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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第3章 白の森と生命樹

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167.ロルフ様のお屋敷

 ロルフ様の私室は全て上質のものが使われているが、華美ではなく洗練された美しさがある部屋だった。

 機能的というのか、一切無駄なものがない。

 部屋を入ってすぐは居間で、居間の奥にある扉のうちの一つを開ける。そこは浴室に続く脱衣室だった。

 さらにその奥には何人入れるの?ってくらい大きな浴槽があった。


 ロルフ様が魔石に触れると、勢い良くお湯が浴槽に流れ出した。

「少し、時間がかかる…」

 皆で居間に戻りソファに座る。ハクはアイの膝に頭を乗せて、ナビィは僕の膝に頭を乗せて、ベビーズはリツも含めてアイと僕の間でわちゃわちゃしている。

「イーリス、フード取っていい…」

 僕は頷いてローブを脱ぐ。アイが驚いている。

「ロルフ様は知ってるから」

 納得したみたいだ。ロルフ様が僕の素顔を見ても変わらないと確信しているみたいに。


「ロリィは見た目なんて気にしないよ。私がいい例だし…」

「…イルは、自覚が無さすぎ…充分整っている、よ」

 僕も頷く。

「でも私がもっと普通でも…ロリィは変わらないよね?」

「もちろん、顔で選んだ訳ではないから…」

 なんだろう、ロルフ様も無自覚に天然で煽ってるような?

 でもアイは頬を染めて

「ロリィ…嬉しい」

 アイがロルフ様を受け入れた理由が分かった気がする。

 ある意味、ロルフ様も天然のたらしだ。


「イーリスは大変な美形…でもその心の在り方こそが、一層きれいで…イルが惹かれるのも、納得…」

 うわぁ…本当に、この人も無垢で清々しいな。なんだか体の力が抜けた。

 僕はこの人に嫉妬してたんだ…これは無理だろ。まるで敵意もなく、あるのは純粋な好意だけ。それも邪なものではなくひたすらに清々しいだけだ。


 僕は改めてロルフ様を見る。

 細くて手足が長くて、濃い金髪と同じ色のこれも長いまつ毛がきれいだ。切れ長の爽やかな目は真っ青で、虹彩が鮮やかで…。

 要するに非常に顔立ちの整っている人なのだ。

 人の美醜には疎い僕でもそう思うほどに。


 じっと見ていたからか、少し首を傾げて僕を真っ直ぐに見る。なんだかアイがもう1人いるみたいだ。

「ロルフ様は、アイに少し似てる」

「ロルフでいい…イルに?」

「えっ?私はこんなにきれいじゃないよ?」

 アイ、顔のことじゃないよ。

「イル…ありがとう」

 頬を染めるロルフ様、改めロルフ。


 なんだろうか、褒められ慣れてる…?素直だからそのまま受け止めてるだけかな。

「自分の容姿は良く分からないから…ただそのまま受け入れてる」

 うん、素直なんだな。ってその容姿で自覚ないの?

「似てる…は顔じゃないよ、ね…?」

 もちろん、違うよ。無自覚で素直ななところと、無自覚なところと…無自覚に煽るところかな?

「…無自覚なところ?」

「…イルほどじゃない、はず…」

「なんで私が無自覚にやらかしてるみたいに言うの?イリィ」

 口を尖らすアイ、可愛い。やっぱり無自覚だよな…?


「そろそろ、お湯が溜まる…入ろう」

 そして、ロルフは色々と唐突。なんだかなぁと思いながら皆で脱衣室へ。

 聖獣ズもだよ。

 ロルフはゆっくりと服を脱ぎ始める。ゆっくりなのに早い。躊躇がないのだ。

 僕はアイの服を脱がしていく。いつもどおり恥ずかしそうだ。

 ロルフは脱ぎ終わってアイを見ている。じっと見ているのに、いやらしさがない。 


 僕も服を脱ぐ。ロルフは僕の体も見ているけど、やっぱり纏う色は緑のままだ。

 ロルフは均整のとれたきれいな体をしていた。長い手足と、体は細いのに無駄がない。そして何より肌がとてもきれいだ。つややかに輝いているよ。

 僕が脱ぎ終わるとアイが僕とロルフの手を引く。洗い場には長めの椅子と普通の椅子があって、ロルフは長めの椅子に座った。

 アイはロルフの後ろの椅子に座り、僕を隣に座らせる。


 髪用の石けんを手に取って桶に浴槽から湯を掬ってロルフの腰から湯をかけ、また掬って肩から、最後に髪の毛を後ろに撫で付けて頭からかけた。

 石けんを泡立ててロルフの髪を洗い始める。

「イリィは体をお願い」

 体用の石けんを渡される。泡立てて肩から洗い始める。その肌はとても繊細で、手に吸い付くように柔らかかった。


 されるがままのロルフ。アイは髪と首筋までを洗い終わるとそのまま僕とは逆の肩から腰にかけて洗い始める。

 そこで湯をかけて流す。

 前に回ると足を洗い始めた。同じようにと思ったらロルフが足を開いた。

「この方が、良く見える…」

 えっ…いや、良く見える?思わず下腹部を見てしまった。細いのになかなか立派だった。違う、そうじゃない!なんで平気な顔して股を開くんだ?


「ロリィは自分がしっかり見ながら洗うから…」

 あぁ、そういう…。びっくりした。いや、それもどうかと思うけど。恥ずかしくないのかな?

 色々と諦めて細くて長い足をつま先から洗う。太ももの中程まで洗うと突然ロルフが立ち上がった。目の前に下腹部が…えっ、えっ…?

「良く見える…?」

 いや、ロルフそれは…良く見えるけど。僕は顔が赤くなる。アイは全く気にせず内ももから股へと洗う。足の付け根とソコを丁寧に洗ってアイも立ち上がった。


 僕は動揺して色々と付いていけない。アイは正面からロルフの腰を抱くようにしてお尻を洗っている。

「お尻…見えてる?…広げる?」

 はっ?何を言って…お尻を広げてナニを見るんだ?でもロリィは真顔だった。アイは

「ちゃんと見えてるよ、ロリィ…大丈夫」

 そう答えて優しく形のいいお尻を洗い終えた。そして石けんをお湯で流す。


「イーリス…洗わせて」

 えっ、僕?何で…?

「練習…」

 アイはそっと目を逸らした。いや、その待って…。

「座って…」

 強い力で座らされて…それから大変な目にあった。明らかに慣れていないその手つきは撫でるようでもの凄く恥ずかしい。

 耳を洗うからと僕の目の前にそのきれいな顔を寄せ、息がかかる距離で撫でるように耳に触れる。

 鼻も唇も少し動いたら触れるような距離で、金色の長いまつ毛が揺れる。


 耳を洗い終わると正面から顔を見て

「完璧な配置…形の良い唇…」

 そのまま唇を撫で

「触れても…?」

 もう手は触れてるよ?答える前にロルフの唇が触れた。はい?…吸い付くような柔らかな唇だった。

「質感もとてもいい…柔らかくて」

 …待って待って、はい?キスされた…。


 万事そんな調子で全身観察され撫で回され(洗われ)終わった頃にはぐったりだった。

 ロルフは真剣な顔で僕の足を広げたり、股に潜って下から見上げたり。

「腰からお尻への曲線もなめらかで完璧…」

 眺めながらお尻を撫でられ(洗われ)下腹部もしみじみと眺めてから

「大きさも立派…」

 と言いながら優しく丁寧に撫でられ(洗われ)た。

 それをいやらしさのカケラもなく、真顔でするから。恥ずかしくて仕方なかった。


 視界の端ではアイがハク、ナビィ、ミスト、ベビーズを洗っていた。

「イル…ちゃんと洗えてるか確認する…」

 アイもロルフの真顔目視という名の攻撃を受けていたよ。

 僕を助けてくれなかったからな。きっとアイは知っていた筈なのに。


 やっと洗い(観察が)終わって湯に入る。アイが先に入ってロルフに手を差し出す。それから僕にも。アイを挟んで座る。あぁ沁みる…。

 ハクたちはお湯の近くでぱちゃぱちゃして寛いでいた。

 ロルフは無表情のままだけど目を瞑っている。その顔はやはりきれいだ。長いまつ毛が震えている。

 アイは僕を見て首を傾げる。

「どうしたの?イリィ」

「ロルフは素敵だなって…」

「うん…心が澄んでる」

 アイはうんうんと頷く。

 ロルフは不思議そうに僕たちを見る。ロルフにとっては当たり前なんだろうな。


 僕は可笑しくなって少し笑った。そして、アイの相手がロルフで良かったと思った。

 アイもロルフも不思議そうに見ている。僕は微笑んでアイの肩に頭を乗せた。



 こうして刺激的なお風呂が終わり、一息付くとみんなでテントに戻った。

 アイを挟んで並んで横になる。アイとロルフの間にはハクが入り込んだけど。

 そして目を瞑るとすぐに睡魔が襲って来た。





 イルが目覚めた。良かった…心配したから。イーリスが片時も離さないけど、それも微笑ましい。

 食事を終えるとイルがお風呂に入りたいと言う。私も入りたかったから一緒にでいいかな?イーリスは嫌がるかな?

 あ、良かった。大丈夫みたいだ。テントの中で少し食休み。

 石の登録についてとか、2人の結婚の話を聞く。楽しいな、こんな時間も。

 あ、そろそろかな?


 イルが手を差し出してくるからその手を取る。あぁ、イルに触われた。その優しい魔力を感じる。

 そして屋敷の玄関扉がテントの中に現れた。さすがイルだ。予想外のことをする。

 イーリスはとても驚いている。屋敷に入り、私の部屋に案内するとイーリスが戸惑っている。

 私は全く気にしない。気にするような人はそもそも屋敷に入れないから。


 ソファで少し話をしていたら、イーリスに私がイルに似ていると言われた。顔ではない。なら何が?

「…無自覚なところ?」

 むっ…イルほどではないはず。

 あっそろそろお湯が貯まる。

 みんなで脱衣室に移動して、服を脱ぐ。イルの体を久しぶりに見た。相変わらず細くて白くて儚い。

 次にイーリスの体を見る。彼も細いけどしっかりした体だ。

 浴室に入る。髪と体をイルとイーリスが洗ってくれる。なんかイーリスの顔が赤い…?


 イーリスを洗わせてと言ってその体を石けんで洗う。恥ずかしそうにしてるけど、イーリスの体は顔同様にとてもきれいだ。でも言わない方が良さそうかな?

 その顔を洗うときに至近距離で見た顔は、芸術作品のように整っていた。

 じっくりと眺める。うん、完璧だ。肌のなめらかさも柔らかさも。唇はどうだろう…指でなぞる。

 やはり指では分からないか…。


「触れても…?」

 固まってたけど、断られなかったから唇を触れ合わせる。柔らかくていい感触…見た目だけではなく感触まで完璧、舌はどうだろう?

「口を開けて…」

 覗き込んで舌を触る。やはり指では分からないか…そのまま舌を入れて大きさと長さと厚さを自分の舌で測る。

 こちらもその柔らかさと温かさを含めて完璧。

 それから全身をくまなく観察した。あぁ下腹部はなかなか立派で…思わずじっくりと観察してしまった。


 イーリスの顔が赤いけど、大丈夫かな?最後にしっかりと全身を確認してから抱きしめる。うん、やはり完璧な顔と体だ。

「イーリスを参考に人体模型を作れば…完璧な物が出来上がる…」

 それはイルとイーリスに猛反対された。こんなにきれいなのにな…?




ロルフは研究者肌です…



※読んでくださる皆さんにお願い※


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