表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/429

239.リベール

リベール視点です

 いつからだろう?僕の家族がイーリスを中心に回り始めたのは。

 もちろん、末の子として過酷な運命を背負ったイーリスは哀れだしその短い命を穏やかに過ごさせたいという気持ちは分かる。僕だってイーリスがとても大切だ。

 しかし、イーリスは顔立ちが整っている森人の中でも際立って可愛いく産まれた。産まれてしまった。きっと本人は望んでなんかいない。

 それが原因で何度も攫われたり、使用人に裸にされそうになったりしたのだから。


 小さな頃は目が大きくてぷっくりした頬の本当に可愛らしい子だった。にっこりと笑う顔はもうそれだけで幸せで、なんだってしてあげたくなるくらい。

 僕はイーリスと結婚するんだって本気で思ってたくらいには可愛くて素直で。

 そんなイーリスが笑わなくなったのはいつからだろう。静かな子でわがままも言わない。いや、言えなかったか。

 イーリスを守る為に、屋敷には使用人がほとんどいなくなった。

 誰もがイーリスを腫れ物に触るように大事に大事に接した。真綿でくるんで触れられないように。

 きっかけは貴族に誘拐され、長いこと見つけられなかった事だ。


 マルクスの妹が攫われ、助ける為にイーリスが差し出された。もちろん、反対したさ。危な過ぎる。

 でもお父様がイーリスの心を守るためと、本人の希望により仕方なくイーリスはあちらの手に渡った。

 もちろんすぐに救出される予定だった。が、魔法を弾く結界が何重にも施されてイーリスを見つけるのに時間が掛かってしまった。

 見つけた時はかなり酷い状況だったらしい。


 なんとか最悪の事態は免れたものの、その後はしばらく閉じこもってしまい大変だった。

 マルクスは結局、ここを出る事も許されず一生イーリスを守る事になった。


 その後は大きな問題なくイーリスはさらに凛々しく美しく成長した。あと少しで18の誕生日、それはイーリスに取っては生の終わりを意味するが近くなったあの日。突然襲撃を受けた。夜の事だ。


 お父様が大怪我を負った。屋敷も色々と壊されたりして。イーリスがなんとか転移で逃げられたと分かったのは夜が明けてからだった。

 しかし、お金を持ち出せなかったようだ。私たちはとても焦った。だってずっとこの森で暮らしてきたのだ。

 すぐに迎えに行かなくては。そう思ったのに、お父様の容態が安定せずに結局、2ヶ月も時間がかかってしまった。

 私だけでもと思ったが、1人では長旅を乗り切れないかもしれない。

 イーリスなんとか無事でいて。願いながらなんとかお父様が動けるようになり、シアと3人で旅に出た。


 途中、ゼクスにほど近い森でお父様の容態が悪くなり休むことにした。

 そこで僕はアイルと出会う。まだイーリスの番とは知らず、ただお父様を助ける為に1人でお父様を追いかけたまだ見ぬ聖獣様の契約者でユーグ様の愛し子。

 始めはもちろん興味があったから。だって聖なるものに好かれる子だ。自然、森人の好む者と一緒だから。


 彼を初めて見たのは、あの忌まわしい地下拠点から出た所だ。お父様に寄り添われて儚げに佇むその姿を見て、彼だと分かった。そう分かってしまった。

 僕は出会ってしまったんだ。番に。そしてその子はイーリスの番でもあった。

 それを知って残念な気持ちと、やっぱり僕とイーリスは似ているという気持ちと。

 彼のそばに行きたい、触れたい、抱きしめたい。もうそれは本能の叫びみたいで。


 温泉で初めて自己紹介して間近で見た彼は、まだ幼さの残る頼りなげな風貌だった。くすんだ銀の髪と銀の目。とても澄んだ目をしている子。僕は思わずキスをしてイーリスと一緒に抱きしめた。

 どちらも大切な存在だ。


 それからはゼクスで一緒に訓練をしたり、温泉に入ったり。その細くて白い体は華奢で腕に抱きしめたくなる。本当に反応も可愛くてね?

 アイルが白の森に来てくれると分かって嬉しかったよ。まだ一緒にいられる。でもこの想いは封印して、なんか軽い人って思われてればいいや。

 そう思っていた。


 でも森が閉じてしまい、家族は抜け殻になりアイルに当たっていた。彼は良くしてくれている。ツリーハウスは彼のものだ。なのに当然のように居座って、出された美味しい食事を当たり前みたいに食べて。

 僕はアイルが傷付いてると知っていたのに、何も出来なかった。


 だから今日、アイルが僕にお願いがあると言ってくれて凄く嬉しかった。頼ってくれたんだ。

 それはイーリスの為に作った物だけど、君の元に行けるんだね。嬉しいよ。

 離れた街の近くに行くのは正直、凄く怖かった。でもアイルが頼ってくれたから。意を決して彼の元へと思えば目の前にはアイルがいた。

 抱きしめたその細い体は震える僕を感じてしっかりと抱きしめてくれた。

 僕はアイルにキスをして少し甘えさせて貰ったよ。


 その後、気になってた事を確認する。ちょうどお腹の辺りからアイルの魔力を感じて。シャツをまくってみたらなんと、可愛いおへそにアクセサリーがついてる。可愛い、凄く可愛い。お揃いをお願いしたら作ってくれた。そしてキスをしてくれる。もう本当に可愛いのに、能力は相変わらずぶっ飛んでる。そのギャップがたまらなく可愛い。


 もっと遠く、温泉に行くって。もう不安はないからドンと来いだよ!

 またアイルのそばに行けた。凄く嬉しいな。

 また抱き付くとハク様が人型になった。えっ、えっ…カッコいい。白銀の艶やかな髪と冷たい印象の整った顔。そしてなぜか裸。

 見てしまったよ、そのね。お股を。ちゃんとしてた…。そのまま抱えられて

「僕と交わろう」


 とても光栄だ。ブランちゃんみたいに魔力を循環させるってアイルも言ってたし。でもなんで裸?

「より深く()()()ためだよ」

 魔力が繋がる?


 結果は違った。体が繋がったのだ。僕は初めての経験を聖獣様としたのだ。

 なんだか色々と混乱して、でも嫌とかではなくて。

「感じて…僕とアルは繋がってる。僕の奥にアルを感じて」

 そうなのか、だから体を…。包み込むような大好きな人の魔力を確かに感じた。

 優しくて柔らかくて暖かい。その魔力が僕に溶け込むような不思議な心地がして、そのまま目を閉じた。


 僕はハク様を通してアイルと繋がれてんだね。嬉しいよ。その後は温泉に入って(途中で目を覚まして)慌ててるアイルが可愛かった。

 ハク様から呼び捨てにしていいって言われて凄く嬉しかった。

 そしてまた夜にねって。ハクは僕の想いも不安も分かってるんだな。


 また夜に、アイルを感じさせて。ハク。





ほんといつ出発出来るかな?



※読んでくださる皆さんにお願い※


面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価ををよろしくお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ