表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第6章 ピュリッツァー帝国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

335/429

329.帝国の隠された姫4

 その後はタウリンから別れた後の話を聞いた。どうやら追っ手はタウリンが森に誘い込んで上手く巻いたらしい。しばらく様子を見ている内に、追っ手が魔獣に殺されたのを発見したとか。

 妹の近衛だったと。私はため息を吐いた。その後、私たちを追うつもりが迷ってしまい、森の中を彷徨っていた所で魔獣との戦闘が何度かあったと。野営道具も無くして、何日も過ごしたこと。

 ケガをして動けなくなった時によりによってブラックベアが出て、間一髪でナビィ様が間に合ったと言うことだった。


 でも間に合ったのはナビィ様とネズミたちがいたから。そもそもタウリンの場所が分かったのもナビィさまが導いて下さったから。

 ライラが空を翔けたのも、ナビィ様の道標のお陰だ。

 またアイルと繋がりがあるのだ。

 しかもナビィ様はまた増えた、と言われた。周りには他にも伝説の生き物がいたのだろうか?それとも聖獣などがいたのだろうか。さらに無自覚天然人たらしと言っていた。ならば、他にもたらし込んだ者がいたということか。いや、たらしこまれてなど…。また気持ちが騒つく。

 本当に不思議な少年だ。会いたい…いつか、素顔の私

 で会えるだろうか。





 時間は少し遡る。


 私はアイリを探すために旧イグニシアを東へと進んだ。

 私には妖精や精霊のお友達が沢山いる。だからこんな風に教えてくれる。


(帝国なの)

(霊峰が光ったの)

(お客さんなの)

(喜んでるの)

(霊峰だよ)

(御神木が受け入れた)

(ユーグ様が顕現した)

(世界樹が光り)

(神聖の森に管理者が来た) 


 どうやらピュリッツァー帝国の北にある山、その名も霊峰ミュシュランテス。その山が水色に光ったらしい。水色はアイリの魔力の色。そして、御神木の葉が落ちた。


(それは隠語)

(喜びなの)

(受け入れたよ)

(御神木が認めた)


 精霊や妖精によれば、それは隠語で、訪れた者があったという意味らしい。御神木に認められる。そんなのはもう、アイリしかいない。だってあそこの御神木は聖なるものだから。


 アイリなら聖なるものたちが喜んで迎える筈。アーシャの差金かな?でも神聖の森にアーシャが行ったのなら、御神木は無関係かな。

 とにかく、目指すは帝国だ!

 こうして、空を翔けて、眠ってまた翔けて。アイリの魔力に力を貰ってどんどん進む。

 こうして休まず5日掛け抜けて、帝国の北部にある霊峰ミュシュランテスまで来た。あれ?魔力…これは、アイリの魔力だ!


 霊峰を通り過ぎてその魔力を追う。

 なんか人と馬と緑の何かがわらわらいる。悪い奴らだな。倒しちゃえー!


 バサバサバサバサッ


 終わりっと。あれ…アイリの魔力を感じたのに、アイリがいない。

 あ、しかもこの人たちと同じ匂いがする人が襲われてる。正直、どうでもいいけどアイリはきっと助けるよね?ならば仕方ない。

 こうして人を助けて、聞けば白いふくふくしたネズミはアイリの契約者だと言う。

 むう、またアイリは…もう。しかも人間までアイリに好意を持ってるみたい。

 でも、アイリが私の事を覚えていたら、イーリスの事を覚えていたら…バナパルトに早く戻ろうとする筈。


 ならアイルじゃないの?でも名前はアイルと名乗ってる。

 何だろう…早く会わなくちゃ!なんか人間が一緒にって言ったけど却下。急ぐし、アイリと話もしたいからね。

 白ネズミを背中に乗せて空を翔ける。霊峰には強い結界があって空からは入れない。麓に降りると霊峰に入っていく。そして感じた!これだ、間違いない。アイリの魔力。やっとだ!

 私はアイリの魔力目指して転移した。待っててアイリー!





 目が覚めた。ふかふかのベットから降りる。伸びをして朝食を食べる。今日は和食ー。あれ、和食って何?

 当たり前に用意してのは粒々した白い何かとお魚の干物、そして茶色スープ。

 体が自然に動いて、自分で作ったんだけど…?

 2つの棒を持てば、これも持ち方を知っていた。何で?まただ。忘れている記憶。

 まいっか、食べよう。うん、美味しい。和食だね!

 あ、まただ。でもそれは正しく日本食って感じる。日本は場所、かな?

 多分、僕の故郷。何処にあるんだろう?いつか帰れるといいなぁ。


 その日も散策。きのこと芋と果物を沢山取った。木の実も少しね!

 後は薬草。ビクトルが貴重だよって教えてくれるから。薬草も葉をとったり根をとったり花をとったり葉の雫を取ったりと色々なんだね。

 花の蜜も取ったよ。甘くて美味しかった。リル草って言うらしい。コムギも嬉しそうに吸ってたよ!

 歩いて体力を付けて、ポーチに入っていた剣を振る。何となく魔法だけじゃね?


 そんな感じで過ごしていた。夜、コムギとお風呂に入ってソファでまったりしていたら…目の前に大きな黒い犬がいた。

 えっと…何処から入ったの?その犬の背中にはトムとジェリーが乗っていた。

『アイリー!』

 犬が飛び掛かってくる。えっえっ…?僕を知ってるの…。長い舌で顔中をべろんべろんされた。

 あははっナビィってば、また…いつも通り顔を洗浄する。


 ナビィ?また…?僕はこの子を知ってる。柔らかい体、ふわふわの毛、懐かしい匂い…()()()()()()()()()()

 まん丸な潤んだように黒い大きな目で僕を見る。

「ナ、ナビィ…?」

『アイリ…私の名前…覚えてるの?私は…覚えてないの?』

 僕はその悲しそうな顔を見て胸が締め付けられた。

「ごめん…名前は浮かんだから。覚えてない。でも、知ってるんだ!柔らかい体も、ふわふわの毛も匂いも全部。身体が記憶してる…ナビィ」

『アイリ…覚えてないんだ…私の事』


 それからナビィに押し倒されて

『体で思い出して!』

 と言われた。なんと、人型になったんだ。10才くらいかな?黒髪の可愛い女の子。で、ピッタリと体をくっつけて。待って、ぼくは男の子で、ナビィは可愛い女の子。ダメだよ?

『何度もこうしたよ!それに裸を何度も洗って貰ったし。お股だって拭いて貰ってた!アイリはねーナビィのお尻が大好きなの』

 その後も人型で顔にお尻を付けられて、僕が叫んだり。服を脱いで抱きつくから慌てて服を着せたり。


「ナビィ、アイリって?」

 僕の名前はアイルだよね?でも違和感がない。愛称かな?

『アイリはねー、私だけが呼ぶ愛称』

 あぁやっぱりね!

「ナビィと僕は一緒にいたの?」

『そうだよー事故でね?離れ離れになったの。だから探してたんだよー。会えて良かった!』

「僕もだよナビィ」

 やっぱり自分の事を知ってる人に会えるのは嬉しい。人では無いか?ま、意思疎通ができるから問題ない。


『アイリってばまた契約者を増やしてるし…。その子も、こっちの子たちも…』

「また?増やした…」

『お姉ちゃん、ぼくコムギー!パパの匂いがする』

 コムギがナビィに鼻鼻挨拶をしている。ナビィはコムギの匂いを嗅いで

『ナビィだよー、コムギよろしく!』

『ナビィよろしくー』

 コムギもナビィに頭を擦り付けて甘えている。あっお腹見せた。コロンコロンしてるね!可愛い。


 ナビィは僕をまん丸な目で見る。

 コムギをしっぽであやしながら、僕の匂いを嗅ぐ。ん?どうした?その首元は()()()()ふわふわだ。

 ん…やっぱり?知ってるんだろうな、思い出せないけど。この黒い目…宝石みたいにキラキラしてる。良く見ればその黒い目の中に銀色?

 きれいだ。吸い込まれるようなその目に見入る。

『アイリー若くなった…』

 若くなった?僕が…。思わず下腹部を見る。ナビィはそこを前脚でテシテシすると

『ファイト?』


 ぐっ、なんか悔しいな。

『えっとねー13才か、なら3才若返ったよー』

 どゆこと?僕は16才だったの?左手の小指を見る。そこには銀色の蔦模様。凄くきれい。これ何だろう?


 ナビィは僕の膝の上にドンと座った。えっと…僕と同じくらいの大きさだよね?完全にはみ出してるけど。でもそのふわふわで柔らかな体はとっても温かい。

 その背中に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。懐かしいナビィの匂い。ずっと昔から知ってる匂いだ。

 やっぱり僕はナビィと一緒に育ったの?

「ナビィ、僕とナビィは昔から知ってるよね?思い出せないけど、懐かしい」

『そうだよー!』

「ねぇナビィ、イリィとハクって分かる?」


 ナビィはまん丸な目で僕を見る。

『どうして?』

「凄く大切な存在だと思うんだ。でも思い出せない。ごめんね…ナビィのことも、思い出せた訳じゃ無いんだ…きっと凄く大切な存在だと分かるのに」

 ナビィはそのしっを緩く振る。

『大切な存在だと分かってるならそれでいいよ!もし、思い出さなくても構わない…またこれから思い出を作っていこう』

 僕がそれでは嫌なんだ。でもどうしたら思い出すのか分からない。

『イリィもハクも、会えば分かるかも?会えれば、だけど』


 僕はやっぱりナビィは知ってるんだと思った。

「どうしたら会える?」

『んー待ってれば迎えに来るよ!』

「でも、それだと時間かかるかも…」

『どうだろうね?別にいいんじゃ無い。慌てることはないよ!』

 しっぽをブンブンふって口元を舐めるナビィ。

 その首元を撫でる。そうかもね、無理しても仕方ないのかも。

 ナビィが迎えに来てくれたみたいに、待ってたらいいのかな。


「ナビィ、僕はどうして忘れてしまったの?どうして1人でここにいるの…」

 ナビィはしっぽを振るだけで答えなかった。

『それはアイリが自分で思い出す事。私は言えないよー』

 そっか、それもそうだよね。だって聞いたって思い出せないんじゃ意味がない。

 今はナビィが迎えに来てくれたその事を喜ぼう。


 その夜は大きなナビィに抱きついて、間にコムギを挟んで寝た。暖かくて柔らかかってふわふわな毛と懐かしい匂い。僕はここで目が覚めてから1番、安心して眠った。



やっとナビィとアイルは再会しましたねー!


時系列整理

10月10日 審判の日

アイルやハクたちが魔力を捧げる為に眠る

イグニスが神界でケガをする


10月15日頃

シシラルたちがイグニスを連れて下界に降りる(神界と下界は時間の流れが違う)

アルテノが祈りを捧げる

イザークがペンダントにざわめきを感じる


10月18日頃

ダナンたちが王都を訪れ、謁見と会食

アーシャが神聖の森に伝言をする

若木が根付く?

光の奔流が流れ落ちる アイルが消える


10月19日 ダナンたちが夫人たちと会食に参加


10月20日 アイルが目覚める

イーリスがイグ・ブランカに戻る

旧イグニシアで黒い光が飛んだ

ダナンたちが王都を出発


10月21日 ライラたちと双子の騎士を助ける 合流

夜中に馬とネズミを助ける

帝国で白い光が駆け抜けた


10月22日 ライラたちと双子の騎士と馬が合流 山を降りる


10月23日 ライラたちがナビィと出会う

ダナンたちが帰領する

ナビィがアイルと再開する


1月1日 ロルフたち鎮魂の森を出発

1月6日 フィーヤ着

1月7日 フィーヤ発 イグ・ブランカ着




*読んでくださる皆さんにお願いです*


面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪


評価は任意ですが…もらえるととっても嬉しいです!

モチベーションになりますのでどうぞよろしくお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ