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21.使えるものは使っておこうという話よ。

□本作について□

・不定期です。気が向いたら書きます。書かないかもしれません。反響があると書きます。

・18時に公開されると思います。気分次第。

・1年間1度も連載しない週刊漫画家を待つような仏の心でお待ちください。

「もうすぐゴールデンウィークよ、四月一日(わたぬき)くん」


「え、マジですか?この作品、季節とか、そういう概念あったんですね」


「あらいやね四月一日くん。そんなもの基本的にはないに決まってるじゃない。だけど、こういう長期休暇とか、イベントのある日は美味しいから指定して実施するに決まっているじゃない」


 こっちから振っておいてなんだけど、メタ発言はほどほどにしようね?


 渡会(わたらい)はそんな一連の流れなんてなかったかのように、


「それで、ゴールデンウィークだけど、四月一日くんは何か予定はあるのかしら」


「四月一日は腕を組んで考え込み」


「うーん……特段それらしい用事は無かったと思いますね」


「寂しい男ねえ……」


 うるさい。


「そもそもゴールデンウィークなんてどこも人だらけじゃないんですか?」


「あなた、そういうのなんて言うか知ってるかしら。負け犬の遠吠えっていうのよ。覚えておきなさい」


 それくらい知っている。


 人だらけなのは間違いがないだろうし、疲れるのも間違いないだろうが、何も予定がないという話をした後に言っても、負け犬の遠吠えにしか聞こえないのは分かっている。


 言葉というのはたとえ事実だったとしても、言い出すタイミング次第で大きく意味が変わってくるものなのだ。


 ジョーカーが出切った後にスペードの3を温存していても何ら意味がないように、なにごとにもタイミングというものがある。


 渡会が、


「ただ、それなら都合は良いわ。ねえ、四月一日くん。旅行にいきましょうよ」


「…………はい?」


「旅行よ。悪いのは頭だけにしてもらえるかしら」


 別に頭だって悪くはない……つもりだ。


 ただ、


「え、旅行って、どこにですか。っていうか今から計画を練るんですか?もうどこも予約でいっぱいじゃないんですか?」


 渡会は鼻で笑って、


「予約なんて必要ないわよ、別に。何も泊まりでいくわけじゃないんだから。いやぁねえ。もしかして私と2人でお泊り旅行でも出来ると思ってたのかしら。きっと同じ部屋で寝る前提ね。怖いわぁ。貞操帯って、今からでも準備できるかしら」


 うるさい。


 勝手に話をすすめるんじゃないよ。


「ってことは日帰りですか?でも一体どこにいくんですか?」


「熱海よ、熱海。いいでしょ?温泉街よ。東京からも日帰りで行ける距離。ゴールデンウィークの旅行先にぴったりだと思わない?」


「と、言われても……」


 正直なところ、四月一日はあまり実感がわいていなかった。


 まず、日帰りとはいえ、渡会と一緒に旅行というのが、なかなか想像がつきづらい。普段ですらこの感じなのだ。彼女のペースに合わせて旅行などしようものなら、振り回されるのはほぼ間違いがないだろう。


 加えて、四月一日は熱海という地について余り知識がない。最低限、名前や観光地としての有名さは頭に入っているものの、日帰り旅行に適しているのかもまた、よくわからない。


 渡会はそんな心のうちを見透かすかのように、


「大丈夫よ、私が案内するから。旅費だってなんと、私が持ってあげる。あなたはついてくるだけでいいの。分かった?」


 言う人間が人間なら、ツンデレヒロインがデートに誘っている台詞に聞こえないこともない。


 ただ、相手は渡会千尋(ちひろ)である。せいぜいが「話し相手」で、最悪「荷物持ち」だろう。


 とはいえ、ゴールデンウィークの旅行はなかなか惹かれるものがある。


 と、言うことで、


「分かりました。言っておきますけど、とんでもない荷物を持たせるとかは無しですよ?」


 渡会の提案に乗ることにする。すると彼女は、


「別にそんなことしないわよ。あなたは私がそんなことをする人間に見えるのね、酷いわ」


 よよよ……と涙をぬぐうふりをする。そんな被害者面出来るような言動をしてたような記憶はないんですけどね……

次回更新は明日(5/2)の18時です。

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