表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第6章 ピュリッツァー帝国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

350/428

344.村の襲撃1

 背後で泣き叫ぶ人の声が聞こえた。村人かな。

 僕はハクに乗って森に入る。ハクに進む方向を伝えてないけど、行きたい方に走って行く。

『見つけた!』

 洞窟の中に入る。う、臭い…。奥には大きな緑の魔獣が女の子にのしかかっていた。

 ハクは背後からその魔獣を咥えると、そのまま外に出て魔獣を放り投げ爪で切り裂いた。

 う…その光景に吐きそうになる。ハクはさっさと土に埋めた。

 そして洞窟に戻る。臭い…えっとあれ、そう!消臭剤を散布ーっと。


 シャワーーーー


 うん、いい匂いだ。ハクから降りて進む。そこには襲われてた女の子と他にも小さな子供が沢山いた。男の子も女の子もいる。

 痩せてるけど生きてるね。

「えっと、あの緑のはもういないよ。村を襲ったのも。もう大丈夫。ケガしてる子いる?薬あるけど…」

 誰も喋らない。どうしよう。

「あ、あの…」

 小さな男の子が声を上げた。

「い、妹がケガを…」

 僕はハクに待機させて男の子に近づく。女の子は横たわっていた。足の付け根から血を流している。


 僕は薬を取り出すとサッと振りかけた。すると女の子は血が止まった。体も洗浄できれいにする。

「サーシャ!」

「お兄ちゃん…うわぁぁん」

 泣き声が響いた。それからは他の子も僕も、私も、と言うので同じように薬をかけて、洗浄した。

 それが終わると奥にもまだ動けない子が居るのに気がつく。

 近づいて分かった。もう間に合わないと。そうか…可哀想に。僕は洗浄で体を清める。そしてその体を白い布で包んだ。

 2人…助けられなくてごめんな。その髪を撫でて抱き上げる。驚くほど軽かった。


 僕はそのままハクに乗った。

「歩ける?」

「うん…」

「うん…」

 するとブランが入って来た。ナビィもだ。

「うわぁ」

 ナビィを見て歓声が上がる。ナビィは見るからに可愛らしいからね。

「歩くのが難しい子はナビィに乗って!」

 女の子も男の子もナビィに群がった。7人いた子を全員ナビィは背中に乗せて、その洞窟を出た。


 腕の中の子はもう体が固くなっている。ここで何があったのかは分からないけど、ケガをしてるから襲われてたのかな?

 まだ小さいのに。見た感じ、腕の中の子は小学生にもならないくらい。

 だとすると5才とか?

 助かった子も見た感じはせいぜい6才から10才までか。そんな小さな子を攫って何をしてたんだろう。

 村が見えて来た!あれはナリスか。


「アイル、良かった。気がついたらいないから」

 そこで言葉を止めた。ナビィの背中に子供たちが乗ってるのを見つけたから。

「ごめん、森の中にまだ魔獣がいたから。子供の気配もしたし」

「ロア!」

「ヒロイ!」

「マアナ?」

「リロイ…」

「ミスナ!」

 それぞれに声がかかる。

 5人の子は親に抱きついて泣いていた。最初に手を挙げた男の子と女の子には声が掛からなかった。


 年老いた人がやって来て

「ルイ、サーシャ…」

 男の子はグッと手を握る。その人は僕の腕の中を見た。僕は首を振る。

「そうですか…子供たちを助けて下さり、ありがとうございます」

 頭を下げた。

 周りを見渡す。酷いなぁ、これは。沢山の緑が転がっている。



『ご主人…ケガの酷い人が…』

 僕は腕の中の子を老人に託すとドーナに着いて行く。そこには1人の騎士が横たわっている。

 お腹が裂けて内臓がやられてる。酷いな。

「テオ!」

「テオ、しっかり」

(ドーナでもダメなの?)

『酷いケガは…人の治療は難しい』

 そうなのか?僕はその人に近づく。それだけで息の浅かったその人の呼吸が落ち着く。

(アイルの治癒の魔力の効果…)

 ビクトル、垂れ流してないよ?

(どうしたらいい?)

(普通の傷薬で大丈夫)

(飲ませる?)

(飲んだ方が早い)


「あの、良かったらこの薬…良く聞くから」

 僕が声を掛けると1人が鋭い顔で振り向く。

「っ、俺たちには払える金などない!」

 えっと要らないよ?首を傾げる。別の人が

「もしかして、くれるのか?」

 頷く。沢山あるし。

 その人は受け取るとじっと見る。鑑定待ちかな。

「テオ、飲め!」

 ケガした人を起こして口に添える。ゆっくりとゆっくりと口に含む。喉が動いた。飲めたね。少量でも効果はあるはず。流石に全快とはいかないけどね。

 その人は水色に光った。うん、もう大丈夫だね。僕はそこを離れる。

 背後から

「「「うおーーー!!」」」

 歓声が上がったからね。


 僕はナリスの方に向かう。

「何が?」

「ゴブリンの群れだな…少し前から被害があったようだ」

「そうなんだね、あの子供たちが捕らえられてたのは?」

 ナリスはチラッと僕を見ると、知らないのか?という風に僕を見る。分からないよ?首を傾げると

「なら、アイルは知らなくていい」

 何だろうね?まいっか。でもどうするんだろ、今日。

「なぁ、俺が後で払うから…小麦とか他の食材を売ってくれないか?」

「売るのはいいけど、家とかどうするのかな」

 壊れてる家が多い。最近は雨も多いしね。困らないかなぁ。


「それは徐々に、かな」

 ならば取り敢えずご飯の準備しようかな?まだ夕方には早いけど、とにかく温かい食事は大切。

「取り敢えず、夕食作るよ!」

「俺は村のほうを手伝ってくる。この辺りならもう血の匂いもないから大丈夫だ」

「分かった!」

 僕はポーチから肉を取り出そうとする。と


 ドンッ

 ドンドンッ

 ドンドンドンッ


 てんこ盛りの肉がナビィ、ブラン、ハクから出て来た。えっとどこから出したの?それにこんなに??しかも肉ばっかり。

 チラッと見るとハクとナビィはしっぽをブンブン、ブランは羽をパタパタ。よし、可愛いから頭を撫でておこう。さらにしっぽがブンブン羽がパタパタ。可愛いい、永遠に撫でられる。


 さて、うーんとやっぱり串焼きとステーキかな。で、野菜も大事だからね。野菜を取り出して、後はやっぱりスープかな。スープにもお肉を沢山入れよう。

 何人いるんだろ?これは大変だ。

 腕捲りをしていたら

「あ、あの…」

 声が掛けられた。振り向くと騎士さんかな。5人いる。あ、さっきの内臓をケガしてた人もだ。もう動けるんだ!良かった。軽く足を引きずってるけど。

「何?」

「「あ、ありがとうございました!」」

 目をパチパチさせる。ケガのことかな?ほとんどはドーナが治したはず。


「僕じゃなくてドーナ、あのミニドラゴンだよ?」

「お、俺は君がくれた薬で。あれは特級薬だろ?払える金は余りないが、出来ることなら何でも!」

 うんと、まだまだたくさんあるんだよな。

「えっと()()()傷薬だよ?お金は要らないし、もうケガしないようにね!」

 と応えると

「普通の」

「傷薬…」

「いやいやいや、俺、内臓やられてたぞ?」

「うん?だから普通の、だよ」

 みんなポカンとしている。首を傾げる。だって普通じゃない方はね、蘇生薬だし?使うことも無さそうだから。


「あっはっは」

 テオ?さんが笑い出した。

「そ、そうか…ならば、その夕食の手伝いをさせてくれ」

「お、俺たちも手伝う」

 それは助かるな。お金とか要らないし。僕ってばお金持ちだからね!

「分かった、なら野菜洗って肉切って、串に刺して!」

 彼らとワイワイ。


「なぁ、俺はテオ。名前は?」

「アイルだよ!」

「なぁあの白い鳥、ミニドラゴン?凄いな」

「ドーナ?なんかね、ミニドラゴンの亜種だって。治癒魔法が使える子なんだ」

「俺はシェル!あの白い狼も凄いよな!」

「ハク?強いんだよ!ふふん」

「私はラルクだ、あの白い鷹も強いな!」

「ブランはね、凄くカッコよくて優しいんだ」

「僕はマチス、あの黒い犬…強くて可愛い」

「ナビィはね、強くて可愛いんだよ」

「ぼ、僕はガラク、あの小熊…ちっさいのに強い」

「コムギはね、もこもこなのにね?まだ生まれて間もないんだよ!」


「「「「「凄いよな!」」」」」


 ふふふっみんな可愛い子なんだよ。甘えたさんでね。

「ハクー!かまど作ってー」

『分かったー』 


 ズズン…


 いいね!みんなで焼きながら食べられるように5台だよー。後ろで固まってる気配がするけど気にしない。

 そうして和気あいあいと?夕食を作った。

 いい匂いに誘われて、無気力だった人の目にチカラが戻る。ふふっ食事は偉大なのだ。

 肉の焼ける匂いは堪らないよね。スープの匂いもね。


「出来たね!」

「おうっ」

「美味そうだな」

「美味しそう」

「声かけてくる!」

「テオ、僕()()からの贈り物、だよ?」

 片目をつぶってテオが掛けて行く。


「なぁ、アイル、さっきは悪かった」

 僕をさっき睨んだのはラルクだった。

「別に?」

 突然声を掛けられてもね?疑うのは仕方ない。じっと僕を見るとラルクはスッと跪く。胸に手を当てて。

「私はアイルに誓おう。君に対して、忠誠を誓うと」

 えっと、困ったなぁ。こういうのはいらないんだけど。

「急に言われても困るか、何が出来ることがあれば…」

 うーん、あっなら

「あのね、白い馬に乗った女の子を見たら助けてあげて!」

 ラルクは顔を上げて

「白い馬に乗った?」

「うん、たまたま助けてね?」

「たまたま?」

「そう、だから…元気だといいなって思って」


 


時系列整理

10月10日 審判の日

アイルやハクたちが魔力を捧げる為に眠る

イグニスが神界でケガをする


10月15日頃

シシラルたちがイグニスを連れて下界に降りる(神界と下界は時間の流れが違う)

アルテノが祈りを捧げる

イザークがペンダントにざわめきを感じる


10月18日頃

ダナンたちが王都を訪れ、謁見と会食

アーシャが神聖の森に伝言をする

若木が根付く?

光の奔流が流れ落ちる アイルが消える


10月19日 ダナンたちが夫人たちと会食に参加


10月20日 アイルが目覚める

イーリスがイグ・ブランカに戻る

旧イグニシアで黒い光が飛んだ

ダナンたちが王都を出発

ハクが帝国で目覚める

ブランが郷で目覚める


10月21日 ライラたちと双子の騎士を助ける 合流

夜中に馬とネズミを助ける

帝国で白い光が駆け抜けた(ハクが駆け抜けた)


10月22日 ライラたちと双子の騎士と馬が合流 山を降りる


10月23日 ライラたちがナビィと出会う

ダナンたちが帰領する

ナビィがアイルと再開する


10月24日 ライラたちがベイクと再会

アイルが向こうの事を思い出す


10月25日 ライラたちが町を出る


1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く


1月2日 麓の村をナリスと出発


1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町に着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発

ライラたちが襲われる

ゼクスと王都にロルフから手紙が届く


1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発

魔術師団がゼクスに出発


1月9日 アイルがハク、ブランと再会


1月10日 ミュジークと捕虜を解放

アイルが村が救う


1月11日 魔術師団がゼクスに到着

 

1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発


1月18日 ロルフたちがフィフスに到着


1月19日 ロルフたちがゼクスに到着


1月21日 ロルフたちが死の森に行く

イーリスたちがアレ・フィフスに到着


1月22日 イーリスがゼクスに到着


1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発



*読んでくださる皆さんにお願いです*


面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪


評価は任意ですが…もらえるととっても嬉しいです!

モチベーションになりますのでどうぞよろしくお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ