263.キウリラの町
設定ミスの話ですが、リベールがイグニシアに同行すると書いていたのに旅のメンバーに入ってなかったんです…
で、この先はリベールを入れ込む作業が
なので、見直しつつとなるので投稿時間含め不規則になりそうです
まぁまぁ致命的なミスでした…
やっぱりロリィはロリィだった。まぁね、領主の屋敷とか休まらないしね?どうせ箱庭で寝るし。
でも領主の息子さんは涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも、なんなら鼻水も垂らしながらそばにいた騎士たちに伝言を頼んで、私たちは町に入れた。
すぐに馬車がやって来て
「ご案内します、お乗り下さい。我々は徒歩で宿までご一緒します」
と扉を開けてくれた。
御者が手を出したけどロリィはそれを無視して私に手を貸して馬車に乗せてくれる。自分は御者の手を借りて乗った。エリも続く。
ブラッドとベルは馬車に乗らず、徒歩で付いてくる。
そうして馬車は出発して、10分くらいで止まった。扉が開いてロリィが降りるとまた手を貸してくれて私が降りる。
そのまま手を繋がれて宿に入った。明らかに顔色が悪いだろう私を気遣ってくれる。
何室とか聞かれなかったけど?と思ったら貴賓室が1部屋と普通の部屋が2つで、貴賓室はちゃんと寝室が2つあった。でもこっちは5人。分け方はブラッドとベルが1人部屋で残りの3人だ。
「2人と3人だ」
貴賓室のベットが足りない。するとベットを運び込むと言う。すかさずロリィが断った。
「大丈夫…足りる」
その言葉をどう受け取ったのか、宿の人も領主の息子さんも顔を赤くしていた。
ん?と思ったけどソファでロリィに膝枕されてるから少し首を動かしただけ。ロリィは私の頬にさわりと触れると軽く微笑んでくれる。
まぁいいか。そのまま少し微睡んだ。あ、みんなお腹空いてるよね。作らなきゃ…。
起き上がると心配そうに見つめる3人とハクたち。
ブラッドは別行動すると言って部屋に行った。だからロリィとエリとベルが部屋にいた。
少し楽になったから大丈夫と笑って箱庭に一緒に移動する。
待っててと伝えて厨房へ。せっかくナビィがとってきてくれたからね。
そばでナビィとハクがしっぽをブンブン振ってる。その頭を撫でる。
さてと、手を洗ってから鶏ガラスープを取り出す。
そう、ほらあの空間拡張ポーチ。時間停止と冷凍や冷蔵庫を作ってたけど空けてた更衣室。その男性用を時間促進にしたんだ。
で、ワイバーンの骨とか内臓を両手で抱えるくらいの寸胴(アイル作new)に入れてお湯を入れて沸騰させた所で時間促進の男性用更衣室に入れて置いた。なんせ骨も内臓もデカいからね、
で、煮込んで出来たのはワイバーン鶏ガラスープだ。それを大きめの鍋(アイル作new)5個くらいに移して、残りはまた男性用更衣室に入れた。次に見る時は鳥ガラスープの素が出来上がってるはず。
後はワイバーンのお肉。それを茹でて小さめに割いておく。そばで2つのしっぽがこれでもかと揺れるので、少しお裾分け。バクバク食べてるね。ナビィによると美味しいらしい。
後は塩と胡椒で味を整えたスープに硬めに炊いたお米とお肉、薬草を入れて完成。
ワイバーンづくしのあっさり雑炊。
私はこれだけしか食べられないけど、ロリィとエリ、ベルには焼いたお魚やソーセージ、サラダとパンも付けたよ。
それでも3人は私の雑炊が食べたいって言うから分けてあげた。たくさん作ったからね。
「凄く美味しい…スープが濃厚なのにくどくない」
ロリィに好評。
「本当だ、濃厚なのにあっさり?お肉も美味しいし、この粒?がとても甘い」
エリにも好評。
「アイルの料理はなんでも美味しいけど、これはまたコクがあって美味しい」
黙々と食べ進めている。早いな?私はお肉をナビィやハク、起きて来たブランとハル、ナツ、リリにも分ける。すごく美味しいのか、みんなキラキラした目でおねだりだよ、可愛い。
もちろんあげたよ?だってね、可愛いからさ。
今日は昨日作った鶏ガラスープのお陰で昨日よりは元気。なのにロリィは久しぶりに町に、って。まだ旅に出て2日目なのにね?過保護なんだよ…。
そんな風にそばで世話を焼いてくれて、それが小さな子供だったら尚更慕うよね。なんとなくラルフ様の気持ちが分かった気がする。
ロリィは私にとにかく甘いのだ。エリは兄弟がいても一緒に過ごしてないのに、やっぱり私に甘い。ベルはイリィに対するみたいにやっぱり甘い。
なんだろう?美形が甘くしたくなるエキスでも出てるのかな?
「イルはね、いっぱい構いたくなる…」
「そう、気になるんだよ、凄く」
「可愛いからね」
だって。
イリィも私には激甘だからな…。食べ終わって片付けをしたらお風呂。
今日は湯船につかりたい。まだ気分は悪いけどね、ハクもナビィもブランもベビーズも入る気満々だし。
今日はロリィもエリもベルも、サッと私を洗うと自分たちもサッと洗って湯船につかった。ふう落ち着くな…。周りでハクたちもくてっとしてるのが可愛い。
激的に回復はしないけどね。身体が温まるから少しだけ楽になった。これで今日は少し眠れそう。
お風呂上がりのフルーツ牛乳を飲んでから自分の部屋に行く。ハクたちと寝よう。
ロリィとエリ、ベルにおやすみを言って布団にゴロンと横になる。
ハクがすかさず横にくっついてナビィは背中側に。ブランとベビーズは首元。もふもふとふわふわとふかふかだ。ありがとう、おやすみなさい。
翌朝、目が覚めると目の前に銀色…ん?これはハク?
うおっ、人型のハクの顔がすぐ近くにあったよ。美形なんだからさ、距離感だよ…距離感。
まつ毛きれいだなぁ、髪の毛サラサラだなぁ…美形だなぁ。感心してジッと見てたら首元でブランがもぞもぞと動いた。
「ブランおはよう」
小さな声で言う。
『ご主人おはよう…』
照れくさそうな小さな声が可愛い。
「たくさん飛んでくれてありがとうな」
『えへっ』
翼で顔を覆うブラン、可愛い過ぎだよ。
その頭にキスして頬擦りをする。
控えめなブランはハクやナビィみたいにガンガン甘えては来ない。でも目が合うと尾羽が上下するし羽をパタパタする。首も動く。
とにかく全身で嬉しさを現してくれる。
本当は凄く立派なのに、私のそばではいつも小さくなって…。大きくたってブランが可愛い子なのは変わらないのに。
両手で抱えてたくさんキスをした。
あ、そういえば身体がだいぶ楽?これはハクかな。人型だし。
ハクを見たら目が開いてた。えっと…見てた?ブランにチュッチュしてたの?恥ずかしいな。
「おはようアル、凄く可愛かった」
見られてたんだな、これは。
「おはよう、ハク…起きてたなら言ってよ、恥ずかしい」
「くすっ可愛いからさ…で、気分はどう?魔力循環したよ?」
「うんありがとう…だいぶ楽」
「本当はね、交わりたかったけど我慢したよ?その代わりたくさん抱きしめたけどね」
それで裸なんだね?私たち。恥ずかしくて布団を体に寄せる。
ハクはこちらを流し目で見るとおでこにキスをして起き上がった。私の背中に手を当てて、私も起こしてくれる。
そのまま私を抱きしめてから離して立ち上がった。
きれいな背中から腰の曲線をボーッと見てから私も立ち上がる。ハクが手を差し伸べてくれたからね。
体を洗浄して服を着る。
みんなで一緒に居間に向かう。ロリィとエリにベルはまだ寝てるだろうから朝ごはん作ろう。
私はおかゆ。白がゆにワイバーンのお肉とワイバーンの肉そぼろ(塩味)をかけて食べよう。
3人にはたまご粥にしようかな。きっと気にいる。
用意が出来て呼びに行こうとしたらロリィとエリ、ベルも起きてきた。
「おはよう、ご飯出来てるよ」
「おはようイル、気分はどう?」
真っ直ぐに私に向かってくると頬に手を当てて聞くロリィ。
「ありがとう、だいぶいいかな?」
良かったと呟いて食堂の椅子に座る。と言っても6人がけのダイニングテーブルだけど。
エリも
「アイル、おはよう。少し顔色もいい」
「おはよう、エリ。そう?気分もだいぶいいよ」
良かったと言ってエリも椅子に座った。
「アイル、少し早くなったかな」
「うん眠れたから」
すかさず抱き付いてキスされた。ほんと素早いよね?
たまご粥を3人によそう。私は白がゆ。食べ始めたらロリィもエリもベルも美味しいと言って上品なのに早く食べていた。凄いよね?私は熱いの苦手だからふうふうしながら食べてるのに。
食べ終わって私のお皿を見ている。
「こっちはほとんど味を付けてないよ?味をつけたこのお肉を乗せて食べるんだけど」
「「食べたい」」
「用意するよ」
立ち上がってよそう。多めに作ってるからまだまだある。お肉そぼろや薬草も乗せて3人の前に置く。
ぱくっ。
いつもながら全く躊躇が無い。
「んっ…これもとても美味しい」
「あっさりしてて、お肉の味が引き立つ」
食べ歩き番組のリポーター出来るよ?2人とも。ベルは…無言で食べてるね。感想を言っていた2人とベルは私が食べ終わる前に、おかわりも食べ終わってた。
「「ご馳走様…」」
残さず食べてくれて嬉しいよ。食後に緑茶を入れてゆっくりする。
ちなみにハク、ブラン、ナビィ、ベビーズにはワイバーンの茹でたお肉。美味しいみたいでリクエストされたよ。
ふぅ、箱庭落ち着くな…でもそろそろ宿に戻らないと。
「戻ろう…」
ロリィの一声で宿に戻った。ベットには寝た形跡が無いけどいいのかな?
と思ったらロリィが私を抱き上げて(お姫様抱っこで)ベットに運ぶとそのまま毛布の中に私とくるまった。
えっと?
「少し寝て…まだ早いから」
そうなの?ロリィを見ると目を瞑っていた。その長いまつ毛を見て私も目を瞑る。時間にすればほんの10分ほどかな?ロリィの体温を感じて安らげたよ。
ありがとう。
起き上がって居間にいたエリと一緒に部屋を出た。ロビーでブラッドとベルと落ち合う。
宿から出たら領主の馬車が止まっていた。いつからそこに?
馬車から人が降りてくる。昨日の人だ。
「皆さんおはようございます。門まで送ります」
ロリィは鷹揚に頷いて馬車に乗った。そこからまた10分ほど馬車に乗って門に着いた。
「お気を付けて…この町を救ってくださりありがとうございました」
胸に手を当てて深々と頭を下げる人たち。ロリィは
「偶然だから…気にしないで」
と簡潔に伝えて背を向けた。私は何て言えばいいか分からず、結局何も言わずにロリィを追う。
「今を大切に…」
エリがそう言って、ブラッドは無言で、ベルは手をひらひらと振って、私たちはもう振り返らずに進んで行った。
ある程度進んで、彼らの視界から消えたらブランに乗ろう。
こうしてナビィの、私に美味しいお肉を贈ろうが一大騒動を収めたのだった。
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