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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第6章 ピュリッツァー帝国
314/343

308.出会い

昨日投稿予定だった分です…

本日2話投稿します

 僕は山の頂上付近に向かって歩いている。どうしたらいいかってビクトルに聞いて、歩こうって言われたから。

 どちらにしても、この山から出るのか…しばらく留まるのか。僕には分からないことばかりだから。ビクトルだけが頼りだ。

 ビクトルはスキルであって命のあるものじゃない。

 でも人格ならぬスキル格がある。

 しかも、今は進化?して精神体として僕の髪の毛付近にいる。


 さわりと頬を撫でるその風はビクトルだ。なんかそれだけで嬉しくなる。足元には小熊。託されたからね!

 生まれたばかりなのにもう自分の脚で歩ける。凄いなぁ。僕のことをどう思ってるのか分からないけど、後ろをちょこちょこ付いてくる様はとても微笑ましい。

 僕だってまだ小さいけどね。

 そう、僕は自分の手を見る。それは小さい。小さいって分かるのは何故か?ただ分かる。

 きっと思い出せない記憶で、この手より大きな手を見たんだろう。

 小さいのは多分、手だけじゃない。背も低そうだ。体だって細い。ガリガリでは無いけど、細いと思う。


 さらに、小さな体にはこれでもか、とアクセサリーが付いている。

 耳に合わせて6個。左耳は柔らかな手触りのタッセル…見えないけどそのタッセル付きロングピアス。あとは耳たぶと軟骨にポストピアス。

 右耳はポストピアス2つと軟骨の上の方にイヤーカフ。

 触ってみるとなにやら色々と魔法?が付いてる。

 防御と防御と治癒と結界と隠蔽かな…後はイヤーカフに色々。そう、色々。


 いや、思い出せないけどさ…自分で入れたと言われるそれらはもうおかしい。

 だって、何でこんな小さな耳飾りに家が入ってるの?

 中身はこんな感じ。



 家 1LDK 家具家電付き庭付き

 家の中には2ヶ月は暮らせるだけの服や食事、食材や調味料

 普通の傷薬(死にかけの高熱や骨折も治る)

 傷薬(体内に侵入した菌を追跡して死滅)

 解毒剤(呪いも解呪可)

 完全解毒剤(蘇生も可)

 鎮痛剤(あらゆる痛みを取る 骨折も治る)

 消毒薬(あらゆる菌を死滅)

 液体薬(あらゆる病気を一瞬で治癒)

 以下略…



 この子って自分だけど、何を目指したのかな?風邪薬で骨折が治るとか、解毒剤で呪いが解けるとか。

 で、そうアクセサリー。

 他にも左手の人差し指、右手の中指と小指には指輪。シンプルだけど、繊細な模様があって。

 しかも表や裏には多分、宝石とか石。ターコイズにダイヤモンド、サファイアに紫水晶。ビクトルが教えてくれた。

 裏側には何か文字も彫ってある。読めないけど。そしてこっちにも防御と治癒と隠蔽…何がしたかったのかな?


 さらには足の指と足首、手首にはバングルかな?左腕にもバングルっぽい。後は多分、おへそ。見てないけど…なんか魔力を感じる。

 そうそう、首にもネックレス。なんだかとても肌触りのいいものがトップに付いてるみたいだ。とても気持ちが良くて安心する匂い。



 はぁ、とため息を吐く。なんか良く分からないけど、すごく安全な気がする。防御が増し増しだ。

 それにしてもまだ子どもみたいなのにピアスとか、僕ってば不良だった?

 あれ、不良って何?良くないってことか。もう分からないことだらけだ。そのままもくもくと歩く。

 しばらく歩くとそこには岩の割れ目があった。割れ目は細いな…。


(ここに入ろう!)


 ビクトルが言う。入れるか…体を横にしたら、行けた!でも小熊はもこもこしてる。入れるかな?見てたらするんと通り抜けた。もしや殆どが毛なのか?後でもふろう。


 その割れ目の中は何故か明るかった。どうやら周りにはたくさんの水晶がある。それが少ない光を屈折して反射している。

 でも、それだけじゃ無いか。何だろう…ふわふわと光るものがある。

 えっと…オバケ?いや無理無理。そっち系は本当に苦手なんだよ!



(来たよ)

(来たね)

(きれいな魔力)

(優しい魔力)

(おいでおいで)

(奥においで)

(待ってたよ)



 えっと、これは?

 いつの間にか怖さは消えた。だって凄く嬉しそうな気持ちが伝わって来たから。

 なんだか楽しそう。ふわふわほわほわ…



(奥に…大丈夫 彼らは聖なるもの)



 ビクトルが言う。聖なるもの、が何かは分からないけど奥に進む。割れ目の先は少し広くなってる。腕を広げても届かないくらいの幅の通路。そこを進むと…うわぁ、凄いや!

 そこは広い空間で、天井も高い。小さな穴?が開いてて空気も澄んでいる。

 しかも、大きな木がそこから生えて…穴を突き抜けて上へ伸びてる。白い幹に裏側が銀色の透けるような葉っぱ。太い幹は堂々としていて、凛とそこに生えていた。

 へーきれいな空間だな。

 しかも、ふわふわほわほわな光がさらに増えた。空気がきれいだから、かな。

 なんだか深呼吸したくなる。


 すぅーふぅーはぁー。

 うん、澄んでる。ここは何だろう。周りはやっぱり水晶で足元は土。下草も生えててここだけ違う世界みたいだ。

 何となく、コロンと寝転がる。銀色のふさふさとした苔に覆われたそこは、寝心地が良かった。しっとりしてるのに湿ってない。

 ベルベットのような不思議な感触。

 僕の隣に小熊も丸まって、顎をぼくのお腹に乗せる。僕はその頭を撫でる。銀色のまだふわふわした柔らかな毛。小熊は目を瞑る。


 しばらく撫でていると、目を開けて

「くぅん…」

 と鳴いた。何だろう…?するとまた

「くぅん…」

「どうした?小熊…あ、名前…」

 小熊って呼ぶのは少し違うかな。

「くぅくぅ!」

 あ、名前付けて、か。でも名前…というか、この子の種族は?


(シルバーベア)


 そんまんまだな。銀色の毛皮にお腹の辺りは真っ白で、胸元に金色のVの模様。

 まん丸な目は金色でとても可愛い。うーん、名前か。やっぱり銀色だけに銀とか?


( …)


 ビクトル、何か言いたいなら言って!沈黙は困るよ。


(安直かと…)


 ぐっ…それを言われるとさ。金色からとって黄金(こがね)、でも違うなぁ。金色…稲穂、銀はシルバーか。シバとか?うーん違うな。

 もこもこだしもこ、とか。もかもか、ふわふわ、もふもふ…。よし、決めてもらおう。

「どれがいいかな?シルバ、ギン、コガネ、もこ、もか、ふわ、もふん…」

 最後まで言う前に

「ぐわぁっ!」


 拒絶された。困ったな。あ、黄金からの発想でムギは?いや、まだ小さいからコムギ!

「コムギは?」

「くぅん…」

 嬉しそうに頭を擦り付けてくる。よし!良かった。

「君の名はコムギだよ!」


 その途端、ピカンとコムギが光った。えっ…コムギ!慌てて起き上がる。そこにはちゃんとコムギが触れる。良かった。光が収まると、そこには金色の目の中に透けるような銀色が入ったコムギがいた。

 えっと…すごくきれいだよ!コムギ。その頭を撫でる。


『パパ!』

 …はい?喋った?熊が…。

『パパ!』

 …えっと僕はまだ子供だと思うんだけど、パパになったの?それに何で喋ってるの。

 え、えぇ…色々と衝撃。ま、いっか。なんだか考えても答えのないことばかり。ならば受け入れるだけだ。


 



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