126.温泉施設を拡張
私はハクの唾液でベトベトになった顔を洗浄できれいにする。ハクは大好きだけど顔中はちょっとね?
その頭を撫でて首に抱き付く。いつものハクの匂い。うん、落ち着くな…。頭をぐりぐりすると立ち上がる。ハクはしっぽをブンブン。可愛い。
さて、温泉に向かおう。グレイの背中にミストを乗せる。
『ミスト…雷獣の王となったか…』
短いしっぽをブンブン振っている。頭をグレイの首元に擦り付けてる。可愛い。お父さんだもんな…。グレイも体を捻って鼻で突いてる。いいなぁ、家族って。
私は無意識にハクとブランを撫でる。
どちらも家族はいるから…その内に会えるよな?会ってみたいよ、ハクとブランの家族に。
存在進化したから会えるかもな?もしかして今なら郷に帰れるのでは?
そう思ってハクを見ると
『僕はアルの側にいるよ…言ったよね?アルの命がある限り、側にいるって』
そうだったね、ハク。
『僕もご主人の側にいるよ!』
ブランも…ありがとう。
歩いて温泉施設に着いた。少しここで過ごすなら居住部分を充実させようかな?
今は休憩室以外は脱衣室しかないから。
まずは玄関とそれからトイレと居間に台所。イリィの工房と自分の部屋も作ろう。後は倉庫かな?
ハクたちの部屋も作るか?
じっと見ていると
『僕たち3体の部屋が欲しい』
分かった、作ろう。ベットと止まり木と食事スペースと外と温泉への出入口。
入り口前には足洗い場かな。うんうん、運動できる遊具も付けようかね。
あ、そうだ室内訓練場も作ろう。考えていると楽しいな。
するとイリィが
「屋内の浴室とシャワー室も欲しいな…」
なるほど…。あ、そもそも休憩室しかないから寝室も作るか。イリィと私の寝室を作ろう。
「それぞれの寝室も作るよ」
「それぞれ…?」
「うん」
「アイ…」
ん?イリィが近づいて来て腰を抱かれる。えっ?
「別々に寝たいの…?」
いや、そんなつもりは…
「ねぇ?僕と寝るのが嫌…?」
そんなことないよ…?
「嫌じゃないなら何で…」
1人になりたい時用かな?
「ふふっアイってば…今夜はお仕置きだね…」
なんで?
「離さないよ…?」
怒らせるようなこと言った?どちらかで一緒に寝ればいいと思ったのにな。
イリィに微笑んで、材料を探しに行こうと外に出たら…色々なものが山になってた。
倒木とか岩とか蔦とか枝とか草とか土とか何かの鉱物とか…諸々。
背中にミストを乗せたグレイを筆頭にグレイウルフたちがわさわさと運んで来る。
ん?良く見たら精霊とか妖精?とかも何か運んでる。キラキラした羽とか棉とか花とか…虫もいる。いや、虫とかいるの?宝探しじゃないんだよ?
鱗粉を撒きながら虹色の蝶が舞っている。木から手のひらサイズの大きなわたわたした蜘蛛が降りてきて、お尻から大量の糸を吐き出した…。
何が起きてるの…?
『皆んなアルに貢ぎ物をしてるんだよ』
貢いでどうするの?
『アルの側は心地よいからね…側にいたいんだよ』
『きっと自分たちの住処も作って欲しいんだよ』
『ここはとても空気が澄んでるからね』
ハクとブランが口々に言う。
彼らを見ると嬉しそうに
(ここは居心地がいい)(居心地いい)
(彼のそばに…)(彼の近くに…)
(癒される)(癒された)
(お家が欲しい)(木のお家)
(精霊の住処)(彼のお家の中に…)
(ここは素敵)(空気がきれいだ)
(ここにいたい)(住みたい)
(彼の近くは心地よい)(癒しだ)
(妖精のお家)(彼の家の中に…)
(私は聖虫…)(虹蝶…)
(巣箱が欲しい)(巣箱があれば子供が増える…)
(たくさんの子供…)(虹の羽をあげる)
(巣箱を彼の家に…)(彼の家の中に…)
(私は聖虫…)(白蜘蛛…)
(お家が欲しい)(木の枝のお家…)
(子供を増やす為)(お家を作って)
(糸をあげる…布もあげる)(彼の家にお家を…)
えっと…聖域、サンクチュアリを作れと…?
『アルの側にいたいんだよ…一気に拡張しようよ。手伝うよ』
手伝うってどうやって…?
『入り口の方に大きな空間を作るんだ。外と繋がるような…家の中だけど外みたいな』
ピロティみたいな感じかな?上の方と出入り口だけ開ければいいか…?温室風にして。
でも手伝うって?
『アルに力を分けるよ!』
良く分からないけど材料は足りるか…?
(木、鉱物、岩、土、石、羽と糸で必要なものは揃っている)
ビクトルにオッケー貰った。よし、作るか!私はハクの体に抱きついて地面に手を当て力を込めて想像する。基礎から床、壁そして屋根。温泉施設と繋ぐ入り口と、外へ繋がる空間。屋根は高く斜めに。上部を開放してそこから目の前の木に移れるように。
その中にも植物を生やして木を作る。精霊の住処と妖精のお家、蝶の巣箱に蜘蛛の家。
体のサイズに合わせた住処や家を複数作っていく。
最後に床に芝を巡らせて花を植えた。大きな温室の出来上がり。外と繋がっているけど、床下はお湯の蒸気を流したからほんのりと温かい。
まさに聖域だね…。私たちの家はその聖域の横から繋げて休憩所に行けるようにした。
ハクたちの部屋はそれぞれ専用の部屋と真ん中に共同の部屋、私とイリィの寝室と共同の寝室、工房に倉庫、そして皆んなが入れる大きな居間。いくつかに仕切れるようにしてある。
後は室内訓練室だね、広めにしておくかな。
水回りは厨房に浴室、シャワー室にトイレ、洗面室、洗濯室と厨房。
聖域とは居間で繋げた。そうそう、聖域の中にはグレイたちの居場所も作ったよ。ちょっと洞窟風にして。
占領したハクの縄張りはまだまだ広いから余裕だね…。なんか楽園みたいだ。
精霊がざわめく。
(出来たよ)(出来たよ)
(新しい住処だ)(素敵だな)
(木がある)(僕たちの木がある)
(皆んな喜ぶ)(アイルありがとう)
妖精がさえずる。
(お家だよ)(お家が出来たよ)
(僕たちのお家だよ)(僕たちの木だよ)
(お花もあるよ)(植物もあるよ)
(嬉しいな)(アイルありがとう)
蝶が舞う。
(巣箱が出来た)(巣箱だ)
(きれいな巣箱)(僕たちの木もある)
(子供が増える)(子供が増やせる)
(楽しいな)(アイルありがとう)
蜘蛛が降りてくる
(お家だ)(素敵なお家だ)
(僕たちの木)(専用の木)
(糸が紡げる)(布が織れる)
(喜ばしいな)(アイルありがとう)
賑やかなざわめきの中、それぞれが気に入った家や巣箱に入っていく。
その後、ここが正しく聖域となることをアイルはまだ知らない。
やりきったな…。ふふふっ、あれ?イリィの笑顔がなんか怖い?
「寝室をそれぞれに作って…僕以外の誰かとのため?」
「ち、違うよ…時々はこっちとかそっちとか、いつものとか…って思っただけだよ?」
「そう…?ならいいんだよ…ふふっ」
えっと…イリィさん?
なぜまた腰を密着させて頬を笑顔で撫でてるのかな?
んっ…。
なぜか激しいキスをされた…?
私の手をとって居住区に入る。
広めの居間にはソファ、その辺りの床には柔らかいラグを敷いた。
床に寝そべっても大丈夫。ハクはさっそく背中をくねらせてコロンコロンしてるよ、可愛い。ブランとミストはじゃれあって甘噛みしてる…可愛い。仲間に入れて…と近づこうとしたらイリィに後ろから抱きしめられて
「アイは僕とだよ…?」
ソファにそのまま押し倒された。イリィの胸に頭を抱えられて横たわる。その鼓動が優しく私を包む。イリィの背中に手を回して抱きしめる。清々しい匂いと体温に体の力が抜けていく。
「イリィ…大好き…」
「ふふっ僕もアイが大好きだよ」
鼻の頭にキスされてまた抱きしめられる。あぁ、私の帰る場所…。イリィがいれば私は大丈夫。
ファル兄様たちが合流するまで…少しのんびりしようね、イリィ。
イリィの熱烈な愛情で、ハクの交わりで…ゆっくり出来ないのはこの後の話。この時、アイルはまだ知らない。
その日の夜、真名を告げられたイリィと授かったハクから記念日だとして、盛大な愛情を受けて…翌朝は起き上がれなくなったアイルだった。
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