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異世界転移 残りものでも充分です〜  作者: 綾瀬 律
第2章 感謝祭と諸々の騒動

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134.新しい鉱物の発見

 私たちは夢中で採掘していた。いや、まさかここで出会うとはね…。まぁ水晶があった時点で想像は出来たよ?でもね、あの大好きな鉱物がここで見つかるとは…。ありがとうございます?

 隣ではロリィも夢中で掘っている。汗をかいて少し髪が乱れているけど全くその美形に翳りはない。

 本当に美形はいつでも美形だね、なんて考えていた。

 ふとこちらを見るとふわりと笑う。


 無自覚美形の微笑み、破壊力あるな…。見惚れてしまった。手が止まった私を心配してロリィが顔を覗き込む。ち、近いから…。

「顔、赤い」

 それは近くに美形のドアップがあるから。

「たくさん交わったよ…」

 うわぁぁぁ…思い出すとひたすら恥ずかしい。緊急事態ってどこかアドレナリンが出てるのかな?大胆なことをしてるよね?

 その滑らかな白い肌を思い出してしまった。


 私の頬に手を添えてキスをする。

「可愛い…」

 今は男なんだけどな?

「もっと?」

 いえ、違います。可愛いよ…って甘いなぁ、ロリィは。

 奥からドタドタと音がする。そして凄い勢いでロリィごと押し倒された。あ、またか。



 今朝、ご飯を食べ終わった後に凄い音がした。慌ててロリィを腕に庇ったけど凄い勢いで何かに押し倒された。

 死ぬのか?と思ったけど防御が働かない…?

 あれ?と思っていたら

『やっと見つけたよーアイリ!探したんだから…』

 えっアイリ?その名前を知ってるのは…この世界にはいないのに。

 と、口元をベロンベロン舐められる。あ、なんかこの光景には記憶が…でもまさかね?だって大きさが違いすぎるよ。


『アイリ…私だよー覚えてないの?』

 ピタリと舐めるのをやめて私を見る。その黒曜石みたいな真っ黒な目、黒い毛に胸元の飾り毛は金色、大きな垂れ耳に長い飾り毛のしっぽ。やっぱり…。

「ナビィ…?」


『アイリー良かったよ。忘れられたかと…』

 忘れる訳がない。4才の頃から一緒に過ごしたナビィ。もうおばあちゃんだったナビィ。最後は腕の中で看取ってあげたかったのに…私はこちらに来てしまって。ナビィはもう虹の橋を渡ったの?


『うん、家族に見守られて…アイリのベットでね。皆んな泣きながら撫でてくれたよ』

 そうか…ナビィ。

「ごめんね、見送って上げられなくて」

『そうだよ?だから私、頑張ってこっちに来たんだよ。今度こそアイリに看取って貰おうと思って』

「ナビィ。でも凄く大きくなって…ナビィはただの犬じゃないよな?」


(ブラックハウンド 伝説の黒曜犬 

 創造神アリステラ様の使徒 

 長寿なので看取られるのはアイルの方)


 伝説の?神の使徒?長寿?情報が多すぎて処理能力超過…えっ、えっー!

「ナビィ、看取るのは無理みたい。むしろ看取ってな…?」

『えぇー嫌だよ。アイリの腕に抱かれて眠るのが夢なのに…』

「朝起きる方の眠りならいくらでもしてあげるよ?」


 私の腕の中でロリィが

「イル…?」

 あ、そうだ。ロリィには何のことか分からないよな。私はロリィを抱えたまま起き上がってナビィを紹介する。

「ロリィ、この子はナビィ。黒曜犬だよ。で、私の家族」

「アイリって?」

 私はロリィを見つめて

「ロリィ、今からする話はイリィしか知らない。あ、ハクやブラン、ユーグ様やアーシャ様はもちろん知ってるけど…」

「人ではイリィしか知らない?」

 私は頷く。

「私はここではない世界から転移して来た。異世界人で、本名はクロスガ、アイリ。19才で性別は女性だった。転移して何故か性別も年齢も変わってて。ゼクスの町に…」

「故郷が遠い所で、もう家族に会えないと言うのは」

「うん、前の世界に家族がいて…この子もそうだった。あちらの世界で寿命を迎えて、私を追ってこちらに来たと」

『うん、アリステラ様にお願いしたんだ!もう一度アイリに会わせてって』

「元は腕に抱えるくらい小さかったのに…何故か大きくなってて」

『ロリィ、よろしくね!アイリを助けてくれてありがとう』


 ロリィは優しく微笑むとそのナビィの大きな体を撫でて

「ナビィよろしく。アイリはイルの名前なんだね…」

『そうだよ?2人の子供の名前にしたらいいよ』

 私は赤面する。2人の子供…。確か子の実は愛し合い求め合わないと出来ないと聞いた。ロリィは求めてくれたけど私はどうなのだろう。

『アイリが受け入れたから実ったよ』

 そうなのか。ロリィは優しい顔でナビィを撫で私を見る。

「イルと私の子供…受け止めれくれたから。アリステラ様の意志でもあったし」

『アイリはここに定着する為に、色々な試練を課されている。それは神々の約束。アイリ、どうかその生を()()()()全うしてね』



 私はこの時のナビィの言葉をサラッと聞き流してしまった。それがこの世界における自分の重要な鍵になるとも知らず。



『アイリ、これ部屋にあった石?』

「そうだよ、さっき見つけてね」

『欲しいの?』

「うん、ロリィも欲しいって。私もね」

『なら私が…』


 言うが早いかドゴン、バコン、ズババン…パラパラ。

 ゲホゲホッ。

 やる前に声掛けて…。

 慌ててロリィを腕に庇った代わりに私は煙をモロに浴びた。

「ナビィ…豪快だね」

 って煙が晴れて見たら何もない?

『亜空間に収納したー』

 あ、ナビィもチート収納持ちか…。ロリィと顔を見合わせて笑う。


「名残り惜しいけど行こうか」

 頷く。皆んな心配してるだろう。流されて私が凍えそうだったのが感謝祭の最終日。ロリィが動けなくてそこに1日滞在。その翌日にロリィ熱が下がらずさらに1日滞在して今はその次の日。だから感謝祭の3日後。流されてから4日目になる。

 ユーグ様から無事と聞いていても不安だろう。ロリィの家族もきっと心配しているはずだ。


 私たちはナビィの案内と言う名の破壊行為により、地下を抜けて森に出ようとしていた。その破壊の途中で先ほどのガーデンクォーツとアイリスクォーツを見つけたのだ。で、冒頭のシーンだ。

 そろそろ地下を抜ける。ナビィは豪快に破壊するからその度に様々な鉱物を見つけて足が止まり前になかなか進まない私たち。いやね、私もロリィも鉱物好きだからね…。

 ようやく地上に出た時にはもう夜だった。今から森を移動するのは無理か…。


 とガサッと音がする。ナビィはしっぽを振ってるから敵じゃない?そこから現れたのは…グレイだった。

『アイル様、ご無事で』

 そう言うとナビィに向かって頭を垂れた。

『使徒様、お初にお目にかかります。グレイです』

『グレイ、ナビィだよーよろしく』

 そう言って鼻と鼻で挨拶をした。

『アイル様、ここは我らの縄張り…洞窟に案内します』

「うん、動かない方がいいね?」

『はい、今宵はこちらで。朝にはユーグ様の元にお連れします』

「頼むよ、グレイ」


 私たちはグレイに着いていく。着いた先は洞窟で入り口は少し狭くて中は広い。入るとたくさんのグレイウルフが寛いでいた。ふわぁぁ、もふもふパラダイス。

 なんかうずうずする。と思ったらナビィがそのパラダイスに突進して行った。大丈夫か?


 見ていたら他のグレイウルフは嬉しそうにしっぽを振って迎え入れた。子供達はナビィにじゃれついて遊んでいる。ホッ大丈夫そうだ、


 私はもふもふパラダイスから少し離れた所に案内され、テントを張る。ロリィに渡していたテントより大きいものだ。そこに毛布を引いて寝床を作る。するとロリィがその毛布を寄せていた。なんかその仕草が可愛い。こちらをチラッと見てからいそいそと…。くすくす笑っていたら恥ずかしそうに笑って抱きついて来る。はいはい、可愛よ?その青白い頬がバラ色に染まる。そっと撫でて外に出た。


 夕食はここで作っていいのかな?

『大丈夫です。我らにも少し分けて貰えると』

 もちろんだよ。ハクが仕留めた獲物がたくさんあるからね。

 私はバーベキューコンロを出して肉、魚、野菜を焼き始める。味は付けないで焼き上がってから付けて食べる。それならグレイたちも食べられる。

 ナビィは特別な犬らしく、人間の食べ物も食べれられる。好きな方を分けてあげよう。


 焼き始めるとロリィもやって来た。手伝いはしなくていいよ?そのきれいな白い手はそのままでね。

 ロリィは興味深げに私を眺めている。なんだか本当に小さな子供みたいだ。純真で無垢な小さな子供。

 可愛い。

 焼けたものからロリィ、ウルフたち、ナビィそして自分のお皿に取り分けて行く。

 ロリィはこんな風に食べたことが無いのだろう。串を待って固まっている。私は笑いながら串から外してナイフで一口の大きさに切ってからフォークを渡す。

 ロリィはそっと肉に挿して食べた。

「美味しい…」

 良かった。ナビィやウルフたちはそれは豪快にバクバク食べている。

 ロリィにもたくさん食べて欲しくて様子を見ながら追加していく。


 細いしスキルを使って体力も落ちていたから心配してたけど、だいぶ食べれたみたいだ。その唇に残った脂を取ろうとして困っている。ナプキンとかないからね。私はそっと清潔な布で拭った。

 だってね…体が温まって頬が染まったロリィの唇が脂で光って、色っぽかったんだ。少し危険だからね。

 キョトンとしている顔は可愛くて、そんな事を考えた自分を恥じた。

 するとロリィが頬を染めて

「イル、その…誘ってるの?」

 モジモジと言う。何故そうなるの?

「唇が脂で濡れてて…い、いやらしくて」


 ぐほっ…同じこと思ってたのか。慌てて乱暴に口を拭う。美形のモジモジ上目遣いは反則でしょ。

 片付けをしてから洞窟の端でお風呂に入る。土魔法で浴槽を作って後は魔法でゴリ押し。

 お風呂は日本人の魂だよな、うん。もちろんロリィも一緒だ。ごく狭い洗い場と浴槽は体が密着する。でもロリィは基本、自分で出来ないからね。その体と髪を丁寧に洗う。自分の体を洗おうとするとさせて、と言うのでお願いした。

 優しく柔らかく洗ってくれるんだけど…

「足、開いて立って」

 と言ってガバッと足を広げられたり

「お尻もっと良く見せて」

 と言ってしっかり掴まれたり、開いた足の下から見上げで触ったりとか…。いやらしさゼロでやってるのがね。断りにくくて。でもとても恥ずかしいよ。


 そういうロリィも自分が洗われてる時に見えてる?と言って足を開くんだからね。でもその体にたくさん触れたんだと思うと余計に恥ずかしいよ。


 何故だかまた疲れて湯船に浸かる。ふぅと思ったんだけど?何故後ろから抱えられてるのかな。優しく体を撫でられてるのかな。そして濡れ場のイケメンドアップ。いつも下ろしてる髪を後ろに上げてそのきれいで整った顔がしっかり見える。中世的な顔に細い肩と薄い胸。そのギャップにクラッとする。

 ロリィの熱い眼差しに見つめられ優しく抱き寄せられる。


 その後、久しぶりのお湯になのかロリィになのか。のぼせた私はロリィに抱えられてテントに寝かされた。

 何やってるんだか。髪の毛はロリィが魔法で乾かしてくれる。体も拭かれて、そのままロリィの口から冷たい水を飲ませて貰う。何度か飲ませてもらうとそのまま隣り合って寝転ぶ。ロリィの温もりがそこにあって…。イリィの顔が頭を過る。間近には相変わらず白くて吸い付くような肌がある。2人で過ごす時間はこうして過ぎていった。幸福と罪悪感をない交ぜにして。




アイルはイーリスが大好き

一方でロルフの気持ちを戸惑いながらも嬉しく思っていたり、そんな自分にも戸惑っています


新連載

仮 逃亡中 星なし転移者と仲間たち

投稿中です!


※読んでくださる皆さんにお願い※


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