38.その夜
ちょっと大人な描写があります
イリィは信じてくれる?
そうアイは聞いた。
アイの話は信じられないようなものだった。けれど、君がそんなことで僕に嘘をつく理由なんてないよね?
君が違う世界から来て、違う性別になって知らない場所でたった1人で頑張っているなんて…どんなに辛かっただろうね。
それなのに君は人を気遣うことができる、本当に優しい人だね。僕は君の言ったこと全て信じるよ。
君が人と触れることを怖がってたその理由にすごく納得ができたから。
君の哀しみも迷いも全部僕が受け止めよう。ねえ、アイは知らないよね?森人が愛称で呼ぶことを許すのは将来の伴侶と決めた相手だけだよ。
寝る部屋に香りを広げるのは初めて2人が交わる夜の風習。知らないのに君は…僕をこんなに夢中にするんだね…?
参ったなぁ、もうほんの少しの理性も残ってないよ。覚悟して?
目を伏せて震えながら僕の返事を待っているアイに僕が言えることはこれだけ。
「アイ、全て信じるよ。だからアイも僕を信じて?」
震えるまぶた…伏せていた目を上げて僕を見る。目から溢れた一筋の涙はとてもきれいで…僕はその頬にキスをして抱きしめる。
「ずっと側にいるよ…アイ」
アイは僕にしがみついて泣いた。しばらくはアイの泣き声と僕の息遣いだけが静かな部屋に響いていた。
やっと泣き顔をあげたアイ。その色は淡いピンクでキラキラと輝いていた。昔オババが言ってたのは…。
涙を指で拭う。そしてキスをする。もう我慢しなくていいよね?だって無理だよ。君はこんなに儚くて、僕が支えていないと倒れそうだ。だから怖がらずに僕の想いを受け止めて。前の世界で君は恋人がいたのかな?嫉妬してしまうよ。でも今は…僕だけを見て。
愛しい人。僕だけを見て…。
アイをベットに優しく押し倒す。ねぇ、宿の主人に言われて何を考えたの?頬を撫でながら聞く。ごめんね、僕は本当にイジワルだ。
目を伏せて、イリィと抱き合っている自分を…小さな声で答える。そう、答えてくれるんだね。しかも嬉しいことを…もう心臓が煩いよ。体の芯が熱くなって…優しくするよ。僕も初めてだからね。
その唇にキスをする。少しずつ大胆に、深く。少し開いた口の中に舌を滑り込ませ、絡める。アイの息遣いが乱れる。そう、もっと乱れて…僕の前で全て曝け出して…。
体を撫でていた手を服にかけてボタンを外してく。シャツを脱がせて自分のシャツを脱ぐ。
伏せたまぶたにキスをして、顎に手をかけ上を向かせる。震えるまつ毛に雫がついている。きれいだ。
裸の体を抱きしめる。細くて温かい。耳を甘噛みして首筋を舌でなぞる。んんっ…悩ましげな声が聞こえる。
もっと感じて…もっと僕を感じて。唇にキスをしながら手で体を撫でる。あふっ…、そんな可愛い声を…もっと気持ちよくなってね…アイ。
空いた手でアイと自分のズボンをおろし下履きだけの姿になる。細いけど筋肉のついたきれいなアイの足を撫でる。
そして彼の下半身を触る。あまり反応が無い?前の世界では無かったものだから感じないのかな?
そしてアイの下履きを脱がし、自分も脱いで裸になる。
ゆっくりと撫でるとアイは細い声で
「イリィ、それはダメ…」
あぁまた困らせてる?でも仕方ないよね。こんなに可愛いんだから。気持ち良くさせてあげるよ?
そのままキスをする。待っててね、アイ。そこに優しくキスする。
「イリィ、もうダメ…」
最後は囁くような声で…アイは脱力した。
あぁ、もう本当にどうしてこんなに僕を喜ばせるのかな?君の初めてを僕にたくさんちょうだい?
横倒して脱力しているアイの唇にキスをする。ごめんね…休ませてあげたいけど、僕はもう我慢出来ないから…アイが気怠げに目を開く。
その目は潤んだままで…まだ僕を誘うの?もうこんなに君に夢中なのに。
体を撫でるとアイの目が一層潤む。あぁ、漸くだよ。アイ、一つになろうね。アイの細い腰を手で掴みゆっくりと重なっていく。
アイの顔が痛みに歪む。ごめんね?もう抑えられないよ。だから受け止めて、僕を。君の体の奥深に…。
そして…アイの中は暖かくて…僕は幸せで、とても幸せで…アイの目から涙が溢れる。その涙を拭う僕の手に自分の手を重ねて頬を擦り寄せる。
本当に君は僕を喜ばせる天才だね…アイ。一緒に感じて…。
そこからは自分の欲望に負けてずいぶん無理をさせてしまった。アイが受け止めてくれるから、つい…ごめんね。
何度も抱いたその体…形のいいお尻もきれいな肌も、細い腰も全部全部可愛くて…もう離さないからね?アイ…。
私の話を最後まで静かに聞いてくれたイリィ。そして全て信じるよ、ずっと側にいると言ってくれた。
イリィなら信じられる。ベットに押し倒されキスをされる。そしてスーザンにお祝いの理由を言われて何を考えたのかまた聞かれた。
今度は素直に抱き合う私たちを想像したと言う。イリィなら大丈夫。そう思えたから…。
私はイリィを受け入れて、受け止めようとしている。それを分かっているのだろうイリィの目が色っぽい。
そのまま私は初めて男性として色々と体験した。そしてイリィが一つになろうと…怖いけどでもイリィとなら。
彼の息遣いが荒くなる。我慢させてたのかな…?痛みに目が潤む。
でも決して嫌ではなくて、それ以上に一つになれたことの喜びが大きい。イリィのその存在を自分に感じて震える。やっと自分をこちらに繋ぎ止められた。そんな感じ。
やがてゆっくりとイリィが体を優しく撫でる。
それから何度も繋って…思い出して赤面してしまうくらい激しい夜だった…。
*******
イーリス、良く聞きなさい。いつかお前のことを、その顔ではなくお前自身を本当に愛してくれる人がいたら…。お前にそれが許されるのなら…その人の色は淡いピンク色で、キラキラとして見えるはずだ。
その人こそがお前を本当に愛してくれる。特別を見つけたのなら、決してその手を離してはいけないよ。 イーリス覚えておきなさい…。いつかきっとお前にも…そんな日が来ることを願っているよ。
まだ小さい頃にオババが話してくれた。ねぇ、君が纏う色は淡いピンク色で、僕の目にはキラキラとして見えたんだよ。僕の愛しい人…もう離さないからね。愛してるよ…アイ。
まぶたに光を感じて目を覚ます。目の前には淡い金髪。素肌が触れ合っている体は温かい。体が怠いのは昨日、イリィと愛し合った故か…。
激しくて優しい夜だったな。そう言えばハクとブランは…?部屋の隅に目をやるとあからさまな結界の中で眠っている。
うわぁ恥ずかしい。ハクたちなりに気を遣ってくれたのかな?聞こえていないなら良かった。あんな恥ずかしい声聞かれたら…いや、見られるのも困るけど。
そんなことを考えているとイリィが顔を上げる。寝起きでも美形は揺るがないね…色気で破壊力アップって凄いな。感心していると
「おはよう、アイ。体は大丈夫?」
そう言ってキスをする。
「おはよう。気怠いけど大丈夫」
本当に?って流し目やめて…頷くと
「ならイケるね」
えっえっ?イケるって何が?えっちょっ待っ…。
そのまま深いキスをされ、脱力した私を…。ううんっ!激しくされて…。
恥ずかしい…いい歳して朝からなんて…いや、今は15の思春期かぁ。イリィだって18。そりゃイケイケドンドンだよな…。
スーザンが朝食を持って来た時、私はベットから起き上がれなかった。部屋に入り朝食の載ったトレーを運んできたスーザンは
「あまり無理するなって言ったのに…若さかね、ほどほどにしとけよ」
と優しい目で言った。あぁ、恥ずかしい。
いつものようにフードを被って対応したイリィは乱れた毛布と毛布からわずかに除く裸の肩を見てほくそ笑む。
僕のものってこれで完全に認知されたね。アイの剥き出しの肩を見せるのは嫌だったけどまぁ宿の主人ならいいか。
そんなことをイリィが考えていたなんてアイルはもちろん知らなかった。
ノリノリでイーリスの独白を書きました
*読んでくださりありがとうございます
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