしている3人に声を掛けて、僕もポーチに仕舞う。

 狼たちはさっきから思う存分食べてる。だからかな、体が水色に光ってるんだ。ま、大丈夫だろう。ライラの時も天に召される前兆では無かったし。


「みんなー、この後はそのまま上を目指せばいい?僕は48階層から上がって来たんだけど」

 ナリスたちは驚いた。そんな深層から何事もなく上がって来て、さらに聖剣と精霊を助けたのかと。

「アイル、迷宮は10層ごとに転移陣がある。それを使えれば地上に戻れるぞ」

 ナリスに言われた。


 それはダメなんだよな。

「あーそれは僕には使えなくて。下から上がって来たからかな。40階層でも使えなかった」

「そうなのか?」

「下から上がるとボスには階段の下で会うんだ。だから転移陣が現れなくて…でも50階層に降りるのは流石にね。その時は自分とトムとジェリー、ビクトルだけだったから」


 どうしようかな。下から上がった僕たちと上から降りて来たハクたち。ボスってでもこの雲階層にいたかな?ちょっと大きな鳥さんとか…?転移陣が現れたら地上に戻れるけど、ボーナス階層だし。

「ハクたちは上から来たからか転移陣現れるかな?」

『どうかなー』

「分からないな」


 考えても分からないし、行けばいいか。ここは39階層。戻るだけだから楽だしね。

「戻ろうか?40階層に。ボスは下からは分からなかったけど…」

『あれであろう…ワイバーンがおったからな』

 あれ?見た記憶がない。

「いたの?」

『主がちょっとおおきな鳥さんもいたと言ってたであろう』

 あ、それは覚えてるかも。 


『魔力を解放して瞬殺しておったな』

 覚えておりません…よ。

「そ、そう?ディシーが切ったんじゃないの?」

 あれ?ジトっとした目で見られた。チャロに入ってるからすごく可愛い睨み。頭を撫でとこう。


「ん、ん…その転移陣が現れるかもしれないなら進もう。もう5日経つ。ギルドから救助が来るかもしれない」

 え?ほんと…?それはマズい。

「ん、じゃあすぐだから行こう」

「いや、アイル。どうやって?」

「雲に乗れば?」

 ナリスは上を指す。雲は遥か上にある。うーん彼らにお願いするのもね。

 チラッとシルフィを見ると頷いて

「水で噴き上げる…みんな近くに」

「おーい狼さんたちーこっちに来てー!」

 大人しく集まって来る。

「シルフィが水で雲まで噴き上げてくれるからな!」


 僕はナビィ、ハク、ブランと一緒に空気飛行機でピュンッとね。

「お先にー!あ、ディシー周りの鳥さんは頼んだよー!」

『任せろ!』

 シルフィが

「水よ…我らを持ち上げて雲まで運べ…」


 ぶわっと水が噴き上がってみんなを押し上げる。シルフィはそのまま浮いている。不思議だよな…。

 離れたところから見ている。僕たちはもうすぐそこに階段が見えていた。

 みんなは雲のあるところまで水で押し上げられ、そのまま雲に乗った。

 周りの鳥さんはディシーが屠ってるから安心だね?素材もザクザク取れるよ。

 やっぱり空さえ飛べて攻撃さえ交わせればボーナス階層だね。




 普通は空を飛べないし、相当強い魔獣を簡単に討伐など出来ないのだ。魔法も使えないし、足場もなく全方位から攻撃されるのだから。

 それをアイルは魔力の放出で鳥さんたちを殲滅しているのだ。

 全く無自覚に。



「なぁ、もしかして…いや、もしかしなくても。俺らって要らなくないか?」

「要らないな。ナビィがいて勝手に動く聖剣がいて、水の精霊王もいる。しかも周りには聖なるものがわんさか…」

「1人で飛ばされたのにな…まさか聖剣と精霊王と元ボスまで仲間になってるなんて」

「「「まぁアイルだから」」」

 私たちは笑った。何よりみんなが無事で良かった。

 果物は神界の庭にあるものと同じだとか。

 驚きすぎた。流石にもう驚くこともないだろう。そう思っていた。




「お疲れ様ー。ねぇお昼ご飯食べよう!」

 わさわさと階段の上で集まっている。もふもふの密集は嬉しいけどちょっと狭い。

 ポーチの家ならみんな入れそう。

 家を出す。


 ドンッ


 玄関の扉を開けると

「みんな入ってー!」

 ナリスたちは固まってるけど、ハクやブラン、狼たちは躊躇なく家に入る。

「ナリス、テオ、ラルクも!早く」

 驚きながら家に入る。


「アイルこれは?」

「家だよ?」

 どこからどう見ても家だよな。首を傾げると

「いや、そうじゃなくて…家なのは分かる。なんであるんだ?」

 そりゃ収納してるからね。

「収納されてるからだよ」

「どこに?」

「ポーチに?」


『アイルは色々と規格外だから…』

 ビクトル、解説になってない。

「そうだな…」

 ラルク、納得しないで。

『アイリーお腹空いた!』

 ナビィが飛びついて来る。しっぽはブンブンだ。可愛い。

「すぐ作るよ!ハク、ブラン、何が食べたい?」

『ワイバーンステーキ!』

 おぉ、ハクのしっぽが凄いことに。風圧で僕の前髪が揺れてる。


『僕もー!』

『私もー!』

 よしよし、沢山あるからね。

「分かったよ!」

 僕のは昼からガッツリステーキは無理だから、ステーキ丼にしよう。


 厨房に行くとポーチからワイバーンのお肉を出す。どれくらい使うかな。狼たちもいるし。あれ、狼は普通の動物か?

「ビクトル、狼たちは味付きのお肉食べられないよな?」

『大丈夫だよー、彼らはアイルの魔力を取り込んだからね!』

 んん?そうなのか。深入りしないでおこう。

 ならみんなも食べると。沢山いたよな…ええい、10キロル。足りないかな。もう50キロル焼こう。余ったら収納すればいいし。


 ステーキを風魔法で厚めに切って、隣に出したバーベキュー台でどんどん焼く。焼けたらお皿に乗せて、そのままポーチへ。

 ガンガン焼いて、合間に自分用の小さく切ったお肉を焼く。ご飯も炊いて…。

 ふう、作った…何人前かな?考えないでおこう。


 足元でそわそわしながら待っていたハク、ブラン、ナビィ、コムギにはお肉を少し味見させた。

「よし、出来た!」

 僕は沢山作ったステーキをお皿ごと狼たちとサフィア家族の台(アイル作new)に置く。

 ハクたちの分はその隣に既に置いてある。

 机の上には僕、ナリス、テオ、ラルクとシルフィ、そしてビクトルたち妖精の分だ。

「いただきます!」


 凄い勢いでステーキが減っていく。僕は丼だから1人で黙々とね。

「!美味い…」

「ぐっ、美味すぎる」

「美味しい…」

『美味であるな』

『あるな』

『美味ー』

「美味しい…アイル天才」


 狼たちの食べる速度が半端ないっす。

 そして、カランッ。

 沢山作ったのにね?ま、みんな疲れてたみたいだし?食べることは大切だからな。


 狼のリーダーが僕のそばに来て頭をぺたんと床につける。しっぽは揺れてる。

 僕も屈むと

「どうした?」

『お主のお陰で我ら一族は種族進化した。礼を…』

「お礼はいらないんだけどな。だってハクたちと一緒に来てくれたんでしょ?だからむしろ僕がお礼を言わなきゃ。ありがとうな」

 その頭を撫でる。リーダーはまん丸な青灰色の目で僕を見ると

『名を貰えぬか…?』

「無いの?」

『…』

「名前があるならそれを大切にして」

『捨てた。だから…』

「前の名前は?」

『シンラ』


 素敵な名前だけど捨てたって。少し寂しそうに捨てた名を告げる。ならば

「ならば、新しい名前はシンララだ。だから愛称はシンラだよ!」

 体を起こしたシンラは頭を下げて

『ありがとう…』

 僕はその首に抱き付く。うわぁもふもふだ。ふふっ気持ちいい。その背中をそっと撫でる。しっぽがわさわさと揺れた。

 そしてその体を離すと僕の口元を軽く舐めて鼻と鼻を合わせると群れに戻って行った。


 さて、おやつだよ。果物の練乳かけ。ゴールデンストロベリーを発見したのだ。何故か木になっていたのをね。しかも遠くに1本だけ。ビクトルが見つけてくれた。枝を何本か貰って近くで挿し木にして聖水をかけたら脇芽が出たんだよ。だから大切に持って来た。

 果物は収穫してしばらくすると復活してたから何巡かして取った。とはいえ元は1本だからそこまで数が多く無い。


 なので1個だけ、後はゴールデンピーチ。盛り付けて

「食後のおやつだよー」

「やりぃ」

「嬉しいぞ」

『やったー』

 声が響く。


 みんなの前にお皿を置くと…やっぱり溶けたね。

 僕は味わって食べる。あぁ、いちご美味しい。

「美味しかった…」

『アイリーいちご美味しい』

「挿し木で芽がでたから植えような」

『やったー』

 可愛いナビィを撫で撫で。


「少し休憩したら40階層に行くよ!」




時系列整理

1月1日 アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く


1月2日 麓の村をナリスと出発


1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町レイニアに着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発

ライラたちが襲われる

ゼクスと王都にロルフから手紙が届く


1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発

魔術師団がゼクスに出発


1月9日 アイルがハク、ブランと再会


1月10日 ミュジークと捕虜を解放

アイルが村が救う


1月11日 魔術師団がゼクスに到着

近衛騎士たちが村を出発

アイルたちが村を出発

 

1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発


1月16日 アイルたちがロイカナの町に到着


1月17日 アイルが探索者ギルドで依頼達成の手続きをする


1月18日 ロルフたちがフィフスに到着

アイルが川蛇の依頼を受ける


1月19日 ロルフたちがゼクスに到着

アイルたちがゴブリンの討伐依頼を受ける

アイルたちが迷宮を発見する

アイルが迷宮の罠に飛ばされて行方不明になる 46階層

ラルクたちが迷宮に潜る 9階層


1月20日 迷宮2日目 アイル聖剣、精霊と出会う

コムギと再会する 42階層

ハクたちはブランと再会する 30階層まで転移 35階層


1月21日 ロルフたちが死の森に行く

イーリスたちがアレ・フィフスに到着

迷宮3日目 アイルはナビィと再会する 40階層手前

ハクたち 37階層終わり


1月22日 イーリスがゼクスに到着

迷宮4日目 アイルたち39階層に到着

ハクたち38階層で休む


1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発

迷宮5日目 ハクたち39階アタック開始

アイル捜索隊がロイカナの町を出発

アイルたち39階層でハクたちと合流


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