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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第5章 イグニシアへ

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279.監視の監視をする

 あ…魔力が動いた?


 僕は楽園でニミにもたれていた。昨日の話が衝撃的過ぎて気持ちが置いていかれてる。眠れない夜を諦めても楽園に来れば、ニミがいた。

『イーリス?』

「うん、ニミは何をしてる?」

『ここにいればあの子を感じられるかと思って』

「ニミはアイを利用しただけだろ?」

『否定はしないわ…でもね、私たちは誰とでも契約出来るわけでは無いのよ。あの子だから出来た』

「エリアスの為に、だろ」

『それ()あるわ』

「も…?」

『引き合う、とでも言うのかしら?そういうものを感じたのよ…』 

「番のような?」

『違うわね、むしろそう…同志、かしらね』

「同志?」

『そう、同志…惹かれる感覚が無ければ契約出来ない。私はそれなりに力もあるから、均衡を崩してはいけないの…森人とも、王族とも契約は出来ないわ』


 沈黙が落ちる。静かだ、最近は精霊も妖精も元気がなくて。そんな風に静かに夜が明けて、それでも僕はここから離れられなかった。

 あ…アイ?魔力が…動いた?

 ニミが首を持ち上げて耳を動かす。まん丸な目を虚空に据えて、何かを見つめている。

『魔力が見えたわ…』

 アイの魔力が見えるの?

『イーリス、大丈夫そうよ』

「この間もそう言って、ダメだったよ」

 ニミを見てそう言うと

『あれは…誤算だったわ』

「魔道具で会いに行く!」

『少し待って…私も行くから』

 仕方なく少しだけ待つ事にした。少しだけだよ?





『世界を壊されるのは困るけど、創造神を排除するなら同志だよ…あれはやり過ぎだ』

 アーシャ様の意外な発言に驚く。

『ほう、面白い。生命樹を自分の思い通りにしようとしたらからな、世界樹に排除されて当然だ』

 ティダが不敵に笑う。いや、鷹なんだけどね?ニヒルな雰囲気がね、伝わってきて。

『アイル、このまま終わらせはしないよ。でもその生命樹は再生が必要だ。それには君の魔力がいる』

『生命樹を再生させるほどの魔力など使えば死ぬぞ』

 ティダがアーシャ様にくってかかる。

『だから、だよ。アリステラを欺く。アイルには一度、死んで貰うんだ』


 そんな話をしていたら



 シュン



 目の前にイリィがいた。えっ?何でイリィが。驚いて見ていると

「アイ!魔力が…」

 魔力が…魔道具が使えたの?

 ギュウギュウと抱き付くイリィ。私はその細い腰に手を回した。一層強く抱きしめられる。

「イリィ?泣いてるの」

 その涙を拭う。泣いててもきれいだけど、やっぱり笑顔がいいな。

「だってアイが、アイが…」

 その唇にキスをする。驚いたイリィは泣きながら私に何度もキスをした。

「私が泣かせたの?」

「そうだよ…僕を泣かせるのも笑顔に出来るのもアイなんだよ」

 頬を撫でてその目を見る。熱のこもった力強い目。瞼にキスして

「ごめんね、こんな私で」


 イリィは首を振ると

「今のままのアイがいいよ」

 そう言ってしばらくギュウギュウと抱きしめられていた。ようやく落ち着いたらイリィは私か離れて周りを見る。

 そこでティダを見つけて固まっていた。隣のブランは胸を逸らして自慢気だ。

「えっ…?」

「ブランのお父さんだよ、ティダって言うんだ」

『ティダだ…アイルの想い人よ』

「えっ?凄い!大きい、カッコいい…ティダ?」

『そうだ、ふっはっはっ…若いな、アイルもお主も』

「えっ?」

 何で笑われてるのか分からない。


『運命など、神ごときが決めた運命など壊してしまえ!アイルには神獣も我ら聖獣も雷獣も、そこの幻獣も、そして精霊王もあまたの精霊や妖精までついている。捻じ曲げられた運命なら正せばいい。我らなら出来る』

 力強いその言葉にイリィは目を丸くして驚き、そして泣きながら笑った。そうだね、壊せばいいよねと。

『あら、楽しそう。壊しましょう。私は怒ってるのよ?この子をこんな目に合わせて、犬一匹を世界渡りさせて終わりなんて。ふざけてるわ!』

 ニミも不敵に歯を剥いた。怖っ…、顔が怖っ。

『ちょっと失礼よ、乙女に向かって顔が怖いとか』

「「「乙女…」」」 

 イリィとロリィとエリの声が重なった。

『んですってぇ?』

 だから怖いよっ顔が。


「くすっ」「くふぅっ…」「ふふっ」「ぶはっ」「うふっ」

 みんな楽しそうだね?

「「「良かった」」」「「良かったよ」」

 心配掛けてたよね?ほんといつもいつも、ごめん。

「ごめんじゃなくて」

「こんな時に言うのは」

「ありがとうだよ、アイ」

 そうだったね。

「ありがとう、みんな…一緒に世界を壊してくれる?」

「「「うん」」」「おう」「もちろん」

『アイルには死んで貰うけどね』


 出て来たアーシャ様の言葉に全員が本気のガンをアーシャ様に飛ばした。


「「「あぁっ?」」」「おう?」「あん?」


 美形4人とブラッドの本気のガン…怖い。真顔の美形の迫力にアーシャ様がびびって

「一度死ぬだけだよ!」



「「「あぁっ?」」」「おう?」「あん?」



「いやその、体は死なないよ?魂を一度無に返す。で、そこに新たに入り直すんだ。そうすればこの世界ので生まれたのと同じ。ただ、アイルなのか、愛理なのかは分からないよ」

 みんなが黙った。ガンは飛ばしてないけど真顔の美形4人とブラッド。ハッキリ言おう、怖いです。

「体はそのまま?」

「アイルかアイリのどちらか?」

「必ず入れる?」「いけんのかよ?」「本気で?」

 質問が矢継ぎ早にくる。

『体はそのままだよ』

『入れるな、間違いなく』

『入れるわよ、確実に』

 アーシャ様、ティダ、ニミが答える。


『その体にはアイルか愛理しか入らないわ、間違いなくどちらかよ』

『そうだな、全く違う魂は入らない…なんせ神獣の魂の契約者だからな』

『そうすれば生命樹も守れる』

『アイツは生命樹だけを助けて、この子を見捨てるつもりだ』

『だからそれを逆手に取るのよ!』

 なるほど。関心がないなら裏を掻けばいいと。

「「「絶対に死なせない…?」」」

『『『死なせない』』』



 こうして私の運命を正し、この世界に生命樹も私も根付かせよう作戦が始まった。


 その日の夜はイリィと箱庭で眠った。またみんなが入れるようになったんだよ。

 で、普通に寝ただけだよ?今はまだね、色々と受け止められないから。それでも匂いを感じられるようになったし、世界は色付いて、味もちゃんと分かる。

 止まっていたあらゆる感覚が動き出したみたい。

 ずっと不安定なのは、やっぱり私が曖昧な存在だからだってアーシャ様が教えてくれた。

 なんか、悲しさより怒りが勝ったよ、今頃。簡単に消えてなんかやらない。私は律に会わないし、そこに運命はない。


 律は何も悪くないけど、今さら会っても私はきっと許せない。何かもが。だからそれでいい。

 新しく前を向く為には律はいらない。私が縋って律を求めると思ったのかな?そこまでされてまだ縋るほど情けなくはない。

 覚えてろよ!

 私はヤツから貰った真名を捨てた。要らないって思ったら捨てられた。笑っちゃうよね?

 そしたらハクもブランもミストも…イリィですらね、捨てたんだよ。ふふっザマァみろ。

 監視は弱まる筈ってアーシャ様が。繋がりが断たれるから。


 ならナビィは?と聞くと、

『捨てたよ!』

 うん?何を?

『使徒の肩書きを』

 えっと捨てられるの?

『もちろん、だって要らないし』

 何か困らないの?

『全く。今は自分の力でなんとでもなるし、転移はユーグ様から貰ったし…結局、何の力もくれなかったからね…ケチだよね?』

 ケチとかそう言う事じゃないけど…まぁいいよね。なら今ナビィはどういう存在?

『ただの黒曜犬だよ』

『ただでは無いかな?黒曜犬自体が神獣並の存在』

 ハク、そうなの?

『そうよぅ。だってこの世界に黒曜犬はナビィだけだもの』


 …え、えぇーー。まさに伝説の存在?

『私たち幻獣も数が少ないの…でも二桁はいるから。唯一の黒曜犬は別格よ』

『黒曜犬、幻獣、雷獣、聖獣の順で数が少ない。あ、神獣は黒曜犬と同じ。この世界に唯一がハクだよ』

 でも神獣になったのは真名があったからだよね?

『力を解放と言っても、それは力を与えた訳じゃないのよ。少し時期を早めただけ…元からの資質よ』

 ならみんな困らないんだね?

『『『うん!』』』

 良かった。みんなでこの世界の序列をぶっ壊そう。




どこかの過激な党の公約みたいな最後でしたね…



*読んでくださる皆さんにお願いです*


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