220.アルミの採掘をしよう
私はアルミを指して
「この少し鈍い銀色のがアルミだよ」
と言う。
「ガロン、少し左を掘って」
ガロンに呼び捨てにしてくれた懇願されたから呼び捨てだ。
ガロンは左側を掘る。うん、あったね。
「この少し鈍色のがミスリルだよ」
燻し銀みたいな色だ。
「他の人にも道具を渡すから」
言いながら振り返るけどあれ?反応が薄い。
「おーい、聞こえてる?」
「イルだから、ね」
「アイだし…」
「アイル凄いよ!」
エリの手放しの賞賛は恥ずかしいけど嬉しい。
「アイル、君って子は」
お父様が口籠る。あ、呼び捨てにして貰ったんだ。
「お父様、堀りましょう」
シア兄様の一声で皆に道具を配って、散らばって採掘が始まった。
私はロリィとイリィに声をかける。
「こっちに来て」
3人で歩いて行く。ここら辺だな。
『アルー手伝う』
「ハク、これ辺りの少し奥かな?よろしく」
『任せてー』
ドゴンッ…パラパラ。
奥行き3メルくらいの穴が開いてた。前脚の一振りだよ?相変わらずだね。
「ハク、ありがとう!」
首をワシワシと撫でる。
「イル、これは…まさか」
「うん、サファイヤだね」
「なんてきれいな…」
「2人の目の色だよ?とてもきれいなね。だからどうしても欲しくて」
2人は振り返ると驚いてから頬を染める。おうふっ、美形の頬染め照れ顔が2つ…これは萌えるな。
「取ろう。イリィは作品にも使えるし」
早速採取したロリィが
「凄い透明度だ」
と感嘆の声を上げる。イリィも
「なんてきれいな…」
手元を見て感心している。私も取ろうかなと思ったらブランが
『ご主人少し退がって』
一歩退がると上から降ってきた。サファイアが、しかも大量に。
光に反射してとても綺麗だ。するとどこからか小人が現れた。
(わっせわっせ)
(運ぶぞ運ぶぞ)
(採るぞ採るぞ)
(仕事だ仕事だ)
(励め励め)
「「「…」」」
何、なんですか?これ。
「ノーム…」
ノーム?
『鍛治の妖精だよ!アルの聖力に寄って来たんだ』
ハクが教えてくれる。何ですかね?聖力って。
『アルが纏う空気とでも言うのかな?清浄で澄みやかな空気だよー』
知らないよ?私は。
(聖獣様方、ユーグ様の愛し子様、使徒様 我らはノーム。鍛治の妖精。鉱物や石の採掘から製品の作成までお手伝いをするよ)
嬉しいけど何で?
(我らは鍛治をする為の妖精。この辺りでは鍛治師がいなくて働けず、寂しかった。ようやく仕事が出来る!しかもここはとても居心地がいい。是非ともお役立てて!)
なら、何かしてあげられることはない?労働の対価だよ。
(それなら、あなたの魔力を少し分けて…)
ハクを見る。しっぽを振っているから大丈夫だな。
私は手を出し皆に魔力が行き渡るような散布する。
だってノームは見たところ、50人?くらいいたから。
(わわわっ)
(うわぁ)
(ご馳走様だー)
(魔力おいしー)
(優しい魔力)
(癒される)
(ありがとう!アイル様。お留守の間も働くよ!任せて)
「イル「アイ」」
すごいねー。にこにこして見てたら
「何が起きてるの?」
あれ?声が聞こえないのか?
「鍛治の妖精ノームだよ。手伝ってくれるって。助かるよね」
「「…」」
ノームは御伽話の中に出てくる小さな妖精だ。実在するなんて…と2人は思った。
アルミの採掘場からも
「ノーム様、もしやノーム様では…なんと。ありがたやー」
ガロンが拝んでいた。
「ガロン、手伝ってくれるってさ。良かったな!」
驚いたガロンが
「話が、出来るんですか?」
「ん?出来るよ。鍛治の仕事が無くて困ってたから嬉しいってさ。作るのも手伝ってくれるって」
私は可愛い小人を撫でた。嬉しそうに笑う、、
(アイル様、僕に名前を!)
「え?全員は流石に無理かな」
(他は僕の眷属だから、僕だけで大丈夫)
「そうなのか、なら…」
鉄、アイアン、ならば
「イアンはどう?」
(イアン、私の名…)
するとイアンは3才児の大きさから6才くらいの子どもに成長した。丸くて赤いほっぺから成長して猫みたいな目の可愛い男の子になった。頭に三角の帽子を被りポケットのたくさん付いたチョッキを着て編み上げのブーツを履いて革の手袋をしている。長袖のシャツとダボっとした長ズボンを着ている。
うわ、可愛い。思わず目線を合わせてその頭を撫でる。目を細めて嬉しそうにしている。そのまま頬を撫でるとくすぐったそうな顔をする。可愛い。
(アイル様のそばは心地よいよ)
猫が喉を鳴らす時みたいな目をして言う。
「少ししたらここを離れるけど、その間も頼めるか?」
(もちろん!)
頭を私の手に擦り寄せながら言う。うん、可愛い。一通り撫でると満足したのか
(じゃあオリハルコンを掘って来る)
「…」
私は何も聞こえない。ロリィたちには聞こえてないから大丈夫だな、うん。
『へーオリハルコンもあるんだ!』
ナビィ、空気読んで!全力で叫んだよ。心の中でだけど。だってさ、なんか近くから冷たい視線を感じるんだよね。
チラッとな。サッ…ヤバい。笑ってるけど、目が笑ってない。
「アルミの方を見て来ようかな」
ガシッと腕を掴まれる。
そっと振り返ると
「イル「アイ」、説明して…」
「いや、あのね…名前を付けたら喜んで。で、オリハルコンを掘って来るって。凄いね?彼らは」
「「凄いのは実在するかも分からなかった鍛治の妖精を引き寄せて懐かれた誰がだろ!」よ…」
2人の意見は一致した。
無表情でふわふわと笑うような顔のアイルを見てため息をついた。でもそれこそがアイルで、自分たちを惹きつけてやまないのだ。彼らも同じだと考えると怒るにも怒れない。
仕方ない。オリハルコンは封印しよう、そう心に決めた2人だった。
だいたい、このサファイアだってとんでもない高品質だ。なんでこうなる?引き寄せるもの、だからか。
「ん?違うよ。高品質なものが埋まってる場所を掘ってるからだよ」
「「…」」
「他の鉱物も…「「間に合ってるから」」」
「そう?ルビーとピンクダイヤモンドがあるんだけど…」
「「どこ?」」
えっ、間に合ってるんじゃ?
「ダイヤは別…」
「ルビーはまた別だよ」
そうなのか?オリハルコンは要らないのに?首を傾げていると
「「要らない訳じゃない」訳ではないよ」
なるほど?
私は少し手前方向に歩く。この辺りだな。
『アイリー任せて!赤いのとピンクのだよね』
ドゴンッ。しっぽの一振りだよナビィ。凄い威力だね?
左側に鮮やかな赤。右側にキラキラしたピンク。
2人は早速採り始める。私はカケラでいいかな、と思ったらご主人少し退がってーとブランの声。少し退がると上からバラバラッ、ドンッ。ブランありがとう?沢山あるね?
(最高品質のルビーとピンクダイヤモンド ブランが採った事で質が上昇した)
「ロリィ、イリィ。沢山あるからどうぞ?」
2人は顔を見合わせて考えている。だから
「同じものを分けたいんだ。ダメ?」
首を傾げる?だって1人でこんな高品質なもの持ってたくないから。2人を見るとまた顔を見合わせて
「分かった、ありがとうイル」
「アイ、分けてもらうよ」
良かった。2人はそれぞれ少し手に取る。少ないな?
「もっとどうぞ?私より2人の方が使うだろうし」
そう言って3等分したよ。ふふふっ、色々分かち合おうね?
2人はそれをポーチにしまった。うふ、お揃いだねって言ったら軽く睨まれたよ。可愛いだけだよ?2人とも。
「アイ、でビクトルは何て?」
「どれだけの品質?イル」
目を逸らす。2人はガシッとまた腕を掴んで笑顔で
「アイ?」
「イル…」
「「白状して」」
はい、すみません。
(最高品質のルビーとピンクダイヤモンド ブランが採った事で質が上昇した)
ちゃんと伝えたよ?
イリィが微笑みながら
「アイ、僕を見て?ねぇ、全部話しして?」
ぐっ…。
「イル、ビクトルの解説はそれで全て?」
ぐぬっ…。なぜバレた?
「「ちゃんと全部話して」」
はい、すみません。かなり省略しました。
(最高品質のルビーとピンクダイヤモンド ブランが採った事で質が上昇した
特級遺物に相当
現存する中ではピカ一の品質 魔力素を豊富に溜め込んだ一品
魔力の保管にも使える超級 一握りで国が買えるほどの価値がある)
話したよ?全部。ね?聞かない方が良かったでしょ?優しさだよ、優しさ。
2人は完全に固まって動かない。おーい、戻って来てー。ダメか。ちょっとアルミの採掘見てこよう。
その場を逃げ出し、ごほん立ち去った。逃げた訳ではないよ?
ついにノーム登場…
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