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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

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234.箱庭の検証

出発は12日後


予約忘れてました…

 私は箱庭に移動した。そこはちゃんと夜になってて、でも全く気にせずにハクとナビィとミストが駆け回っていた。一足先に箱庭に居たからね!


 イリィが縁側でベビーズを膝に乗せて撫でている。ミアはイリィの背中にくっついてたよ。

 なにこの可愛い空間…そのまま絵として保存したい。

 私のイリィが可愛すぎるんだけど。

 立ち止まって見てたら

「アイ、ここに来て?」

 私を呼ぶイリィ。首を傾げて隣とトントンとするイリィはもうとっても可愛い。部屋の中からは温かみのある光が注いでイリィの横顔を照らしている。

 密度の濃いまつ毛の影がきれいだ。


 私はドキドキしながらイリィのそばに行き、立ったままその頭を抱き寄せる。ほんの少し冷たくなった髪と頬を感じる。頬から手を滑らせて顎に手を掛け正面からその顔を見つめた。

 私を見てから少し恥ずかしそうに淡く微笑むと目を閉じる。私はその唇にキスをして、瞼にもキスをして…また唇にキスをした。

 イリィは私の腰を抱きしめていて…こういう時間をたくさん作りたいなって思ったよ。


「どうしたの?」

「イリィと離れたくないなって…」

「僕もだよ…ねぇ、アイ。必ず帰って来て。なるべく早く…」

「そうだね、頑張るよ!」

 私は離れている間、イリィと連絡を取る方法を考えることにした。それとあれだな、急務なのは写心だ。私が見たイリィを写心として映像に残す方法を考えよう。

 密かにね?だってこんなに可愛い姿を何ヶ月も見ないとか無理だから。


 出発まで後13日しかないから、急いでやらないと。

 イリィの隣に座ってその膝のベビーズたちを撫でる。もふもふ可愛いね。

 ここにルイだけ残るけど寂しくないかな?ルイは…お腹だして寝てたよ。大丈夫そうだね。

 撫でる私の手にイリィが手を重ねる。微笑みあって私の方にイリィがもたれかかった。その肩を抱き寄せてハクたちを見る。楽しそうに走り回っているね。

 私が目指したスローライフはこの箱庭という場所で、とても短い時間だけ実現している。

 帰らなくちゃね、イリィ(ここ)に。改めてその決意をした。どうなるのかまだ分からないけど。


 まだ不安ばかりあるけど、何か解決法があるから私はエリと北を目指すはず。すぐ近くにあるイリィの髪にキスしてしばらくその温もりを感じていた。


「イリィお風呂は?」

「まだ…」

「私はもう入ったけど、一緒に入る?」

 イリィは恥ずかしそうに頷く。手を繋いで縁側から居間に入ってお風呂に向かった。

「あのシャワーはやっぱりイケナイ感じ?」

「…恥ずかしいけど嫌では無くて…ただ」

「ただ?」

「体が反応しそうで…」

 あ、それは…マズイか。どうしよう?悩むな。


「どうしようか?すぐに解決方法が思い浮かばない。使わなければいいんだろうけど、便利だし」

「今のままでいいよ」

「いいの?」

「あまり見ないでくれたら」

「嫌だよ、今日は髪も体も洗わなくていいからお湯につかってじっくり観察するよ?」

「アイ、意地悪…」

「たくさん見ておきたいからね」

 頬を染めるイリィが可愛い。じっくり観察するからね。


 結局、じっくり観察したせいでそれが自分に返って来るんだけどね。気がついた時にはね?もうイリィが止まらなくて…。煽ったらダメだなって反省。

 色々あったお風呂も終わり、お水を飲んで私の部屋で浴衣を着てお布団で寝る。1人用だから狭いけどね、くっつけるからさ。

 もちろんその夜はね?仲良くしたよ。


 朝、目が覚めるといつも通りの抱き枕状態で。それが当たり前になってるのが嬉しくもあり、しばらくはその目覚めが出来ないことが悲しくもあり。

 その寝顔を目に焼き付けていた。

 おでこにキスをしてその顔をじっと眺める。凛々しい眉毛、なめらかな肌、密度の濃いカールしたまつ毛、細くて高い鼻、色付いた頬そして柔らかくてきれいな赤色の唇。全てが愛おしい。

 時々震える瞼にそっとキスをする。唇に瞼の震えが伝わってくる。

 イリィの目が薄く開いた。何度か瞬きをして目を開けて、私を見る。

 ふわりと微笑んで私にキスをする。私からもキスをしてその体を抱きしめた。


 この箱庭は外部と同じ気温では無く、常に過ごしやすい気温になっている。だから外は寒くないけど、布団の中は2人の体温でぬくぬくしている。

 それが暑くはないので快適だ。その肌を撫でながらイリィの頭に頬擦りする。

「ふふっおはよう、アイ。そんなことしたらまた我慢できないよ」

「おはようイリィ。だってこんなに可愛いからさ…」

「ならいいよね?」


 新婚は色々と甘いよね。今しかないからね、堪能しなきゃ。

「イリィ、そろそろ起きて検証しよう」

「そうだね」

 起きて服を着て顔を洗って、さぁ宿にイリィと戻れるかを検証だ。

 手を繋いで戻る場所を思い浮かべる。

 シュン

 イリィと一緒に宿にいた。ちょうどロリィが寝室から出てきた所だ。

「おはようロリィ。来れたよ」

「ロルフおはよう」

「おはよう2人とも。イルを介せば可能なんだね…イーリスだけで出来る?」

「僕だけ戻ってまたここにこ来れるか、だね」

 ロリィが頷く。


 イリィが消えてしばらくしてまたシュンと来た。

 ロリィが驚いて

「凄い。イーリスは今どうやってここに?」

「アイの所って」

「なるほど、じゃあまた箱庭に戻ってから拠点に帰れるか検証して…」

「なら私がイリィと箱庭に入るよ」

「僕も行く…」

 3人で箱庭に入ってイリィが拠点へ行けるのか…。

 シュン、シュン

 イリィは消えてまた戻ってきた。

「行けたよ」

「ならここから1人で宿に行ける?」

「やってみる」


 シュンシュン

「行けたよ」

「…」

「後はイーリスが箱庭からイルの元に直接来られるのか、だね…」

「今回はもう私と一度宿に行ってるからまた別の機会に検証かな」

「街を出る前に、馬車の中でやってみよう」

 頷いた。

「宿に…食事は3人分頼んだから一緒に」

「ロルフありがとう」

 優しく笑うと3人で手を繋いで宿に戻った。少ししたら部屋に朝食が届けられたので食べてイリィは箱庭経由で拠点に戻った。


 ロリィとソファに座って紅茶を飲む。

「興味深いね…」

「イアンに聞いたら分かるかな?」

「どうだろう、聞いてみよう」

「そうだね…イル、良かったね」

 ?

「この国にいる間は旅先でイーリスに会える」

 確かに。凄く嬉しいな。

 そうだ、転移魔法使えないかな。この国の最北端にマーキングして、そこに転移出来たらいつでもイリィに会える。やっぱり何ヶ月も会わないのは無理だ。

 よし、これはハクに聞こう。


 ゆっくりと食後の時間を過ごしてから帰宅する。

 昨日のギルドとのやり取りで、それなりの金額で取引が出来ることが分かった。エリが出ている間はキリウスがまとめ役として交渉をする。

 昨日の話でかなり詰められたけど、要望が出た場合はどうするのかを決めておく必要がある。

 とはいえ、イズワットの皆が食べたいからくらいはアルミだけでも大丈夫だろうからね。

 後はイリィの家族の分も賄いたいし。それは寒さに強いお花を育てて売ることを考えてる。


 そこまで整理出来たら後は随時、必要に応じてイリィから連絡を貰えたら。

 あ、念話って距離が遠くなったら使えないのかな?これもハクに聞こう。


「イル、そろそろ出ようか?」

「そうだね」

 こうして部屋を出てエリと合流し、馬車に乗り込む。

「イーリスに連絡を…」

 頷いてイリィに念話する。


(イリィ?)

(何、アイ)

(検証の続き…)

(分かった…今、箱庭だよ)

 しばらく待つけどイリィは来ない。

(アイ、行けないね)

(分かった、ありがとう)


「イル?イーリスにまた箱庭に入ってもらって」

「?」

(イリィ、まだ箱庭にいて)

(分かった)

「僕が行って、イリィとここに来れるか…」

 あ、なるほど。

 シュン…シュン

 イリィも来れた。どうやら場所を特定するなり誰かと来ないとダメみたいだ。

「あ、来れた」

「うん…面白い」

「私がいなくてもここに一度来たら、来られるのかな?」

「イル、外に出てくれる?」


 馬車の外に出た。この時間は人が動き始めるのか、賑やかだ。二人連れの女性がこちらを見て何かを言っている。何だろう?

 ちょうどその時に馬車の扉が開いた。

「入って…」

 中にはイリィがいた。素早く馬車に乗って扉を閉める。

「どうだった?」

「来れたよ」

「だとすると、その場所が分かれば行けるって事かな?」

「記憶なのか、記録なのか…でもこれで誰かが連れて来ればいいと分かった」

「?」

「何か起きた時の事…」

 ロリィ…そんな事はない方がいいけど。そうだね、ありがとう。


「イリィ、何度もありがとう。また後でね」

 そう言ってキスしてイリィはまた戻って行った。

 私たちは門のところでサリナスとブラッドと合流して拠点に向かって出発した。

「ロリィ、あの空白地帯に町?とかの名前をつけたり出来るの?」

 ロリィは少し考える。

「空白地帯は治める領主がいないだけで、前例なないけど…町として名前を付けてもいいはずだよ。ただ…国に報告をする必要がある。単に占領したのでは無く、生活の基盤を整えるのであればね。税金の扱いとか…確認がいる」

「税金がいる?」

「ギルドは国の機関…活用するなら何かしらは納めないと」

 それもそうか。

「お母様の従兄弟が国の要職に付いてるから、確認してもらう」

「お願いな。いつまでも拠点はどうかと思うから」

「そうだね…」

「アイル、ありがとう。僕が気が付かなくてはいけないのに」

「いや、私も何も知らなくて…」

「そういう事は任せて…」

「ロルフ様、ありがとう」


「エリアス、様は要らない。これから旅をする仲間だ。元は王族だし…」

「ロルフ、わかった。なら私のことはリアスと」

「エリはイルだけの愛称なんだね…」

 エリは頬を染めて頷く。うん、可愛いぞ?

 着々と準備は進んで行く。後12日だ…。私は馬車からぼんやりと外を眺めた。




出発まで12日

箱庭の検証が楽しい…



※読んでくださる皆さんにお願い※


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