出会いは最悪だった
あなたは魔剣、負けるもんかをゲットしました。やったね!
「は?」
ある真夏の昼下がり、炎天下の中果実水を買いに行った。
頭は暑さで使い物にならなくなっていた。
とはいっても元々頭はさほど良くはなかったのでさしあたって問題はなかったが
問題はなかったのだ。今、この瞬間までは
「すいませーん、誰か引っこ抜いてくれませんかー?」
そう、何故か自分の足元で喚いている一振りの魔剣を除けば
そもそも私はただの商会の元後継ぎだ。それも今日で終わった。
トレファーナ商会の取り潰しが決まったのだ
なので今日ばっかりはお金を気にせずに遊びたかったのに…なのに!
「そこの人ー!見てばかりいないでさっさと引っこ抜いてくれません?」
「だからなんで魔剣が喋ってるの!?」
「あ!ようやく反応してくれましたね?ということは引っこ抜いてくれる!?」
私の耳がおかしいのか?さっきから魔剣に話しかけられている気がする。
暑さでおかしくなっているのでなければ地面から引っこ抜いてと頼まれている気と思う。
…というか暑さのせいだったらどれほど良かっただろう。
「おーい!聞こえてますかー?」
眼の前にあるこれは本物だ。そう、正真正銘魔剣なのだ
そもそも魔剣は人目に触れることがほとんどない
あるとしてもどこかの貴族がオークションを開いたときに一目見れれば良い方だ。
それがこんな町中の道路からにょきっと生えているなんてありえない光景だ、
そう普通はあり得ないのだ
…ではなぜこんなところに魔剣があるのか
答えはさっきからずっと魔剣が叫んでいる
つまりは
「早く引っこ抜いてくれません?」
引っこ抜いてもらうためだ