330.アイリとの再会
バナパルトの時間に追いつくまで帝国の話が続きます
投稿不定期ですみません…毎日投稿頑張ります
やっと見つけたアイリ、ハクより先に見つけたよ!ハクもブランも何処かに飛ばされたんだね。
でも、ここは外から魔力を追えない。ならしばらくはここで過ごしてもいいかな?
だってアイリを独り占め、は無理だけどコムギと2人占め出来る。
ハクやイーリス、ロルフがいると分散しちゃうからね!しばらくここに居よう。
ふふふっ私のアイリだもんねー!
でもやっぱり最悪なのか、アイリはアイリの記憶もアイルの記憶もなかった。
それでも私の名前を言ってくれた。覚えてる、思い出せないけどその体の柔らかさも匂いも覚えてるって。
だからそれでいい。
人型になって、何故か幼くなったアイリに抱きついたんだけどね?照れてた。
可愛い女の子だってーえへっ。
やっぱり幼くなっても人たらしだなぁ。もう、コムギだってパパって呼んでたよ?
ベビーズたちのことも覚えてないみたい。イリィとハクって名前は何となく記憶にあるって。
いいんだよ!だって昔からのアイリを知ってるのは私だけだからね。
白ネズミまで契約するとはちょっと驚きだけど。それとコムギのお母さんの話を聞いて、コムギをいっぱい甘やかそうって思った。
ビクトルは実体化してて、コムギを出会わせたのもビクトル。きっと寂しいだろうアイリの為。
そばにコムギがいて、ビクトルと妖精のバクセルもいて。
たったの数日で、やっぱりアイリはアイリだなって思った。その日はアイリに抱きつかれて嬉しくて、すやすやと久しぶりに寝たよ!
その頃
ミュジーク一行は馬で進んでいた。
昨日は森の中で野営をした(テントは人が増えたら勝手に広くなる)
そして今日の朝、本当に偶然、タウリンの馬が見つかったのだ。しかも無傷で。そんなことあるのか?かなり急がせた上、最後は森に入ったところでやむを得ず置いていったという。
それが無傷で。またアイルが関わってないだろうか?
しかし、とにかく有難い。
野営とは思えない快適な寝床、温かい食事、きれいな体。野営とは何なのか、改めて考えてしまう。
そろそろ町に入りたい。私はずっと着ていたドレスを脱いでいた。ライラの持ち物(アイルがくれた耳標にバクセルが入れた)に服があったから。
何やら手触りのいい布で、少し大きいと思ったシャツもズボンも着ればピッタリとなった。
鑑定スキルのあるカイゼルによると「自動調整機能付き」だそうだ。服に何を求めたんだ?
しかしやはり有難い。長い髪は後ろに一つでまとめ、フードを被れば性別も分からない。
身分証は商業ギルド発行のものを持っている。もちろん名前は違うが。
タウリンもカイゼルとナイゼルも近衛の制服ではなく、探索者の装いだ。そして、目立つと思ったカイルとナイルは何故か隠蔽がされていた(カイゼルの鑑定で判明)その真っ白な姿は鹿毛に見えるらしい。
恐れ入った。多分、これもアイルだ。目立ちたくないと分かっていたのか?
タウリンは魔法で見た目を変えられる。金髪に緑目を青目に変えた。とても自然な変化だ。
カイゼルとナイゼルは白髪に青目、こちらはそのままだ。背中を丸めていれば、年老いて見える。
こうして霊峰ミュシュランテスから3日ほど離れた町に入った。
宿を探す。厩舎があって2人部屋が2つ取れる宿。しかし、その前にお金か。少し心許ない。
「猪を売りましょう。オークも何体かありますし」
ということで、探索者ギルドに向かう。
夕方よりは早いから閑散としていた。タウリンが買取の窓口に進む。ギルドカードを出して(上級の)
「買取だがいいか?」
「あぁ頼む。少し量がある」
「ならこちらに」
解体場に案内された。
カイゼルがテントの箱に入っていたという猪の肉と皮、牙を取り出す。
ドンッ
ん、こんなにあるのか…?
「ん?こりゃまた沢山だな。猪か、おっいい腕だ。完璧な解体だぞ?牙も一級品だな。こっちはオークか?皮も爪も牙もなかなかだな…少し査定に時間がかかる。そうだな、夕方ごろに来てくれ!」
「頼むぞ!」
声を掛けて外に出る。
「宿を決めましょう!」
良さそうな宿を聞いて、訪ねる…2人部屋が2部屋あいていた。手持ちでも大丈夫だったので、1泊することにして部屋に入る。
私はカイゼルと同室だ。
「こんなじじいとで申し訳ありませんが」
「構わぬ。少し現金が手に入ったら食材と、杖を買いたい。出来れば服も」
「そうですなぁ。彼のくれた服は上等過ぎますな」
見た目は上手く誤魔化しているが、かなり高価な物だろう。それに、汚したくない。彼がくれた物だから。
あぁ、まただ。頬が熱い。
「少しお休みになられては?起こします故」
「頼む、横になる」
カイゼルに見張りを頼んでベットに寝転んだ。ベットは少し硬くて、毛布はゴワゴワしていた。おかしな物だ。野営のテントの方が快適など。
そんな事を考えながらうとうとしていた。
「ミュジーク様、ミュジーク様…」
カイゼルの声で目を覚ました。
「夕方か?」
「はい、そろそろギルドに行きましょう」
部屋を出るとタウリンとナイゼルはすでに待っていた。
「待たせたな」
「いえ、では向かいましょう」
宿を出て探索者ギルドに向かう。町は夕方とあって人も多く、活気付いていた。
「賑やかだな…」
「そうですの、なかなかに活気がありますのぉ」
民の笑顔、守りたいとそう思っていた。しかし、今は少し考えが変わった気がする。
やがてギルドに付いた。多くの探索者がギルドに吸い込まれて行く。
「依頼達成の報告ですな」
「なるほどな、そういう時間なのだな」
我々は買取窓口に行く。少し並んでるが、すぐに捌けるだろう。
そんなに待たずに順番が来た。
「預けていたんだが、査定は終わってるか?」
タウリンがカードを出しながら聞く。
「おう、終わってるぞ!これだな」
ドンッ
えっと、ドン?何やら重たそうな袋が置かれている。
「猪の解体が完璧でな、肉屋が高値で引き取った。皮も牙もな。頑張ったぞ?しかも特殊個体が多くてな。牙には魔法防御まで付いてた。大銀貨と小銀貨にしといたぞ?金貨は使えないだろ?はっはっは」
金貨?猪が金貨なのか…。タウリンを見れば顔が青ざめている。
「お、おうよ!ありがとな」
なんとか返して袋を掴む。おい、手が震えてるぞ?
カイゼルとナイゼルは当然という顔で頷いていた。
背後から
「スゲー」
「マジか」
などの声が聞こえたが無視して進む。
「おい、どういう事だ?」
カイゼルに聞けば
「あの職員が言った通りですな」
「当然でしょうな、何処にもキズなどありませんからの」
なんだと?
「ほっほっほ、そこの脇道に入りますぞ!」
じいは素早く私を庇うように脇道に入った。
前にタウリンとナイゼル、私の後ろにカイゼルだ。
「何用かな?」
そこには粗野な風体の男が5人いた。ニヤニヤしている。
「たくさん稼いだみたいだしな」
「お裾分けして貰おうかと」
「悪いようにはしないしないぜ?」
「そこのフードの子は俺たちが可愛がってやるよ!」
「男も女も、どっちでもいいぞ!ぐははっ」
「これは俗に言う絡まれてる状況か?」
「そのようですなぁ」
こんな連中が居るのか。
3人が一斉に飛びかかって来る。もちろん、タウリンもナイゼルも簡単に剣で受けて鳩尾に持ち手を入れる。
「ぐほっ」
「くはっ」
「ぐごぅ」
後ろの2人は
「俺様たち血鉄団を舐めるなよ!」
そう言うとちょうど通りを歩いていた親子を人質に取った。なんて卑怯な!
「どうだ?金を寄越せば助けてやるが?」
「げははっ」
手がわなわなと震える。助けられるだけなど嫌だ!私は牽制するタウリンとナイゼルの間を縫ってその親子に近づく。
「ふん、自ら来るとはな!」
捕まるつもりはない。
私に手を伸ばして掴まえようとしたその時
バキッ
2人の男が首元まで凍った。その隙に親子を保護する。タウリンとナイゼルは倒れた男たちを捕縛。凍った男たちは放置した。なんとなく、しばらくは動けないと思うから。
親子は
「あ、ありがとうございます」
頭を下げた。
「いやいや、巻き込まれたのはそちらじゃ。ケガがなくて良かったの」
と言っていた。やがて騒ぎを聞きつけて人が来る。私はカイゼルと人混みに紛れた。
はぐれた場合の集合場所は中央広場と呼ばれる公園と決めていた。
そこに着く。端の方に木が植っている。そこ辺りで待とうと歩いて行くと、木の後ろに人がいる。咄嗟にカイゼルが私を後ろに庇う。
それは投げ出された足。倒れてるのか?それにこのブーツの留め具は。
時系列整理
10月10日 審判の日
アイルやハクたちが魔力を捧げる為に眠る
イグニスが神界でケガをする
10月15日頃
シシラルたちがイグニスを連れて下界に降りる(神界と下界は時間の流れが違う)
アルテノが祈りを捧げる
イザークがペンダントにざわめきを感じる
10月18日頃
ダナンたちが王都を訪れ、謁見と会食
アーシャが神聖の森に伝言をする
若木が根付く?
光の奔流が流れ落ちる アイルが消える
10月19日 ダナンたちが夫人たちと会食に参加
10月20日 アイルが目覚める
イーリスがイグ・ブランカに戻る
旧イグニシアで黒い光が飛んだ
ダナンたちが王都を出発
10月21日 ライラたちと双子の騎士を助ける 合流
夜中に馬とネズミを助ける
帝国で白い光が駆け抜けた
10月22日 ライラたちと双子の騎士と馬が合流 山を降りる
10月23日 ライラたちがナビィと出会う
ダナンたちが帰領する
ナビィがアイルと再開する
10月24日 ライラたちが街で絡まれる
1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発
1月6日 フィーヤ着
1月7日 フィーヤ発 イグ・ブランカ着
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