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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第1章 異世界転移?
26/419

26.貧民街再び

 ゆっくりと通りを歩いて行く。ほんの数日前に通ったばかりなのにすでに懐かしく感じる。

 異世界転移した初日だったな…屋台の付近にレオとルドがいるかと思ったけど見つけられなかった。だから貧民街の彼らの家に行くことにして歩いている。ハクは留守番だ。


 元気にしているかな?ご飯食べられてるかな?人の心配ができるほどの余裕があるわけではないけど、せめて縁あって知り合った彼らには不幸になって欲しくない。ただの自己満足だけど。

 そんなことを考えながら歩いていると、貧民街の最奥付近に見覚えのある家を見つけた。


 ドアをノックする。しばらく待つとガチャリと開いてレオが顔を出した。

 私だと気が付くと

「兄ちゃん生きてたか!」

 慌てて出てきて上から下まで確認する。ん…?宿の親父が兄ちゃんが帰って来ないって言うからさ…だって。


 そうだった、あの宿はレオ達に教えてもらったんだった。心配してくれたのか。なんだかあったかい気分になった。

「予定外のことがあって帰りが遅くなったんだ。生きてるよ」

「心配したんだぞ。見るからに頼りないし…」

 7才に言われるのは傷つくよ…

「あのな、おれ、兄ちゃんにお礼を言いたく」

 ん?なんで??

「ここを直してくれただろ?でシャワーが浴びられるようになって。体も服も清潔になったらお使いを頼んでもらえるようになったんだ」


 あーね、確かに君たち匂ったし…。

「で、毎日パンが食べられるんだ。すげーよほんと。天国みたいだ」


 それが天国に思えるほど苦労したんだね…切なくなる。

「それなら良かったよ。何か不具合はないかな?」

「全くない。ほんとにありがとな」

 それを早く言いたくてさ…そうちょっと照れくさそうに言う。

 デレか?デレなのか…イケメン7才男児のデレ頂きました。はい、ご馳走様です。


「ルドは?」

「今お使いに行ってるよ。あいつ小さくて可愛いだろ?おばさんに人気なんだよ」

 禿(はげ)しく納得。

「そういえば兄ちゃんは何か用?」

「あぁ、家の状態どうかなと思って。やりっぱなしだったから。後はちょっとお願いがあって」

「そうなんだ。気にかけてくれたんだ?兄ちゃん相変わらずお人好しだな。で、お願いって」


 相変わらずは余計だよ…

「うん。薬草の採取をしようと思って。手伝って貰えないかなって。もちろんお金出すから」

「自分でできるんじゃねぇの?」

「常設依頼の分は自分で採るんだけど、自分用に欲しくて」

「それを俺たちの仕事にしてくれるってことか?」

 頷く。


「兄ちゃん自分でほかの日に行けるだろ?」

 これも頷く。

「最近、いろいろあってさ…休みたいんだ」

「あぁ予定が伸びたやつな」

「正直、あまり動きたくない。なんだか色々引き寄せちゃうみたいだから」

「災いを呼ぶのか?」

「断じて違う」

「ふーん。まぁ俺たちは仕事貰えるなら助かるけど」

「じゃぁお願いするよ。取り合えず、明日どう?」

「いいぞ」

「じゃあ頼む。ルドも来れたらお願いする」

「分かった。どこで待ち合わせ?」

「あぁ、前に屋台が出てた広場で9時ごろに集合しよう」

「おう。それじゃまた明日な」


 よし!人手ゲットだ。最近、貴族案件が多すぎて…やっぱり普通がいいよね、普通が。


 宿に戻ると筋肉増し増しの主人が

「ギルドから連絡があった。鑑定が終わったから都合のいいときに依頼完了窓口に来いってさ」

 あれ?早かったな。

 主人にお礼を言ってそのままギルドへ向かう。


 昨日ぶりの探索者ギルドに入って依頼完了窓口に行くと、昨日の会議室へ誘導される。部屋に入ると正面にロルフ様と手前にギルマスが座っていた。いや、何で2人ともいるの?


 扉の手前で固まっていると

「何してる?早く入れ」

 はい、すみません。入ったところで立っているとロルフ様が隣の椅子をとんとんする。あ、既視感。

 椅子の端っこにちんまりと座ると

「薬草と水晶、紫水晶の鑑定が終わった」

 はい?水晶の鑑定とな?それは依頼の品ではありませんが…ロルフ様を見ると頷かれる。その頷きは何でしょう?


「まず4種類の薬草だ。品質、採取方法、鮮度すべてSだ」

 ほえー。S評価とは。

 採取品の評価はL,M,H,Sの4段階。もちろんSは最高評価だ。

 いいんだろうか?

「薬草の研究家が間違いなく最高品質だと言ったからな」

 いや、できればHぐらいが良かったです。目立ちたくないし…。


「次に水晶だ。特に水晶と紫水晶の塊。あれは見事だ。塊の中に水晶が詰まってるあれもな。六角柱の結晶については現時点で値段が付けられない。

 あの場所を極秘にする必要がある。アイルには魔法契約で採掘場所を話せなくする。これは決定で拒否できない」


 情報多すぎです…帰っていいですか?

 思わず遠くを見つめていると、紙が目の前に差し出される。

「買取金額だ」

 ドキドキしながら紙を見る。


 水晶と紫水晶の塊 大銀貨10枚

 水晶が詰まった塊×5 大銀貨3枚×5

 六角柱×3 未定 オークションの最低入札金額 金貨1枚


 金貨って大銀貨何枚ですか…?

「金貨1枚は大銀貨100枚」

 ロルフ様、やっぱり心が読めますね?

「読めない…君は分かりやすい」

 …金貨1枚ってあちらの100万相当。気が遠くなる。

 縋るようにロルフ様を見る。


「水晶はすべてロルフ様のものなので、自分は受け取れません」

「一緒に採取したから半分にしたんだよ。それでも私のほうが多く貰っている」

「それは依頼者なので当然です。むしろロルフ様が全部貰って下さい」

「私は現物があればいい」

「しかし…」

「貰っとけ。自分の成果だ。ロルフは譲らんぞ」


 結局、薬草4種類と水晶などの合計は大銀貨27枚とオークションの結果となった。

「オークションに出したほうが高く売れるという配慮だが…不要なら1個はギルドで、残りはロルフが金貨1枚で買い取る。どうする?」

「それでお願いします。あの…できればもう少し安く買い取って欲しい」

「却下だ。最低金額だと言っただろ」


 ううん、あ…それなら。いい案を思いついた!

「それなら自分の分の内、六角柱1個はロルフ様にプレゼントします」

 一瞬静まった後、くくっギルマスの笑い声が響く。

「ロルフ、折れてやれ。可哀そうになってきた」

「仕方ない」


 そうしてひとまず、指名依頼は完了した。


 指名依頼の報酬

 同行依頼 大銀貨10枚

 水晶と紫水晶の塊 大銀貨10枚

 水晶が詰まった塊×5 大銀貨3枚×5=15枚

 六角柱×3 1つはロルフ様へ 金貨1×2=2枚

 

 大銀貨換算 235枚


 所持金合計 銀貨 約2500枚


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