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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

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211.アルミを採るぞ

 楽しいお昼ご飯が終わり、ハクたちと戯れる。ハクの首周りから背中、しっぽそしてお尻と撫で回し匂いを嗅ぐ。ふむふむ、今日も良きもふもふだね。背中のベビーズももふる。

 次はブランだよ。ふわふわな羽毛を指で撫でてその小さな頭をよしよしする。手のひらに包んでおでこに当てる。うん、今日もふわふわだ。


 おっ珍しくミストが伸び上がって主張してるな。抱き上げてほわほわの毛に頬擦りする。お腹を指で撫でるとコロンとした。可愛いぞ?

 目をらんらんと輝かせてナビィが足踏みしてる。ミストをそっと降ろしたら飛びついてきた。そのまま押し倒されてナビィの首に抱き付く。ふかふかだ。

 わしわしと撫でて匂いを嗅ぐ。小さな頃から嗅いでいた懐かしい匂い。お日様のようなわんこの匂い。

 その匂いはずっと変わらない。

 少しずつ薄れていく記憶の中で、変わらずに残るナビィの匂い。


 いつか、みんなの顔も忘れてしまっても…この匂いだけは決して忘れない。だって目の前にナビィがいて、私を待ってるんだから。

 ゴロンと転がってナビィの上に乗る。その頭や頬にキスをする。柔らかいお腹も撫でてついでにお股もね。飼い主特権…あっ、はいごめんなさい。でもそれはご褒美だよ?


 前脚を突っ張って私の顔に当ててるけど、可愛い肉球がね。顔に当たってるし、肉球の隙間からはみ出たお毛がね、柔らかいんだよ?

 後ろ脚でも突っ張るの?もう、可愛いぞ。肉球にもキスしとこ。

 あ、まって…嫌がって起き上がってしまった。そして盛大に体をブルブルさせる。ごめんよぉついね。


 次はベビーズだな。うん、ふわふわふかふかまふまふ祭りだね、これは。ハクの首にしがみ付いた子どもたちに顔面ダイブだよ。うわぁ、幸せ…だから、ハル。口にお尻を押し付けないよ。ナツ、だから鼻の中まで舐めない。リリは耳を齧らない。ルイは…寝てるのな。

 相変わらずわちゃわちゃな子供たちを指で撫でて頬ずりする。ふふふっ、寝ているルイを仰向けにしてそのお腹にキスをする。うん、毛が少ないから凄く温かい。むふっ。


 最後はミアだぞ?しっぽを上げて待ってたのかな。おいで。頭をぐりぐりと擦り付けてから。おわっ、可愛いぞ。体も擦り付けて来てコロンと横になる。いいの、いいのか?顔からダイブ…幸せ。

 体を撫でながら首元の匂いを嗅いで耳の後ろを掻く。どう?ここか?こっちか…おおぅ。ふふふっ。頭にチュパチュパして終わり。最高だね。


 ふと視線を感じて振り向くとなんだか優しい顔で見られている。いや、ロリィとエリは完全に爆笑寸前だね?家族の戯れだよ!


「ふふっアイ、アルミの採掘はまた人を集めて明日だね」

「くふぅイル、エリたちイズワットと、イーリスの家族にも。あとダナン様も、この話に関わるならアフロシア軍の2人も、かな。私とイルは始めから関わってるからね。権利関係の整理もしないと」

「うん、ロリィ頼りにしてるよ」

「アイル、それが家族とのふれ合いなのだな…参考にする」

「「しなくていいよ」」

「…」


 ほら、エリが困ってるよ?

「こほん、アルミはまた明日だね。ランカウは?ハク様」

 あれ?エリはハクのこと知ってるの?エリを見る。

「それだけ高貴な空気を醸し出していたら分かるよ。魔力もとても濃いし。というか、みんな凄いよ?犬も鳥も猫も…」

 ほぇーそうなんだ?私には可愛いだけの家族なんだけどな。

「きっとアイは可愛いだけなのにね、とか思ってるよ」

「そうだね…ハク様のお腹を枕にしたり、抱き枕にしたり…お尻の匂いを嗅いだり、顔からお尻に突撃したりしてるから…」

「可愛い犬とか思ってるよ、きっと」


 うん、良く分かってるね。

「くふふぅ…」

 へっ?エリ…?お腹抱えて笑うほどなの?

 憮然としていたら

「くすっ」

「くふぅっ」

 笑われた。

「ハク、ランカウはどこに植えるの?」

 話を戻そう。

『この楽園の外でいいよ』

 楽園て何?

『アイリが作った精霊たちの楽園だよ〜』

 薬草とか木とか花は植えたけど、薬園は作ってないよ。オカリナ吹いて巣箱作っただけ。

『それが彼らの楽園だよー』


 分かったよ、楽園だね。作ってないけど楽園らしい。

 その外に。みんなで少しだけ移動する。

「ハク、この辺?」

『うん』

「出して」

『はーい』

 ドドンッ。ハクさん、このこんもりとしたお山は何かな?種だよね?私の背より高いのは何故かな。ん?こんなにたくさんいるの?


「ハク…」

 目をまん丸にしてしっぽがブンブン揺れる。褒めてーって声が聞こえる。

「たくさんありがとう?」

 さらにしっぽがブンブン高速で揺れる。

「一気にたくさんは要らないから、少し仕舞っておくよ?」

『はーい』

「エリお願い出来る?」

 頷いて種の山から魔法で周りに散らしてから土に潜らせる。

 ん?お水は要らないんだ?

「水は要らないよ。大地の水分で芽が出る。ただ、普通に成長を待つと春まで育たない」


 冬にこそ欲しいな。

「成長を促しても枯れない?これから冬だけど」

「冬になる前に刈ってしまえばいい」

 なら栄養剤を投与する感じでいいかな。ハイポ◯ックスを投与っと…どうだ?


 ニョキ、ニョキニョキ


 うん、竹だね。筍も取れるかな?わくわく。

「後は自然に任せたらいいよね」

『そうだね』

 振り返るとエリがこぼれ落ちるんじゃないかというくらい大きな目で私を見ていたよ?

「エリ、どうしたの?」

「えっ、今何が…」

「あぁ、ハクの力?」

 全力で押し付けとこ。ハクがドヤ顔でしっぽを振る。可愛い。


「さすがだな…」

(イル、後でお仕置きしないとね?)

(アイ…ふふふっ夜が楽しみだね)

 2人から念話が?ロリィのは念話というか、心の声だけど。

 2人のそばに寄ると小さな声で

「試しに1本だけ成長させるとかは?イリィ出来るよね?」

「それなら、10個作れるくらいだけ…イーリス出来る?」

「1本でどれだけ出来るかな?多分、それくらいなら僕でも出来るよ」


 エリを見る。

「1本で何個ランカを作れる?」

「3個くらい」

 イリィは頷くと大地に手を付けて、すると4本だけニョキッと伸びた。細い竹かな?

 エリはそれを切る。

「凄く昔に作り方を教わった。思い出したよ」

 そう言って作り始める。

 細い竹を長さが段々と長くなるように横に5ツ繋げる。それを僕が渡した白蜘蛛糸で繋いでいく。

 竹にはいくつか縦穴を開けて出来上がりかな。


 エリが作ったランカを見て困惑している。ん?


(神楽器 ランカオ〈ランカ王〉 創世の神が大地を育む為に吹いたとされる伝説の楽器)


 なんだと…?


(神獣が採取し、聖虫の白蜘蛛の糸を使いアイルが力を注いだランカを、最古の国イグニシアの末裔が楽器にしたことで神楽器となった)


 …ビクトルの解説は封印しよう…そうしよう。


『神楽器になったねー』


 ハクさん…バラしちゃうの?そうか、ハクは神眼で見えるのか。みんなの目が私を見る。そっと目を逸らす。

「アイ…?ねぇ、僕を見て」

 チラッとな。あ、これはあかんヤツや…美形の目が笑ってない笑顔。怖い…。

「イル…こっちを見て?」

 チラッくま。あ、ロリィの目が限りなく澄んでいる。心の中まで見透かすような…。目を逸らす。

「アイル、どういう事?」

 チラりん。エリが真っ直ぐな目で問い掛けている。いや、作ったのはあなたですがな。


「「「どうしてこうなった?」」」

 私が聞きたいわ。

「「「説明して…」!」?」

 はい、説明しました。引用はビクトルですよ。

 みんな固まったよ。

「今回、私は少し成長を促しただけだよ?採ったのはハクだし?育てたのはイリィだし?作ったのはエリだよ?ほら、私が一番何もしてない!」

 言ったよ、言い切ったよ!


「イル、一番大変な工程がイルの、だよ」

「アイ、季節を秋から冬そして春へと進めたんだ。そこが一番あり得ないんだからね?そもそも聖虫が来たのはアイが薬草を植えたからでしょ」

「アイル、きみが巣箱や木、花まで植えて精霊や妖精たちは喜んだ。さらにあの音楽。それがあったから糸を貰えた。聖なる魔力糸だよ?僕たちですら持ってないくらいの。欲しくても手に入らないのに、君の元には彼らが自ら渡してくる。本当にあり得ないんだよ」


「この楽器、どうする?」

 エリは考えて

「ここの4人だけにするか?」

 楽器を見て悩んでいると


(ハクたちが持っていれば心を音として奏でることが出来る)


 ビクトル、どういう意味?


(神楽器は聖なるものの心を奏でる楽器 アイルを呼ぶ音として使える)


『ハク、意味分かる?』

『うん、アルが眠っても僕たちが呼ぶ声が聞こえる』

『僕たちが眠ってもご主人の呼ぶ声が聞こえる』

『心を奏でるんだよ、アイリ』


 それならハク、ブラン、ミスト、ナビィ、ミアにも渡すか。


(5人の子どもたちとアイリーンにも渡すといい)


 ビクトル、どういう事?


(アイルやハクを呼ぶ)


 そうなのか?


『アル、みんなに渡して』

 ハクの言葉に頷く。分かったよ。

「エリ、全部で14個作って」

「イル、誰に渡す?」

「ハクたち全員。心を奏でるって」

「「心を奏でる?」…」

 エリが考えながら

「そう言えば、昔は国に住んでいた聖獣がランカを吹いた、という言い伝えがある」

「古い文献に音楽の元となったのは、聖獣が奏でる音だと…」





※読んでくださる皆さんにお願い※


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