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キヨモリ Mia kato, Kijomori
秋の夜空に、いびつな形の月がある。
天井にはりついている蛾のような姿だ。
わたしの飼い猫、キヨモリがそれを見てつぶやく。
「ばかなやつだ、あんなふうになっちまって……」
そしてわたしの肩から地におり立ち、
「おれが引導をわたしてやらねえとな」
夜の闇にむけ歩み去った。
わたしは、キヨモリに二度と会えない予感を悲しんだ。
しかし一方では、誇らしい気持ちがふくらむのも感じたのだ。
それがどうだろう、翌日からも変わらずおやつをねだり、だらしなく寝ころぶこやつ。
別の猫にすりかわったと思いたい。
Fino
修正記録/サブタイトルの修正:Kiyomori→Kijomori (2023−11−04)