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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第3章 白の森と生命樹

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184.お土産

 信じろ…自分とアイルを。


「マルクス、たまにいいこと言うな…」

「たまに、は余計だろ?」

 顔を見合わせて笑う。そうだ、僕は分かり合えて当たり前って思ってた。違うのか。少し力が抜けたかな。

 屋敷に着いたらアイとたくさん話をしよう。たくさん甘えよう。


 屋敷に着くとちょうどアイたちが帰って来た。僕は馬車から飛び降りて

「アイ!」

 そのまま勢いよく抱き付いた。アイはびっくりしてたけどしっかりと抱き止めてくれる。

「イリィ、どうした?」

「なんとなく…」

 子供みたいなことを言ってしまう。でもアイなら受け止めてくれるよね?

 アイは優しく笑って

「嬉しいことがあったんだね?目がキラキラしてる」

 アイとこうして抱き合ってるのが嬉しいんだよ。

「アイが抱き止めてくれたから」

 首を傾げるアイ。

「当たり前だよ?私のイリィ」


 あっ…凄く嬉しい。そのままギュッと抱き付く。アイもギュッと抱きしめてくれる。そして目を覗き込むとキスをしてくれた。そしてふわりと微笑む。

「なにがあったの?」

 部屋に戻って僕は早口で話をした。アイは嬉しそうに僕を見て話を聞いてくれる。

「たくさん買ってくれたんだね?ありがとう」

 またキスをしてくれた。

 贈り物はまた後で見せて?って。なんかアイの目が色っぽいよ…。





 少し前のアイルたちは…


 森から帰る時に川原で何か光るものを見つけた。なんだろ?

 あれ…ガラス?石かな。なんかキラキラしてる。きれいだ。それはイリィの作品に使えそう。

 散らばってるな。どうやって拾うか?


(空間にしまってから必要なもの以外を戻せばいいよ!)


 ビクトルの助言だ。そんなこと出来るの?そしたら砂金とか取り放題じゃないか!

 ないかな、砂金。


(ここにはない)


 残念。でもシーグラス風のこれは拾いたい。では、と。ここらの川原をしまって…キラキラ石だけ保管っと。おぉーできた。それなりにあるのな。

 たくさん取りすぎてもね、拾う人が他にもいるかもしれないし。ほどほどに、といってもバケツ一杯くらいはある。

 大量だな。イリィは喜んでくれるかな?



 アイルもイーリスの為に石を拾っていたのだった。



 森から帰るとちょうど馬車が入って来た。誰か出掛けてたのかな?と思ったら馬車からイリィが降りて来て私に勢いよく抱きついて来た。踏ん張って受け止める。どうしたんだろ?凄く嬉しそうだ。

 私も嬉しくなって抱きしめてキスをする。うん、今日もきれいだよ、私の旦那様は。


 部屋に戻ってからソファに並んで話を聞く。嬉しそうなイリィを見て、私も嬉しい。

 そしてこれ、アイにと言って可愛らしい包みを渡される。

 開けてみるとそれはピアスで、この石は…?


(ターコイズ 主の誕生石)


 …あるんだターコイズ。嬉しい…凄く嬉しい。イリィを見てありがとうと言おうとして涙が流れた。

 イリィは慌てて

「どうしたの?気に入らなかった?」

 首を振る。

「すごく嬉しくて…私の世界では生まれた月の石が決まってて、この石は私が生まれた12月の誕生石なんだ。こっちには12月がないから…」


 そう、この世界は1年が10ヶ月で300日だ。12月はない。先月が誕生日らしいから、こっちだと8月生まれかな。


「誕生石って言うんだね?素敵だ。僕と片方ずつでお揃いだよ」

「イリィとお揃い、凄く嬉しい。ありがとう」

 イリィに抱きつく。その柔らかい体と大好きな匂い。町に行ったのに私が喜びそうな物ばかり買って…本当に大好きだよ。


「私もそのお店に行きたい!」

「休憩でお菓子食べたら行く?」

 うんうん頷く。

 そのお店を見てみたいし、提案したいこともあるんだ。もちろん、イリィと一緒に。

 そこにロルフが帰って来た。

「イル、帰ってたんだね…楽しかった?」

「とても…」

 ロルフが優しく笑ってくれる。

「良かった。お母様が甘味が食べたいと言ってて」

 皆で居間に向かう。イリィは私の手を離さない。可愛な。


 部屋に入るとお母様はすでに座っていた。

「別の甘味があるんですって?」

「はい、お母様…喜んで貰えたら嬉しい」

「可愛い息子が作ってくれたのよ?嬉しいに決まってるわ」

 やっぱりルシアーナさまはお母さんなんだな。

 扉が叩かれてソマリが入ってくる。


 机に蒸して冷やしたアレとアレが乗る。お母様は身を乗り出しているよ。

「こちらは蒸した卵です。上には黒蜜とこちらはクリームを載せました。そしてこちらは牛乳を固めたもので、黒蜜をかけで食べます」


 そう、プリンと牛乳かんだ。ふふふっ味見はしたからな。

 さっそくお母様が黒蜜のプリンを掬って食べる。

 目を見張る。そしてあっという間に食べ切った。皆は唖然として見ている。

 続いてロルフが口にする。

 …瞬殺かな?一瞬で溶けたよ。

 そしてイリィ。パクリ…早!もうない。えっ?早いよみんな。


「イル…これはいけませんわ」

 えっ?ダメだった…の?

「美味しすぎるわ」

 あ、そっち。

「この後にでも商業ギルドで製法登録をするわよ?」

「…」

 そっと目を逸らす。

「ふふふっ…」

 お母様の目が怖い。

 そしてクリームののったプリンを食べるお母様。

 くわっ!

 溶けたよ…。

 気がつくと皆が食べ終わってた。早いね?


 無言のまま牛乳かんに手を伸ばす。黒蜜をかけてお母様がパクリ…

「んまぁ…これが牛乳なの?」

 即なくなってるよ。えっ?皆も食べ終わってる。

 ロリィは上品に口元を拭うと、ほぅとため息をつく。

 イリィは唇を舐めて目を瞑っている。


「「「美味しすぎる」…」ますわ!」


 ハモったよ。うん、良かった。

 それからのお母様は早かった。リベラを呼んでギルドが、と打ち合わせをしている。

「お母様、私は少し出掛けます」

「まぁ、どこへ?」

「町に…素敵なアクセサリーを売るお店があるって聞いて。私の好きな石のアクセサリーがあるんです」

「もしかして、その水色の石かしら?」

「はい」

「この辺りが産地なのよ」

「私の故郷では、生まれた月に合わせて石が決まっていて…私はこの石です。誕生石って言う」

「なんですって!」

 キラン!お母様の目が光った。


「詳しく聞かせて」

「えっと、月ごとに一つか二つの誕生石が決まっていて、贈り物にしたり自分用に使ったり」

「素敵ね!その発想はあなたの故郷の?」

「はい、でも凄く遠いところ」

「なら大丈夫ね。登録するのよ、商品名として。こうしては居られないわ!石を決めるわよ。ロルフ」

「お母様、慌てないで…」

「いいえ、これは…売れるわ。この石を売り込む好機よ」

「イルは8月生まれだね?」

 頷く。

「8月はこれね。後9個よ」

「イリィは何月?」

「6月」


「なら6月はダイヤモンドで」

「イル…素晴らしいよ。鉱山の価値が高まる」

「ロリィは?」

「私は2月」

「2月は波模様の石、名前なんだっけ?」

「アイリス…」

 そうだったよ。

「お母様は?」

「私も6月よ。ふふっダイヤモンドのアクセサリーが貰えるわね?」

 も、もちろん…ですよ。お母様…の圧が凄い。


 そして話し合って


 1 水晶

 2 アイリス(ラリマー)

 3 ルビー

 4 紫水晶

 5 サファイア

 6 ダイヤモンド

 7 エメラルド

 8 ターコイズ

 9 ムーンストーン

 10 トパーズ


 となった。アイリスは新種で、他はすでにある石。でもターコイズ、ムーンストーンは新しく名前を付ける。どちらもこの辺りで取れるけど名前が無かった石だから。


 登録は誕生石という名前を使用登録にする。ターコイズとムーンストーンは命名登録だ。

 どちらもお母様の名前でと思ったら誕生石の登録はお母様、ロリィ、イリィ、私の4人となった。

 それならもう商品として売り出せるように石を購入して製作を依頼することになった。

 依頼はイリィとイリィが買ったアクセサリー屋の店主だ。


 そして町にはお母様も行くことに。ハクたちはお留守番だ。

 伯爵家の馬車を出して貰って出発する。もう一台にはソマリとリベラが乗り込む。レシピの登録だ。

 お店の前まで馬車を乗り付けて店に入る。

「い、いらっしゃ…」

 言葉が途切れた。明らかに身分の高そうな女性と男性が店に入って来たのだ。驚くのも無理はない。

「店主、また来た。こちらの方が興味を持ってな。少し話いいか?」

 イリィが話しかけるとコクコクと頷いている。

 お母様は商品を見て

「繊細ね…良く出来ているわ」


 確かにとても繊細な加工だ。技術の高さが分かる。私は話に加わらないからアクセサリーを物色。ハクやブラン、ミストにナビィとベビーズにも何か付けて上げたい。首輪があるからそれに付けられるようなもの。

 ハクとナビィには耳輪がいいかな。

 それなら皆にも?ブランは難しいか…。

 考えながら見ていると

「どう?」

「どれも凄くいいよ。少しだけイジってもいいなら…」

 言葉を切ってイリィに微笑む。ふふっ絶対可愛い。想像だけで気分が上がるな。その細い首に…まぁ今も私作のネックレスが光ってるけどな。


「イル、来てくれる?」

「はい」

 お母様に呼ばれた。

「何がいいかしら?」

 売り出すアクセサリーの種類だ。

 やっぱり無難に指輪かな。

「指輪…右手の小指に。大切な人からの贈り物」

「まぁ…素敵よ。左は結婚の模様が出るからね?」

「平民だけ…」

「広く知られるなら右手の小指よね?でも石がじゃまにならない?」


 私は自分の右小指の指輪を外して見せる。内側と外側にも埋め込むように小さな石が嵌っているのだ。

 それを見てお母様とロリィ、店主までガン見して

「素敵よ。これならじゃまにならないし、小さな石も活用出来るわ」

「機能的…」

「なんと繊細な…しかも表面に模様が」

「模様は無くてもいいし、外だけ、内だけでもいいし。外と中で2つの誕生石を嵌めてもいい。私からイリィへ贈り物なら外にイリィのダイヤで内に私のターコイズ、とか。逆でも」


「イル、恋人に贈るものには石を2つ、家族とかに送るのは石を一つ…素晴らしいわ」

「それが習慣として根付けば…恒久的な人気が見込める…ね」

「あなたのこの加工技術なら石を埋められるかしら?」

「金属の種類にも寄りますが、多分出来ます」

「私がここでするべき事が決まったわ。ねえ、店主さん、契約をしませんこと?」

 店主は目を白黒させている。

「お母様…順を追って。まずはギルドで登録…そして、戦略を練る時に店主に入って貰って。ノエル叔母様も…」

「ノエル叔母様?もしや…」

「えぇ、伯爵家のルシアーナよ」


 店主は大汗をかいていたけど壊れた人形みたいに頷いていた。


 私は買い物だ。

 後で少し加工するけどな!

 そして商業ギルドの登録はギルドカードを預けてお母様とリベラ、ソマリにお願いしたよ。

 私たちは一足先に帰宅だ。


 イリィとロリィに色々作ろう。防御もましましにしとくよ!

 夢中で作っていたら扉を叩く音。夕食だって。オヤツも食べたから余りお腹は空いてないど、まぁどうせ口にするだけだしいいか。

 食事はお魚がたくさん出て来て凄く美味しかったよ。味わうだけなんだけどね。


 そして夜、いつも通りのロリィにしっかりと全身を洗われてお風呂は終わり。

 さぁ、私が作ったものをお披露目しないとな。




※読んでくださる皆さんにお願い※


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