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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

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241.温泉の朝

 目が覚めると黒い髪。自分の髪の毛をこうやって見るのは違和感がある。目を瞑っている顔も自分の顔だ。

 今の自分と色こそ違うけど似た私。まだ少女の頃の私。その髪をそっと撫でる。

 昨日はナビィの魔力を感じながら眠ってしまった。

 なんかコトが終わってすぐ寝る男みたいで…申し訳ない。ナビィはもっと交じり合いたかったかな?

 ごめんな。疲れてたみたいだ。


「アイリ…おはよ、う…」

 こくりこくりとまだ頭が動いて眠そうだ。ギュッと抱きついてくる。

「アイリ、酷いよ…すぐ寝ちゃうなんて…」

「えっとごめん…」

「ダメ、お仕置きなの…うん、眠い」

「まだ寝てていいよ」

「そばにいる?」

「ここにいるから」

 また寝始めた。やっぱり女の子に寂しい想いをさせちゃダメだよな。13才だしまだ体はそこまで女性らしくないけど、少し胸も膨らんでてちょっと変な感じだ。元が自分だから何も感じはしないけど。


 女性を抱いてる想像が出来ない。感覚としてはその方が背徳感がある。だいたい転生ならともかく、転移で性別変わるとかおかしいよね?

 もしかして私と律との間に子を授けたかったとか?どうだろう…うん、無いな。どう考えても律と親友以上になる未来はない、無理だ。


 ナビィがむにゃむにゃ言う。可愛いナビィ、大好きなナビィ。私に会うために世界を渡った可愛い子だ。

 ありがとうね、大好きだよ。その頭にキスをして微睡んでいた。

 ふと目を開けるとナビィがこちらを見上げていた。

「良かった。また急にいなくなったらと思って…時々怖いから」

 私はその言葉に胸が締め付けられた。そうだね、黙っていなくなっちゃダメだよね。

「大丈夫…だってナビィは私の元に来てくれるでしょ?」

「もちろん!」

 キスして起き上がる。まだ甘えたいのかナビィはお膝に乗って離れない。

 仕方なく一旦おろして服を着替えるとまたナビィを抱っこした。

「今日はこのまま一緒にいる!」


 仕方ないな。居間に移動するとハクとベルが寄り添っていた。ベルはなんだか艶々してる。ハクと魔力を循環させたら体調が整うからな。

「おはよう」

「「おはよう」」

「あちらに戻ろう。ハクはベルをお願いな」

「任せて!」

 人型のまま答えるハク。

「またあっちでね!」

 私はナビィと箱庭経由でロリィの屋敷に戻った。


 リベラが

「朝食の用意が整いました」

 と伝えてくれる。ナビィは私に引っ付いたままなので、一緒に食堂に行った。席に座る。

「ナビィ降りて?」

 首を振る。拒否ナビィだ。仕方ない。

 イリィ、ロリィ、エリに変な目で見られながら食事を食べた。

 普段大人しいヨナが珍しく

「アイル、この可愛い子は?すごく綺麗な髪の毛」

 目をキラキラさせて聞いてきた。

 エリもなんだかソワソワしてる。


「あぁ、知り合いの子だよ?とても大切な」

 見えないしっぽが揺れている。可愛い。頬にキスをするとなぜかヨナとエリが赤くなった。

「このまま厨房に行くね!」

 話し出すと長くなるからここは退散だ。もちろんナビィを引っ付けたまま。

 厨房にに入るとソマリがとても驚いて腕を上げたり下げたりしてたけど、息を吐いて

「新しいレシピですかな?」

「うん、そうだよ。その子はまぁ気にしないで」


「ナビィ…流石に危ないから降りて?後ろから抱きつくのは構わないから」

 おろすと背中からしっかりと貼り付いて…んん、抱きついた。

 ソマリに材料を告げて自分も準備をする。

 キノコとひき肉(たくさん作ったストック)、菜種油だ。


 まずは固パンを魔法で細切れにする。ドライパン粉だ。そして小麦粉に卵。

 そう、フライだね。でもその前にソマリが用意してくれた芋を蒸して潰す。

 その間にネギの微塵切りとひき肉を炒める。潰した芋と合わせて小さな丸にする。

 小麦粉を入れた袋に丸めた芋を入れてふりふり。粉が満遍なく着いたら軽く叩いて卵液に付けてパン粉を眩してしっかり抑えて完成。

 じゃじゃーん、コロッケだ。

 他に野菜は表面の水分を拭いて同じ手順でどんどん作る。油が温まるまでしっかりと冷やしておく。

 ナビィは大人しく引っ付いている。可愛い。


 野菜は油の温度が低めだから、先に野菜とコロッケを揚げる。一度だけひっくり返していい色になったらあげる。油の温度が下がらないように投入。

 野菜終わり。

 揚げる工程はソマリと入れ替わりながらドンドンね。お肉のフライも作ったよ。その名もオークかつ。

 お肉も油の温度を上げてから、じゃんじゃん揚げて、終わった。

 最後は真打の登場。かき揚げー!余った小麦粉と卵液を混ぜて、キビと白身魚とミツバを投入。まとまってきたらスプーンで一口大にすくって油に投入。

 パチパチといい音がする。

 フライもかき揚げもタネにしっかり味をつけておいた。ソースがないからね。


 ちなみに揚げたものは順次、ポーチのアリーナに保管してるよ!揚げたてサクサクだ。

 かき揚げは小エビがあったら良かったけどね。なかったから白身魚で代用。

 ソマリとナビィと味見だ。

 サクッフワッと。

「!!!」

 ソマリが固まってるよ。ナビィは目を瞑って味わってる。ふふふっ美味しいよね?だってさ、菜の花から菜種油作るところからだよ?

 律の農家になるつもり?じゃないけど、苦節3ヶ月…頑張った。キノコのフライ美味しい。オークかつも美味しい。かき揚げだって。でも、アスパラのフライが食べたいよ。どこかに無いかな?


 あ、コロッケ食べてない。まん丸のコロッケをぱくり。

 ほくっ…

 おいひい…あぁ生きてて良かった。家で作るコロッケが大好きだったんだ。お母さんは時々、作ってくれたからね。良く手伝ってた。

 チーズインのまん丸にしたり、三角にしたり。お母さんに愛理は小判形に出来ないの?なんて言われてたっけ。


 ふふっ懐かしい思い出とホクホクなコロッケ。美味しいよ、凄く。

 ナビィが私の腰に抱き付く。

「アイリ…」

 大丈夫、ごめん。ちょっと思い出しただけ。でも少しだけ泣かせて?ナビィ。その小さな体を抱きしめて少しだけ泣いた。ソマリがオロオロしてて申し訳ない。

「ごめん、懐かしい故郷の味で…」

「おても美味しいですよ、アイル様。素敵な故郷なんでしょうね」

 私は頷いた。そう、とても食文化の発達した、安全で衛生的な故郷だよ。

 ナビィにキスをして見つめあっていると、視線を感じる。


「「「「ぐぅ…きゅるっ…」」」」

 振り向く。おっふ…目が真剣だね?

「「「「いい匂いだけする…」」」」

 ですよね?でも中途半端な時間だからね?

「「「「お腹空いた…」」」」

 ソマリが

「アイル様、皆様にぜひ味見を…」

 仕方ない。揚げたばかりの諸々をお皿に出す。

 ソマリがいそいそとフォークを用意。

「少しだけだよ?お昼ご飯食べられなくなるからね!」


「ぶっ…」

 笑ったのは誰だ?ってソマリか。

「お母さんみたいですな…」

 やめて、まだ16なのに。

「「ぶふっ」」

「くふぅ…」

「ふふっ…」

 みんなで笑ってるし。ならお皿を片付けて…早!

 速攻でお皿の上から揚げ物が消えた。早くない?揚げ物も飲み物なの?


「「「「お、美味しい…」」」」

 でしょでしょ。ほくほくでさくさくだよね。

 ん?だめだよ、そんな目で見ても。お昼までそんなにないからね?諦めて?


「ソマリ、揚げ物は完璧だよ。鍋も伝えたし、あ。いや何でもない」

 お口チャックだな。あって言った後のみんなの目がね?なんかギラギラしてて。怖かったから。

「ほら、みんな戻って。後片付けがあるから」

 本当に渋々帰って行ったよ。

 危なかった。

 私はソマリを見る。ソマリも私を見てお互いにニヤリとした。ナビィは変わらず背後から引っ付いてるよ。


「次は何ですかね?」

「ふふっひき肉のレシピだよ!」

 そこから2人でひき肉と、他にもね。色々とさ。うん、大好きなアレだよ。ふふっあれ。今は秘密な。

 焼いた匂いで気がつくなら結界で匂いを外に漏らさなければいいよね?

 これはちゃんとお昼ご飯で出すからね!

 みんな喜んでくれるかな。

「これは!なんとも美味しい。アイル様は天才ですな」

「アイリ、もぐもく…美味しい」

 頑張って作ったからね?ふふふっ。


 ナビィを抱っこして居間に行くとみんながなぜかしょんぼりとしている。

「どうしたの?」

「「「お腹空いた…」」」

 ヨナはお部屋にいるらしい。はらぺこトリオはそんなに?さっき味見したよね?

「どうして?何か運動でもしたの?」

 イリィは別としてロリィとエリは運動なんてしないよね?

「絶対に美味しいもの作ってるよね?」

「考えただけでもお腹が…」

「さっきの味見で余計にお腹空いた…」

 子供なの?君たちは。みんは私より年上だよね。


「もう、お兄ちゃんたちは腹持ち悪過ぎ!」

「「「!」」」

 みんな真っ赤になって固まったよ。どうしたのかな?

「お待ちかねのお昼ご飯だよ。食堂にどうぞ?」

 3人はそわそわと食堂に向かう。とても嬉しそうだ。なんでだ?


 食堂ではリベラとキリウスが待っていた。ヨナはすでに椅子に座っている。

 みんなが座ると前菜だ。ゆで卵とキャベチのサラダ。バルサミコ酢風。

 次がひき肉料理。皮から作った力作!餃子と春巻き。

 はふはふして食べてね?

 あれ、なんかみんなが手を出さない。形が不思議だからかな?私とナビィはもちろんさっさとパクリ。だって大皿だからね、取ったもん勝ちなのさ。

 ふふふっ、たくさんとってナビィにも食べさせて、私もどんどん食べる。


 やっとイリィがパクリ。目をくわっと開いてからもうね、バクバク食べてる。

 それを見てロリィもナイフで半分に切って上品にパクリ。くわっと目を開いて次からは切らずにフォークでパクパク。

 出遅れたエリもナイフで切ってパクリ…くわっ。

 そこからはロリィ同様にパクパクとね。もちろん春巻きさんも同じような感じ。ふふふっ、私ははじめにたくさん取り皿に確保したからね。

 だめだよ、あげないもんねー。ナビィと微笑み合う。これは渡さないよ?


 で、ここで普通ならチャーハンだけどお米は貴重だから。中華風の麺でラーメンだよ。ふふふっ、ちゃんと魔鳥の鶏ガラスープから作ったんだ。骨と内臓をコトコト煮てな、あくをとって…。一番時間がかかる工程はポーチの中を時間促進にしてすっ飛ばしたよ?

 中華料理には欠かせないからね。

 これさえあればなんでも中華風味に出来る。後はゴマを見つけたらごま油を作って。牡蠣を見つけたらオイスターソースだな。うん、野望は尽きないね!


 ふふっ、やっぱりみんな固まったね?私はフォークで勢いよく

「ズズズ、ズルッ…」

 美味しい!ラーメンだよ。麺はなんちゃってだけどさ。次は大豆と麹菌を見つけて味噌ラーメンだな。

 新たなる野望が。

 みんな今回は躊躇なく、食べてる。でもね、啜れてない。難しいらしいよね?啜るのって。

「すごく美味しい…」

「お汁が…新しい味」

「濃厚なのにしつこく無い」

 でしょ?やったね。ソマリがね、色々と手伝ってくれたから。

 でもさ、ラーメンと言ったらチャーシューとメンマだよね?ランカウは竹っぽいしメンマ作れないかな?でも醤油がないか。

 まだまだやりたい事があるな。うん、頑張るぞ。


 満足のいくお昼だった。なんかみんなお腹をさすってるの。食べ過ぎた?ついね…。私もお腹がぽっこりだよ。

 出発までにもう少しレシピを教えていこう。




出発まで後11日



※読んでくださる皆さんにお願いです※


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