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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第7章 新しい迷宮

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375.新しい迷宮16

 それはキラキラと舞い散ってとってもきれいだ。もちろん、舞った後はポーチに収納。

「シルフィ、凄いな。ありがと!もっとたくさんの色があったらいいのに」

「色…」

 シルフィは少し考えると

「水よ…色とりどりの水よ…湧け…」

 今度は言葉通り、色とりどりの水が出て色付きの雲となり、そしてカケラとなった。


 ピンク、青、緑、赤、黄色…凄い。なんてきれいな光景。

「イリィ…」

 ごく自然にその言葉が口をついて出る。いつか会えたら、この光景を話したいな。


 しばらく舞い落ちるに任せて、ポーチに収納した。

「シルフィは凄いな…ありがとう!」

 なんだかチラッとこちらを見る。そしてほんの少し頭を寄せた。あぁ、ふふっ可愛いな。

 そのサラサラの髪を撫でる。指からこぼれ落ちる長い髪。華奢で整った顔は本当にきれいだ。


 そのまま頬を撫でると耳まで真っ赤になって固まっていた。

 僕は手を離すと頭をぽんぽんしてから

「上には何も無いな…」

『雲のカケラだけでも凄い価値だけどね。鉱物や宝石じゃない物質。価値は計り知れないよ!』

「そうなんだね、ビクトル。ならもう充分かな」


『一旦休憩して、また下に降りてみたら?』

「それもそうだね。また違う何かが見つかるといいな。一旦戻るよ!」

『おう』

『はーい』

 ディシーが戻ってきた。きれいに鳥さんが消えたな。

 チャロに入ったディシーを撫でる。


「ディシーたくさんありがとな。よしよし…」

『ぬっ、我ならこれぐらいは朝飯前じゃ…』

「ふふっ流石だな。休憩の後は僕が振ってもいい?ディシーに慣れたいんだ!」

『もちろん構わぬ。我は主の剣だ』

「じゃあ後でよろしくだよ」

『任されたのじゃ』


 一旦、家に戻って休憩。何もしてないとも思うんだけど、やっぱり魔力圧のせいか…どことなく疲れが溜まる。フルーツ牛乳を飲んで少しまったり。

 コムギば僕の膝の上、ナビィは顎を膝に乗せて伸びてる。シルフィはサフィアにもたれて寛いでる。


 のんびりだね…ここが迷宮って忘れてしまう。

 ふう、そろそろ行くか!

「下に降りて散策したらお昼を食べて…進もう!」 

『はーい』

『うぬ』


 みんなで家を出る。家もしまって、散策後にそのまま対岸へ。階段を上がって39階層だ!





 少し時間を遡って、ハクたちは…



 目が覚める。ん、今日も背中とお腹に狼がいる。その背中を撫でて起き上がる。

 ハク様は横になったまましっぽを揺らす。起きているようだな。

『おはよー、ご飯出すね!』

 バクセルがご飯を取り出す。本当に何処から補充されるのか不明だが、本当に助かる。


 温かい食事、安全な寝床。迷宮探索とはこれでいいのか、とつい思ってしまう。

 しかし、これからの階層はなかなか難しい。気を引き締めなくては。

 両頬を手で叩く。

「おはよう、気合い入ってんな…ラルク」

「おはようテオ。役に立ててないからな。気合いも入るさ」

「だな、少しは役に立てそうだ」


 ナリスも起きてきた。バクセルの出した朝食は温かいパンとスープ、ソーセージに卵、サラダとフルーツまで付いていた。バクセルなりに難しい階層だと分かって、鼓舞しているのだろう。

 ハク様やブラン様、リーダーもガツガツ食べている。温かくて美味しい。アイル、生きてるよな?

 早くその顔が見たいとそう思った。


 食べ終わると各自で片付けをして、テントを出る。いよいよ38階層だ。

『今日はブランは飛ばずに雲の上から攻撃力だよ!敵が変わるかもしれないから要注意。一応、ブランは飛ぶ準備をしてな!』

『はーい』

「おう!」

「任せろ」


 こうして一斉に階段を降りる。パッと見た感じは37階層とさほど違わないか。

 みんなで雲に乗る。ススッと進む。上からの攻撃を受けないように先手必勝だ。

 見つけた鳥目掛けて感に魔力を乗せて飛ばす。



 ザンッ



 仕留めた。この調子で進めればいいが。しかし、やはりそう簡単では無かった。上からの攻撃を避けるべく、敵を屠っていたが、突然衝撃が来た。

 雲が大きく揺れる。端にいた狼が雲から放り出される。危ない!手を伸ばす。両手で掴んでなんとか引き上げた。狼は震えている。その背中を撫でた。

「みんな内側に寄れ!」

 固まった。すると今度は上から大きな、頭くらいもある石が落ちて来た。咄嗟に狼を胸に庇う。



 バチッ



 弾いた。アイルの結界だ。しかし、何となく結界が弱まったような気がする。何度も当たったら危ない。断続的に下からも攻撃が来る。遂にハク様がブラン様の背に乗って下に向かう。上からの攻撃は我々が防ごう。

 魔力を乗せて剣を振り抜く。

 何度も何度も…流石に魔力が。もう限界まで使った。ふぅ、と息を吐く。


 ブラン様はまた戻らない。なんと進みの遅いことか。

 テオも魔力が枯渇したのか、小楯で石を弾く事しか出来ない。私も剣で石を弾き、ようやく対岸が見えた。

 その時、下から一際大きな突き上げがあってバランスを崩した。そのまま雲の端から落下した…。もうダメだ、アイル…無事で、最後に会いたかった。目を瞑る。

 落ちて行く感覚に死を感じて怖い。



 トンッ



 えっ…?



 目を開ければ翼を血に染めたブラン様が私を背中に乗せて、他にも落下した狼たちを拾って背に乗せる。

『ぐっ…』

 苦しそうな声をあげて、それでも力強く羽ばたく。我々を背中から滑り落とし雲に乗せると、ブラン様は力尽きて落ちて行った。


 そんな、ブラン様。

「ブラン様ー!」

『ブランー』

 呆然と落ちて行く姿を見る事しか出来ない。そんなまさか…


 ようやくそこに対岸が見えたのに…ブラン様が。

 手を握りしめる。私はなんて無力なんだ。ブラン様を失ってこのまま進むのは、我々はどうしたら。


 ようやくついた対岸でみんな静かに下を見つめる。バクセルは傷薬をみんなにかけた。

 ん?そう言えば白い子は??あの子も飛べたのか。




 バサッバサッ…




 えっ…?私は目を疑った。目の前には立派な体格の白いドラゴンがいた。




時系列整理 年明け以降


1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く


1月2日 麓の村をナリスと出発


1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町レイニアに着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発

ライラたちが襲われる

ゼクスと王都にロルフから手紙が届く


1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発

魔術師団がゼクスに出発


1月9日 アイルがハク、ブランと再会


1月10日 ミュジークと捕虜を解放

アイルが村が救う


1月11日 魔術師団がゼクスに到着

近衛騎士たちが村を出発

アイルたちが村を出発

 

1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発


1月16日 アイルたちがロイカナの町に到着


1月17日 アイルが探索者ギルドで依頼達成の手続きをする


1月18日 ロルフたちがフィフスに到着

アイルが川蛇の依頼を受ける


1月19日 ロルフたちがゼクスに到着

アイルたちがゴブリンの討伐依頼を受ける

アイルたちが迷宮を発見する

アイルが迷宮の罠に飛ばされて行方不明になる 46階層

ラルクたちが迷宮に潜る 9階層


1月20日 迷宮2日目 アイル聖剣、精霊と出会う

コムギと再会する 42階層

ハクたちはブランと再会する 30階層まで転移 35階層


1月21日 ロルフたちが死の森に行く

イーリスたちがアレ・フィフスに到着

迷宮3日目 アイルはナビィと再会する 40階層手前

ハクたち 37階層終わり


1月22日 イーリスがゼクスに到着

迷宮4日目 アイルたち40階層

ハクたち38階層


1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発


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