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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第1章 異世界転移?

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28/434

28市場

 さて、ちょうどお腹も空いたし屋台で何か食べよう。スープと串焼きを買って近くの椅子に座る。サラダ食べたいなぁ、野菜が足りてない。どっかで野菜育てられないかな?でも探索者としてもう少し実績積んでからがいいか。まだ先にしよう。


 ラベンダーとジャスミンの精油を作るのが最優先。次が薬。その次が野営道具とかで、その後には石鹸かな。こっちの石鹸は硬くて臭い。成分が違うんだろうか?シャンプーも欲しい。

 で、そうなればやっぱり欲しいよね!お風呂。これは最優先にしたいけどな…極端な話、体が浸かれる入れ物さえ有れば魔法で何とかなりそう。野営道具にお風呂も含めるかね。


 後は市場に行きたいかな。調味料とか欲しいし。保存がきく食材もあれば買いたい。今はお金に少し余裕があるからね。調理道具なんかも買っちゃう?でもなぁ作れるんだよなぁ。お値段次第かな。


 お昼ごはんを食べ終わると市場に向かう。中央広場から北の方に行くと市場がある。町は東西南北の門があって、西は工房が多い。

 東はギルドとか役場があって行政関連が固まっている。南東に貴族とか金持ちが住む区画。南は商店街で南西は庶民が暮らしている。北東には市場があって、北にホテルや民宿。貧民街は北西の突き当たりだ。


 市場は工房から中央区広場を通った少し先。主に食料品や雑貨を売っている。本店から出店として市場で売っている店もあるらしい、

 いい食材との出会いを求めてレッツゴー!

 中央広場を過ぎると人通りが多くなる。市場に向かう人や帰る人。様々だ。もちろん商人の馬車も行き交っている。


 人の流れに乗って歩いて行くと着いた。なんか雑多な感じ。大きな建物の中にそれぞれがテントを立てていて、統一感がないのがまたアジアっぽい。うわぁ、これはぜったい楽しいよね。

 ワクワクしながら通りに入っていく。網の目のように細い道があって両側にはたくさんのお店がある。手前は食材だね。

 野菜、肉、魚…野菜、肉、肉、また肉。うん、肉率高い。お魚はあんまり流通していないのか。野菜を横まで見ながら進む。食材は重いし買えないからね。空間拡張ポーチは人前では封印するから。


 流し見していると来たよ、これ。調味料の一角を発見。いつ見るの?今でしょ。いつ買うの?今でしょ!チラ見してると店先にいたお兄さんが声をかけてくる。

「いいの揃ってるよ。見てってよ」


 小ぢんまりしたお店で、手前は麻っぽい袋に調味料がたくさん入っている。その中にスコップみたいなのが突き刺さっているから、量り売りかな。端の方の棚には瓶に入ったものが並んでいて、岩塩も塊で売っている。なかなか良さそうだ。

「岩塩と…あとお勧め何かあれば欲しい」

「岩塩はそこにある。今は2種類だな。」

 確かに2種だ。ピンクっぽいのと青っぽいの。じっと見つめるとピンクの方は(ミネラルタップリ岩塩 野菜やスープにお勧め まろやか)、で青い方は(普通の岩塩 肉や魚に合う)と見えた。どっちも欲しいな。


「両方欲しい」

「おう、手のひらに乗るサイズが一番小さくて銀貨5枚だ」頷く。

「選ぶか?」

 洞察力さんお勧めのを選んだ。

「後お勧めならこれかな?レモネとオランジェ。柑橘系のスパイスだよ」

 そのままならレモンとオレンジか?棚から取って匂いを嗅がせてくれる。うん、レモンとオレンジだね。料理だけならレモン一択だけど飲み物って考えるとオランジェも欲しい。


「1瓶銀貨2枚」

 おっ意外と安い、のか?頷く。

「辛いのとか酸っぱいのはないか?」

「ん?あるぞ。ベニとサクサだ」

 あの形は唐辛子とあっちはお酢かな?こちらも匂いを嗅がせてくれる。うん、間違いないな。

「こっちは1瓶銀貨1枚」買います。


 他に気になるのはないかな?お店をぐるっと見る。あ、あれは油?目線に気がついたら店主が取ってくれる。スパイスの倍くらいの瓶に入ってもの。

「ビーンズオイルだよ」

 ん?何だって??豆油?こちらも匂いを嗅ぐ。なんだろ…知ってるような。見た目はサラッとしているけど、不純物は多いかな?じっと見ていると(青豆から絞った油。クセがない。料理にも美容にも使える)

 なんと!美容に使えるのか。んーこれどこで作ってんのかな?


「ここより少し南にある山間部で取れるんだよ。たくさん採れないから高いんだ」

 悩むな。大きな瓶では使ってみてあんまりだったら勿体無いし。すると

「半分の量でも売れるぞ?」

 この店主も商売上手だな。いくらだろ?

「半分で銀貨5枚」高いな…

「買ってくれるならシトラスをオマケにつける!」

 シトラス?おぉ〜シトラスだよ。はい、買います。しかしさっきから私の心の声と会話してなかった?こっちの人は読心スキルあるかね?


 銀貨16枚を渡す。品物は袋にまとめて入れてくれる。

「ありがとな!また来てくれよ」

 軽く手を上げて通路にもどる。一番欲しかった調味料は手に入ったな。ぷらぷら歩いていると食材が終わって道具類のお店になる。調理道具や食器など家庭用の小物関係だ。


 これも見てて楽しいね。買わないけど。野営用の道具は自分でもある程度は作れるからな。完全に冷やかしでその辺りを流していく。

 すると突き当たりに鉄のスプーンやナイフを売っているお店があった。途中にも同じような店はあったけどここのはなんて言うか、全く別物。素材が明らかに違う。


 これは高いんだろうな。無駄なないデザインと洗練された曲線が優美で…あちらの世界の有名メーカーのカトラリー並の出来栄えだ。見るだけならいいかな?

 店主はフードを被っていて顔は見えないけど、体格的には男性かな?


「凄く繊細な食器だな」

 そう声をかけて店に入る。店主は何も喋らないけどこっちを見ているのが分かる。

 気になったスプーンとフォーク、ナイフを近づいて見る。うん、本当に綺麗だ。食器なんて使えればいいって人もいるだろうけど、私はそれだけではないと思う。しかも洞察力さんによれば、これらのカトラリーはなんと、ステンレス。錆びにくい合金だね。


 尚もじっくり見ていると「1つ銀貨3枚…」ボソッと声が聞こえる。驚いて店主を見ると「た、高い…?」

 目をパチパチする。むしろ安いだろ?これは買いでは?買うって言おうと思って顔を上げると店主とは違う男が

「はっ、スプーン一つに銀貨3枚とは豪勢だなおい。銅貨2枚で買えるものを銀貨3枚出すヤツなんざいねーんだよ!いい加減、店辞めろよ!」


 えっと、ここにいますよー銀貨3枚出すヤツ。あぁ、店主の手が震えている。この食器の価値が分からないヤツに何を言われたって痛くも痒くもないって…全身で震える店主。

 言えないか…なんか泣き声も聞こえる。男は店主が泣いているのを見てドヤ顔をして、さらに机を蹴って去って行った。


 どうしよう。買いたいだけなんだけど。周りの人は遠巻きに見ているだけで助けてくれないし。

 すると、さっきスパイスを買った店の店長が、泣かせてんじゃねぇよ!と怒鳴ってきた。私?いや、私はただの客だけど…?

 近づいてきて胸ぐらを掴まれる。


 えぇ?何で??驚いてしまって違うと言えずに固まっていると、

「違うよ!いつものヤツだよ」

 震える店主の声に後ろを振り返るスパイス店主。私の胸ぐらは掴んだままで。

「そ、その人は褒めてくれたんだ」

 スパイス店主はえっという顔をして私を見る。慌てて手を離すと、ごめんと言う。もう何か面倒くさい。

 フードの店主も近くに来ていてごめんと言う。その声は不思議な音で、なぜかとても耳に心地良い。

 でも面倒なのは困る。目立ちたくない。欲しかったけどな、気持ちが萎えてしまった。帰ろう。


 そのまま店を出ようとすると、フード店主が

「か、帰らないで…」

 やめて?恋人を捨てる悪いヤツに言うみたい台詞。

「も、もっとここにいて…」

 いや、だから言い方。はい、そこのスパイス店主、こっちを睨まない。

「ち、ちゃんと説明するから」

 いい加減にしてくれい…捨てられる子が悪いヤツに言う台詞。諦めてフード店主を見る。

 フードから覗いた大きくて潤んだ目でこちらを見て、淡く微笑む。


「なんか捨てられそうになったらしいぞ」「捨てないでって言ってた」「ここにいてって…可哀想に」「男を泣かせる男…」

 もう嫌だ。それからそこ!捨てないでとは言ってないぞ。


 カオスな状況にスパイス店主が見せもんじゃねぇと言って幕を下げる。そうすると店じまいだ。

 お店のさらに奥には従業員用の小部屋があって、そこにフード店長共々案内される。椅子を勧められて腰掛ける。向かいにはフード店長でその後ろに腕組みしたスパイス店長。 


 私が座るとスパイス店長がごめんと謝って来た。いつもの馬面が原因だとは思わず、てっきりあんただと思って…と。

「謝れ!」

「ご、ごめ…」

「馬に謝れ!あんなのとあの賢い馬を一緒にするな!不愉快だ」

 一瞬ぽかんと口を開いた店主だが、すぐに

「馬面とか言ってごめん?」

「うむ、謝罪を受け取る」


「あー本当にごめんな。コイツがここに店出してからだから3ヶ月の付き合い何だが…色々気にかけてて。俺はマルクスでこいつが」

「イーリス」

 そう言うとフードを取る。これは凄いな…でもそれより

「イーリスって月の…」

「月の女神の名前…ぼく男なのにね」

「あーまぁその綺麗な顔じゃ有りだろ」

 拗ねたような顔でこちらを見る。拗ねても美形だな。


「バルクとかザビルとかが良かったか?」

 濁音の名前を言ってみる。似合わない…イーリスは少し考えて無理と言った。

「マルクスがイーリスだったら?」

 後ろを振り返る。そして無理と言った。

「名前はその人を現すって言うし…ぴったりだな」

 びっくりした顔でこちらを見る。頬を赤らめるのやめて…


 そう、彼イーリスはとんでもない美形だった。淡い金髪に銀色の目。虹彩の縁は水色で。細くて形のいい鼻、切れ長の大きな目、薄い唇。全てのパーツが対照で全体も個別のパーツも全てが整っている。次元の違う美形だった。



新しい出会い



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