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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第6章 ピュリッツァー帝国

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335.初めての町

 確かに、ナリスのそれはとても立派で…羨ましい。


 とそんな事があって

「ベットは一つしか無い」

 と言う事で、何故かナリスと寝ることになった。もちろんナビィとコムギも一緒だよ。

 そうそうコムギなんだけど、僕が動物使いって言ったら納得されたよ。それでいいのかな。

 明日にはここを出て、南に向かう。ビクトルがその方がいいって言うからね。

 ナリスとナビィとコムギの体温でぬくぬくしてとても気持ちよく寝れたよ!


 朝、目が覚めるとナビィが背中にコムギは腕に抱いていた。うん、ぬくゆくだ。どうやらナリスはもう起きたようだ。うーんとベットで伸びをする。背中のナビィも伸びをして体を震わせていた。コムギはまだ寝ている。可愛い。その頭にキスをして起き上がると寝室の扉が開いた。

 そこには明るい茶髪に目の覚めるような青い目の美男子が立っていた。えっとどちら様?

 寝ぼけた頭で考えた後、咄嗟にコムギを背に庇う。

 すると

「ん、俺だよ?俺、ナリスだ。寝ぼけてるのか?」

 あれ、この声は…確かにナリス。まじまじと見る。ヒゲを剃った顔は確かに肌も艶やかで若々しい。


 えっ、えぇぇーーー!

「見違えた…別人?」

 思わずその顔を手で押さえる。いや、確かにこの目はナリスだけど…こんなに真っ青な目だった?

 あ、髪の毛か…短くなってる。

「これが本来の姿だ」

 僕と違って隠蔽じゃないから気が付かなかった。

「おはよう、びっくりしたよ!」

 ナリスは笑いながら頭を撫でると、軽くキスをした。なんだかこそばゆい。お兄ちゃんにキスされてるみたいだ。

 起き上がって着替える。ナリスはもう着替えて食事を作ってくれていた。

 それを食べると村を出た。まだ早い時間。昨日のうちにここを出ると告げていたからね。


 でもさ、何でナリスも一緒なの?当たり前みたいに一緒にいる。

「それが俺の役目だ」

 良くわからないよ。

 それからナリスはこのピュリッツァー帝国について教えてくれた。

 魔法を使える人がバナパルトほど多くなく、魔術の発展していないこの国。元々は巫女や神子の神託によって成り立っていた国なんだとか。

 今でも王族にはその神託を賜る人がいる。

 また、王族では無くても予知が出来る人がいる。

 貴族に多いと言うこの予知者。ナリスの家も代々予知者を輩出していた。そのお母様が予知した。

 霊峰の力が弱まり、救世主が訪れると。そして霊峰を守る森人を束ねるお館様も同じ予知夢を見た。


 母親の予知にある救世主を守る為、ナリスはこの地を訪れた。そこで森人に会った。

 彼の家はその予知に基づいて、行動する。その予知を時には見守り、時には助ける為に。救世主に関して動いたのはナリスだったという事らしい。

 へー予知って凄いな。

「んーでもナリスは何で僕を?」

 救世主が見つかって、すでに救済されたのなら護衛とか要らないよね。僕、それなりに強いよ?

 ナビィもコムギもね。


「まさかこんな子供だとは思わなかったんだ。あわよくば、美女なら我が家に取り込んで…って気持ちもあったぞ?現れたのは細っこい少年だ。心配にもなる」

「んーでも僕はけっこう強いよ?」

「そうは見えないし、単に心配なんだよ。俺の1番下の弟と同じくらいだしな」

「弟は何才?」

「ん?10才だな」

「…」

「どした?」

「僕は13才だ!」

 驚くナリス。僕の顔を見て、チラッと腰あたりを見て

「それにしては色々と…小さいな?」


 ぐっ酷い。僕だって小柄なのかとか、あそこもこじんまりかな、とか考えてるのに。

「せ、成長は個人差だからな!その内に…大きくなる、かもな?」

 疑問系やめて?

 僕はため息を吐いた。善意なんだろうけど、僕にとっては窮屈。だってナビィに乗って移動出来ないし、食事も自分で作れないし。

 放っておいて欲しいのになぁ。

 てくてくと僕に合わせて歩くから全く進まない。はぁ、目的地も漠然としてるし。


 そんな感じで歩き続け、町に入った。そういえば、僕はお金を持ってないかも。

 実は持ち物を確認してたら、ギルドカードが出て来た。

 探索者と商業ギルドのカード。

 探索者は初級。銅色は初級らしい。ビクトルが教えてくれた。で、商業ギルドカードは金色で上級。何でか分からないけど。

 だから何と無く商業ギルドカードを出すと、あっさりと町に入れた。

 ナリスに商業ギルドに寄ってもらう。何やら口座があるみたいだから(ビクトル談)。カードにそれが書いてあるって。


 で、ギルドに入って窓口で口座の残高を確認する。

 これって高いんだよね?

(高いよー!王都に豪邸がいくつも建てられる)

 基準が分からないけど、あっちの基準だと豪邸が1億と仮定して、数億…なの。えっとすごいお金持ちかな、僕。

(そうだよ!色々とやらかしたからねー)

 なら口座からお金を引き出したらいいかな?

(探索者ギルドではカード出さない方がいいよ!)

 そうなの?

(ナリスにカードは出して貰えばいい)

 分かった。僕はひとまず大銀貨100枚ほど降ろした。あちらに換算すると100万くらいだってさ。大金だ。

 パナバルトのお金は持ってたけど通貨が違うってビクトルが言うからね。そっちも同じくらい待ってたんだ。僕ってばお金持ち。


 で、探索者ギルドでもオークとナビィが持って来たブラックベアとかディアとかポイズンスネークなんかを買取って貰ったよ。

 状態が良かったらしく、大銀貨30枚だった。そのお金は現金で貰って僕が受け取った。良かった。これでまた現金が手に入った。

 ここは布が有名なんだって。僕の手触りのいい布を持ってるんだけどね。ビクトルがそれは外に出しちゃダメって言うから。

『もう少し()()の服がいいよ』

 って言われたんだ。だからナリスに服屋に寄って貰った。

 まだ寒いからコムギとナビィ、トムとジェリー、ビクトルとバクセルにも服を作ってあげよう。

 そろそろ1人で行動したいなぁと思ったけど、ナリスが納得しなくて。


 それでね、思い付いたんだ。行商をしようって。それなら馬がいるよね。馬車も欲しいかな。

 ナリスと連れ立って馬車屋に行く。貸し馬車もあるし、販売もしてるって。

 そこでちょっとボロいけど頑丈な馬車を見つけた。凄くいい木を使ってる。でも見た目がボロいから安かった。だって大銀貨20枚。破格らしいよ?だから僕が買った。だってね、ビクトルがお勧めって言うから。

 後は馬かな。活きのいい馬もいるけど、大人しい馬もいる。

 奥の方に黒くて立派な馬がいた。なんて言うか、威厳がある。ほえーっと眺めていると


 ひひひーーーん!


 嘶く。

『ここから出してくれ!』

 えっと…しゃべった?

 何やら暴れてるね。馬主さんが慌てて駆け寄るけど頭で押し退けると軽々と柵を越え、目の前に来た。


 ぶるるるる…


 うわぁ間近で見るとほんとに立派だなぁ。

 馬主は手を擦り合わせて

「コイツはこの通り立派だからねぇ、高いんだよね」

 ナリスに言う。

 高くて喋る馬。面倒でしかない。なしだな。ぼくはナリスに首を振る。そもそも馬車は2頭立て。他の馬と歩調を合わせられるとはとても思えない。

 だからそっとその場を離れた。ナリスにはお金は払うって伝えてあって。驚いてたけど金色のカードを見て納得してた。


 ひひひひーーーーん!


 ん、声が近い。

 黒い馬が馬主を蹴り上げて僕を追って来た。近くでまたぴたりと止まると頭を上下に振る。

 周りから

「いくら立派でもあんな暴れ馬はな?」

「御せない馬なんてな?」

 だよね?僕も無理。

 また馬主が青い顔で走って来て

「ち、ちょうど値下げを!」

 声が裏返ってるけど?

 大銀貨30枚から始まって、でも僕は首を振っていた。だってね?面倒だし。すると最後はとうとうこの馬と一緒に走れる馬も付けるから、どうか引き取ってと縋り付かれ、結局、2頭で大銀貨20枚という破格の値段で買った。


 買わされた、かな。まぁ仕方ない。最後は馬まで潤んだようなまん丸な目で僕を見てくるんだから。

 って事でボロい馬車と馬2頭を手に入れた。その日はそれで終了。翌日に、商業ギルドの紹介で布をたくさん仕入れた。地味な色の布。後で染めて売ろう。

 この布を染めて、売りながら進む。馬車だし、少しは早いだろう。

 布以外にも小麦を仕入れた。腐らないからね!

 こうして町を出発した。

 ナリスには僕のテントの謎は話ししてない。子供じゃ無いから1人で寝ると言って。

 魔物避けがあるから夜の見張りは要らないよ!って言ったけど不安だったみたいで、ナリスは起きてよ。


 でも魔獣は近くに来ても通り過ぎて行ったらしい。あれ、と思ってテントを見たら…集中10メル(m)範囲を隠蔽していた。なら安心かな?

 それ以来、ナリスも自分のテントで寝ている。こうして王都に向かって僕たちは進んで行った。

 ちなみに服は普通の生地で作って着替えたよ!




時系列整理

10月10日 審判の日

アイルやハクたちが魔力を捧げる為に眠る

イグニスが神界でケガをする


10月15日頃

シシラルたちがイグニスを連れて下界に降りる(神界と下界は時間の流れが違う)

アルテノが祈りを捧げる

イザークがペンダントにざわめきを感じる


10月18日頃

ダナンたちが王都を訪れ、謁見と会食

アーシャが神聖の森に伝言をする

若木が根付く?

光の奔流が流れ落ちる アイルが消える


10月19日 ダナンたちが夫人たちと会食に参加


10月20日 アイルが目覚める

イーリスがイグ・ブランカに戻る

旧イグニシアで黒い光が飛んだ

ダナンたちが王都を出発

ハクが帝国で目覚める

ブランが郷で目覚める


10月21日 ライラたちと双子の騎士を助ける 合流

夜中に馬とネズミを助ける

帝国で白い光が駆け抜けた(ハクが駆け抜けた)


10月22日 ライラたちと双子の騎士と馬が合流 山を降りる


10月23日 ライラたちがナビィと出会う

ダナンたちが帰領する

ナビィがアイルと再開する


10月24日 ライラたちがベイクと再会

アイルが向こうの事を思い出す


10月25日 ライラたちが町を出る


1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

アイルがミュシュランテスを降りる


1月2日 麓の村をナリスと出発



1月6日 ロルフがフィーヤ着

アイルが町に着く。馬車を買う


1月7日 ロルフがフィーヤ発 イグ・ブランカ着

アイルが布を仕入れて町を出発



*読んでくださる皆さんにお願いです*


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