表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第6章 ピュリッツァー帝国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

355/428

349.ロイカナの町2

 野菜もお魚もお肉も少しパサついてるけど、でもみんなでこうやって食べる食事はそれだけで美味しい。

 でもお替わりは無理かな。ふっと息を吐く。

「アイル、大丈夫か?」

 んと何?テオに話しかけられる。

「何?」

「それだけしか食べないのか?」

「いつもこんなだよ?」

 テオは驚いてぼくの腕を掴む。

「っ!」

 ラルクも掴む。

「っ!!」

「あーほっそいんだよな…体を拭いた時に見たんだけどよ、腰なんて両手で掴めそうだったぞ」

 ほっといてよ…もう。


 それがキッカケか…宿に帰ったら大変だった。ローブを取られてね。

 そしたらテオとラルクが驚いて。

「アイル、その髪…その目」

「銀髪…銀目、虹彩の縁に青…」

 そうなんだよね、目立つんだよ。だからいつもは隠してるんだ。

「目立つよね?これ…」

「いや、目立つとかじゃなくて」

 顔を見合わせる。

「なぁ、知らないのか?銀色の意味を」

 あっと聖なるってやつかな。

「聖なる色?」

「そうだ。そんなにきれいな銀髪も銀目も、なかなか見かけない」

 そう?ハクだってブランだって胸元には輝く銀のVがあるし、ハクはそもそも白銀狼だよ。


(ハクやブランは隠蔽で普通の白に見えてる)

 え、そうなの?誰の隠蔽?

(アイルの無意識な…)

 …僕ってたまにいいことするね。


「うーん、そう言われてもね?僕はごく普通の一般人だから分からない!」

 必殺、無邪気に惚ける作戦。

「ま、そうだな。そんな事もあるか」

「どこの出身だ?」

 テオとラルクがかわるがわる聞く。

 僕は俯いて

「凄く遠い所…」

 もう帰れない場所。あちらの世界を思う。みんな元気かな?律はどうしてるだろう。


「ご、ごめん…その」

「アイル…」

「いや、あの…」

 なんかみんな慌てちゃった。その話はちょっとしたくないから。

「聞かないで?」

「わ、わかった。ごめんな」

 僕は首を振る。悪気なんてない事はわかってるから。

 テオはそっと僕の髪の毛を撫でる。ラルクは僕の背中を優しくさする。ナリスは僕の手をそっと握る。

 みんな優しいんだね。


「細くてきれいな髪の毛だな」

 さらさらと指からこぼれ落ちる自分の髪を見る。誰かにそんなこと言ってもらったような記憶がふと蘇った。

 あ、まただ。いつの記憶なんだろう。すごく懐かしくて暖かな記憶。


 雰囲気を変えるようにテオが話をする。俺はこう見えて結構筋肉ついてるんだぞ。そう言ってシャツを脱いだ。わ、ほんとだ。腹筋割れてる二の腕の筋肉もすごいや!一見、細身なのに。騎士ってやっぱり体力とかあるんだろうなぁ。

 ナリスもすごくいい体つきだったし。

 すると、ラルクが俺もだぞと言って、やっぱりシャツを脱ぐ。テオに比べるとラルクはさらに細身なんだけど、やっぱりしっかりと鍛えられた筋肉がついていた。

 うらやましい。僕なんて二の腕ポヨポヨだもんなぁ。触っていたら、テオにアイルも服を脱げと言われた。

 やだよ…そんな筋肉の中に自分の体をさらけ出すなんて。

 嫌だって言う前に、テオが僕のシャツをスポーンと脱がしてしまった。

 恥ずかしいよ…。


 彼らは僕の体を見て何故か固まった。そんなにみすぼらしいかなぁ。

 そう思ってテオを見た、顔が赤くなっていた。なんで?

 ラルクを見たらラルクの顔も赤くなっていた。だからなんで?

 ナリスを見たら頷いていた。何に?


「2人ともどうしたの?」

 ナリスがうなずきながら

「アイルの細くて白い体に見惚れてんだよ!」

 僕の体のどこに見惚れる要素があるんだろう?貧相の間違いでは。

 脱がしたテオが自分で僕にシャツを着せてくれた。人に見せないようになと言いながら。

「脱がしたのはテオだろう?」

「それは、ごめん」


「あーなんか調子狂うんだよなぁ」

 テオが頭をガシガシとかいた。

「お前、気を付けろよ?男好きじゃなくても危ない」 

 ナリスを見る。うなずいていた。良く分からないけど、僕もうなずいた。

 その日はそれで解散して、宿にはシャワーがついていたからラルクと一緒に入った。

 こっちのシャワーって水が1本しか出ないんだよね。宿の共用だから、なるべくまとまって入ってって言われたんだって。って言っても2人が限界だからそれでラルクと一緒に入った。


「アイルの体は、細くって白くて華奢だな、なんていうか守りたくなる」

「僕そんなに弱くないよ?」

「周りが凄いからなぁ」

 む、僕だってそれなりに強いのに。

 シャワーに入るときに、腕につけたポーチも外したんだけど、最近見かけないなぁって思ってたトムとジェリーが寄り添って寝てた。それに気がついたらラルクが焦ってた。

「僕ね、動物使いなんだ!」

「そうか…」

 僕は、トムとジェリーの頭を撫でる。ポーチは居心地が良かったのかな?ゆっくり寝てていいよ。


 部屋に戻ったら、もう寝る時間。こっちは娯楽があまりないからご飯を食べてお風呂に入ったら後はもう寝るだけって感じ。そういえばラルクたちは大丈夫なのかなぁ?

「その、ラルクは…お姉さんのいるお店とか行かなくていいの?」

「くほっ、な、何を言うんだ?」

 だってね?年頃の男性だし、色々と大変なんじゃないかなぁって思って。

「だってね。ほら、色々と」

 ラルクは困ったように笑って、アイルは気にしなくていいよと言った。


 ラルクの顔がまた赤くなっていた。大丈夫かなぁやっぱりいろいろあったから不安定なのかもしれない。

 近寄って、そっと頬に手を触れる。やっぱり熱いなぁ。

「また調子悪いの?」

 目を覗くと少し潤んでいる。

「あ、あぁ…」

「寒い?」

 この部屋は暖房をつけても、あんまり暖かくない。

「少しな」


 うーん、僕はいつもコムギやナビィ、ハクと一緒だからあったかいけど1人だと寒いかなぁ。

「ナビィと寝る?」

 ラルクは首を振った。

「寒いんでしょう?」

 僕は慣れてるけど、やっぱり動物と寝るのは抵抗があるのかなあ。

「じゃあ僕と寝よう。2人ならあったかいよ!」


 ラルクの返事は聞かずに一緒にベッドに潜り込んだ。当然みたいに、コムギもナビもハクもベッドに入ってきた。みんな一緒だとあったかいね。

 僕はみんなの体温で、あったかくてすぐに眠った。





 私は隣ですやすやと眠るアイルを見る。その、白い頬は、わずかに色づいてとても可愛らしい。

 自分でも感情がうまく制御できない。聖なるものに囲まれているアイル。なのに、全く無自覚で。

 照れて顔が赤いだけで本当に心配して、寒い?って聞いてくれる。アイルの言葉は本当に暖かくて、その手に触れられると幸せな気持ちになる。

 敬愛だとそう思っていた。騎士として彼を守るのだと、そういう気持ちでいたのに、ほんの数日一緒に過ごしただけで、こんなにも彼に惹かれてしまう。


 アイルの白くて細い体を思い出す。なめらかな白い肌。まだ幼いけれど、整った顔立ち…派手さはないけれど、人を安心させてくれるような優しい顔。

 それにあの髪と目。あんなに艶やかな銀髪は初めて見たし、吸い込まれそうな銀色の目に目が離せなかった。彼は聖なるものに祝福された。なのに、私は彼を見て心が乱れる。

 その柔らかな頬を撫でる。全く警戒せず、同じベッドで眠るアイル。

 少しだけ、君のぬくもりを感じさせて。そっとその頬にキスをする。おやすみ、アイル。




 俺はさっきの話を思い出していた。遠くから来たと言うアイル。その顔はとても寂しそうで、聞いてはいけなかったんだと反省した。

 雰囲気を変えようと、俺はいい体をしてるんだぞと言って、服を脱いで。アイルは見るからに細いから、どんなか調べようなんて思って、服を脱がせた。

 その体は思った通り細かった。それに色白でなめらかな肌で、思わずドキっとした。

 恥ずかしそうな顔も、わずかに色づいた頬も。

 俺たち騎士は気高くなければならない。だから、色恋沙汰には特に気をつけていた。人気のある仕事だからお誘いはたくさんあったけど、俺は結構一途なタイプで。

 決まった恋人もなく、訓練に明け暮れる毎日だった。


 この国では結婚は同性でも異性でも可能だ。国によっては、同性の結婚を認めていないところもあるが。この大陸全体では少数派だ。

 俺自身は特に性別で誰が好きとか決めた事は無いが、今まで気になったのは、女性ばかりだった。

 それが今日初めて、あんなに年下の子の裸を見てドキっとした。大体、ラルクの体調が悪いからって心配してたけど、絶対違うだろう!


 アイルたちが出かけた後に部屋を尋ねれば、ラルクはアイルのことが気になってしまうとそう告白した。

 まだその時は、俺にはそんな自覚もなく、あの堅物のラルクがなぁと思っていただけだった。

 しかし、アイルの故郷の話を聞いて切なそうな顔を見て…あの細くて白い体を見て、ほんの少し心が動いてしまった。


 あんなに無垢で、一生懸命で聖なるものに好かれて。なのに、全くの無自覚で。ナリスからはアイルと同行したその理由を聞いたが、どうやらナリスもアイルのことが気にいっているようだ。

 兄みたいな気持ちで見てるっていうのはわかるけれど、アイルにはそういう人を惹きつける魅力がある。

 それにしても、あの髪の毛の色と目の色、あの顔立ち、そして聖なるものに囲まれている事。さらにはあの能力。全力で守らなければならないと心に誓った。




時系列整理 年明け以降

1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く


1月2日 麓の村をナリスと出発


1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町レイニアに着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発

ライラたちが襲われる

ゼクスと王都にロルフから手紙が届く


1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発

魔術師団がゼクスに出発


1月9日 アイルがハク、ブランと再会


1月10日 ミュジークと捕虜を解放

アイルが村が救う


1月11日 魔術師団がゼクスに到着

近衛騎士たちが村を出発

アイルたちが村を出発

 

1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発


1月16日 アイルたちがロイカナの町に到着


1月18日 ロルフたちがフィフスに到着


1月19日 ロルフたちがゼクスに到着


1月21日 ロルフたちが死の森に行く

イーリスたちがアレ・フィフスに到着


1月22日 イーリスがゼクスに到着


1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発



*読んでくださる皆さんにお願いです*


面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪


評価は任意ですが…もらえるととっても嬉しいです!

モチベーションになりますのでどうぞよろしくお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ