244.ユニミ
全力で隠蔽しないと…普段穏やかに笑ってる分、怒ったイリィは本当に怖いんだ。
ヒュン
目の前にベルとイリィがいた。はい?何でここに…しかも今のタイミングでなの?
マズイ、マズいぞ。
ハクを見る。あっまた目を逸らしたな。
イリィは私を見て駆け寄ろうとし、ユニミを見つけて固まった。そしてハクを見て、私を見てユニミを見てまた私を見た。
「アイ、僕を見て?」
首を傾げるイリィ。可愛い、けど目が怖いよ。
そっとナビィを見る。素早くそばに来たイリィは私の頬を両手で押さえて
「アイ?」
チラッとな。ヤバし…。
「あの白くて神々しいお馬さんは何?ねぇ」
「わぁ、凄いや!イーリス、ユニコーンだって。アイルと契約してるみたいだよ?」
「…」
ベル、空気読んで!
『ちょっとお散歩ー』
あぉ、頼みの綱のハクが…
『私もー』
ナビィちゃんまで…ブランはそっと飛び立ってベビーズはハクの背中。
ミストとミアまで
『お散歩ー』
…そして誰もいなくなった。
「アイ、ねぇユニコーンって?契約って?今度は何を引き寄せたの?教えて…」
目の前にある美形の迫力が…。
「へーアイルに助けられたのか…」
だからベル!空気、この空気を読んで…。イリィの笑顔が深くなる。
「ダメだよ?これ以上は。言ったよね?」
はい、ごめんなさい。でも不可抗力?
「ふぅ、もう…知らないうちにベル兄様はアイの所に飛べるって言うし、僕の知らないうちにね。もう、少し目を離すとこれだから。分かってる?心配なんだよ…」
えっと、ごめんなさい。上目遣いでチラッと見る。私を真剣に見ているイリィは軽くキスをすると抱きしめた。
「僕より先にベル兄様になんて酷いよ…」
「それはね、実験に付き合って貰ったからだよ。イリィが危険にならないようにね」
「もう、だからアイは。怒れないじゃないか。で、何でユニコーンと契約?」
「名前付けてって言われて。付けたら契約されてた?」
「えっ?そうなの…」
『そうよー、だってぇ独りは寂しいから…』
突然話したユニコーンにイリィが驚く。
『仲間がいないの…我は少し特殊らしくて。郷から出されてしまってね。で、仲間が同族が呼ぶ声に嬉しくなって来たら捕まって呪われたの。もう独りは嫌なのよ。騙すようにしてごめんねぇ。ちゃんと役に立つから…』
大きな真円の目を潤ませて懇願するユニミ。
「ユニミ、寂しかったね。もう大丈夫だよ。仲間ならたくさんいるから」
「「ユニミ!?」」
「う、おほん…いい名前だよね?」
((クソダッサ…))
『ユニユニ言ってるうちに決まっちゃったのよ』
「「それはその…ね?」」
『ねぇ、森人よね?白の森が凍ったのと関係があるの?可愛い子たちねー』
「あると言えばある、かな」
ベルが答える。
『大丈夫よー私の息吹があれば広がるのを抑え込めるわ!』
「「「えっ?」」」
『当たり前じゃない。幻獣なのよ?自然を司るんだから、それくらいは簡単。でもね、あれは一種の呪いだから…私には溶かせないわ。アイルなら出来るけどね』
「「「えっ?」」」
『だからイグニシアに向かうんでしょ?イグニスによろしくね!』
いやいやいや、情報が溢れてて追いつかない。なに?イグニスってあの創世神の?私なら溶かせる?よろしく言って?
ダメ、ちょっと待って。無理、処理能力を超えたわ。
『あ、言っちゃダメだったかしら?聞かなかったことにしてね!』
ウインクして誤魔化したよ。まぁ今考えても仕方ないか。
いつの間にかイリィが、私に抱きついている。
『ねぇ、その指輪で転移したの?面白いわね。でも帰れないのね…ふふふっまだまだねぇ』
なんか悔しい。でもそうなんだよね、片道なんだ。
『ふふふっじゃあオマケしてあげるわ』
ユニミがベルに指輪に息を吹きかけた。ピカンっと緑に光った後に指輪を見る。
(アイルが作った転送装置をユニミが双方向行き来できる装置に向上させた 神級遺物)
ぐほぁっ…。マジか。でもイリィに渡す物にもつけて欲しいな。
『あるの?』
頷いてポーチから出した。
『あら可愛い。要望がダダ漏れねー』
言わないで!自分でも思ってるから。そこに息を吹きかけるユニミ。また緑色にペカンと光って…から七色に輝いた。
えっ?
(アイルが最愛のイーリスの為に作った転送装置
どんな場所でも一瞬でアイルの元に辿り着く
あらゆるものを防御、治癒する
創世神の祝福付き 神代に実在した転送装置を復元したもの 神専用遺物)
ユニミ?何をしたの?
『神の伊吹をちょっとね?』
ちょっとじゃないでしょ、もう。
「ユニミ、やり過ぎ。ダメだよ本当に。ここは普通ので良かったんだからね?いい?やり過ぎはダメだよ!」
「くすっ」
「ふふっ」
イリィとベルが笑ってた。私は神級とか作ったり…ランカオウとかあったかも?まぁ、いいか。
これでイリィも私の元に飛べる。
「イリィ、これね。足の指に付けて?」
頬を染めるイリィが可愛い。膝をついて靴を脱がせ、その白い足の指に付けた。あぉ、可愛い。
思わずキスをしたら
「アイ…」
目を潤ませたイリィがいた。可愛いよ?そのまま足に頬ずりしてしまった。
「もう…」
頬を染めて、でも嬉しそうに微笑む。また靴を履かせて立ち上がるとイリィが抱きついて来た。
「すぐに会いに行けるね?」
「うん、会いに来て?いつだって会いたいんだから…」
『いやー青春ねぇ…』
ちょっとユニミは黙ろうか?今凄くいい雰囲気だったのに。
あ、今頃ハクやナビィたちが戻って来たよ。もう酷いよ…危なかったんだよ?
『アル、イーリスに神専用の転送装置が付いたね!』
…ハク、なんでバラすの?
「アイ?何のこと?」
ギギギッ…おうふっ、マズイ。ハク、逃がさないよう。がっしりとその首を抱え込む。うん、良きもふもふだね…。
「ハク、ねぇ…神専用の転送装置って何?」
『神の息吹よ。神代に使われてた物をアイルが再現したの。それを私がより高めたっていうか、ねぇ』
ユニミ、わざと?最早わざとなのかな?ん?
「ユニミ、それはとんでもない代物では?」
『当たり前でしょ?もう神と同列の扱いなんだから』
「「…」」
「すごいね、アイル」
ベル、ありがとう。なんか怖くて振り向けないような?
『でもね、その子の愛があってこそよ?』
ユニミ、いい事言った。そっとイリィを見る。頬を染めて
「仕方ないなもう…」
だよねー、不可抗力だよ?
イリィはやっと笑ってくれた。可愛い。ハクの首毛一緒にもふる?
間に合ってる?そうか、残念。ハク、ちょっと動かないでね?お尻もみもみするから、で匂いもチェックだよ。ふさふさだねぇ。
ふぅ、なんとかなった。
「イリィはどうしてここに?」
「ベル兄様がね、そわそわしてるから。問い詰めたらアイの所に飛べるって。だから…」
「寂しかった?」
コクンと頷くイリィ。はぁ、可愛い。
「ちゃんと作ってたでしょう?」
またコクンと頷く。
「何かあるといけないから先にベルと帰っててな」
「また後でね?」
頷いてベルと帰って行った。ユニミのお陰で問題解決したよ。
「ユニミはどうするの?」
『どうって?』
「いや、これからどうするのかなって」
『もちろん一緒に行くわよ』
「そうなの?」
『契約者なのよ?』
「そうだけど、北には行かないんでしょ?」
『アイルが守りたいものの側にいるわ。強いのよ、我は』
神々しいユニミを見る。確かにとてもきれいだ。絵画から抜け出たかのような美しい姿。
「イリィを守って」
『任せて!』
こうしてまた新しい仲間が増えたのだった。
はぁ、どうしてこうなった?
引き寄せるもの…
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