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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第3章 白の森と生命樹

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174.甘味作り

本年最後の投稿です…当たり前ですが笑


 美形に挟まれて刺激的な朝を迎え、今は着替えて客間にいる。

 ソファでイリィを膝枕中。上からイリィの顔を見放題なんて…何かのご褒美かな?あぁきれいだよ。

 見惚れていると、イリィこちらを見上げる。うわぁこの角度は新鮮。その密度の濃いまつ毛がよく見える。

 吸い込まれそうな目だ。どうしよう…私のイリィが可愛すぎる。


「アイ…だから煽らないで?」

 えっ?もしかして声に出てた?

「出てたよ…もう」

 頬を染めて少し拗ねた顔をする。そんな顔も可愛い。そのおでこにキスする。チュッ、可愛いよ、私の旦那様…。

 あぁー自分で言って恥ずかしい…。

 顔を手で覆って悶絶してたらイリィが太ももをススッと撫でる。

 チラッと見ると頬を染めたまま潤んだ目で私を見ている。

 なんだこの可愛い生き物は…私の旦那様だ…うわぁぁ。もう幸せ過ぎる。


 近くでハク、ブラン、ミスト、ナビィとベビーズが生暖かい目で見ていた。


 1人で悶えていると扉を叩く音に続いて

「おはようございます。朝食の用意が整いました。食堂までご案内します」

 リベラさんだ。

 私はイリィにキスして起こし、一緒に部屋を出る。

 ハクたちはお部屋で留守番。リツはアイリーンとロリィの部屋だ。

 食堂にはロリィがすでに着席していた。ほんのりと微笑んで私たちを見る。

 私は朝のことを思い出してもじもじしてしまう。


「料理人に話はしてあるよ…ソマリにも」

「ありがとう。色々と試してみる」

 そこにシスティア様たちが入って来る。

「おはようございます」

「おはよう」

 皆で着席して朝食が運ばれて来る。

「良く眠れたかな?」

「はい」

 嬉しそうに頷く。

「ロリィはとても顔色がいいわ」

「母上…そうかな?」

「えぇ、ふふっ後で少しお話をしましょうね?」

「はい」


 そこからは静かに大いに朝食を堪能した。卵が濃くて美味しいしチーズのソースも絶品。

 はぁ美味しかった。

「アイルは少ししか食べないんだな」

「そうみたいです…」

「リベラの見立て…間違いない」

「なら大丈夫か」

「アイルはすぐ厨房に?」

「部屋に戻って少し休んでから」

「ベルを鳴らして?リベラが案内するわ」

「はい、ありがとうございます、お母様」

「まぁ…うふっ」


「ん、ん…アイル、商業ギルドの登録員が来たら呼ぶから、応接間に」

「はい、お父様」

「うぐっ…」

 胸を抑えるシスティア様…大丈夫かな?

 慌てて駆け寄って背中をさする。

「お父様…お加減が?」

「い、いや…大丈夫だよ、アイル。優しい子だね…」

 頭をなでなでされた。恥ずかしいよ、もう16なのに…。




 システィアはお父様と呼んで欲しくて話題を降ったのに、呼ばれて悶絶して…それを体調不良だと思って駆け寄って背中をさすってくれたアイルに感激してまた悶絶していたのだが…アイルだけがそれに気が付かなかった。



 あれ?お母様がお父様を笑顔で見てるけど、何か寒々しいような?


 首を傾げるアイルだった。


 食事が終わり、私はイリィと部屋に戻る。ハクたちにもご飯を貰ったからな。

 で、少し休んで(イリィとくっついて)からお菓子作りだ!


 今はイリィが私を膝枕している。イリィのきれいな顔を下から見上げる。頭に当たる太ももが柔らかいし、髪を梳く手は優しい。

 道具を取り出して確認しているその真剣な目も…細くてきれいな指も…あ、まつ毛がふるふるした。

「イリィ…」

「何?アイ」

「その、ロリィのこと…」

 上から真っ直ぐに私を見る。そして少し考えて

「もういいよ…アイ」

 えっ…?

「僕はね、アイを守れるだけの力がない。権力の前では本当に無力だ。むしろ、僕がアイの弱点になってしまう」


 そしてイリィは話し始めた。


 僕はね、何よりアイが大切で…だから守りたいんだ。ハクがいれば、どこか遠いところで静かに暮らすことは出来るだろう。でも、それをアイは望まないよね?

 きっと自分の手が届く人たちには幸せになって欲しいと、そう思うだろうから。

 僕はアイのその心も守りたいんだ。でも残念だけど僕には圧倒的に力が足りない。

 ロルフはその力がある。今までだって権力からアイを守っていたし、これからもそうだろう。

 彼はただ純粋にアイの為に行動出来る。僕が出来ないことでアイを守れる。それならもう僕にとっては同志だ。アイを守れる人は多い方がいい。

 彼の貴族という立場と研究者としての顔。どちらもアイを守るのに必要だよ。

 僕の顔を見ても裸を見てもまるで興味を示さない。いや、示したけど究極の人体模型だよ?

 彼は真に人の本質だけを見ている。ならば信用出来る。

 僕とアイの子はアイとロルフの子とは兄弟だ。ならロルフはもう家族だと言える。

 彼ならばいいよ…アイ。アイの命の危機に際しても、抱くことを戸惑うくらい誠実なんだからね。

 僕なら思いを遂げるいい機会としか思わないだろうし。

 だからもういいよ…許すから、でも僕をずっと話さないで…そばにいてね、アイ。



「イリィありがとう、ロリィのこと。イリィがもう要らないって言っても離れないよ。だって私はイリィがこんなに好きで、イリィも私を好きだから」

 イリィが優しく微笑む。お互いの顔が近づいて…キスをした。とても優しいキスだった。

 離れて見つめ合う。また自然と唇を重ね合わ…そうとして



 ドンッ…ベロン…。

 ナビィ…空気読んで!心から叫んだアイルだった。



 部屋の扉がコンコンと叩かれる。

「アイル様…よろしければ厨房にご案内致しますが?」

 イリィと顔を見合わせる。

 私は名残惜しげに起き上がってまたイリィにキスをしてソファから立ち上がった。

「行って来るね」

「うんまた後で」


 こうしてリベラさんの案内で厨房に向かう。

 すでにソマリさんは待機していた。

「おはようございます、アイル様。よろしくお願いします」

 と頭を下げる。どうしていいか分からず

「よ、よろしくお願いします」

 と応えた。リベラさんが

「アイル様、我々は使用人です。名前は呼び捨てで、お願いします、などの言葉も不要です」

「私の使用人ではないから…」

「ロルフ様の大切な方です。我々には使える主とと同じですよ」

「分かったよ、リベラ、ソマリ」

「「はい、アイル様」」


 中に入ると4人が並んで待っていた。

「紹介しましょう。料理長のナダルです」

「アイル様、本日はよろしくご教示下さい」

「ナダル、よろしく。私も聞きたいことがあるから、可能なら教えてほしい」

「私で良ければ何なりと。まずは何を作りますか?材料は?」

「これを」

 ポーチから昨日作っておいたゼラチンをとりだす。骨とか腱から抽出したよ。

「これは?」

「あとで使うから水で戻しておいて」

 ナダルが他の料理人に指示をだす。


「卵と牛乳と砂糖…黒糖はある?」

「ございます、こちらに」

「卵10個と牛乳は300mLくらいかな?卵を割って混ぜて少しづつ牛乳を足していって」

 料理人の女の子が卵を割って混ぜる。

「あ、ダメだよ。空気を入れたら」

 注意すると何故か睨まれた。

「はぁ?」

「泡が立つと食感が悪くなる。泡立たずに混ぜるんだ」

「意味が分かんない!」

「こら、なんて口の聞き方だ!申し訳ありません」

 ナダルが頭を下げる。当の本人は憮然として私を睨む。


「卵を混ぜるのと泡立てる、の違いを知らないのか?」

 睨んでるのはどうでもいいが、料理人なら知ってて然るべきことを知らないのはおかしいだろ。

「はぁ?同じでしょ?頭おかしいの?」

「おい、どの口が言ってるんだ!」

 ナダルが怒鳴る。流石に黙ったが頭おかしいのはそっちだろ?

 私は無言でナダルを見る。コイツはじゃま。進まない。

「アイル様、どうかここにいさせて下さい」

 頭を下げる。

「口を聞かせない、じゃまさせないならな。進まないだろ?卵混ぜるだけで」

 流石に私も怒ったぞ。


「何で偉そうに…ぐはっ」

 取り敢えずムカつくから風魔法で吹き飛ばした。ケガはしないようにな。

「何度も言わせるな、じゃまだ」

 無視して自分で卵を混ぜようとして気が付いた。


(雑菌が混入したボウル)


「リベラ、ロリィを連れて来て。今すぐ」

 冷めた目で言えば即座に礼をして出て行く。

 ナダルは慌てて

「アイル様…何か」

 怒りで手が震えた。これを誰が食べるのか知っててやったのか?

 私はナダルと他の料理人を睨む。

 私はナダルの問いに答えないでロリィを待つ。


 少ししてロリィとイリィもやって来た。2人は私の顔を見て驚いている。そして目線は私が凝視しているボウルに。

 ロリィの目がスッと細まる。

「料理人はここに待機…誰も外に出すな。イルは私と父上の執務室へ…リベラ、先触れを。ソマリ…見張ってて。道具にも材料にも手を触れさせないで…」

 その切れ長の目でナダルや料理人を見て、ソマリを見る。


 すぐにソマリは彼らを調理台から離していた。

 青ざめる料理人たち。

「そ、そんなつもりは…」

「黙れ…私に口を聞いていいと許可したか?」

 ロリィの目がさらに細まる。冷たく視線を料理人たちに向けると背を向けて厨房を後にする。

 イリィも続き、私もイリィに続いて出ようとした。 その時に



 バチッ…



 即座にロリィとイリィが私を腕に庇う。

「ソマリ、全員捕縛しろ…」

「ち、違っ!」

「話す許可は出してない…」

 それは聞いたことがないくらい冷たいロリィの声だった。私はロリィの腕を掴む。ロリィは静かに厨房を出て行った。

 なんでこんな事に…ただ美味しいお菓子が作りたいだけなのに…。





書き始めて初めての年が終わります

お読みくださりありがとうございましたm(__)m

来年も引き続きよろしくお願いします


挿絵(By みてみん)

アイルとイーリスのイメージです

生成AIで作成

難しい…



*面白いと思って貰えましたらいいね、やブックマークをよろしくお願いします!

励みになりますので^^

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