102.甘味
ふわふわと笑っていると何か憐れむような視線を感じるけど…気のせいだよね?
美味しければ何でもありさ。多分?
皆んな無言で食べ終わる。まだ残っているパウンドケーキに視線が注がれている。
「おかわりどうかな?」
全員のお皿が無言で差し出された。
ちょうど無くなったよ。ハクとブランも食べられたし。私は小さ目の一つで充分。
「これ、明日フェリクス様に持って行く?」
「「「ダメだよ」」」
そうなの…?
「紅茶は…?」
「「「それならまぁ」」」
という事でお茶は終了。やりたい事があったから工房にいそいそと移動。
ふふっ…想像するだけで楽しい。
ふふふっ。
ビックパイソン革とケイ素を取り出す。
ここをこうしてああして…ここはガラスでここは…うん。こうかな?いや、こっちか…わぁ。これはまた。
どうしよう…ドキドキして来た。
チラッと何かのデザインを描いてるイリィを見る。真剣な顔も可愛い。
これをイリィが身につけてら…あぁ…いいよ。うん。きっと似合う。
妄想しながら次々と作っていく。
布を取り出して、これはどうしたら…これで溜めて。こっちがこうなったら、おぉ。これはまた。
ブツブツ言いながら作り終える。
よし、次はハクの分。人型のハク用に服を作ろう。何を着ても似合うけどやっぱりここは大人の色気を前面に出して細身のシャツにパンツかな?
首元には長めのネックレス。シャツがはだけると見えるくらいの。うん、いいね。後はピアス。輪っかのタイプを重ね付けで、ピンキーリングも付けて。
後はあそこにあれをこう飾って、うんうん。いい感じ。大人っぽいね、これは。
次は何を作ろうかな。
あ、いいこと思いついた。ふふふっ。
ここをこうして、衣装は白で長めに…ベールとかどうかな?透ける素材ってあったっけ?
えっとレース?オーガンジー?素材が分からない。
うんうん言いながら透ける布をなんとか作って、ロングベールにしようかな。
あ、ここもちょっと透ける素材にして…ふふっいいね、いいね。
紫水晶があったよね、これはここにこうして…ふふっサイズは自動調整にして。白い肌に映えるよね?
チョーカーとかも?黒がいいかな。カッコいいし。なんかね、ほら。うんうん。
男のロマンっていうの?
よし、今日の夜に試着してもらおうかな。
一息ついて肩の力を抜くと…皆が私を見てる?えっ?見られてたの?
「アイ、凄く楽しそうに作ってたけど、それは何?」
「えッ?そのあの…秘密?」
「僕にも?」
イリィが首をこてんとして聞いてくる。可愛いぞ?でもこれは言えない。だってね…夜のお楽しみだし。
「う、うん。その…」
私は照れてもじもじしてしまう。
「2人の時にね…?」
そう言うとイリィはふわりと笑って
「じゃぁ夜に…じっくり教えてね?」
じっくり…って。顔が赤くなる。恥ずかしいけど…間違ってないかも。
その時イリィがとっても妖しい目で私を見ていたのを知らなかった。
寛いでいたファル兄様たちも帰ると言う。
皆で廃墟を出て街中に歩いて行った。
別れ際に
「イーリス、今日は一緒にいられて良かったよ。元気そうで本当に何よりだ。アイルとも仲良くな」
「「イーリス、いつでも兄様の胸に飛び込んでおいで。アイルも待ってるよ」」
イリィは分かるけど私もなの?
するとイリィが
「アイはダメ」
「「「残念」」」
3人はもったよ…不貞腐れてるイリィが可愛い。
こうして別れて宿に帰って行った。
部屋に入ると後ろからイリィが抱き付いてくる。
「ねぇ、何作ってたの?凄く楽しそうに笑ってたよ?」
「えっ?そんなに?」
「うん。嫉妬しそうになるくらに…ねぇ?何作ってたの?」
「だからまだ秘密だよ」
「今、聞きたい」
「そ、それは…」
私は頬を染めて上目遣いでイリィを見る。
「寝る前のね、お楽しみだから…」
イリィは私を目を細めてみると
「期待していいの?」
耳元で囁く。いや、主に私が期待してるんだけどね?
「じゃあ我慢するよ…今はね」
そう言って首にキスをしてから解放された。
ふぅ、危ない危ない。もうね、想像しただけでイケない状況になっちゃうよ。
それからイリィはまた何かを作るみたいで椅子に座って、私はハクに話しかけた。
「ハクの服を作ったんだよ?人型の時に着る服。すっごくかっこいいんだ」
『服はなくても大丈夫なのに…だってね、どうせ脱ぐし?』
「うぐっ。いやそのね」
そこからはイリィに聞こえないように
「脱がす楽しみもあるでしょ?」
ハクはそれを聞いてしっぽをぶんぶん振ると
『それは交わりたいってことだよね?アル』
あ、しまった。そうなるか…な?
『たっぷりじっくり…ね。それなら脱がせて?』
やぶへびだった。
その後リアが運んできてくれた夕食を食べてから一緒にシャワーを浴びに行く。
「ねぇ、アイ。やっぱり凄く気になる。何を作っていたの?」
さっさと服を抜いたイリィが私の服を脱がしながら聞く。いや、自分で脱げるから。
「アイ、僕の目をみて…」
だから1人で脱げ…答える前にささっと下履きまで脱がされた。早業だね。
そしてそのまま私の腰を抱いて素肌を密着させる。
イリィ、その色々とよろしくないので…。お構いなしにぴたりと肌を合わせて目を覗き込んでくる。
「アイ?」
「う、うん…そのね、イリィの衣装とか…アクセサリーをね」
「本当に?普通の服なの?」
私は目を逸らす。
「こっち見て。普通じゃないの?」
それはその…若干趣味に走ったと言うか、妄想が妄想を呼んでちょっとやり過ぎたというか…。
「どんなの?」
「そ、それは後で?」
ふっと笑ったイリィに解放された。色々とマズいからね、素肌が密着するのは。
だからその、目線を下に動かさないで…。
手を繋いでシャワー室に入っていく。
「実はね、僕もアイのアクセサリーを作ったんだよ?だからね、いつもよりきれいに洗おうね?」
いつも以上に優しく丁寧に全身を洗われて凄く恥ずかしかった。
私も同じように洗おうとしたら耳元で
「このままここで仲良くしたいの?」
って言われて慌てていつも通りにしたよ。何で私だけって思ったけど、イリィの微笑みの前にそんなことは言えなかった。
着替えて部屋に入る。
水を飲んでベットに腰かけたイリィ。私を見る目が色っぽい。
「どんな服をつくってくれたの?」
私は顔を赤くしながらイリィの為に作った衣装とアクセサリーを取り出す。
「これ…」
それは教会に飾ってあるような女神の衣装。白くて長いワンピースのような裾が広がったもの。
そして少し透けている。
頭にかぶれるベールもある。そして首には黒い皮のベルト風バングル。額には紫水晶のキラキラしたアクセサリー。
そう、女神のコスプレ風衣装。少し透けてるのがポイント。
「これをね、裸の上に着るんだよ」
イリィはそれを見て私を見てそれをまた見て妖艶に笑った。
「ふふっこれを僕に着て欲しいの?いいよ。後ろ向いてて」
私は嬉しくなって壁の方を向く。衣擦れの音が聞こえる。なんだか音だけってのがね…。
イリィが後ろから抱き着いてきた。
「着たよ…ねぇこれ透けるんだね?アイ…僕にこれを着せてどうしたいの」
どうしたいって、もちろんひたすら愛でるんだよ。上から下まで、前から後ろから全方位余すことなく。ね。
「もちろん、ひたすら見るんだよ」
イリィが体を離したので振り返る。そこには月の女神がいた。
白い長い裾の広がったゆったりとした服を着て、額にはキラキラした紫水晶。少し広めの襟元からはきれいな曲線をえがく鎖骨が見えて、首元には黒いベルト風チョーカー。
あぁ、なんてきれいなんだろう。そして首元のチョーカーはもう背徳感溢れてる感じで、凄く色っぽい。
僅かに透けるその布の下にはイリィの体のラインがおぼろげに見える。
頭にかぶっているロングベールは床に届くほどあって、思わず服を脱いでベールだけかぶるイリィを想像して悶絶しそうになった。
私に近づいて頬に手を当てると
「今、何を思ったの?僕を見て何を想像したの」
「凄くきれいだなって思って」
「それだけ?これ透けるよね?見えてる?うっすらと」
「う、うん…見えてるよ」
「ベールは完全に透けてるよね…」
「そうだね…」
…耳元でイリィが
「アイはこのベールだけ羽織って?」
えっ?ベールだけって、えぇ…
「まさか僕に、裸でベール付けさせようとか思ってないよね?」
汗が背中を伝う。
「も、もちろん?」
「良かった。僕もね、アイに着けて欲しい物を作ったんだよ?気に入ってくれるかな」
なんか嫌な予感が?
屈んで私のズボンを太ももまでまくる。寝る用だからダボっとしていて足の付け根くらいまではまくれちゃうんだ。
そこに皮のベルトを付ける。
あの、イリィさん…それは服の上から付けるものでは?
ズボンを元に戻して側に来ると今度は首元に私がイリィに作ったようなベルト型のチョーカーを付ける。
「ふふふっ似合うよ?」
女神の格好をした女神のごとくきれいなイリィが妖艶に笑う。
なぜこうなった。
※読んでくださる皆さんにお願い※
面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価ををよろしくお願いします♪




