王太子クロードの霧がかったティータイム②
庭師が、丹精込めて切ったであろう庭をぐちゃぐちゃにしてしまった。
そこは反省すべき所だ。
しかし、あいつ結構強かったのな。なかなかに楽しめた。
『私に逆らうからこうなるのですよ?』
俺の心は、お父様に段々と蝕まれていった。
あいつを呼び出すために設けたティーセットは、もちろん血塗られ、僅かな形状を保っていただけだった。
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「・・ード様。クロード様。クロード様。朝です!起きてくださーい。」
あれ?ここどこだ?
『あー。うるさい子が来てしまったかな....』
「クロード様?」
この声少し前に聞いたことがあるような?
『あの子に起こされると、ろくなことがないんだよな』
「あれ?お前どこかで....」
あったことがあるような....
『早く起きないといけないな』
「はい?その口調どうしたんですか?」
『うん?私は何をしてたのだ?こんな変な口調で....』
「あ、ああ。ごめん少し寝ぼけてたみたいだね。ところでどうしたのかな?」
今は、朝6時位か。いつも5時に起こされるのに。うるさく起こされ、しかもいつもより遅いとは。本当に気に触る子だなぁ。
「人のこと聞いてる場合ですか!クロード様こそ、こっちが聞きたい位おかしいですよ!」
ほら。やはり面倒くさいことになった。
ちなみにいうと、この子は、治癒国とよばれている隣国のルメッドならむしろなかったらおかしいともさえ言われる治癒魔法保持者。それが、1パーセントに及ばない我が帝国の、貴重な治癒魔法保持者の一人だ。
男爵家の三男に生まれたこの子は、リュカという名前らしいのだが、正直呼びたくもない。「君」で通している。
「それより、何かあったのかな?私は君に、よっぽどの事がない限り、朝起こしに来ないでと言っておいたはずだけど?」
「すみません!先輩たちが、昨日の夜から見つかっていなくって」
「....」
「クロード様?どうしました?やはり、体調...が........クロード様!!!」
『・・え!・・ろ!は・くしねぇと!おま・がお前で・・なっち・う!』
あ、あれ?これは、私の声?
聞き取りにくいが、頭のなかで響いている。
『起きろ!』
「あ、ううっっ。っ何で!何で!私はっ」
そこで、私の意識は途切れてしまった。なぜか沸き上がってきたこの消失感は、自分でも説明のしようがなかった。ただ、この胸の痛みだけは確かに残っていた。




