表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

226/430

221.イアンの話

(アイル様が来たー)

(アイル様が来たー)

(優しい魔力)

(力が湧いてくる)


「アイル、凄いな。この道具。どんどん採れる」

「この灯りもだ。作業がしやすい」

「この荷を入れる箱もだよ」

「「「とにかく凄い」」」

 少し離れてただけなのに、すでに箱10は満杯だ。アルミが9とミスリルが1

「ミスリルは取引には使わないからほどほどでな」

「剣を作りたいんだが」

「誰用の?」

「一緒にいる皆の分でっさ」

「それならいいよ」

「ありがとう!」


(もっと採るよ)

(もっと採るよ)

(ミスリル採るよ)

(アルミも採るよ)


 ノームたちも張り切っている。微笑ましく見ているとある事に気がつく。あれ?ノームが採掘した分はどこへ?キョロキョロしているとイアンが


(僕たちは亜空間に保管出来るからね)


 えっ?亜空間て何?


(自分の専用空間に保管してる)


 ほえー便利だなぁ。ポーチ要らずじゃないか。


(アイル様も使いたい?)


 頷く。イアンは歩いて来ると私の手を握り屈ませる。おでこをくっつけるとイアンの亜空間の情報が頭に流れて来た。へーこうなってるんだ。凄いな。

 試しにイアンが取り出したオリハルコンを亜空間に入れてみる。おっ、入った。凄いな。

 ここに入れたらいいのになぁ。

 と思ったらイアンと一緒に白い空間にいた。

 えっ?何ここ。どこ?


「アイル様の亜空間だよ」

「今の声、イアン?」

「そう、ここでは声が出せるんだ。神聖な力に満ちているから」

「そうなのか?でも何もないんだな」

「作ればいいんだよ」

「どうやって?」

 イアンは笑うと私にまたおでこをくっつける。

 ほほぉ、なるほど。私はそのままそこに日本の田舎の風景を映し出す。ここは私のいわば心の空間。だから思いのままだ。

 木造の縁側付きの家。横には川が流れていて水車が回っている。

 周りにはそばの花が咲いていて、水車小屋で粉にする。


 家の周りには畑と、囲いの中には牛。別の囲いには鳥。

 畑の向こうに果汁園で、広い草原もある。田舎の原風景だ。

「これがアイル様の故郷?」

「私のおばあちゃんの家だよ」

「懐かしい気がする」

「私の気持ちが反映されてるからかな?」

「契約者の心に近づくから」

 契約者?

「名を貰ったから」

 そうなの?妖精でも契約とかあるんだ。

「名を貰って存在進化したんだ。中位精霊から高位精霊となったよ」

「他の彼らは?」

「僕の眷属、分身みたいなもの」


 そうなのか?でもここに来たらイアンと普通に会話出来るんだな。

 そういえば、ここって誰でもこられるの?

「アイル様と契約した者、交わったものなら入れるよ」

 だとするとイリィ、ロリィ、エリ、ハク、ブラン、ミアだけか?

「使徒様とお子様も。ミスト様も契約扱いだから大丈夫」

 おぉ、なら皆入れるな。

「アイル様、少しだけ魔力を分けて」

「どうやって」

「抱っこ…」

 おうっ、可愛いぞ?


 屈んでイアンを抱き上げる。イアンは嬉しそうに私の首をしがみついてしばらくじっとしていた。それから顔を起こすと軽く頬にキスをして

「ありがとう」

 ニコリと笑った。

「もういいのか?」

 頷く。じゃあ戻るかな、と思った次の瞬間には坑道に戻っていた。


「アイ」「イル」

「「どこに行ってたの!」」

 えっと急に消えたように見えたかな?


(消えた瞬間は見えないけど、気が付いたらいないって感じかな?)


 なるほど。びっくりさせたかな?しかもイアンを抱っこしてるし。

「あっちで話しよう」

 さっきのルビーやダイヤモンドを採掘した方に移動する。急に消えたら驚くからね。

「イアンに教えてもらって亜空間に行ってたんだ」

「「…」」

 あれ?反応がないな?

「イル、亜空間はとても高度な空間魔法…僕の知る限り使える人は現存しない」

 現存しない…?

 私はイアンを見る。


(妖精は中位以上ならば皆使えるから…)


 それは妖精だからかな?

 私は人なんだけど。困ったようにイアンを見ると


(普通の人は使えない。アイル様は特別だから)


 どう特別なのかな?


(聖なるものに溢れてるから)


 神獣とか聖獣とか霊獣とか使徒とか精霊が周りに居るからかな?


(そうだよ、そんなに聖なるものが周りにひしめき合ってる人はいない)


 言い方、イアン言い方!ひしめき合ってるって、それはないよ?せめて囲まれてるとか言って? 


(えーと、聖なるものに囲まれまくってる)


 ガクッ…。


「アイ?」

 ん?イリィ何?

「で?亜空間がどうしたの」

 ひぇぇ、イリィの目が笑ってないのに口元が笑ってる。怖い。美形の迫力が…。

「イアンに教えてもらって亜空間を作ったんだ。で、収納して…そこに入れたらいいなーって」

「うん、で?入れたんだよね?ねぇ、アイ。亜空間なんて御伽話の世界の話だよ?収納するだけでもね。入れるって何?ねぇ、ちゃんと説明して」

 目が笑ってない笑顔で私の頬を撫でながらイリィが聞いてくる。

 イアンを見る。あっという顔をすると


(あっちの様子を見てくる)


 イアン…逃げられた。でもイアンと話が出来るのは私だけだからな。チラッ…マズいぞ。

 ロリィは…チラッマズいな、真顔だ。美形の笑顔も真顔も迫力満点だな。

「アイ?」

「イル…」

 はい、ただいま。もう亜空間に連れてこう。2人の腕に軽く触れると亜空間へ行く、と頭で唱える。

 シュンとして転移した。

「「えっ…?」」

「ここが私の固有空間だよ。ね?入れたら便利でしょ」

 2人にドヤッて顔を向けたら固まってた。


「「えっ…?」」

 周りを見回して、家を見て畑を見て牛や鳥を見てまた家を見る。

「これは?」

「家…?」

「私のおばあちゃん、祖母がこんな感じの家に住んでて。流石に水車は無かったから想像で追加したけど。こんな感じの長閑な田舎なんだ」

「アイの世界の…」

「異世界の風景…」

「はぁ?なんで再現出来るの?」

 とイリィ。

「イルだしね…」

 とロリィ。

「イアンがやり方を教えてくれたんだよ。自分の空間だからね、色々と想像すれば出来るんだ」


「「いや、普通は出来ないと思う…」」

 2人の意見は一致した。でもまぁアイルだからね、と思っている2人だった。

「緊急避難に使えるかなって」

「「普通は収納にしか使わないよ」」

 2人の心の声は一致した。

「これって私が触れてたら入れると思ったんだけど、もしかして一度入ったら私が触れてなくても入れるのかな?」

「僕が試してみるよ」

 ロリィが言ってすぐに消えた。あっちに戻れたんだな。さて、ここに入れるか?


 シュン


 そこにロリィが立っていた。

「イル、出来たよ…」

 凄いな。私がいなくても入れるのか。

「僕も…」

 イリィが消えて、またすぐに戻ってきた。

「アイ、出来たよ!」

 そう言って涙目で私を見る。そしてそのまま私を抱きしめた。

「ここでなら、アイに会えるの?」

 距離とか関係ないのかな?

「距離が離れたりしたらどうだろうね?」


(イアン聞こえる?)

(うん、アイル様)

(私の亜空間に来れる?)

(うん)


 シュン


 イアンが来た。

「イアン、私と離れててもここに入れるのか?」

「離れてるって?」

「距離が、だよ。例えば私が近くの町にいて、イアンがここにいたとしてさ。亜空間に入れる?」

 イアンは少し考えてから

「距離次第かな?あまり遠いと無理だよ。魔力を使うから」

「魔力を使う?」

「えっと、アイル様の亜空間に引っ張られて転移してるっていうか…アイル様の魔力を辿って追いかけてるというか。自分の魔力を使うから距離が離れると転移に必要な魔力も増えるから」

 なるほど、転移だから魔力を使うのか。


 イリィとロリィが目を開いてイアンと私を見ている。

 ん?

「イアンがしゃべった…」

「イアンの声が…妖精の声が聞こえる…」

「なんかね、ここの空間だと会話が出来るんだよ。私は念話出来るけど、ここなら皆も会話が出来る」

 そう言うとロリィが

「ここに入れるのは?」

「私とその…」

 言い淀むと

「アイル様が交わった人や契約者、使徒様と家族は入れるよ!」

 イリィとロリィが複雑そうな顔をする。

「イル、その…イアンとは?」

「僕とは契約したからね!」


 何故か2人ともほっとしていた。えっ?まさか私がイアンとその…関係を持ったとか考えたの。

 イリィもロリィも頬を染めている。えぇーそんなに私って手が早く見えるのかな?

 顔をペタペタ触っていると

「聖獣との交わりみたいな特別なものかと…」

 そんな簡単にポンポンと交わらないよ。はぁ信用ないのかな?

 イリィが

「違うよ?そんなん、じゃないけど…僕のアイでいてほしくて」

 目を潤ませて必死に言うイリィが可愛すぎる。その頬にキスをして

「自分から進んではしないよ?」

 イリィは頷く。可愛い。ぎゅッと抱きしめた。


 体を離すとイリィを見て

「私が旅に出ても会えるって思ってくれた?」

 頷くイリィ。もう嬉しすぎる。

「ある程度なら離れてても大丈夫だよ。だいたいこの国の北の端までなら、ね。イーリスなら。アイル様が引っ張ってくれる」

「私が引っ張る?」

「アイル様の想いが、かな」

 イアンはニコニコと言う。イリィが真っ赤になってもう、とか言いながら私を抱きしめた。はぁ、私の旦那様が可愛すぎる。




※読んでくださる皆さんにお願いです※


面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価ををよろしくお願いします♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ