勇者、ピンチ!
ゲラゲラコンテスト4応募作品です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
登場人物
勇者
魔導士マーリン(以下魔導士)
( )内はト書き。
勇者「とうとうパーティーのメンバーは俺たちだけになっちまったな。くっ。」
(勇者、腕を押さえて痛そうな様子。)
魔導士「勇者さま、傷の具合は大丈夫ですか?」
勇者「大丈夫だ、魔導士マーリンよ。しかし、勇者と言われたこの俺が何てざまだ、情けないぜ。」
(沈黙)
勇者「魔導士マーリンよ。」
魔導士「何でしょうか、勇者様。」
勇者「回……複……魔法とか、かけてくんないのかなーって、」
魔導士「ああ。」
勇者「うん、じゃあ頼むよ。」
魔導士「勇者様、先ほどご自分で大丈夫っておっしゃいましたよね?」
勇者「あ、うん、言った、けど、本当はちょっと期待してたって、言うか?」
魔導士「そういう、言わなくても察しろみたいなの、やめてもらえませんか?」
勇者「いや、そんなこと思ってないけど、普通さ、気を利かせてくれるもんじゃない?」
魔導士「普通ってなんですか?そもそも論ってやつですか?」
勇者「わかった、わかった、もういいよ。で、回復してくれるの?くれないの?」
魔導士「実はもうMPの残高がだいぶ少なくなってるんで。」
勇者「あ、そう、ふうん。」
魔導士「はい、すみません。」
勇者「いや、いいよ別に。」
(沈黙)
勇者「MP、チャージとかできないんだ?」
魔導士「できますけど?」
勇者「やって、くれないのか、なーって……。」
魔導士「や、僕、今月すでに結構チャージしまくってて、親もうるさく言ってくるし。」
勇者「親?コイツ親とか言ってるし、ウケる。」
魔導士「親の何がおかしいんですか?そういうの本当やめて下さい。あと、友達とかも、いつも僕ばっかりチャージするのおかしくない?そいつ本当に友達なの?とか言ってきて、だんだん僕もそうなのかなって思えてきたっていうか。あと、さっき思わず謝っちゃったけど、そもそも僕悪くないっていうか。」
勇者「いや、でも、最初に決めたじゃん?俺が勇者で、お前が魔導士って。俺も本当は魔導士がやりたかったけど、お前がどうしてもって言うからさ。」
魔導士「いつの話ですか?って感じなんですけど。こんなにMP使うとは正直知らなかったし、っていうか、あなたが最初に『俺、勇者ー!』って勇者とっちゃったじゃないですか。」
勇者「だから、お前が魔導士やりたがってるの知ってたから気い遣ったんじゃん。」
魔導士「頼んでないし。友達の話とか聞いてると、結構みんなジョブチェンジとかしてて、MP消費の負担が一人に集中しないようにお互い気をつけてるとこ結構多いみたいで、何でウチはそういうのないのかなって。」
勇者「何なん?さっきから友達友達って。わかった、わかった、もういいよ。もう頼まないよ。」
(沈黙)
勇者「俺のこと、他の奴に相談とかしてたんだ。」
魔導士「いけませんか?僕、パーティー以外に知り合いとか結構いるんで。」
勇者「知らなかった。」
魔導士「まあ、いちいち言うことじゃないですし。」
勇者「ふうん。」
(沈黙。)
(青白く光っている場所があることに気がつく勇者。)
勇者「はっ、魔導士マーリン、青く光るあれは何だ?」
魔導士「これは!!脱出用の魔法陣です、勇者様!」
勇者「何っ!?よし、これで外に出られるぞ。」
魔導士「はっ、しかし。」
勇者「どうした、魔導士マーリン。」
魔導士「力がごく微量なので、二人は無理です。私か勇者様、どちらか一人はここに残らねばなりません。」
勇者「何!」
(沈黙)
勇者「あいわかった。魔導士マーリン、君が行くがいい。」
魔導士「勇者様!!」
勇者「今まで、いろいろすまなかったな。これで俺を許してくれるか?」
魔導士「勇者様!この御恩は決して忘れません!」
(魔導士マーリン、消える)
勇者「ふう。あれだな、一応、第一発見者は俺だったんだが、やっぱ、言わなくても察しろってのはダメだな。去り際にせめて回復魔法くらいかけてって欲しかったな。
仕方がない。
自分の使うか。」
【終わり】
読んでいただきありがとうございました。
異世界年の差恋愛ものも連載しています。
そちらもお読みいただけたら嬉しいです。




