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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第4章 転移の真実

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202.新しい産業

「まずはアルミニウムと羊肉。この2つで町と取り引きと身分証の発行を持ち掛けよう。毛織物はまだ先…」

 頷いてノーベルを呼ぶ。

「何か、発明なりが?」

 勢い込んで聞いてくる。

「新しい鉱物だよ。未発表のね…」

「なんと!登録もこの町で?」

「君たち次第、かな」

「商業ギルドの担当者を呼びます」

 慌てて出て行く。


 ふと思いついてエリに聞く。

「楽器は?」

 エリは少し驚いて

「何故知ってる?」

 知らないけど、冬が長い地方だから何かあるかと思って。

「ランカと言う笛だ。ランカウと言う植物から作る」

「持ってない?」

 首を振る。するとヨナが懐を探って何かを出して来た。

「ん!」

 私に差し出す。受け取ると、それは細い笛が横に繋がっていて、長さが違う。これで音階を変えているのか?


「ランカウは寒い場所に生える?」

 頷く。材料が手に入れば、これも売れるかも?

「その辺りには生えてないかな?」

「白の森でランカウの枯れた茎を見た」

 そうなの?でもあの森は凍ってしまった。枯れてるかも。

「ランカウは冬まで地中で種のまま過ごす。地中なら森の外でも見つかるかも」

 探すか、これはまぁ私の趣味とかもあるし。


 廊下が慌ただしくなり、扉が開かれる。

 ノーベルの後ろに2人いる。

「こちらが商業ギルドのマスターでソート、隣は登録担当のベラシアです」

「伯爵様、お初にお目にかかります。ソートです。以外よろしくお願いします」

「先ほどの話にあった鉱物を見せて貰えますか?」

「彼らの身分証は発行出来るね?」

「「もちろんでございます」」

「イル、出して…」


 私はポーチから鉱物自体と、加工済みの物を出す。

 3人はガン見する。

「これは、金属ですか?」

「そう、鉄より軽くてそれなりに丈夫。柔らかいから加工がし易くて便利…イルが見つけて僕が認めた」

「ロルフリート様は鉱物の研究家としても名高い。少し前にも新しい水晶を発見された」

「この町にも活気が…」

「しかし、何を作るのか」


 私はポーチから食器をだす。もちろん、イリィ作だよ。

 またそれを皆がガン見。

「持ってみて」

 それぞれ手に取り驚く。

「軽い!」

 叩いてるけど、もちろん簡単には曲がらない。薄くすれば食品保存にも使えるし、料理にも。

 ホイル焼きとか食べたいよね。


「厚みがあればそれなりに硬くて、さらに紙くらいまで薄くしたら、料理にも使える」

「かなり、手広く使えるな」

「建物にも使える、窓枠とか扉とかね」

「「!」」

「この辺りは雪も降るので、木の扉は使いにくかった」

 そうだろうね、丈夫にしたら重いし。

「「ぜひ、この町で登録と鉱物の納品を!」」

「まずは鉱物の新種登録。後は製法と商品登録かな。製法は、この町の商業ギルドに特権を与える」

「「ありがとうございます!」」


 慌ただしく動くギルマスたちを見ながらロリィは

「彼らの代表者かな、何人かここに連れて来て」

 ロリィはやっぱり生粋の貴族だ。ごく当たり前に命令出来る。お願いではなく、決定事項だ。

 もちろんギルマスたちには断る理由がない。

 職員を呼んではなしをし、職員は走って行った。


 そこからは登録担当の仕事。

「防音に致します」

 魔道具を始動させ、登録の手続きをする。最後は他言無用の魔法契約付き。私が物を出したからね。


 一息付いて、ギルドの人が持って来てくれた紅茶を見る。


(美味しい紅茶)


 頷くとロリィもエリも口を付ける。私も飲む。うん、美味しい。


 そしてとびらが叩かれる。ノーベルが扉を開けて頷くと中に人が3人、入って来た。

 そしてエリとヨナを見て崩れ落ちた。

「「あぁ…」」

 その中でもリーダーっぽい例の男性が

「よくぞご無事で…」

 皆が泣き出してしまった。

「苦労をかけたな、アリーよう無事で…」

 エリも感極まって言葉が続かない。


「話を進めて…」

 やっぱりロリィはロリィだ。

「皆、話は後だ。今はこれからの暮らしについて大切な話だ」

 3人は立ち上がり、椅子に座る。

「お前たち、織物が出来るものは?」

「私が…他にも2人ほど」

「ランカを作れる者は?」

「俺が…」

「鍛治は誰か出来たか?」

「ガロンの親方がいます」


「ノーベル、採掘と一部の加工は彼らが。納品と製品登録は随時。この町に限り、使用料は取らない」

「すぐに10才以上の者の登録をしましょう」

 彼らは一旦、宿に戻り探索者又は商業ギルドに登録する。

 これで一先ずは安心かな。


 ソノーベルとソートが顔を見合わせ

「他にも何か、特産になるようなものは?」

 ロリィが私を見るので

「最近、フィフスで登録された牛乳を分離して出来るクリームとその残りの液、その液に浸けると肉が柔らかくなります」

「牛乳を分離?」

「確か、その分離器が登録されて?」

 ソートが言う。

「そう、私の実家が登録した」

「それを使って肉を柔らかくして、さらにある方法で羊肉を食べれば美味しい筈」

「おい、羊肉あるか?廃棄棚にあれば持って来い」


「調理出来る場所は?」

「ギルド併設の食堂なら厨房がある」

「人払い出来る?」

「営業はもう始まっていますので、今は無理です」

「お肉を預かって明日お披露目かな。もう遅いし」

 私が提案する。

「そうだね…」

 扉が叩かれ、お肉がドンっと置かれた。

 ロリィが

「預かっても?」

「「はい!」」

 ロリィがポーチに仕舞う。


「続きは明日だね。登録は出来たかな?」

「はい、現在発行中です」

「彼らの泊まっている宿に空きは?今日の宿を探さないと」

「いえ、あの宿は安宿でして…」

 汗を掻きながら話す。仕方ないよな、それは。

 ロリィは考えて

「なら私たちは町の外で野営を…」

「とんでもない!他の宿を今すぐ。何部屋必要ですか?」

 ロリィは私を見て、エリたちを見て

「3部屋」

 簡潔に答える。


「少しお待ち下さい」

 ノーベルは部屋を出て行く。おい、と職員に声を掛けていた。

「ロルフリート様、アイル、ありがとうございます」

 そう言って深く頭を下げた。

「彼らを助けたのも、君の体を治したのも私じゃない」

 エリは私を見て

「アイル、ありがとう。もう会えないと思った同胞がこんなに生きていた。再び会えるとは思わなかった。そして、私の傷も…」


「私じゃないよ。そもそも助けたのは森人だ。イリィの家族が助けなければ、今のエリはいない。もし少しでも感謝してるなら、是非彼らにその恩を返して欲しい」

「やっぱりアイルなんだな…恩の順送り」

「私は感謝されるようなことはしてない。森人たちの為に、何も出来なかった。エリたちが協力してくれたら、彼らの力になる」

「アイルが望むなら」

「私の望みは彼らが笑顔になることだよ…エリ。もちろん、君もね」


 ロリィの方を向くと

「イルは僕と」

 やっぱりね…。扉が開いてギルマスが飛び込んで来る。

「や、宿の手配…」

「落ち着いて…」

「失礼しました。手配出来ました。ご案内します」

 こうして私たちは馬車に乗って宿に向かった。

 ギルドからはさほど離れていない3階建の宿だ。この町では大きな宿かな?

「貴族が来た時に利用する宿で、貴賓室があります。2部屋だけですが」

「そう、良かった」


 宿では年配の男性が迎えてくれる。挨拶は要らないとロリィが言って早々に部屋に入った。夕食も断った。

 今からでは流石にね、準備が。

 で、エリアスの部屋に集合して夕食会。部屋で火は使えないから有り合わせの物になる。

 スープとキビサンド、サバサンド、肉サンドから好きな物を各自食べた。

 エリはたくさん食べている。

「アイルの食事はとても美味しいから、たくさん食べられる」

 だとさ。ロリィは

「太りそう」

 だって。いやいや、少し太った方が良いよ?でも量はしっかり食べるよな、ロリィは。


「イルはもっと食べた方がいい」

 元々少食なんだよね。

「もっと太って…」

「ロリィの方が細いよ」

「太った方が好み?」

 えぇ、好みの問題では…。

 ロリィはエリを見て

「今日、イルは僕のだから…お風呂はキリウスに頼んで」

 唐突だな…。


「エリアス様のお世話はわたしが致しますので」

 ロリィは頷いて

「明日は11時にギルドに集合だよ。現地集合でいい?」

「はい、大丈夫です」

「朝食は部屋に運んでもらうよう手配したから」

 と言って私の手を引いて立ち上がり

「また明日…」

 エリの部屋を出て行った。





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