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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第5章 イグニシアへ

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287.神界の出会い

『くくっこの子はこれほどまでに慕われておるのだな。愉快よ』

 そう言ってアイを優しく見ながら、シシラル様は笑った。アイの頬を撫でながら。


『それぞれに見合った加護だねー!』

 アーシャ様がアイの鼻に止まって言う。

 ロルフが

「イルは特大、僕は普通…イーリスは小、かな」

『正解ーパフパフ!やっぱりロルフは勘がいい』

「それぞれに見合った、とは?」

『言葉通りだよ!アイルはイーリスが戦うことを嫌がるだろうし。だから防御向きの加護。ロルフの戦いは物理ではないけど、ある意味で陰湿かつ熾烈。だから通常の。アイルはアリステラの悪意と戦って、こちらに戻らなくてはいけないから。特大だよー』


 そうなんだ、僕には小の加護。それはアイが僕に戦わせたくないから。その想いはとても嬉しい反面、貴族たちの矢面に立つロルフには普通の加護が与えられた。

 僕にはそれだけ出来ることが少ないと言うことだ。

 寂しさも覚えたけど、僕だってアイには戦って欲しくない。ならばおあいこ、だ。



『ねぇ、どうして僕を呼んでくれないの…?』



 突然声が聞こえた。えっ…見回しても神様と僕たち以外は見当たらない。

「見えてる…」

 そうか、さっきシシラル様もはじめは声だけ聞こえた。


『この子はイグニスと我の加護で充分だからな』


『…僕だって力になれるよ。僕の可愛い子が助けられたんだからな』


『ノームか?』


『そう、下界にここから手出しはできないから』


『消滅する前に、下界に行くつもりだったんだろ?』


『そう…でも、彼が救ってくれて種を蒔いた。「イアン」と名前も貰ったよ。魔力も貰って…種族が増えた』


『そうか、絶えなかったのだな。それは暁光』


『ふふっ僕の子たちと、その子はもう家族…だからね、今、行くよ…』 



 ヒュン



 風が吹いた。


『やれやれ、大地神まで来おったわ』


 イグニス様が肩をすくめる。ちなみに、神界のイグニス様は本来の姿らしく、銀の髪に金の目の、女性だ。少女では無かった。

『やぁ、イグニス。久しぶりだね。アリステラは確かにやり過ぎたけど、唯一の功績がある』

 イグニス様は苦笑する。

『分かっておる。シシラルの抱くその子であろう』

『そう、僕はね…この子はこの世界に()()()()、そう思うんだ』

『…アリステラの意志ではないと?』

『なんて言うか、()()選ばれたにしてはね。彼の存在は()()()()()()()()


『なるほどな…。大いなる意志はアリステラではない、と』

『なんとなく、だよ。アリステラはいいように使われた。上はもうあの方しかいない』

『なるほどな、確かに。下級神様ごときにしては、な』

『この世界に必要だった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『…』

『…』

 イグニス様もシシラル様も黙ってしまった。そして、愛おしそうに、痛ましそうにアイを見る。

『選ばれてしまったんだね…』

 大地神様はアイの髪の毛を梳いて、頬にキスをした。そして緑の光に包まれる。


『もう充分、持ってるから…僕のは普通の加護で。ノームたちをよろしくだよ?』

『グライオールの加護なぞ、見たのはいつ以来か』

 イグニス様が呟く。

『さあ、5000年くらいしてないかなぁ』

『天秤を傾けてはならん、か』

『ノームのことがあるからね、今回は許される』


 グライオール様はやはり、銀色の髪に金色の目。ガッチリとした体型の優しげな顔立ちの美形神だ。いや、神様たちは美形の博覧会みたいだ。

 眼福だね!

 まさか3人の神様に囲まれて髪の毛や頬を撫でられてるなんてね?

 僕のアイはやっぱり凄い。

 そう思って見ていたら、大地神様が僕の方を向いた。そして、目が合った。


『森人か…』

 そう呟いて僕の方に歩いて来た。

『ユウリの事では…色々と、煩わせたな』

 僕は驚いて首を振り

「いいえ、お陰でアイと出会えました」

 ふわりと微笑むと僕の頬に手を当てて、そっと唇にキスをされた。ふわっ風が吹いて、体に魔力が流れ込んだ。

 これが普通の加護…なんて力強い。

『森人ならこちらが良いだろう。生命樹のこともある、許される範囲だな』

 そう言って僕の頭を撫でた。


『信じて待て…必ずこの子をお前の元に戻してやる』

 僕は泣きそうになりながら、必死に頷く。

「はい、いつまででも待ちます」

『そこまで長くはかからない』

 頬を優しい手が撫でて、溢れた涙を拭ってくれる。

『いい子だ。この子と、ノームも頼むよ』

「はいっ」 


 次にやっぱり真横でガン見しているロルフに目線を動かす大地神様。

 気になるよね?真横にいたら…唇が触れそうなくらいの距離で。

『くすっ可愛い子だね、君も。あぁ僕からの贈り物を研究してるんだ。嬉しいよ、なかなかその価値に気が付いて貰えなくてね…寂しかったんだ』

 そう言って微笑むと、ロルフの頬にキスをした。


「贈り物…鉱物や石、ですね…」

『そう、後は薬草。君が組み合わせを研究した』

「大切な贈り物…そのお気持ちに少しでも寄り添えたなら、光栄です…」

『少しどころか、たくさんの命が救われた。だから君にはその感謝と、期待を込めて…加護を渡したよ』

「ありがたき幸せ、より精進致します」

『うん、素直ないい子だね』

 と優しく髪の毛を梳いた。それから真顔で

『男と子、だよね?』

 胸元を見ながら聞いた。

「…はい」


『ふふっ、あんまり可愛いからさ。一応』

 と笑った。ロルフは長いまつ毛とその華奢な体付きで、ドレスなんか着せたら似合いそうではある。

「小さな頃は良く女の子に間違われたそうです…」

『うんうん、分かるよ。可愛いし』

 そう言うとその唇にキスをした。そしておでこを合わせて

『加護じゃない、親愛のキスだよ』

 にっこりと笑って離れる。ロルフが頬を染めていた。


 大地神様はエリアスを見て

『君には加護は与えられない。けど…』

 エリアスの頭にキスを落とした。

『君の統治する場所が反映するように…後はノームをよろしく』

「はい、ありがとうございます。精進します」


 その目は少し離れた所で見ていたブラッドとベル兄様に向けられた。

 にっこりと笑うと

「加護はあげられないけど…」

 と言ってシシラル様と同じ様に握手をした。

「大地の豊かさを忘れずに…絶え間なく進みなさい」

「はっ!」

「はい」

 

『うん、良い眼をしている。しかし、その子の周りには何とも気持ちの良い子ばかりいるね』

 とイグニス様とシシラル様に話しかけた。


『そうであろう。我の子孫が想いを寄せているのだ、当然じゃな』

『聖なるものに慕われておるのだからな、当然だろう』

 さも当たり前みたいに返す。

『それもそうか…。にしても、また豪華だねー。神獣に聖獣に。ん、白大鷹の種族長もか?』

『ん?おぉ、ティダではないか!』

『お久しゅう、シシラル様』

『まさか、お主までか?』

『我は大切な子供の為に、ちと協力を』


 シシラル様は相変わらずアイを大切に抱えたまま、ブランを見る。

『そこの小さきものか、ふむ。力が欲しいか?』

 ブランに問いかける。ブランは大きくなっていて2メル(m)ほどある。それでも小さきものなんだ。

『はい!ご主人を、アイルを守りたいです!』

『ふっその心意気や、良き。ならば小さな加護を授けよう』

『ありがとうございます!』

 シシラル様はブランの頭にキスを落とした。


 次にハクを見て

『神獣か、久しく見てないな。この子と魂の契約をしたか。その覚悟や、良き。子を成したこともな。守る為の大の加護を与えよう』

 と言ってハクの顔にキスをする。眩く光ると…ハクの姿が変わっていた。

 ひと回り大きくなった体躯に、胸元の逆三角の白銀は輝く銀色となり、その目は銀から紫へと変わる力強い目となった。

『あの方の意志だ…契約者を側で守るのだ』

『うん、ありがとうー』

 ハクのしっぽはぶんぶんと高速で振られていた。ハクの背中にしがみついていたベビーズも一緒に光ってたけど、寝ていた。大物か…?


 そのハクの横で足踏みをして待っていたナビィ。シシラル様と目が合うと

『また可愛らしい生き物だな、黒曜犬か?』

『そうみたいー!私にも特大の加護をー』

 シシラル様は笑いながら

『くくっ、加護をねだられたのは初めてだな。しかし、特大はやらんな。普通の加護で充分だ』

 ナビィはしょんぼりとして

『そうなんだ…残念。でも、加護をくれるなら凄く嬉しい。ありがとうー』


 シシラル様は愛しむようにナビィを撫でると

『普通の加護である理由はすぐに分かる…』

 ナビィの首元を撫でながらその頬にキスをした。光るナビィ。その目は濡れたような黒目に紫が合わさったとても神秘的な色になっていた。

 そして胸元のVの金色が淡く輝く金色になった。もともとフサフサしていたしっぽはさらに長くフサフサになって、そのしっぽの内側の金色も淡い金色に。

『そのしっぽはこの子を導く。夜の闇にも良く見えるであろう』

 ナビィはしっぽをわっさわっさを揺らす。その風圧で僕たちの髪が揺れた。


『さて、休むかの。その子の亜空間は何やら居心地が良さそうじゃな。そこで休むもう』

 えっ?アイの亜空間って箱庭?でもアイは眠っているのにどうやって転移するのか。

 そう思っていたら、



 ドンッ



 何やら扉が出現した。

 テントの中にロルフの家の扉が出て来たみたいな感じで。そして、意気揚々と入って行こうとしたイグニス様。そこに



『ねぇ、仲間はずれは酷いよぉ…』



 幼い声が空間に響いた。




神様回もう少し続きます。


※読んでくださる皆さんにお願いです※


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