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しどろもどろの獅子座たち  作者: みきくきり


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フイウチ/ミカヅキ/アリ




 Surprizo



 道を歩いていると、たびたび不意打ふいうちを受ける。

 どうもわたしの持っている割符わりふを奪いたいらしい。

 わたしはある時は返り討ちにし、ある時は一目散に逃げる。

 よこせと脅されてもあげられない。割符の役目を持つ符号は、わたしの心に刻まれてある。

 いったい何者の心と合致するものなのか、わたしも知らずに守っている。




 *  *  *




 Krescento



 E郡の三日月湖には永いこと大きな蛭が棲んでおり、疫鬼えききはこれを恐れて周りの土地に近づかなかった。

 この水溜りを埋めさせたのは、E郡の富者であった。息子が医学を修め開業するので、その商売に邪魔な蛭を封じたのだ。

 帰郷した息子が流行り病で急逝したのは、因果応報か。

 おかげで、子孫である私まで三日月に睨まれている。




 *  *  *




 La formiko



 私の飼っている蟻が、神殿に置かれた供物の酒樽に、穴をあけてしまった。

 こまった子だ、たびたび、やらなくてよい過ちをおかす。

 急いで神に謝罪せねばならないが、祈れど祈れど意志が通じない。

 やむなく私は、ほかの神殿を訪ねる旅に出た。

 しかしどこに行っても人の姿に出会わない。

 知らぬ間に、私だけがこの世界に取り残されていたらしい。

 私を除いた皆は、どこでどんなたのしいことをしているのか。

 神の意地悪さは常のこと、耐えなさい、喜びなさい、と服のポケットのなかで蟻が言う。

 私はポケットを叩きかけ、なんとかこらえて帰り道を歩む。

 そう、これまでにも何度かあったことだ。

 私が耐えていれば、そのうち誰かが神の態度を正してくれるだろう。

 たとえばこの蟻が、神に正義を説いて、反省をうながすことがあるかもしれない。

 そう思ってポケットをのぞくと、蟻はいなくなっていた。

 だまって私を見限り、皆のいる方にむかったのである。






 Fino









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