113.グッタリだ
なんか今日は疲れた。朝から鍛錬。これは自分で希望したからいいよ。その後の鉱山…なんでダイヤモンドなんて見つけるかな?グレイは。ブロンズはまだいいけど。まぁハクに喜んで欲しかったのは分かるよ?
でもやり過ぎ。
さらにミストとの出会いと精霊の祝福。その祝福が欲しい人もいっぱいいるだろうに…なんで私?
その後の温泉はイリィと一緒で満たされたけど…。帰って来たら今度はイザークさんの出生の秘密とか知ってしまうし…。貴族になってるし…虐めるし。
更には同郷の女性に会ってしまうし…。宿に帰ったら少し寝ようかな。なんか心が…疲れた。
イリィに手を引かれて宿に帰って来た。部屋に行こうとしたらスーザンに呼び止められる。
「アイル、こっちに来い」
不機嫌?もうヤダよ…疲れてるのに。
厨房に入ると私の目の前にお皿を差し出して
「美味いな、これ」
そこには生キャラメルの弾けるキビがあった。そら美味しいでしょうね。何たってキャラメルなんだから。
「これは売れる」
それも当たり前かな。向こうの世界でも人気があったし。
「これの名前は何だ?」
あー、元はカラメルだっけ?絡めると掛けてそのままカラメルでいいかな?
「特には…スーザン決めて」
「はぁ?決められるかよ」
「弾けるキビにどうやって味を付ける?」
「そら、弾けるキビにこれを絡めて…」
「絡めるの?」
「あぁ、絡める」
「それでいいんじゃ?」
「絡めるか?」
「横文字でカラメル」
「カラメル」
「動作じゃなくて名前だから語尾が高くなるような発音でカラメル」
「絡める…カラメル…なるほど。カラメル味だな?」
「そうそう、どうかな?作り方からの発想で」
「おし、なら決まりだな。塩味とカラメル味」
「それでいいと思う。スーザンの発案だよ?」
「何でだよ?」
「絡めるって言っただろ?」
「…分かったよ。あとはどれだけ牛乳が手配出来るかだな」
「そこはギルドに任せてるから…」
「分かった。カラメルだな」
良かった。スーザンに押し付けられて。待っててくれたイリィ、ハク、ブランにミストと部屋に向かう。
扉を開けて部屋に入るとそのままベットにダイブした。側にイリィが座ってハクが脇に張り付き、ブランは頭の上に座る。ミストは蓋を頭に乗せて腕から私を見る。ハクのもふもふもブランのふかふかも、ミストのふわふわも…イリィのスベスベも大好き。
その日はそのまま早めに夕食を食べて寝る…つもりだったのに。ゼクスに帰って来たロルフ様が訪ねてきた。
イリィは少し工房に行くと言っていなかったので、ハクを連れてロルフ様の待つ馬車に乗る。
「久しぶり…アイル。元気にしてた?」
「…はい」
「そう、良かった…」
「明日は打ち合わせ…聞いてる?」
私は首を振る。まだ聞いてない。
「行き違いかな?明日…私の父上も来てる」
「…」
私、行かなくても良くない?
「嫌な思いをさせてごめん…ラルフも反省してる」
「いえ、ロルフ様のせいでは…」
「明日の打ち合わせに…ラルフの同席を許して欲しい」
そもそも明日って聞いてない。私は出なくてもいいんじゃない?
「何も…明日とも聞いてない…俺は何も…」
「フェリクスに連絡した…牛乳も植物の茎も持ってきた…」
植物や茎?え?あったの…?私の顔を見て
「あの茎はアイルが…」
でもフェリクス様抜きでは話が出来ない。
黙っているとロルフ様の手が私に触れる。その透明な目で私を見て…困ったような顔をしている。
「どうしたら…ラルフは許される?」
しばらくは関わって欲しくない、それが本音。でも…。考えが纏まらない。するとハクが
『なるべく関わりたくない。それがアルの本音だ』
ロルフ様は寂しそうに笑う。
「君を…守りたいんだ…」
私はどう答えていいか分からず黙ってしまう。
「答えは…急がないから」
「打ち合わせはご自由に…俺には関係ない」
ロルフ様は目を伏せて分かったと言う。そして急に訪ねてごめんね、そう言って帰って行った。
『アイツらは結ばれたな』
えっ?アイツら?
『あの兄弟だ。正確には従兄弟だな』
なんで分かるの?
『兄弟じゃないのは知ってた。今は匂いが混ざった。結ばれたんだ』
へー…ラルフ様の想いが通じたのか。良かった、のかな。私には関係ないけど…。
ロルフ様の姿がまたお兄ちゃんとダブる。わたしは俯いたまま、ハクと部屋に戻った。
しばらくするとイリィが戻って来てアーシャ様と会ったことをファル兄様に伝えに行ってそのまま今日はあちらに泊まると言う。
夕食を食べるとイリィは出かけて行った。心配だからハクに一緒に行って、送り届けたらハクは戻って来て貰うことに。
その間、私はシャワーを浴びた。部屋に戻ると全裸のハクがいた。だから…服着て。
「ハク…服を着て」
「どうせ脱ぐのに?」
どうせって何?
ハクは色っぽく笑うと
「体が求めるんだから仕方ない。だからアルも早く脱いで?」
えっ?いや、その…。そんな魅惑的な目でじっと見られると…恥ずかしいから。それに今日は疲れてるし。
「忘れてない?僕と交わると調子が整うこと」
そうだった。魔力が循環してまるで溶け合うような…心地良さがあるんだ。
ハクがドヤ顔してる。でも…。ハクが立ち上がると私を抱きしめる。あの…ハクさん。色々と当たってますよ?私の顎に手を当てると上を向かせてキスをする。少しずつ大胆に…。
離れるともう魔力が繋がっているのが分かる。蕩けるような心地でいるとそのまま抱き上げられてベットに入る。
上から私を包み込むようにしてまたキスをしてくる。あ…。
久しぶりにアルの体に触れた。滑らかな白い肌。細い腰…上気した頬に軽く開いた口。全てが僕を誘って来る。堪らなく愛おしい。身体中にキスをして、ふふふっ本当に反応が可愛いよ…?
そろそろ…あぁ大好きだよ。ゆっくりとその体に触れて…。
あぁ…なんて暖かい。さらに頬が赤くなり目が潤んでいるアル。あぁもう…どんな表情も可愛いよ。目を潤ませて上目遣いとか…。堪らないよ?
いい?たくさん気持ち良くなって…アル。
ふふっそんな目で見てもダメだよ?まだたくさん感じて?あ…ほらもう…。
大好きだよ?やっぱり体の繋がりも大切。ほら、だってたくさん子供欲しいからね。そろそろ実るよ。楽しみにしててね。だからまだたくさん交わらないとね…。求めてしまうんだ…魂の契約者であるアルを。それはもう本能なんだよ?
水の中を漂うような心地良い時間が過ぎていく。ハクとの交わりはとても気分がいい。少しひんやりとするその肌に包まれて優しい時間が過ぎていく。魔力が混ざり合い溶け合い実体の境界がボヤけていく。そうして夢のようなな間は夢現のまま…。
目が覚めると視界には艶やかな銀の色。あぁハクだ。その整った顔は目を閉じていて密度の濃いまつ毛が震えている。可愛い。イリィとはタイプの違う美形だ。
イリィは可憐な美しい花。一見弱々しいけど凛としている。ハクはキリっとして美しい。周りの空気もパリッとしていて…強者特有の気高い美しさ。
比較なんて出来ないくらい…圧倒的にきれいだ。そんな2人がなぜ私のような平凡な人間に想いを寄せてくれるのか分からない。でも私より強い2人でも、守りたいと思う。その気持ちを。
守られることの方が多いと思うけどね。これからもよろしくね、ハク。その髪にまぶたにキスをする。さぁ、今日も鍛錬頑張らないと…。
「アル、おはよう。朝の鍛錬はまず僕とだよ?どんな体勢がいい?」
ハクさん…何ですと?
そして朝、というか明け方から鍛錬と言う名のハクの愛をたっぷりと感じるのだった。そう、意外と腕と足腰が鍛えられるね…。
その後、今度こそ服を着た鍛錬の為に宿を出た。朝から激しかったけど体の調子はいい。体の中を魔力が満遍なく循環するからとか。リンパみたいなものかな?
さあ、今日の鍛錬ははどこまで出来るかな?
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