18.次の依頼
途中の距離、計算がおかしかったので訂正しました
300Km→30Km
誤字報告ありがとうございました…時間では無く距離の間違いです
2025.5.10
さて、買い物は終わった。まだ時間がある。またギルドに行って次の依頼を探そうかな。
手持ちのお金も結構減ってしまったし。ギルドで買い取って貰える常設の採取クエを見ておこう。
そうしてまたギルドに戻って行く。
まずは入って右側の掲示板にある常設依頼の中で、採取を探す。
ホロホロ草やリンリン草、他にはバジルやレモングラスもある。前の世界と同じハーブなのか分からないな。資料庫で調べよう。常設の採取と一緒に出来る依頼があるといいんだけと。難易度とか採取地が分からないからまずは資料庫だ。
資料庫の入り口でカードを見せて入る。採取の本棚は少し奥にあった。何冊か手に取ってパラパラめくる。図鑑みたいな分厚いものから薄くて絵本みたいなものもある。読みやすさは絵本風だけどやっぱり図鑑かな。それを持って椅子に座る。
ホロホロ草は森の少し奥に生えていて、青い花が咲く。薬草になるのはその花弁。花の根本から丸ごと採取する。初級薬や薬湯など汎用性の高い薬草だ。採取の難度は高くないが、花が萎れていると買い取り単価がかなり下がるとある。
リンリン草は森の入り口付近に生えていて、こちらは若葉を採取する。こちらは傷薬になる。葉っぱのままでも傷に擦り付ければ使えるが、潰して薬液にすると効果が上がる。採取難度は低いが、こちらも若葉の鮮度によって買い取り単価が変わるとある。
バジルとレモングラスは薬草でバジルは傷薬、レモングラスは薬草の防腐剤として使う。あちらでは料理やアロマに使うイメージなんだけどな。
他にも知ってるハーブがないか図鑑をめくっているとラベンダーとローズマリーを見つけた。香りが好きなハーブだ。こちらも主に傷薬みたいだ。
採取出来る場所は日当たりの良い涼しい場所とある。普通の森では難しいかな。でも探したい。もちろんアロマオイルにするためだ。詳しい採取地が地図とともに載っている。有り難い。それによるとここゼクスから北に30キロル(多分Km)ほど行った森の中に自生していると書いてある。
徒歩だと分速80mだから時速4.8Km。30Kmだとすると約6時間半くらいか。うーん。日帰りは無理だな。常設の採取にはなかったし。
待てよ、そもそも時期があるはず。あちらでは夏前だった。図鑑に目を戻すとあった!採取時期はやはり春から夏。えーとさっきの森だと6月とある。
あれ?今って何月?暦はどうなってるんだろ?
気候とか暦とかの基本事項が載ってる本を探さないと。椅子から立ち上がって図鑑を置き、本を探す。ジャンルは気候風土かな。地理とかそっちかもしれない。
少しウロウロして見つけた。まさにこの国の気候風土についてだ。パラパラめくるとこの国の暦について書いてある。当たりだな。それは本というより書き付けで、簡単に紐で綴じてある。
椅子に戻り図鑑を膝に置いて持ってきた本をめくる。
まず、この国の暦は1年10ヶ月。1ヶ月は30日。あちらの世界より66日短い。そして季節は春夏秋冬で一緒。北と南ではかなり気温が違って、北は夏でも20度くらいで冬はマイナス5度くらい。南では夏は30度で冬は5度くらい。ちなみに温度は摂氏で良さそうだ。
地図を見ると、ここゼクスは中央と北の真ん中くらい。気候的には東北ぐらいかな。そういえばギルドの掲示板に書いてあった数字は日にちと温度だったのか。後で見てみよう。
今日が何日か分からないけど、妖精の涙が今の時期だからそれでだいたい分かるはず。
図鑑で妖精の涙を探す。ここから馬車で2時間。歩く速度の3倍とすると約30Km。西門から出て右手方向に伸びた街道沿いに進んだから方位は北か。その付近の採取時期は…6月とある。
まさに今か!悩むなぁ、まだ野営は危ないし、でも採取出来る期間は1ヶ月ほど。もう少し過ぎてるとしたらあまり時間がない。
歩かず馬車なら行けるけど、定期便とかあるのかね?悩ましい。他にも採取出来そうなものがないか図鑑をめくる。するとジャスミンとバラを見つけた。なんと!これはどちらも欲しい。ジャスミンは香りが好きでバラはそのオイルが欲しい。
どれどれ、採取他はとこだ?いつ採れる?ふむふむ、おぉーなんとこの辺はもう終わりかけだ。残念。あれ?でももっと北なら間に合う?
地図で調べるとあった!まだ採れる。これはもう依頼抜きでも行くべきかね。
図鑑と気候風土の本を見比べて考え込んでいると、人の気配がした。
顔を上げると線の細い色白の男性が私と図鑑を見比べていた。目が会うと真顔で
「ジャスミン」
次の言葉を待ったけどそれだけ言って黙ってしまう。
「?」
首を傾げて不思議そうに見ると
「採りに行くのか?」
「…」
えっとそれ答えないといけないのかな?困った顔で、でも黙っていると
「ロルフ」
…だから何なんだ?
いつまで経っても返ってこない返事に、その人は眉間にシワを寄せ
「喋れないのか?」
と言う。喋れる。喋れるけど…出来れば会話したくない。明らかにまともに会話が続かないだろうし。でも目つきがキツくなってきてるから取り敢えず無難に答えておく。
「急に話かけられて驚いただけだ」
そう言うとまた
「ジャスミン、採りに行くのか?」
「まだ決めていない」
「そうか…」
それで会話は終わったと判断して図鑑に目を落とす。もう少し考えよう。そうして採取についてどうするべきか考えながら、また思考の波に埋もれて行った。
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