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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

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230.午後は坑道へ

 連れ立って坑道に来た。今日からはナムとシグの軍人2人とサリーとラドも坑道に入っている。階段を降りて行くとサリーとラドに会った。

「おう、アイル。この鉱物凄いな!」

「それよりノームだろ」

「それもだけどなぁ、まぁアイルだし」

「それもそうか」

 いや、それで納得しないの。


(アイル様ー試作品見て!)

「イアンもう作ったのか?」

(ですです、食器と鍋とカトラリーに窓枠と扉だよ)

 ん?ですですって可愛いな。イアン低い位置にある頭を撫でる。

(ご褒美に魔力欲しい)

 小さな子のおねだりって可愛いな。しかも両手を上に差し出している。抱っこかな。脇に手を当てて抱き上げる。ぴたりと首に抱きつくイアンは子供体温なのか、ほかほかだ。

 抱き上げたまま頭を撫でて頬ずりすると嬉しそうに目を細めた。魔力はシュワーっと周りにまいた。

「試作品はどこ?」

(少し先に…)

 みんなで歩いて行くと人だかりがあった。


「おう、アイルよ。すげーなアルミって」

 見ているのは試作品だ。

 イアンの言った通りで食器と鍋とカトラリーに窓枠と扉が置いてある。

「食器も鍋も携帯するのに便利だな」

「あぁ、行軍にあれば助かるぞ」

 軍人コンビが振り返って

「ダナン様にお知らせしてもいいか?」

 私はロリィを見る。

「登録はイズワットと森人が主体となってする。私の権限ではないから、エリアスとの話し合いになる…」

 エリには二人がアフロシア軍から派遣されてることを伝えてある。


 エリは私を見ると

「アイルがいいならば、問題ない。権利関係はロルフ様にも意見を貰えたら」

 私は頷く。問題ないよ、ダナン様たちなら。

「登録後の納品については町の次に優先とする。ただ、私の実家にも優先的に欲しいから…」

「私は構わない。取引さえして貰えれば」

「侯爵家との取引は箔がつく。優先した方がいいだろうな」

 最後はナムが締め括った。


 ロリィが少し考えて

「扉は北部を優先して…食器もなるべく。生活に関わるから」

「あの町にいる職人さんに頑張ってもらおう。アルミはまだまだあるからね」

 ロリィは私を見て優しい顔で

「そうだね…」

 と言った。

「まずは採掘を優先して…イアンには製品をたくさん作って欲しい」

(分かったー)

 私に抱っこされたままだったイアンを降ろすと他のノームに合流して、作るよーって言ってる。

 見てたらわらわらと集まったノームたちが


(作るぞ)(わっせ)

(作るぞ)(わっせ)


 と掛け声をかけながらどんどん作っていく。使うのは自分の箱庭のアルミだから手品みたいだ。

 凄いなと感心してみていたら

「「「えっ…」」」

 みんなが驚いていた。だよね?びっくり。

「「「アイル、どうなってんだ?」」」

 ん?あ、知らないのか。

「ノームは固有空間の箱庭があって、採掘したアルミはそこに保管してたんだよ。それを取り出しながら作ってるんだね。面白いよね?」

「「「…」」」


(((面白いとかそういう次元の話じゃない!)))


 みんなの心の声が一致したのだった。


 作品は大丈夫そうかな。取り敢えず状況が分かったのでロリィが軍人たちと探索者たちに声を掛けた。

「今後についての話を…」

 階段を登って地上に出ると野外の机と椅子がある場所で向かい合う。

 こちらはロリィとイリィにエリと私だ。

「少し話を…」

 対面の4人は緊張した顔で頷く。

「イルはある使命をおびて北の地を目指す事になった」

 4人は驚く。そうだろうね、白の森に行って帰って来るだけの筈だったから。

「北に向かうのはイルと私、エリアスほかにハク様たちだ」

 少しの間があって

「我々はアイルの護衛として派遣されている。本来なら付き添うべきだろうが、流石に難しい。急ぎダナン様に指示を仰ぐ。イーリスが残るのであれば、アイルが帰るまでイーリスの護衛となる可能性が高い」

 ロリィは頷いた。


「俺は着いて行きたい」

 珍しくラドが発言した。寡黙な彼が行くという選択をするのは少し意外だ。

「俺はここに残りたいな」

 サリーはまぁそうだろうな。だって彼はね?

 ロリィは少し考えてハクを見る。ゆるくしっぽをふるハク。

『ハク、ラドが増えても大丈夫なの?』

『いて欲しいよ、戦力は。1人2人までなら問題ない』

 私はロリィに

(ハクが戦力は欲しいって)

(ならブラッドは連れて行く)

 頷きあって

「なら一緒に来て…」

「畏まりました、ロルフ様」


「イーリス、家族に話をしたのか?」

 イリィは頷く。

「そしたらベル兄様が…」

 ベル兄様が?

「一緒に行くって…」

 困ったようにイリィが言う。ハクを見るとしっぽを揺らしている。


『ハク?』

『リベールもいいよ、彼はバランスの取れた剣士だからね、物理も得意だし。何より冷静だ』

(ロリィ、ハクがいいって)

(分かったよ、イル。少し戦力に不安があったからね)

(?ハクもブランもナビィもいるのに?)

(移動中に攻撃されると厄介だ)

 確かに…ロリィと私は物理が弱い。エリは言わずもがなだ。上級探索者のラドと剣も上級のベル兄様がいたら心強いか。

「イーリス、むしろこちらからお願いしたい」

 イリィは驚いている。そして複雑な顔をした。私はなんて言えばいいか分からなかったから、その手をしっかりと握りしめる。

 イリィは私の肩に顔を埋めてしまった。


「ならダーナムとシグナスはダナン様に確認の上、イーリスの護衛を継続、サリナスはここで同じくイーリスの護衛とここの発展に力を注いで。ブラッドは我々に同行を」

「「「「はっ」」」」

 こうしてそれぞれの役割が決まった。イリィは私の為にここに残される。その頼りない肩を抱いて頭をキスをした。

「イリィ…」

「分かってるよ…だから絶対に無事に帰って来て」

 涙を讃えた目で私を見るイリィ。そうだね、必ずだよね。私はしっかりと頷いた。


「出発は13日後だよ…それぞれ準備を」

「「「「はっ」」」」

「近いうちにまた町に行く。ブラッドとサリナスは一緒に」

 2人は頷く。そこで解散した。

 私はまたソマリと厨房だ。今度は調味料を作る。イリィはアルミの作品作りで、ロリィは鉱物の鑑定だ。エリはランカとオカリナ作り。

 それぞれ屋敷の中で別れた。


 厨房ではソマリが鍋を色々と試作していたよ。

「アイル様、新しいレシピですか?」

「いや、先に調味料だね。ソマリは浄化の魔法使える?」

「はっ?いやいや何言ってるんですか。聖人か聖女にしか使えませんよ」

 えっ私は使えるよ?卵がね…。

「菌を殺すだけだよ」

「はい?」

 んー難しいな。細菌の話からだと終わらないぞ。あ、殺菌出来る機械を作ればいいのか。よし、うーんとあれをこうしてここをこれで、保育器みたいなゆりかごみたいな。よし、出来た。時間は10分でな。


「卵の菌、悪いものを殺す機械だよ。10分で殺菌出来る。そうしたら生でも食べられるよ」

「卵を生で?」

 驚いている。だろうね?で10分後、ソマリも鑑定が使えるから見てもらう。

「これは!」

 ふふふっ大丈夫だよね?なら作るのはもちろんマヨですよ、マヨ。マヨラーじゃないけどやっぱりね、ポテサラ食べたいからさ。

 材料は卵と塩とオリーブオイルとお酢。混ぜ混ぜ混ぜませはもちろん魔法でサクッとな。

 おぉーとろみがついたね。スプーンですくって試食。ヤバいぞ、美味しい!


(アイル作の殺菌機で完璧に殺菌された産みたての新鮮な卵から作った最高にまろやかで美味しい調味料)


 産みたてではないよ?だってここらでは卵を仕入れてないし。


(殺菌機 卵のみならず魚などのアニサキスも殺菌する さらに鮮度を最高によ良くする 卵は産みたて 魚は採りたてとなる)


「…」

 それで産みたてか…。

「アイル様?」

 気を取り直してキャベチを取り出してマヨをスプーンですくって付けるとソマリに渡す。ソマリはまじまじと見てから食べた。パクリ…くわっ。目を見開いた。

「アイル様、こ、これは」

 何故か泣いている。

「料理人としてこんなに美味しいものに出会えたことに感謝致します」

 祈り始めてしまった。

 とそんな感じでケチャップも作ったよ。ソースは作り方が分からないから諦めた。


 で、ひき肉を作ってハンバーグなんかもね、作ってみたんだけど。デミグラスソースの作り方が分からない。赤ワインが入ってるのしか分からないんだよ。残念。煮込みハンバーグ食べたかったのに。

 で普通のハンバーグとチーズインハンバーグ、ここまできたらコロッケもね。ジャガイモとひき肉、パン粉に小麦粉と卵。時間を進められるからとキビクリームコロッケも使ったよ。生クリームがあるからね!

 揚げ物には菜種油を使ったよ。ゼクスにいた時にたくさん採ってそのままだった菜の花から絞ってね。


 ソマリは終始感激しまくってたよ。で、夕食はハンバーグになった。煮込みハンバーグだよ。ケチャップとチーズがあるからね、トマト味の煮込み。付け合わせに芋を揚げたものと葉野菜とキビのバター炒め。

 よし、完璧かな?細かい味の調整はもちろんソマリだよ。そこはプロにお任せ。

 出来た物を試食だって思ったらね、なんか視線を感じて。

 そっと振り返ると既視感か…。

 時間もいい時間だったし試食がそのまま夕飯になった。でも少しだけ味見したよ?凄く美味しかった。





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