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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第5章 イグニシアへ

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274.ブランの活躍

昨日夜の投稿予定分です

夜にも投稿します

 目が覚めると癖毛の銀色…小さな体。ブランだ。腕にすっぽりと収まる体。しっかりと私に抱きついて眠っている。可愛い。

 こんなにあどけない姿なのに空を飛ぶ時は力強くて、早い。早く、早く…そんな気持ちを感じる。柔らかな頬を撫でて頭にキスをする。

 こんなに想ってくれて、慕ってくれて。私は幸せ者だ。ありがとう…。もう郷に帰れるのに、私のそばにいてくれて。


 まつ毛が震える。瞬きして開いたその青い目は全てを見通すように真っ直ぐで、透明だ。

 私がそこにいることを確認するみたいに、胸に頬を寄せる。

「ずっと一緒だよ…」

 どういう想いで言った言葉なのか、分かったけど私には何て応えていいか分からなかった。

 まだ生まれて数ヶ月。先を決めるには早過ぎる。

「一緒だよ…だって僕はアイル以外と契約しないから。アイルがいなくなったら…生きていけない」

 まだこんなに小さいのに、そんな覚悟を決めさせてしまったんだね。

「良かったんだよ!出会えて…だから」


 その小さな背中に手を当てる。

「だからたくさん交わって…」

 朝からブランは絶好調だった。魔力循環は難しい。

「アイル下手だね?僕が(魔力を)入れるよ、ほら…力抜いて?そう…感じてる?嬉しいな…もっと交わろうね…アイル。離さないよ?」

 えっと、だから言葉ね…


「たくさん繋がろう…ほら、ねぇ…気持ちいい?」

 うん、繋がるのは魔力な?

「感じてる…?」

 なぜかブランちゃんは交わる時に俺様になる。それも可愛いけどね?会話だけ聞くとちょっとね?何してるのって感じで。恥ずかしい。


「照れてるの?可愛い、もっと欲しい?」

 うん、魔力気持ちいいね…

 と朝からしっかりたっぷり交わったよ。で、起き上がると身体が軽かった。あ、久しぶりだ。凄い。

「ふふっ頑張ったからね?気持ちよくなって欲しくて」

 やっぱり起き上がったブランは恥ずかしそうにそう言った。うん、可愛い。

「ブランは?」

「僕も体が軽いよ。イグナシオに着くまで毎日…よろしくね?アイル」

 えっ、う、うん…よろしく?


 朝ごはんを食べて出発。

 久しぶりに本当に身体が軽い。ブランは無理してないかな?って思ったらハクが

『ブランの調子が上げ上げだね…今日は距離を稼げそう』

 分かるんだ?

『うん、今日は僕も混ぜて!』

『私も!』

『いいよー』

 えー?それはその…ね。要相談?


「イル、ハク様は何て?」

「今日はハクもナビィも一緒にって。昨日はブランと2人だったから」

「そう、イルはみんなと…」

 目を伏せたロリィにナビィが

『ロルフも混ざる?交わっていいよ。私は…』

『僕もいいよ!』


(ナビィがロリィも交わっていいって。あ、魔力な。ハクとはした事あるよね?)

(そうだね…僕はイルのそばに居られればそれで)

『じゃあ一緒に交わろう!』

 何度も言うけど、魔力ね?


 なぜだかベビーズまでそわそわしてその日の飛行が終了。予定よりも確かに距離は稼げている。

 昨日同様にブラッドと、ベルはテントで休む。私たちは箱庭に移動。で、がっつりとお肉を食べてからお風呂。もうルーティンだね。

 今日はみんなで一緒だから客間に集合。

 チラッとハクを見る、さすがにみんな一緒だしね。体は交わらないよな。うん、だよね…?



 そういうのがフラグと言う。



 ハクに脱がされて…恥ずかし過ぎてもう何があったのかは言えない。だいたい途中から記憶ないし。

 ハクと魔力が交ざりあって心地良かった事とか、ブランちゃんが俺様だったとか、ナビィが甘えたさんだったとかは朧げに覚えているんだけどね。

 周囲の状況は全然記憶にない。


 目が覚めると銀髪と銀髪と黒髪に濃い金髪と白髪まである。どういう状況?

 まず、私は仰向けで目の前にはナビィがいて正面から私に抱きついている。左から抱きついてるのはブラン、ナビィと私を抱き込むようにして右側にいるのがハク。

 ブランの後からブランごと私の肩を抱いているのがロリィでハクの向こうがでハクに半分乗りあがるようにして片手で私とナビィを抱いているのがエリ。


 団子だね?ベビーズは私の首元の左と右にいて、アイリーンとリツは少し離れた所のクッションに収まっている。

 これは俗に言うハーレムなの?ナビィ以外は男だけど。ハーレム…。そして昨日の事を思い出してぶわっと顔が熱くなる。ハクってばみんなの前で…1人涙目で震える。

 覚えてないからどんな反応でどんな顔だったかと考えるとそれはもう恥ずかしいし居た堪れない。

 繋がったのが魔力だけなのか、それすら分からないなんて。


 ふぅと息を吐いて目を開けるとナビィがまん丸な黒目で私を見ていた。

 小さな声で

「アイリおはよう。昨日は凄かったね…」

「ナビィおはよう。凄かったって何が?」

「ふふっ可愛かったよ?」

 ナビィから話を聞いて…あまりの事に気絶していいかな?と思った。そんな事になってたなんて。

 思わずナビィの薄い胸に顔を擦り寄せて抱きしめた。

 無理、色々無理。どんな顔したらいいのか。恥ずかしさだけではなくて、人としての尊厳が。


「アイリ…朝から激しい。繋がる?」

 まん丸な黒目で聞かれた。いや、無理。そんな私にはお構いなくナビィはキスして来た。犬そのもののペロペロなキス。犬だと可愛いんだけどね?人型でそれはちょっと。と思っていると右から視線を感じた。

 目を向けるとハクの青と目が合う。魅惑的な微笑みで私を見ると耳元で

「おはようアル…昨日は凄く良かったよ」

「ハクおはよう…なんであんなこと…?」

 涙目で聞けば

「アルは僕のものって知らせとかないとね?僕は特別なんだよって…」

「だからって…」

 私はうまく言葉に出来ないけど、やっぱり…昨日みたいな事はやめて欲しい。でもハクは人じゃない。人の感性を求めるのが間違ってるのかな。


 私は黙って、目を瞑った。

「アル?」

 私はもう応える気力もなくて…黙っていた。上手く言葉にできないけど、()()()()

「アル…アル…どうして?泣かないで…」

 私はしばらくそのまま動かずにハクの問いかけに応えなかった。そして、ナビィをハクに預けて起き上がると服を掴んで部屋を出てお風呂に入った。

 誰も入れないように、鍵を掛けて。

 1人じゃない事は凄く心強い。でも時々、凄く場違いな気がしていたたまれない。

 私はここで何をしてるんだろう。


 いっそ無に返ってしまえば苦痛も何もなく、背負うものもなくいられるのかな。

 後ろ向きな思考が加速する。お風呂に1人でつかりながら、そのまま温泉に移動した。

 孤独が好きな訳では無いけど、今は1人で考えたかった。私は何をしてるんだろう。何を目指しているんだろう。


 自分の意思なのか?そう思わされているだけなのか。自分すら信じられなくなる。そのままぐるぐるとした思考を巡らせた。

 今ここは誰も入れない。私が箱庭の連携を解除したから。彼らは箱庭から自由地帯に帰れるけど、ここには来られない。そういう事。

 自分の箱庭だから出来る。便利だ。しばらく1人で寝ようかな?でもブランの負担が…。ダメだ。しばらくここにいよう。

 私はちょっと今、疲れているみたいだ。主に心が。


 空を見上げる。ここからなら私がイリィに会いに行ける。凄く会いたい。こんな時こそ抱きしめて欲しい。

 そのきれいな月を1人で見上げていた。

 私はここで何をしてるんだろう…。

 全てを捨て去りたくなるような孤独が闇に溶けていく。このまま消えてしまえたらいいのに。




(アイ…どこにいるの?)


 イリィの声だ。どこにいるのってどういう意味?


(アイ…ハクがイグ・ブランカに来た。取り乱してて要領を得ない。何があったの?アイ)


(言えない…)


(アイ…?ハクが泣いてる)



 それでも私の気持ちは何も動かない。あぁ、これが本来の私。ただ、面倒で軋轢を避けたくて。

 目に見える形で人が傷付くのが嫌なだけ。偽善だ。



 私はイリィに応えずに温泉から上がる。服を着て温室に向かう。



(来たよ)(来たね)

(心が泣いてる)(悲しんでる)

(ハクは神獣)(人の理りから外れた存在)

(愛おしかった)

(人とは違う)



 だから?

「それなら、私がどんな気持ちになってもいいの?私が我慢しなきゃならないの?何で私なの…

 もう放っておいて!なんでこんな…嫌だ。全部全部嫌だ!この世界は私に悪意ばかり…死なせたいなら殺せばいい…どうして…」



(違うよ)(違うよ)

(泣かないで)(違うよ)

(我慢しなくていい)



 光が舞う。色々な思いが溢れ過ぎて奔流のように流れて行く。私は誰?愛理じゃない。でもアイルにも成りきれない。

 私は誰…?




ハクはみんなにアイルは自分のものだと見せたかった…

だからアイルとみんなの前で交わった…

アイルの人としての尊厳はハクには分からない

ただ必要な存在 それが魂が求めるということ

あくまでもハク側の見方

人としては色々と居た堪れない


※読んでくださる皆さんにお願いです※


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