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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

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223.亜空間2

 坑道に戻るとハクが

『僕たちもアルの固有空間に行きたい!』

 しっぽをぶんぶん振って言う。ブランも私の肩でつぶらな瞳を向けてくる。ナビィもしっぽがぶんぶん揺れててミストもミアも見上げてくる。

 イリィとロリィに声を掛けて

「少し案内してくる」

「分かった」

「行ってらっしゃい…」

 みんなに集まって貰ってまたシュンっとな。


「うわぁ懐かしいーアイリのおばあちゃんのお家だー!」

「そうだよ、ナビィ」

「ここがアルの?へー嬉しいな!」

「ご主人の世界なの?凄いよー僕嬉しい」

「ご主人様の世界?うわぁ嬉しい」

「きれいにゃのー」

 ハク、ブラン、ミスト、ミアが話す。あれ?話す…話してる!

「みんな、話しが出来てるよ?」

「ここはアルの一部だから」

「そうだよ、アイリが私たちを個として認めてくれてるから喋れるの」

「ご主人の聖気で溢れてる」

「居心地がよいよ」

「いい場所にゃの」


 そうなのか、嬉しいな。

「嬉しいよ、みんな」

 口々に僕も、私もと言ってくれる。ここならみんなが本当の家族みたいだ。

 ハクとブラン、ナビィは野山を駆け回り始めた。思いっきり動けなくてストレスが溜まってたかな?

 凄くはしゃいでる。あ、ハクとナビィが川に入ったよ。もう、ずぶ濡れじゃないか。

 いつも遠慮がちなミストですら背中を地面にすりすりしてる。

 ミアは屋根の上で日向ぼっこだ。

 ベビーズは縁側で固まってお昼寝中。今日は案内だけだからそろそろ戻るよ?


「みんなー戻るよ!」

「「「えー」」」

「出発までならいつでも来れるから」

「「「はーい」」」

 渋々集まってきてまた戻った。シュンっとな。

 イリィが驚いた顔で

「もう戻ったの?」

 えっ?遊び回ってたし、それなりに時間経ってるはず。

「行ってすぐに帰って来た感じだよ…」

 ロリィも言う。

 イアンに聞くか。


(イアン聞こえる?)

(なにー?)

(亜空間にいると時間経過はないの?)

(無くはないよ。進み方が10分の1くらいになる)


 えっマジで?それは凄いお得なのでは?


(代わりにアイル様は魔力を消費するからね)


 疲れた感じはないけど。


(アイル様のスキル、魔力回復超はジョブに関わる魔力使用をすると、実質魔力が減らないスキルだよ)


 どゆこと?


(ジョブで少しでも魔力を消費してたら魔力が常に満タンに維持されるって事)


 私は自分や周りにもパッシブで色々と発動している。魔力枯渇しないのはそれが原因か?


(ジョブは正しく使わないとそもそも発動しない。発動すれば魔力は常に満タン。そいういスキルなんだよ?凄いよね!)


 ソウデスネ。


(だから普通は亜空間に入ったり出来ないのに、アイル様は魔力が無限だから何でも出来る)


 魔力が無限…。何も聞こえないよ。

 イリィが

「アイ、イアンは何て?」

「えっと、時間経過が10分の1になるって」

「それだけ?」

 えっ何で?

「ねぇ、本当にそれだけ?亜空間を持てたら誰もがそこで長い時間を過ごせるの?アイ?」

「僕も気になる。それは凄いことだよ…イル」

「アイ、僕の目を見て?」

 いや、あの…サッと目を逸らす。

「普通に考えれば、魔力に依存する…」

 ギクッさすがロリィ、鋭い。


 私は観念して

「ロリィの推察通り私の魔力に依存するよ」

「ならどうして隠そうとしたの?アイ」

「…枯渇しないね、イルは。魔力は多いけどイーリスほどじゃないよね」

 ロリィが私の目を見て言う。そう、虹彩の縁の青は魔力の多さの表れ。イリィは全周、ロリィもほぼ全周青がある。私は4分の1くらい。他の人よりは多いけどイリィたちほどはない。


「あれだけ常時魔力を垂れ流してるのに…」

 ロリィ、言い方。垂れ流してないよ?

「そうだよ、見境なく撒き散らしてるのに」

 イリィも言い方ね?見境なくってちゃんと相手を選んでるよ?

「「なのに枯渇してない…」」

 だから何でこんな時は仲良しかな。

「そういえば、アイ。スキルがあったね。でもそれにしたって、だよ。何か、まだ隠してる?」

 イリィが微笑んで聞く。うっ…なんか冷や汗が。そっと後ろに退がるとロリィにぶつかる。

 前にも後ろに微笑んだ美形。でも目が笑ってない。ヤバいよ、これは。

「イル、何を隠してる…?」

「アイ、隠し事はダメだよ?」

 前後に挟まれて私はもう息も絶え絶えだ。


「ス、スキル…」

 二人の目力よ、凄まじい。

「ジョブを使ってると実質魔力が減らないらしくてね?」

「魔力が」

「減らない?」

「「それって…常に満タン?」」

 頷く。

「アイ」「イル…」

「「亜空間で夜にね…?色々と話をしよう」」

 逃げよう、触るな危険。

「夜はしたいことがあって、残念だなー」(棒読み)

「大丈夫。亜空間は時間の進みが遅いから」

「そうだよ…ふふっイル、たくさん聞かせて?」


 なぜこうなった…。


「おーい、そろそろお昼だぞ!」

 シア兄様から声がかかる。私はいそいそとそちらに駆けていく。するとすでにアルミは地上に上げてあった。

「上に小屋を作ったんだ」

 シア兄様が言う。いつの間に。

「保管場所が必要だからな」

 確かに。地上に上がるとそこには立派な小屋があった。入り口は簡素な土の扉だ。安全も考慮して2重扉にするか。魔力を登録して自動開錠にすれば取られないだろう。私は扉に手を当てて外側に頑丈な扉と鍵を付ける。

「シア兄様、手をここに触れさせて」

『登録完了』

「えっ声が?」

「うん、これで魔力が登録されたよ」

「安全面が不安だったからね」

「凄いな、アイルは」


 エリが近づいてきて

「アイル、鍵を付けてくれたんだね。ありがとう」

「せっかく採掘したものを取られたら嫌だからな」

「お昼ご飯は残ったみんなが用意して運んでくれてるよ。地下拠点に」

 するとイリィが

「僕たちは上で食べるよ」

「イリィ」

「せっかくいい天気だし」

「ありがとう」

 私はイリィに抱きつく。大丈夫だから、とイリィが小さな声で言ってくれる。うん、そうだね。無理はしないよ。

 ロリィは不思議な顔をしつつも

「なら僕は地下で食べるよ…」

 と言って地下拠点にいつの間にかいたリベラと降りていった。


 みんなは地下に行ったから地上にいるのは2人だけだ。

 ソマリが食事を運んでくれる。サバサンドとハムチーズサンドにスープだ。ボリュームあるなぁ、私はサバサンドだけ食べる。うん、美味しい。イリィと隣り合って食べた。その横顔はやっぱりとってもきれいで、しばらく見れないのが寂しいと思った。

 食後にはイリィから貰った髪でしたい事があるから。

 亜空間に少し籠もろうかな。


「イリィ、少し作りたいものがあるから午後は亜空間に籠るよ」

 イリィはそのきれいな顔を私に向けると

「僕も行きたい…」

 嬉しいけど、作ってるところは見せたくない。困っていると

「嫌?」

 嫌じゃないけど、どうしよう。

「別の部屋で僕も作業するから、それならいい?」

 頷く。ふわりと笑うイリィ。あ、でもなんかイリィの顔見てたい気もするな。うーん、サクッとと作ったらそばにいよう。

 イリィは私の髪を梳いて寂しげに笑った。

 ズキンッ…イリィ。私はイリィの頭を抱えて胸に抱きしめた。そんな顔をさせてごめん。


 私は死ぬことよりも生きることの難しさを改めて知った気がする。正しく死ぬことよりも、がむしゃらに生きる方が難しい。どこかで諦めている自分がいるから。だからイリィはここに残されるのなら、私は生きて帰ってこなくてはいけない。

 どこまで出来るのか分からないけど。イリィの所に帰らなくちゃね。

 その髪の毛にキスをしてその頬を両手で挟んでキスをする。

 しばらくそのまま抱き合っていた。


 イリィがゆっくりと体を起こす。

「アイが甘やかすから…」

 少し涙目で言う。

「たくさん甘やかすよ?大切な旦那様だから…」

「もう…」

 ふふふっ。2人で食器を返すとロリィにしばらく箱庭にいると伝えてイリィと箱庭に入る。

 手を繋いで家に入ってから私は2階の自分の部屋に行く。

 イリィは居間にいるというので、終わったら声をかけるよと伝えて。





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