表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第3章 白の森と生命樹

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

155/434

151.旅へ

第3章始まります


ツヴァイ→フイーヤに変えました

2025/03/02

 街道を3台の馬車が進んで行く。

 先頭の馬車は1頭の立派な黒馬が引いている。

 夜でも怖がらずに走れる丈夫な馬だ。寒さや飢えにも強い種だ。

 御者は探索者風の風体の、30代前半くらいの男。


 2台目は紋章こそないが豪華な作りの、一目で貴族用だと分かる馬車だ。

 引いているのは鹿毛の2頭乗り馬。脚が太くてどっしりしている。いかにも身なりが良い御者だ。

 中北部特産の馬で寒さに強い種だ。

 そしてこの馬車を守るように立派な白馬に乗った2人のいかにも軍人な男性が両脇を固める。


 最後尾は荷馬車でこちらは鹿毛の2頭が引いている。

 幌がかかった荷物用の馬車で、20代前半くらいの青年が御者をしている。


 隊列を組んで進む馬車はそれなりの速度で街道を北へと進む。


 この国は南のアインから王都、王都から最北のフィーヤへと続く街道がある。

 その街道に沿って侯爵家の収める主要6都市である町が点在する。


 馬車はフィフスの町からフイーヤに続く街道を進んでいた。

 季節は夏の終わり、8月も末の頃。すでにフィーヤの町では初秋に差し掛かっていた。

 ゼクスとフィフスは死の森を挟んで9時間ほどの距離だが、フィフスとフィーヤは馬車で凡そ3週間ほどかかる。


 北に行けば行くほど領地が広大になっていくからだ。

 フィフスの町の北には大きな川が流れており、街道はその川を横断する。

 その辺りから周辺の風景は牧歌的になり、畜産や農業が主産業となっていくのだ。


 馬車は川を渡った先を北へ向けて進んでいた。

 そう、アイルたち一行が白の森へと向かっているのだ。


 先頭の馬車の御者はゼクスの探索者ギルドに所属する探索者で名はロザーナ。石化の呪いにかかっていて、イーリスがアイルを迎えに行く時、夜に馬車を走らせたあの男だ。

 中にはロルフの執事であるリベラと料理人が乗っている。


 やはりロルフだけでは色々と難しいので、その2人は本人の希望もあって同行することになったのだ。

 因みに屋敷に住み込みで働いていた執事と料理人の妻たちはそれぞれ子供の家に行っている。


 2台目はもちろん、ロルフとイーリスそしてアイルにハク、ブラン、ナビィが乗っている。

 馬に乗っているのはダーナムとシグナス。アフロシア軍の兵士だ。フェリクスから派遣された。


 荷馬車は御者がマルクスだ。人が乗れる椅子にはブラッドとサリナスが座っている。 

 この2人はロルフからの依頼が継続となり、白の森へ同行することになった。


 こうして3台の馬車で白の森へと向かうことになったのだった。





 イリィと名実ともに伴侶となり、その日の夜は深く熱く愛し合ったその翌日の朝。

 目が覚めると淡い金髪…横から抱きしめられている。

 その温かでしなやかな体を側に感じながら…出会いから今までを振り返ってみる。

 こちらに来てからまだ2ヶ月くらい。

 イリィと運命的な出会いをして、触れ合って愛し合って色々あったけどようやく…。


 感謝祭の屋台、スーザンとリアの結婚、イザークさんも結婚したしロリィもだ。

 そう考えると結婚ラッシュだね。もちろん私も…。

 隣で眠る淡い金髪のイリィを見る。

 目をつぶっていても美形って凄いよな…私の旦那様か。恥ずかしいけど、それ以上に嬉しい。

 その髪を梳いてキスをする。


 ユーグ様に抱かれて眠ったこと、ファル兄様の救出と自分が捕らわれたこと。

 イリィの家族と出会い、イリィとすれ違い…ハクとロリィと子を成してようやく。

 ようやくだよ…イリィ。

 たくさん泣かせてごめんね。イリィが今生きて、やがて19才の誕生日を迎える。来る筈のなかった19才の…。

 良かった、本当に良かった。

 そして私も…。この世界でしか生きられない、だからこちらに飛ばされたのだと思う。それならば、ここで全力で生きよう。

 イリィ、ハク、ブランそしてナビィ。

 ミストに子供たち。リツとアイリーン。


 こんなにも大切な人たちに囲まれて、私は間違いなくここで生きていきたい。もう迷わない。

 だからイリィ、ずっと側にいてね…愛してるよ。


 イリィのまぶたが震えてその目が開く。きれいな銀色に虹彩の縁が青い澄んだ目。

 そのまぶたにキスすると柔らかく微笑んで唇にキスされる。

「おはよう、僕のアイ」

 うっ、朝から甘い。

「おはよう、イリィ…私のイリィ」

 イリィは満足そうに私の胸に頬をすり寄せてまた目をつむった。


 しばらくお互いの体温を感じながら寄り添って起き上がる。

 今日はロリィと合流する前に旅の準備だ。昨日、連絡が来て石の登録と旅について打ち合わせをした。

 出発の日はロリィと合流してから決めるけど準備は早い方がいい。


 足りないものを買い足したり、色々作ったり。

 だから今日は一日買い物と創作。

 明日はハクたちを連れて森に行って。体を動かしたいって言われたからね。

 明後日にロリィがこの町に来るから合流して侯爵家へ。そこで何泊かしていよいよ出発だ。


 異世界(こちら)に来て初めての旅。しかもイリィやハクたちと一緒に。嬉しいに決まっている。

 あ、これって新婚旅行かな?うわぁ嬉しい…。

 一人でほくほくしてたらイリィに嬉しそうだねって言われたから大好きな人と一緒に旅が出来るんだからそれは嬉しいよ、って答えたら

「だからアイ…どうしてそう煽るの?ねぇ…朝から誘ってるのかな?」

 って。違うよ、思ったことを言っただけだよ?って言ったらそのまま腰を抱きしめられて熱烈なキスをされた。


 イリィ恥ずかしいよ…町中だよ。顔を真っ赤にして言えば

「フード被ってるし分からないよ」

 …いや、分かるでしょ?


 なんて事もありつつ、町中で主に食材を買っていた。

 すると服屋が目に付いた。

 そこは普段着を売っているお店で、色使いがとてもいい。

 北に向かうとより寒くなるみたいだし、少し防寒着とか買おうかな。

「イリィ、北に向かうし少し厚手の服を買いたいんだけど」

「そうだね、見て行こうか」


 イリィとハク、肩にいるブランと入っていく。

 男性用のコーナーにはセーターや帽子、マフラーに手袋もある。毛糸でなら編めるけど服としての作り方は分からない。

 それぞれ一種類ずつは買おうかな。

「イリィは服あるの?」

「屋敷がどうなったか分からないから…持ち出せたのかな?」

 あぁ、そうか。なら一緒に買おう。

「なら一種類ずつ買おうよ。物が想像出来たら作れるし」

 イリィは笑って頷く。


 そしてあれこれ見て(イリィはこういうのに全く興味がない)イリィには抑えた金色の、私は銀色の物を選んで買った。

 ローブは高性能だから大丈夫。   


『ハクたちは?』

 念話で聞く。

『無くても大丈夫だけどベストと靴が欲しい。ベビーズには服と帽子と靴』

 とハク。

『僕もベストが欲しい』

 とブラン。

『服欲しい!リュックとバンダナも!モコモコした可愛いヤツ』

 とナビィ。

 流石にペット用の服は無かったから近くにある布屋を聞いてそこでモコモコした生地を買った。

「後で作るからね」

 ハクはしっぽをふりふり。その首元のベビーズごとモフってすりすりした。


 そしてお揃いのアクセサリーは自分たちで作ることにした。やっぱり指輪だよな。

 おへそに装着出来る防御用のアクセサリーも作ろう。アンクレットも欲しい。


 買い物が終わったから屋台で串焼きとスープを食べる。そうだ、串焼きも買っておこう。

 すぐに食べられる食料は必要だからな。50本ほど買ってサブアリーナ部分(時間停止)にしまう。

 それならとイリィと食べたいものを買ってポーチにそれぞれ追加して行く。

 もちろん、ハクやブラン、ナビィの希望も聞いたよ。


 さぁ、帰ってまずはイリィとお揃いのアクセサリー作り。その後は石けんやシャンプーを作って、減った薬を補充。

 乾燥スープや作り置きのスープはある程度必要かな?寒い所に行くからね。


 宿に着いて部屋に入る。

 ふぅ、さてとお揃いのアクセサリーを作ろう。

 まずは指輪。

 左手の小指には蔦模様がある。これは結婚している証だから隠したくない。

 隣の指だとじゃまだし、右手の小指にするかな。

 指輪の素材はステンレス。で表に水晶、裏にはラリマー。少し太さのある蔦模様。

 イリィとデザインを決めて(ラフ画からイリィが完璧なデザインを描いてくれる)から作る。


 もちろん自動調整機能付き。そしてこれも必須の空間拡張と魔法防御付き。

 万全だね。当然だけど癒しの効果もね。私の魔力も石に込めて…ふふふっいつでも一緒だよ?イリィ。


 おへそには嵌めるタイプの。へそピ風だけど穴は開けないで嵌めるだけ。これはステンレスの枠に紫水晶だね。うん、イリィの白い肌に映えるよ。

 想像するだけで眼福だね。こっちは単純な防御のみ。

 私が捕えられた時は時間稼ぎだからとピアスの防御は外していた。

 臨機応変に出来るよう、私のものは自主解除付き。でももちろんイリィのは問答無用で作動、感電するよ?

 当たり前だけど、私のイリィに触ろうなんて許されないからね。


 後はバングルとアンクレットかな。あぁイリィの細くてきれいな足首にアンクレット…想像するともう堪らないね…あ、いけない顔が緩む。

 デザインは指輪とお揃いにして…こんな感じかな。出来た!

「イリィ、これ足首に着けて?ブーツのじゃまにならないように作ったから」

「うん、ねぇアイ…嵌めてくれる?」

 そう言ってブーツと靴下を脱いでズボンの裾をまくる。

 その白くて細い足首にそっとアンクレットをつけた。白い肌に銀色…これは萌える。


 一人で肩を震わせて悶絶しているとイリィが

「アイには僕がつけるよ」

 そう言ってブーツと靴下を脱がされる。そして私の足首にアンクレットが。

「お揃いだね」

 そして私の足にキスをした。待って待って…恥ずかしいよ。真っ赤になっているとそのまま足の甲にもチュッとされた。

 下から私を見上げて可愛い、と呟く。可愛いのはイリィだよ…もう。

 またブーツまで履かせて貰う。うん、新婚ってこんなに甘々なんだね…。




新婚が甘々なのはアイルとイーリスだから…


面白いと思って貰えましたらいいね、やブックマークをよろしくお願いします!

励みになります^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ