222.亜空間
はぁ私の旦那様が可愛すぎる。
イアンは戻るねーと言って帰って行った。
気を取り直して
「家に上がって。あ、入り口で靴を脱いでな」
案内する。玄関の引き戸を開けるとそこは右側に靴箱があって、その上には絵と花が飾られている。
皆が靴を脱ぐ。それを履きやすいように整えてから居間に案内する。
流石に祖母の家に囲炉裏はなかったけど、ここでは作ったよ。
居間の真ん中に囲炉裏。そこに藍染の座布団が置いてある。床に座る。2人とも座れるかな?
イリィもロリィも横座りだ。なんか可愛いな。私はここぞとばかりに胡座だ。ふふんっ。
下はもちろん、井草の畳。ロリィは手で触っている。イリィは部屋を見回している。
鴨居とか天井に剥き出しの太い梁に目が釘付けだね。
日本家屋なんて初めてだろうから。
「落ち着くね」
「新鮮な草原の匂いがする」
井草の匂いだね。
「古い家だとこういう造り。もう田舎にしかないけど」
「なんだかホッとする」
「少し待ってて」
私はお茶を用意する。畑で育ててたんだ。新芽を詰んで乾燥させて新茶の出来上がり。まだ若い葉だからあっさりだし飲みやすい筈。
湯呑みも作ってあるから急須にお湯を魔法で入れて少し蒸らす。
そろそろかな?湯呑みに順番に注ぐ。最後の一滴まで注いでから渡す。お米作ったら米粉にしてお団子も作れるかな。ここでは何でもありだ。
感覚的に、外には持っていけないと思うから。私たちだけの日本だ。
2人はふうふうしてお茶を飲む。
「「!」」
まじまじと湯呑みの中を見て
「美味しい、不思議な味だ」
「うん、渋みもあるけどとても飲みやすくて」
「紅茶の親戚みたいなものだから」
「そうなの?」
「うん、緑茶をさらに熟成させたら紅茶だよ」
「へー美味しい」
「ここがアイの…」
イリィは改めて周りを見てから私を見る。
「アイに少し近づけた気がする」
「うん、イリィにも知って欲しいよ」
なんかイリィの気持ちが嬉しくてにこにこしてしまった。
するとロリィが
「お風呂はどんな感じ?」
ブレないな。
「案内するよ」
そこから見学ツアーだ。台所はごく普通の家庭用。食器棚があってお盆がある。
トイレは洋式の洗浄機能付き。それを見たロリィが
「これ何?」
「用を足した後にお尻を洗う装置?」
「お尻を洗う?」
「紙で拭くだけだと不衛生だから。凄く衛生観念の発達した清潔な国だったんだ」
「凄い…どう使うの?」
言いながらベルトを外したから慌ててその手を押さえた。
「待って、何してるの?」
「ん?使うんだよ。脱がなきゃ使えない」
いやいや、そうだけど私たちが見てる前で?
「イルがいないと使えない」
いやそうだけど…。
イリィも
「僕にも使い方を教えて」
頬を染めて言う。そんな感じの装置じゃないんだよ?
イリィの方を向いてる間にロリィがズボンを下履きごと途中まで下ろして私を見る。
えぇぇ…もう仕方ないなぁ。
「ロリィ座って」
シャツの裾をまくって座らせる。中途半端だったズボンは下までおろしてから
「このボタンを押して。位置は微調整してな?」
「具体的にどこに当たればいい…?」
それ聞くの?何て答えたらいい訳?これ。
「その、ロ、ロリィと一つになる時の…」
そう言うと
「あぁ◯門ね…」
ボカしたのに。言っちゃうんだ?そのきれいな顔で、その言葉。
私が呆然としてる間にスイッチを押した。
「あっ…」
目が潤んで頬を染めた。慌てスイッチを切る。
「イル…これは…イケない」
えぇ?何でそうなるの。困った顔をしていたらイリィが袖を引いて耳元で僕もって…。
何か勘違いしてない?これはお股の汚れを取る装置だよ?
頬を染める要素はどこにもないはず。ロリィが立ち上がったから紙で軽く拭いてから風魔法で水気を飛ばす。すると
「ん…それもちょっと…」
また目を潤ませた。なんで?隣でイリィがもじもじしてるよ。
ズボンをはかせて終わるとロリィと入れ替わってイリィがズボンを脱いで座る。その時点ですでに頬を染めてるよ。何故?そして私の腰を抱きしめるんだけど?なぜ…。
「イクよ?」
言い方、だからその言い方。
「うん…」
艶めかしい声出すのやめて…。慌てて止める。腰に強く抱き付くのもやめて欲しいよ、イリィ。
私を見上げた顔は頬を染めて涙目で。
「アイ…これはダメ…」
そう言って私の腰に顔を埋めてしまった。なぜそうなるの?イリィ、お願いだから立って服を着て。そっと立たせるとサッってズボンをはかせた。
ふう、私の心の安寧の為にもトイレは早く出よう。
イリィの手を引きロリィの背中を押して浴室に向かう。
「ここが脱衣室で奥が浴室」
そこは檜の風呂があって、少し大きめに作った。皆で入っても大丈夫なように。半身浴が出来るようにちゃんと縁には段差を付けて座れるようにしたよ。
木の椅子と桶も作った。もちろんシャワー付き。
ロリィが
「いい匂い。これは?」
シャワーを指して聞く。だから説明がてらお湯を出す。
シャワーっとね。それを見たロリィが…
「これはどこに使うの?」
?どこってどういう意味?
「全身だよ?」
「全身…それは…」
そして服を脱ぎ始める。待て待て、何でそうなる?慌ててその手を押さえて
「ロリィ、何して」
「それを…試して…全身なんてそんな」
だから何故頬を赤らめるの?
ふとイリィを見たらもう上は脱ぎ終わってたよ。そして当たり前みたいに私の服に手をかけて脱がし始めた。
「一緒に…」
今?お風呂入るの?イリィは素早く私を脱がし終わる。諦めてロリィの服を脱がしてシャワーからお湯を出す。
それをロリィの首から肩にかけて、順に腰から足へとお湯をかけていく。
「ここも…」
いや、ロリィそんなにガッチリとお股を開かなくていいよ。だいだい濡らせるから。
「早く…」
言葉!その言葉なんかヤラシイから。仕方なくシャワーっとすると頬が染まってくる。なぜに?横からイリィの手が私の腕を引いて
「僕も、早く…」
この無自覚美形たちは何かを勘違いしてないかな?
体を濡らすだけの道具だから!
声を大にして言いたい。断じて顔を赤らめて、目を潤ませて、股を開きながら上目遣いで見るような使い方の道具ではない。
「イルはこんな風に…」
違うよ。
「アイはこんなことを…」
だから違う。
前後から美形が抱きついてきた。お願いだからやめてくれー。シャワーはダメだ。お風呂だ。お風呂に入ろう。
「お湯につかろう」
2人を湯船に入れる。もちろん私も。
「あぁーしみるぅ」
ふー。手足を伸ばして入れるっていいね。その前にトイレとシャワーでカオスだったからな。手足を思いっきり伸ばしてくつろいでいたら
「アイ、誘ってるの?」
「イル、そんな姿は…」
うん?何が?
肘をへりに乗せて足を広げて座ってるだけだよ。
「足開いて…お湯が澄んでるから色々見えてる」
「太ももが…当たってる」
お風呂だし裸の付き合いだよ。男同士だし何か問題?首を傾げて見たらイリィの手が太ももを撫でる。
「誘ってるね」
「艶かしい…」
「…」
その前に散々煽ったのは誰?それで私が煽ってるってないない、ないよ。
「色々と進んでるんだね…こんな道具が」
ロリィ、言い方だよ。使い方の違い。
ダメだ、お湯も危険。出よう。立ち上がると2人が同時に私を見て顔を赤らめた。私は何も見えてない。お湯から上がって脱衣室に入ると体を乾かして服を着た。あんな風に捉えられると困るんだけどな。
2人とも上がってきたからロリィが服を着るのを手伝う。そうしてお風呂からあがった。
後はもう案内するって感じじゃあないから居間に戻る。
2人はふうと息を吐いて
「刺激的な…」
「凄いね、色々」
凄さの方向性が違うよ。何故かめっちゃ疲れた。
またお茶を出す。今度は麦茶だ。
「んっ、ごくん。美味しい…」
「本当だ」
良かった。お風呂上りにはいいよね。
「アイの前の生活が少しだけ見れて嬉しい」
「僕も」
なら良かったよ。
「そろそろ戻ろうか?」
「そうだね」
そして家から出て坑道に戻ったよ。
色々と刺激的なお宅訪問だったな。案内の方法は考えた方が良さそうだ。
まぁ2人とも満足してくれたみたいで良かったけどな。うんうん。
こうして私の亜空間へ2人を招待し終えたのだった。
面白いと思って貰えましたら↓の☆から評価、いいね、やブックマークをよろしくお願いします!
励みになりますので^^




