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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第3章 白の森と生命樹

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155.手紙を送る

名前を訂正

カイン→ソマリ


2025.03.02

 楽しいお出かけを終えて北門から町に入る。

 宿は2泊で頼んでいたから延泊している。今日泊まったら、明日はロリィと合流して侯爵家に行くのだ。


 宿に着いたので、私は手紙と贈り物を作る。


 まずはレオとルドだ。

 手袋、暖房器具。魔獣の革で良さそうなのは、鹿革かな。柔らかいからちょうどいい。

 茶色にクリーム色のブチ模様が可愛い。大人の大きさで作っておいて、自動調整機能を付ける。

 外出用にローブも作るか?

 内側は魔獣の毛皮で暖かく。あ、あれも付けよう。



 暖房器具は魔石を燃料に、いや、でも値段が高いよな。それなら光発電で電気を使って動力にするとか?

 電気の仕組みを知らないな…却下。

 それならシンプルに魔法で。ガラスに火魔法を閉じ込めて、熱っせられた空気だけ外に出す。

 ヒーターみたいな感じかな?


 問題は火魔法の維持だよ。どれくらい持つかな。

 まぁ火魔法使える人に補充頼めばいいか。では作ろう。

 ガラスは床置きだから脚を作って、安定させるために6つ脚。吹き出し口はどうするかな?

 あっ、いいこと思いついた!これならカッコいいぞ。


 喜んでくれるかな?



 次はスーザンとリアだな。

 ローブと手袋。内側には角うさぎの皮を貼って、もふもふ。リアの方はここにこれを付けて…ならお揃いでスーザンにもこれを付けて、と。おぉ〜くすっ。

 これを見て顔を顰めるスーザンが目に浮かぶよ。


 手袋はやっぱり鹿革。手首まで覆えるようなのにして、と。色違い、いや、やっぱりお揃いで。どうせ新婚だからっていちゃこらしてるんだろうし。


 出来た!ふふふっと。


 後はイザークさんたちだな。

 手袋と暖房器具はレオたちと同じ感じで。でも暖房器具の形は変えようかな?

 レオたちはあれだから…うん、困ったな。あぁ、これにしよう。

 色も少し付けて…多分、似てるはず。


 それからやっぱりお貴族様だからね、スヌードを作ろう。

 白蜘蛛の糸をベースにして、色は黒と銀かな。色合わせを少しずつ変えて…お揃いだけど少し違う。


 せっかくだしスヌードはレオたちやスーザンたちにも作ろう。

 もちろん、私のイリィにもね。もこもこのスヌードをつけたイリィ。想像だけで萌える。


 さくさくと作り終えた。次は手紙だな。うー苦手だ。

 苦手だけど…。うんうん唸りながらなんとか書き上げる。


 そうだ!ギルマスにも何か送ろう。確かあの顔で随分若い旦那さんがいた筈。子供もいるのかな?

 適当に何個か使って送ろう。


 作った物にはもちろん、女神が犬を抱いているあのマークを付ける。

 実は少し前にイリィと相談して、2人のこのマークにお店の名前、屋号を描こうってなったんだ。

 屋号をどうする?


 話し合って、アイルのアイとイーリスのリスを取って

「Airis アイリス」

 って名前にした。

 だからマークの下にこの文字を入れて、手袋とか革には型押し。

 スヌードには布タグにして端に縫い付け。

 暖房器具はガラス製だから浮き上がらせて。


 しっかり宣伝と主張をね。



 最後は包装。はい、これ重要。

 だって貰って気分が上がるような包装ならより嬉しいからな。

 うん、リボンとかは。持ってない。袋…もない。

 なら作ろう。店の名前を刺繍したリボンと袋。これも白蜘蛛の糸から織った布。ふふふっ蜘蛛シルクだぞ?


 これでよし!


「イリィ、出来たよ?」

「それなら商業ギルドに出しに行こう」

 頷いて一緒に宿を出る。私は嬉しくて、隣のイリィが少し寂しそうな顔をしていることに気がつかなかった。


 商業ギルドでゼクスへの荷物を頼んで宿に戻る。

 部屋に入るとイリィが何か言いたそうにしている。

「イリィ、どうしたの?疲れた?」

 首を振る。上目遣いで私を見るけど何も言わない。どうしたんだろう。


 そうだ、今ならいいかな。

「イリィ、少し目を瞑っていて?」

「アイ?」

「すぐだから」

 イリィは頷いて目を瞑る。私はポーチから出したそれをふわりとイリィにかける。

「いいよ?目を開けて」


 目を開けたイリィは自分の首にあるそれを見て、私を見て、またそれを見てそして泣き出した。

 えっ、イリィ…どうしたの?

 横でただオロオロしていると、イリィが抱きついてくる。

「ありがとう、凄く嬉しい」

 私は尚もオロオロして、その背中をそっと撫でる。

 どうしよう、何で泣いてるの?


 私まで泣きそうになる。

 イリィ、泣かないで…。涙目でイリィを見ていると、顔を上げて

「嬉しくて…」

 何で嬉しくて泣くの?


「皆いろいろ作ってて、僕には作ってくれないのかなって…だから」

 あぁ、イリィ。なんて可愛いことを。私はイリィの涙を拭いながら

「寂しかった?」

 イリィはまだ潤んだ目で私を見ると子供みたいにコクン、と頷く。


 その頬を撫でて、キスをする。たっぷりと長いキスを。

「私のイリィは本当に可愛いね?」

「こんなこと言う僕を、嫌いにならない?」

 また上目遣いで私を見る。

「可愛いとは思うけど、嫌いになんてならないよ。だってそれは、私のことが好きってことだよ?嬉しいだけ」

「だからアイはもう…そういうの、ダメだよ?もっと好きになる」


「どれだけでも好きになって?」

 見つめあってふふふっと笑い合う。イリィは私の頬に手を当てて

「なんでアイも涙目なの?」

「イリィが泣いてるのが悲しくて?かな」

「僕のために泣いてくれるんだね…」

「大好きな人には笑っていて欲しいから」

 イリィは頬を染めて、だからそういうところだよ、と小さく呟いて。


 ふわりと私を抱きしめた。

「今日の夜も…仲良くしようね?」

「お手柔らかに…私の旦那様」

 また赤くなったイリィを私も抱きしめてまた笑い合った。


 あぁ、私のイリィは本当に可愛い。

 その夜はもちろん、仲良くね…分かるでしょ?

 まだまだ新婚だからね…。



 目が覚めると淡い金髪。少し冷えて来たからその温もりがより一層、愛おしい。その肩を抱いて頭にキスをする。

 動く気配がしてイリィが少し目を開ける。

「う、うん…」

 また目を閉じて私の胸に頬を寄せて眠った。可愛いぞ?

 その髪を起こさないように軽く梳く。柔らかくて少しクセのある髪。頬にかかる髪を耳にかけて寝顔を見る。


 うん、今日も変わらずきれいだ。

 昨日みたいな無邪気な笑顔をこれからもたくさん見られますように…。

 その髪の毛に頬ずりして私をまた目を瞑った。


 しばらくイリィの滑らかな肌と温もりを感じながら微睡んでいた。流石にそろそろお腹が空いたかな?という頃にイリィも目を覚まして

「アイ、おはよう」

「イリィ、おはよう。お腹が空いたよ」

「僕も」

 2人で顔を見合わせくすりと笑う。

 着替えて食堂に向かうと、ちょうどヤンが出るところだった。


「おぅ、おはよう」

「「ヤン、おはよう」」

「早くないけどな」

 そう笑われた。確かに…。

「今日、宿を出るんだ」

「町を出るのか?」

「いや、知り合いと合流するから。まだ2日くらいはいるかな」

「そうか、また会えるといいな」

「うん、仕事頑張って」

 手を上げてヤンは宿を出て行った。


 それからご飯を食べて部屋を出る。ロリィの手紙では朝早く出発してフィフスに来ると言う。

 ゼクスから死の森まで2時間半。そこからさらに6時間かかる。着くのは夕方かな。

 私とイリィは商業ギルドで、お店の名前とマークを登録することにした。

 その後はギルドで、貸し部屋を借りてものつくりかな。

 ロリィはフィフスに近づいたら、念話で連絡をくれると言う。

 連絡が来たら西門に迎えに行く手筈だ。





 その頃、ゼクスでは…


 朝日がのぼると同時にロリィは目を覚ます。今日はようやくフィフスに向けて移動する。イルに会える!

 はやる気持を抑えて準備をする。胸のポーチにはアイリーンとリツがいる。まだ眠いのか、リツはぴくぴくしながら寝ている。可愛い。その眉間を撫でて、もうすぐお父さんに会えるよ、と囁いた。


 私は部屋で食事を食べる。リツはポーチで寝てるのでそっとしておく。準備は終わったかな。よし!

 部屋を出て玄関に向かう。リベラと料理人のソマリは荷造りも終えて、馬車に手持ちの荷物を積み込んでいた。

 リベラとソマリの妻たちが見送りに来ている。

「おはよう、忘れ物はないか?」

「「おはようございます」」

 そして頷く。

 「屋敷をしまう、よ…。離れてて」


 彼らにそう声を掛けて私はイルに教えて貰った通り、屋敷に手を当てると

(移れ)

 すると()()()()()()()()()のが分かった。なのに目の前には変わらず屋敷がある。

 やっぱりイルは凄いな…。私は感心した。いや、イルなら当たり前か。


 私は紋章を付けた侯爵家の馬車に乗り込む。リベラたちはもう一つの馬車に乗り込む。胸元のポーチをを確認して、うん、まだリツは寝てるね。

 そして屋敷をフィフスに向けて出発した。




 

※読んでくださる皆さんにお願い※


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