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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第6章 ピュリッツァー帝国

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343.感動の再会

 その頃アイルは…



 ナリスと馬車に揺られている。町を出て2日。馬車は近くの村に向かっていた。

 僕のソワソワは収まらない。何だろう…ソワソワふわふわする。

 コムギを撫でて外を見る。ナビィが普通の大きさで元気に走っている。

 コムギはそばで丸くなってる。可愛い、そのふわふわな頭を撫でる。

 今日は雨。ポツポツと降り出した雨はやがてザアザアと降り出した。

 僕は窓を開けて

「ナビィー大丈夫?」

『平気ー!楽しい』


 雨と戯れるように遊んでるナビィ。あれ、でも濡れてない。不思議だなぁ。



 ゴロゴロゴロ…ピカン…ドンッバリバリバリ!



 うわぁ雷?

 馬車が止まってナリスが馬車に入って来た。ずぶ濡れだ。

「えらく降って来たな」

「うん、暫く待機?」

「雷が収まるまではなぁ」

 仕方ないか。僕は空を見て驚いた。何か飛んでる…この雷雨の中を。大丈夫かな?


 あ、危ない!


 雷が当たった?落ちてないけど、蛇行してる。助けなきゃ。僕は扉を開けて外に出た。

 後ろでナリスの声が聞こえたけど、気にしてられない。制御を失ってヨタヨタ飛んでいる。

『乗ってー』

 ナビィの背中に飛び乗る。空を翔けて大きな鳥さんに近づく。ナビィは躊躇なく鳥さんの首元を軽く噛んでそのまま背中に放り投げた。

 僕は慌ててその鳥さんを捕まえる。すると鳥さんはスルスルと小さくなって僕の肩に止まった。


 えっ…縮んだ?


 その羽は濡れてない、ほわほわの羽。さっきまであんなに大きかったのに雛みたいな大きさになった?

『助けてくれてありがとー』

 喋った…!

「大丈夫?雷に当たってない?」

『…うん』

 ん、なんか間があったけど。見たところケガはして無さそうだ。ナビィが地上に降りる。すると馬車とは逆に走り始めた。


「ナビィ、どこ行くの?馬車は反対だよ!」

『少し寄り道ー!』

 そのままナビィは突き進む。そこは小さな森だった。

『おーい!』

 ナビィが叫ぶ。誰かいるのか。

『ナビィか?』

 飛ぶように走って着いた先には大きな白い犬と白い鳥がいた。鳥は震えて犬にしがみ付いている。


 あれ、なんかこの子知ってる…?僕を見て固まっている。僕はナビィから降りるとその犬に近寄る。そしてその首を撫でた。やっぱり、僕はこの感触を知ってる。

 そのまま首に顔を埋めた。

『アル…』

 声が聞こえる。

「ハク…」

 口をついて出た。そう、ハク。思い出せないけど、ハクだ。とても大切な子。元僕にとって、とても。

『アル…』

 顔を上げる。不安そうに僕を見るハク。そのしっぽは所在無さげに揺れている。


「ハクって名前は思い出せたけど、ハクのことは覚えてないんだ。ただ、大切な存在だったってことしか分からない。ごめんね」

 ハクのしっぽがブンブン揺れる。

『僕は大切?』

「もちろん!それだけは分かるんだ」

『ならいいよ!アル、大好きだよー』

「ありがとう、ハク」


 肩の上にふわりと白い鷹が舞い降りる。あ、この子の目…ふわふわの羽。この子も知ってる。名前は、そう

「ブラン…」

『ご主人ー』

 小さな頭を擦り付けてくる。ほわほわの羽はすべすべで気持ちいい。頭を指で撫でる。

「ごめんね…覚えてなくて。大切な子っていうのは分かるのに」

『ご主人ー、大切な子ならいいよ!』

「ありがとう」


 僕は震えてる白い子を見る。イカつい顔の子だ。

 僕は近寄るとその硬い鱗を撫でる。

「雷が怖いの?」

『うん』

「僕がいるから大丈夫だよ」

『そばにいてくれる?』

「うん、馬車があるからね。一緒に行く?」

『行くー!』

 良かった。戻らないとコムギが心配する。

「ナビィ戻るよ!」

『アル、僕に乗ってー!』


 僕は白い鳥を抱えてハクに乗った。ナビィは並走して馬車に戻った。まだ雨は降り続いてる。

 でも僕は濡れないんだ…不思議だな。よし、馬車まで戻ったね。僕が扉を開ける前にナリスが開けて

「アイル、無事か!」

 びっくりした。濡れてもないよ?驚いているとそのままナリスに腰を掴まれて馬車に乗せられた。

 当たり前みたいにハクもナビィももちろん肩の上のブランも乗ってくる。白い鳥は僕が抱えてるからもちろんね。


 ナリスは僕の体を確認すると

「濡れてない…」

 まぁ多分、僕の色々かな?

「魔法でね?」

「あ、あぁ…それならいいんだ」

 そして肩の上のブランとハク、白い鳥を見て焦った。


「うわぁ、何だ!」

 こんなに可愛いのにね?

「この子はハクで、この子はブラン。こっちの子は初めましてかな。ハク、ブラン、この子はコムギだよ。仲良くしてな!」

『お兄ちゃんたちよろしくー』

 ハクは鼻鼻あいさつ、ブランの鼻と嘴で挨拶をした。白い鳥も恐々と嘴で挨拶してたよ!


 ハクとブランはビクトルとバクセルに気がついた。追いかけて遊んでる。ふふっ、可愛い。

「こ、このお方は…」

「んと、僕の仲間」

「そ、そうか…」

 ナリスはそこで考えることをやめたのか、窓から外を見る。

「雷が遠ざかったな…出発するか」

「うん」


 こうして馬車の中は賑やかになった。

「ビクトルはハクとブランを知ってるの?」

『知ってるよー!久しぶりだね』

『ビクトルは実体を?』

『たまたまねー』

『もう1人の子は?』

『僕のお兄ちゃんだよー』

『バクセルだよ!凄いなぁ。初めて神獣を見たよ!よろしく』

『ビクトルに兄弟が?』

『体の、ね。弟さんの精神は旅立ったから…』

『よろしくーブランだよ!』

『ハクだよ!』


 仲良くしてな。と、後はそこの白い子か。

『ミニドラゴンだね?しかも亜種だ。聖なる力を持ってる』

 ビクトルが言う。ドラゴン?確かに体は頑丈な鱗に覆われてるけど…小さいな。あ、だからミニか。

「この子はどうして一緒に?」

『兄弟にいじめられてた』

 ブランが言う。ハクも

『一緒に連れてってって言ったから』

 そうなのか、その鱗を撫でる。硬い手触りの、でも弾力がある鱗。良く見るとキラキラと輝いている。

「きれいな鱗だね…名前は?」

 その子はもじもじと恥ずかしそうに

『ないよ…その付けてくれたら嬉しい』

 あっと名前…いや、名付けのセンスは無いんだよな。


 うーん、ドラゴンだしドラミ?ドラちゃん?ドラオ…絶対嫌がるよな。ドーナツ、ドーミー、ドレミ…聞くか。

「どれがいいかな?えっとドラミ、ドラオ、ドーミー、ドレミ…」

『ぎゃあ』

 却下か…

「ドーナツ、ドロシー…」

『きゅう』

「どっち?ドーナツ」

『きゅう』

「ドーナツ…」

『きゅっきゅ』

「…」

 いいのかな?まぁ普段はドーナって呼ぶか。

『ドーナ!』

『きゅっ』

『ドーナ』

『きゅっ』


 良かった、決まって。

『契約したんだねー』

 えっビクトル、名前付けただけだよ?

『あ、忘れてるのか。魔獣も聖獣も名前をつけたら契約されるんだ』

「契約って?」

『契約は契約だよー僕たちみたいに』

 僕たち?ハクやブランもなの?

『そうだよ!』

 それって何か問題にならない?

『ならない。ドーナはアイルの魔力が貰えるし、その力が少し使える。アイルには大きな恩恵はないけど、戦力になる。ハクとブランとナビィだけで戦力は充分だけどね!』


 へーま、いっか。ドーナが嫌じゃなければ。僕はドーナの鱗を撫でて

「よろしくな!」

 と言った。

『ねぇ、普通は契約しないと意思疎通出来ないよね?何でアイルはどの子とも話せるの?』

 ナビィが聞く。え、そうなの?僕は名付け前から話ができたけど。

 ビクトルは考えて

『聖なる力が強いから、かな。今ならドラゴンとでも話ができると思うよ!』

『やっぱりアイリはアイリだねー』

『無自覚のたらしは健在かぁ』


 失礼なことを言われていたのである。

 その日は村に辿り着けず(雨でかなり足止めされた)途中で野営。

 で翌日、目的の村に向かって馬車を走らせていた。僕たちは馬車の中で戯れていたよ?

 お昼を過ぎてそろそろ村が見えるかもって時にまた雨が降って少し待機。

 進み始めたらすぐに馬車が止まる。


「アイル、少し急ぐぞ?村が魔獣に襲われている」

 馬車が疾走する。早い!流石はあの暴れ馬だ。ぐんぐんとスピードを上げて走った。僕は風魔法で体を少し浮かせてたから大丈夫。

 コムギとナビィ(小さくなってる)は抱っこ、ハクは座席に立っててブランは肩に、ドーナは器用に飛んでた。

 やがて何やら声が聞こえて来た。

 馬車が止まるとハクが消えた。えっと何かな?

『転移だよー』

 ドーナが外に出たがったからそっと扉を開ける。そこには凄くたくさんの緑の人?と軍人のような人が戦っていた。

 ナリスは剣を抜いて、ハクは緑の魔獣を蹴散らしている。いつの間にか肩から飛び立ったブランは滑空して魔獣を蹴散らし、ナビィも大きくなって突っ込んでいく。


 コムギをしっかり抱きしめ、ようとしたらいない?コムギ、危ないよ…どこなの?

 あ…魔獣を爪でザッシュザッシュしてた。小さなまま。コムギは強いのかな?

『シルバーベアは聖獣だから戦闘力はあるよ!ハクよりは劣るけどかなり強い』

 ハクがどれくらい強いかわからないけど、凄いのでは?

『だからアイルは見てるだけでいいよ』

 それもどうかと思うけどね、ここに加わるのは無理かなぁ。


 先に戦ってた軍人さんは足引きずったり腕を吊ったりしてる。元からケガ人かな?

 なのに村の為に戦ったのか。座り込んで動けない人や血を流して蹲る人もいる。

 そして緑の魔獣は居なくなった。

 僕は馬車を降りる。村の中も荒らされたのかな?簡易な柵が壊されてた。

 あれ、これは…?

「ハク!」

『何?』

「森の中に!乗せて」

『分かったー』


 泣き叫ぶ人の声が聞こえた。僕はハクに乗って森に入る。ハクに進む方向を伝えてないけど、行きたい方に走って行く。

『見つけた!』

 洞窟の中に入る。う、臭い…。奥には大きな緑の魔獣が女の子にのしかかっていた。




時系列整理

10月10日 審判の日

アイルやハクたちが魔力を捧げる為に眠る

イグニスが神界でケガをする


10月15日頃

シシラルたちがイグニスを連れて下界に降りる(神界と下界は時間の流れが違う)

アルテノが祈りを捧げる

イザークがペンダントにざわめきを感じる


10月18日頃

ダナンたちが王都を訪れ、謁見と会食

アーシャが神聖の森に伝言をする

若木が根付く?

光の奔流が流れ落ちる アイルが消える


10月19日 ダナンたちが夫人たちと会食に参加


10月20日 アイルが目覚める

イーリスがイグ・ブランカに戻る

旧イグニシアで黒い光が飛んだ

ダナンたちが王都を出発

ハクが帝国で目覚める

ブランが郷で目覚める


10月21日 ライラたちと双子の騎士を助ける 合流

夜中に馬とネズミを助ける

帝国で白い光が駆け抜けた(ハクが駆け抜けた)


10月22日 ライラたちと双子の騎士と馬が合流 山を降りる


10月23日 ライラたちがナビィと出会う

ダナンたちが帰領する

ナビィがアイルと再開する


10月24日 ライラたちがベイクと再会

アイルが向こうの事を思い出す


10月25日 ライラたちが町を出る


1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

アイルがミュシュランテスを降りて麓の村に着く


1月2日 麓の村をナリスと出発


1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町に着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発

ライラたちが襲われる

ゼクスと王都にロルフから手紙が届く


1月8日 ロルフたちがイグ・ブランカを出発

魔術師団がゼクスに出発


1月9日 アイルがハク、ブランと再会


1月10日 ミュジークが捕虜を解放

村が襲われる


1月11日 魔術師団がゼクスに到着


1月13日 イーリスたちがイグ・ブランカを出発


1月18日 ロルフたちがフィフスに到着


1月19日 ロルフたちがゼクスに到着


1月21日 ロルフたちが死の森に行く

イーリスたちがアレ・フィフスに到着


1月22日 イーリスたちがゼクスに到着


1月23日 アイル捜索隊がゼクスを出発



*読んでくださる皆さんにお願いです*


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