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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第7章 新しい迷宮

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376.新しい迷宮17

 みんなで家を出る。家もしまって、散策後にそのまま対岸へ。階段を上がって39階層だ!

 空気飛行機に乗って出発。


『しかしあれだな、主はとんでも無いな…普通はそこの雲に乗って、全方位からの攻撃を躱しながら対岸へと渡るのであろう?それをこんな風に易々と…』

 ディシーがしみじみと言う。

『本当にの。まさかこんな風に進むとはな…。しかもお主、ディスタンシアがおる。無敵、じゃな』

『私のアイリは凄いのー』

 何故かナビィが胸を張る。可愛い、その頭を撫でる。転がって背中を付けてコロンコロン。お腹を撫で撫で。


『便利だよね、この乗り物!』

 ビクトルが言う。

「そう、飛行機だよ。本当は金属で作るんだけど、重くなるし」

『材料も無いし、か』

 あるんだけどな、たくさん。

「あー材料はあるよ?なんかミスリルとかオリハルコンとか?」

『はっ?』

『えっ?』

『何だと!』

 なんかね、ポーチにわんさか入ってる。


『ノームがアイリの眷属にいて、たくさん掘ってくれるからね!』

 えっとナビィ、ノームってあの採掘をする小人さん?

『そうだよ!最後のノームをアイリが助けたの!!』


 元僕は…思いの外やらかしてるな。うん、聞かなかったことにしよう。覚えてないし。

 僕はディシーを呼んでその柄を握る。凄くしっくりする。

「凄く手に馴染む」

『当たり前だ。我はお主の魔力で満たされておるからな…故に一心同体だ』

「恋人みたいだね、ふふっ」

 あ、ディシーがデレた。何となく感情が分かる。

「それじゃあよろしく!」

『おうなのだ』


 僕はごく軽く魔力を流して(すでに僕の魔力が満ちている)ディシーを振る。



 スパパン



 ビックリするくらい鳥さんが落ちる。たったの一振りで?

『当たり前じゃ…我は聖剣ぞ?』

「うん、知ってるけど…凄いや」

 そのまま上にも下にも剣を振る。スパスパと鳥さんは落下して粒子となる。

 もう全方位振っちゃう?

「えいや!」



 スパパン

 スパン

 ザシュ



 あれ?

『お主、やり過ぎじゃな。全滅しておる』

 あ…てへっ。

「ディシーが凄いからだよ!」

 誤魔化すぞ。

『そ、そうでも無いが…まぁ我であれば当然じゃな』

 デレる聖剣、元魔剣。威厳はどこ行った?とビクトルは思った。


 僕はディシーを握ったまま、前を見る。あれ、なんだろ。これ…ブラン?魔力がおかしい。

 僕は遠くを見て、目を瞑る。そしてそのまま剣を振り抜いた。

 ブランを守って!そう願いながら魔力を飛ばし…ブランを包み込む結界を想像する。ブランを包んで癒す結界。

 間に合え!




 *******




 えっ…?私は目を疑った。目の前には立派な体格の白いドラゴンがいた。

 口にブラン様を咥えて。しかも、ブラン様の羽には血の色がない。

 ぐったりはしているが、胸は上下している。

『ブラン、良かった!ドーナが間に合って』

「ブラン様!」

「ブラン様…」


 テオは涙目だ。

「良かった…」

 ナリスも目が赤い。

 ハク様はしっぽをぶんぶん振っている。

 白いドラゴンがブラン様ごとこちらに来て、着地した。


『ドーナ!デカした!!』

『ハク、僕じゃない。ブランは空中で丸いものに包まれて止まってた。僕は治癒もしてない。あれはご主人の魔力…遠くから魔力を届けてくれたんだ!』

『アルが?あの魔力の流れはやっぱりアルだったんだ!』

『うん、何処からか魔力が飛んで来た!』

『やっぱりアルは凄い!』

 その会話を聞いて、魔力が飛んでくるとか丸いものに包まれて、とか分からない事だらけだったが。ブラン様が助かった事は分かった。良かった、本当に。


 私は横たわるブラン様に近付き、その体をそっとして腕に抱えた。

「ブラン様、ありがとうございます」

 脱力したまま

『ご主人のお陰…だってどこにいたって、きっと助けてくれるって信じてたから』

『そうだね!アルならきっと…』

『少し休んで…魔力圧をモロに受けてるから…』

 白いドラゴンが言う。


『ドーナ、大きくなった』

『うん、ご主人様の魔力…やっと成長したよ。白い個体は成長が遅いんだ!良かった。ブランを運べて』

『うん、やっぱりアルのお陰だ』


 しばらくそのまま休んでいた。狼たちは誰も欠けることなく、ケガはドーナが癒しの魔力を流し、アイルの薬を飲ませて治った。

 次の階層はどう攻略するか、悩ましい。

 下からの攻撃を防ぐのが難しいのだ。しかし、進まなければ。雲は対岸に着くと離れてしまうから、戻ることも出来ない。

 下からの攻撃、雲は抜けられないか。ドーナに雲の脇を飛んでもらい、そこで迎え撃つしかないか。魔力はもうほとんど無い。


『お昼休憩しよう!』

 ひとまずそれが正解か。8時に出発してすでに3時間。早めに食べて休んで。

 出発するのか、留まるのか。

 いずれにしても、まずは休まねば。




 その頃アイルは…


 ん、大丈夫そうだ。ブランの魔力が安定した。良かった。僕たちは順調に進んで、そろそろ下に降りてみる。風景はあまり変わらないけど、何かあるといいな。



『もっと摂るよ!』

『沢山とる!』

「私も…水よ…」

 ナビィは張り切って前脚で、サフィアは大胆に前歯で、シルフィは水の勢いで、ディシーはその剣で、コムギは爪で、そしてトムとジェリーは前脚で。

 僕は空気削岩機(アイル作new)で採掘。


 なんと、ここは金銀の鉱山。いわゆる金山と銀山。掘れば掘るほど出るわ出るわ。

 もちろん不純物が混じってるけど、僕のポーチに入れればたちまち分解されて、純度100%になる謎仕様。


 途中で銀だと思ってたらなんと白金、プラチナを見つけた。必死だよもちろん。僕が目の色を変えたから、みんなも必死。

 さらには周りの聖なるものたちがね、大張り切り。

 ドカドカとポーチに吸い込まれて行く。

 流石にこんだけあると、ポーチの容量が気になる。今は体育館並みだけど…ドーム球場くらいにするか。

 えっと…空間を広げたい。

 


 ぼわん



 いけたね?


『無限容量の空間拡張ポーチ、というかもう無限空間そのもの…』

 ビクトル、解説は要らないよ…。そっと目を逸らした。だってみんなの目線がね?ちょっと痛い子を見る感じで居た堪れない。

「だって…みんなが取ってくれたから…全部持って帰りたいし…」

『ふっ分かっておる、が相変わらず訳が分からんな』

 僕だって分からないよ。考えたら出来るんだから。

「摂るぞ!」

『おー』

『はーい』

『やー』


 結局その日は採取しまくって、39階層にようやく到着。

 で、進むのは諦めた。だってね、疲れたから。物欲って凄いな。


 家を出してソファで寛ぐ。夕飯どうしよう。キャベチとお肉も沢山ある。ならばアレだな。ふふっ久しぶりだ。

 ソファから起き上がる。

 コムギとナビィはトコトコと僕について厨房へ。僕はポーチからキャベチとオーク肉を取り出す。

 オークはミンチに。キャベチは魔法で作ったお湯の球に付けて茹でる。

 茹で上がったら芯をくり抜いて一枚ずつ丁寧に剥がす。

 ミンチは下味を付けてしっかり捏ねる。

 広げたキャベチに肉を乗せて包んで丸める。それを作れるだけ作る。うーん、キャベチ5個だと足りないかな?10個分作ろう。


 出来たらお鍋に並べて水にスープストックを入れて柔らかくなるまでしっかり煮込む。時短して、出来上がり!

 柔らかいパンを付ける。

 生野菜のサラダと鮮魚のカルパッチョも付けたら完成。

 お皿に盛って、並べる。

「出来たよー!」

 声をかけてお皿を運ぶ。初めての料理かな。イリィと食べたかったな。

 最近はごく自然にイリィを思う。大好きな人…早く会いたいよ。


「いただきます!」

『いただきます!!』

 一斉に食べ始める。おっ熱々だ。美味しいな…。はふっ、もぐもぐ。うん、スープもキャベチの甘みが出て美味しい。2個はあっという間に食べた。追加しよう。



 バクバク

 ガツガツ



 すごい勢いで減っていく。キャベチ1個で中くらいのロールが10個。だから100個のロールキャベチがドンドン減る。

 僕は結局、3個食べた。みんな凄いね?

『アイリーこれ凄く美味しい!』

 ナビィのしっぽが凄いことに。

『美味しいよ、パパ』

 コムギは顔中、汁だらけだ。さっと洗浄してあげる。

『ありがとー』

『これはなんと美味な…ばくばく』

 ディシーも気に入ってくれたみたい。


『美味しいぞ!』

『美味しい』

『しい!』

 サフィア家族にも好評。

「美味しい…ばくばくばくばく…」

 何気にシルフィが凄い食べる。見た目は儚げなのにね。ま、消えかけてたって言ってたしいいか?元気なら。


 こうして美味しい食事はまさに溶けた。良かった。こっそり追加でキャベチ5個分作っておいて。

 ハクやブランにも食べせてあげたいし、いつか再会出来るイリィにもね。初めてだから…初めては2人で。

 そう思って。


 さて、お風呂だ。ゆっくり浸かろう。

「サフィア、お風呂入る?背中洗ってあげるよ!」

『入りたい』

 よし、もふ毛をフワッフワにしよう。

「ぼ、僕も…」

 シルフィがもじもじと言う。あ、そうか…これは断れないな。

『僕も(我も)』

 チャロとディシーも?ならみんなで入るか。

「じゃあみんなで!」

『やったー!』

 ナビィが元気な返事をした。ふふっ可愛い。


 お風呂はいつでも沸いてるから脱衣室にみんなで入る。

 僕は服を脱ぐ。シルフィがなんか脱ごうとして変なことになってるから手伝う。ほんと華奢だ。背中だけ見たら女性に見えるくらい。

 白いと言うよりは透明な肌。なめらかでツヤツヤだ。

「入るよ!」

 浴室の扉を開ける。

「はーい、全員集合ー!体洗うよ」

 小さなビクトルとチャロ、トムとジェリーを真っ先に洗う。うん、チャロも男の子だね。可愛い鈴さんが付いてる。もじもししてて可愛い。頭も体も指でそっと洗う。泡泡だね。


 次はサフィアだ。ナビィと同じくらい大きいから洗い甲斐がある。

 わっしゃわっしゃと洗う。

 思いの外、密度が濃くてふっかふかだ。これは乾かしたらその胸に飛び込もう。

 そしてナビィ、ふふふっお尻もお股もしっかりと洗うよ。ちゃんと脚を上げて、偉いね。よしよし…きれいきれいしような。




時系列整理 年明け以降


1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く


1月2日 麓の村をナリスと出発


1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町レイニアに着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発

ライラたちが襲われる

ゼクスと王都にロルフから手紙が届く


1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発

魔術師団がゼクスに出発


1月9日 アイルがハク、ブランと再会


1月10日 ミュジークと捕虜を解放

アイルが村が救う


1月11日 魔術師団がゼクスに到着

近衛騎士たちが村を出発

アイルたちが村を出発

 

1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発


1月16日 アイルたちがロイカナの町に到着


1月17日 アイルが探索者ギルドで依頼達成の手続きをする


1月18日 ロルフたちがフィフスに到着

アイルが川蛇の依頼を受ける


1月19日 ロルフたちがゼクスに到着

アイルたちがゴブリンの討伐依頼を受ける

アイルたちが迷宮を発見する

アイルが迷宮の罠に飛ばされて行方不明になる 46階層

ラルクたちが迷宮に潜る 9階層


1月20日 迷宮2日目 アイル聖剣、精霊と出会う

コムギと再会する 42階層

ハクたちはブランと再会する 30階層まで転移 35階層


1月21日 ロルフたちが死の森に行く

イーリスたちがアレ・フィフスに到着

迷宮3日目 アイルはナビィと再会する 40階層手前

ハクたち 37階層終わり


1月22日 イーリスがゼクスに到着

迷宮4日目 アイルたち39階層に到着


1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発


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