はじめての狩り
ということではじめての狩りに出かけよう。
刀剣術はレベルマックスだし、魔法主体で行こう。
どうせ一撃だし。
いかに損傷を少なく仕留められるかを課題にしよう。
後は想像力の向上だな。
魔力量は魔力回路とリンゴもどきのおかげで心配しなくていいし、後はそうだな、道すがら、錬金術使って簡易な槍とか弓とか作ってみるかな。
後は素手でもいってみるか。
身体能力化け物だし。
「それでは川方面目指して食材探しにしゅっぱーつ!」
なんだかんだで楽しみだ。
1日目はいろいろあってのんびり出来なかったし、気楽に行けるのはいい。
あ!家具ないから、羽毛とか取れたらいいな!
そう思いながらテクテクと川に向かい歩いていく。
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川についた。
「魔物どこだよ!」
[マスターが夜中のうちに周囲の魔物をほとんど蹴散らしてしまったわ]
ああ!そんなぁ!せっかく張り切っててたのに!
[探知でもしてみたら?こうゲームとか漫画みたいにさ!]
そういえばそんなのもあったね。
たぶんできると思う。
「えっと、イメージは自分の魔力を周囲に広げていく感じで......探知!」
「おお!司考が仕事してくれた。脳内でおおよその位置が分かった。何かまではわからないけど」
ふむふむ、これは山の方にしか反応がないな。移動するか。
「転移!」
景色にあんまり変化を感じられないけど、木の位置とか変わってるからたぶん転移できたんだろ。
これで一つ疑問が解消された。
距離と方角がわかれば行ったことなくても転移できる。
やったね!それはそうと、本当についたのか?
「ちょっと上から見てみるか」
「重力操作!」
んん?できない。
本当にイメージ次第なのか?
重力は操れないのか?
けど、ちょっと軽くなった気が済んだよな?
まだ操作に必要な能力がたりてないとか?
まぁいいや。
重力の代わりに風を纏って軽く上に飛んでみる。
「うぉっと!」
思ったより飛んだな!
それより、うん、ちゃんと山の麓に来れてた。よかった。
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しばらく森の中を歩いていくと、探知に一体の生物がヒットした。
他の方向に迷わずに歩いていく。
その生物の近くまできたら開けた場所が見えたので、木の影から覗いてみるとそこには...
全身燃え盛るような赤の巨体、大きな一対の翼鋭い金色の瞳のドラゴンがいた。
「.....うん?ドラゴン?初戦闘は普通ゴブリンとかじゃないの?」
[マスターなら負けないでしょ。ドラゴンのステータス見てみなさいよ]
そうだね。
強さ確認してみれば、無茶な戦闘しなくても済むか?
[マスターはもう少し正確に自分の異常性に気づくべきな]
そこまでか!そんなに異常か!ドラゴン余裕で討伐できるくらいに!
[みてみればわかるわ!]
仕方ない!どうやら僕はテンプレどうりに行かないらしい。
とりあえず、
「鑑定」まぁ言わなくても注視すれば見れるんだけどね☆
レッドドラゴン
レベル146
筋力679
体力1064
知力36
耐性1054
敏捷324
魔力1046
それに対して僕は、
レベル324
職業 錬金術師?賢者?
筋力1084
体力2847
知力4036
耐性2576
敏捷2096
魔力5034
うん、圧勝だね!
しかも、スキルがチートだからそんな苦労しないし、たしかに僕は異常みたいだ。
称号もあながち間違ってなかったか。
これじゃ、余裕で勝てるな。
安全な分にはいいんだけど...
これ、本当に人間のステータスか?
[やっと分かったみたいね。もっと自覚できるように素手で闘ってみたら?]
恐ろしい提案だな。ドラゴン相手に素手って…
[けど、できるでしょ。体術とか体の動かし方の練習にちょうどいいんじゃない?]
確かにそうだけど....もういいや。
ぐちぐち言ってても始まらん。
やるか。
僕はとりあえず試したいことがあったので、それだけして闘うことのした。
「気配操作 無 、影纏」
うん、気配は操れるか?
あと、影魔法。
これは完全に暗殺とか捕縛特化の魔法な気がする。
特殊魔法は使おうとするとイメージが勝手に浮かんでくるんだよね。
その一つが影纏。
気配を消して、自己強化もできる優れもの。
これでどれくらい気付かれないか試してみよう。
えい!突っついてみた。
キョロキョロするだけで気付かない。
これすごいな!次!ちょっと力を込めて殴る。
「グギャャァァァアア!」
叫び声を上げて暴れ始めたが、まだどこにいるか気付かないみたい。
とりあえず超隠密性があることがわかった。
そして、ちょっと殴るだけでドラゴンが痛がるくらいの攻撃ができることもわかった。
全力で殴ったらどうなることやら。
今回はドラゴンの素材は肉ぐらいだけ視野に入れてみよう。
下級ドラゴンじゃ今の装備の足しにもならない。
次、
「気配操作 OFF、影纏」
うん?
こっちだけでも気付かれない?すごいな!
とりあえず殴る。
うん、痛がってるな。
なんだか動物虐待してる気分....
相手は最強生物のはずなのに!
何度か突いてみる。あ、目があった。
「グォォォォオオオ!」
バレた?
なるほど、影纏は隠密性は高いけど、影を薄めてるだけだから、何回かやるとバレるのか?
気配操作と組み合わせれば最強だな!
なんか気配操作だけでもいい気がするけど。
そんなことを考えていると、目の前にドラゴンの爪が迫っていた。
「うん、スローに見える。流石司考」
僕は超反応を使わずとも難なく避けた。
「グォォォォオオオ!」
あ、怒ってんなー。
そりゃそうかはたから見たら、舐めてるようにしか感じないもんな。
ドラゴンの尻尾が迫ってくる。
ちょっと力を込めて手刀!
あっ!切れちゃった!尻尾!
「キギャャァァァア」
うわぁ、痛そう。
まあ、襲ってくるのはそっちだから、容赦しないけどね。
[いや、マスターが仕掛けたでしょうに。可哀想…]
聞こえない。聞こえない。
とりあえず、僕の身体能力はわかった。
ドラゴンは余裕で素手で倒せる。
なんとなくどう攻撃したらいいかわかるから、これ格闘技系のスキル取れてんな。
なら、スキル獲得を手伝ってもらおう。
「形状操作、槍」
近くの木を槍の形に変えて、装備。
「魔力纏、身体強化」
魔力を外に纏った。
簡単に言うと、槍含めて、結界貼った感じかな?
内側には高速で魔力を魔力回路に流す。
これ、すげぇ体動く。
2倍くらい身体能力が上がった気がする。
僕の素の2倍とかちょっとやばいな。
影纏は強化幅1.5倍くらいなのに。
同時に使ったらどうなることやら。
そして、ドラゴンの攻撃を槍でいなしてみる。
うん、余裕だ。
木の棒でドラゴンに対して、渡り合えるとか僕は結界も異常か…。
ちなみに、結界魔法に関しては堺を作る魔法くらいのイメージしか浮かばなかったから結構自由に操れる。
よし!次行こう!
「形状操作、弓」
ちょっと距離を取り、魔力で強化した弓を放つ。
てか、木で弦作れんだ。
「グギャャャァァァア」
うん、全然攻撃できるわ。
なんかごめんなドラゴン。
もう少ししたら食べてあげるから待って…。
そうこうしながら、手に持った木をいろんな武器の形に変えて、攻撃して、一通りスキルを獲得したと感じた。
「ごめんよ、ドラゴン。実験材料にしてしまって、絶対美味しくいただくから、許してね」
そう言って僕はドラゴンの首に向けて…
「氷刀」
魔法の刃を放って、絶命させた。
「レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。…」
すごい罪悪感…。
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気を取り直して、周囲を見渡す。
特に気配はない。
ドラゴンをストレージにしまって、近くの植物を観察してみることにした。
下を見渡すと、あちこちに薬草と思われるものを発見!
「こっちは特級ポーションの材料の、きのこ?と薬草?
こっちは特級マナポーションの材料の、きのこ?と薬草?
こっちは…」
おっと!気配探知になんか引っ掛かった!
ゼウスの知識でどれがなんだかわかるからつい夢中になっちゃった。
えっとなになに?
ブラッキーボア
lv204
筋力834
体力1042
知力10
耐性469
敏捷1034
魔力349
さっきよりレベル高いな!猪か!うまそうだ!
「もうスキルや身体能力は把握したから遠慮はいらない!一瞬で狩ってやる」
そう考えて、ストレージから月影を取り出し、抜刀する。
「あっぶね!!」
目の前にボアが迫っていた。
「油断してた!ちょっと速くない!びっくりするじゃん!」
どうやら身体強化して、元のスピードよりもはるかに速く動けるようだ!
「まぁ、それでも、遅く感じるんだけどね?ちゃんと視てれば!」
まぁ遅く見えるだけで、突然の攻撃は超反応なんて能力がなければやられてるんだけどね?
死なないけど!
通り過ぎていくボアを追いかけて森の中を進む。
「それでは、美味しいお肉を持ってきてくれた感謝を!」
刀を納刀して、向かってくるボアの首筋に向けて抜刀
「一閃!」
ボアは横を通り過ぎ、しばらく動くと…頭を落とした。
「美味しそうなお肉確保!」
しようとしたら再び…
「レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。…」
「…超成長仕事しすぎじゃない?…」
しばらく血が抜けるのを待ってストレージにしまった。
「ちょっと奥に来ちゃったな」
あたりを見渡すとそこには…
「おお!これは胡椒!これハーブ!やった!思ったより早く香草類ゲット!昨日は何も食べれなかったし、今日はりんごしか食べてなかったけど、これで今日取れた肉を美味しく食べれる」
そう、後で探そうと思っていた香草類が群生して生えていたのだ!
「ありがたやー、ありがたやー」
ボアに感謝した。断じて神にではない。
[いや、少しは感謝してあげなさいよ]
どうしても、あの爺には感謝したくない。
それよりも、
「あとは塩だなー」
けど、塩は割と簡単に手に入る。
海の方向を探知して、転移して、錬金すればいいのだ。
と言うことで
「探知…おっけい。場所はわかった。転移…」
うん、着いた。
目の前にはコバルトブルーの綺麗な海。
もう日が陰り始めてるから、塩の生成が終わった頃は、綺麗な夕日が見れそうだ。
「では、始めるか!」
まずは、結界魔法で海水を一辺1メートルの正方形の中に閉じ込める。
そこに手を突っ込み…
「錬金、分解、塩、水、微生物」
結界の中を見てみると、底の方に塩があり、中層に水、上層に微生物の塊と別れていた。
それぞれに結界で仕切りを作り、一番上の微生物は海に戻して、水と塩をストレージへ…
これを繰り返す。
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「もう十分かな?」
あたりは暮れ始め、目の前には一面がオレンジに染まった大海原が広がっていた。
「綺麗だなぁ」
こんな光景を見たのはいつぶりだろうか?
心が癒される。
僕はしばらくその光景をボーと眺めていた。
「おっと!そろそろ暗くなってきた。塩と水は十分確保できたし、戻るか」
水は魔法でも生成できるが、ポーションに使うようなもので、少し苦いらしいので普通の水も確保できてよかった。
「転移」
一瞬で視界が変わり、家に帰ってきた。
「まだ家具が何もないし布団もないから明日はその辺の作成かな?」
とりあえず外に出てドラゴンとボアを解体しようと思った。
[マスター、ストレージ内でできるわよ」
おお!なんて便利!けどどちらにしろ家の中で火を使いたくなかったので、外に出て食事をすることにした。
その辺から薪を集め、ストレージにある月影とドラゴンの肉を取り出す。
どうやら部位ごとまでは解体できるが、カットはできないらしい…。
と言うことで、刀ででカット。
200グラムくらいの肉塊する。
集めた薪に魔法で火をつけて、岩を形状操作して作った串に木で作った取手をつけ、それに肉を刺し、豪快に火の上でやく、表面に火が通ったら、裏返しもう一度やく。
しっかり火が通ったら、塩胡椒をかけて…
「いただきまーす!」
この世界に来てはじめてのまともな食事、飲み物はりんごもどきを絞って作ったジュース。
とりあえずドラゴン肉をひとくち
「うっまぁぁあああ!!!」
ブランド牛よりはるかにうまい!
上品な甘みのある脂が口いっぱいに広がり、ジューシー、けれどしつこさはなく肉は筋がなく、柔らかく、少し噛んだだけで溶けたようになくなる。
「これはうまい!もううまいしかいえない!」
ガブっとかじりつき、肉を堪能した。
「ふぅ、お腹いっぱい」
肉しか食べるものがないが仕方ない。
なんか、贅沢なのか貧相なのかわからない夕食だった。
肉はまだまだ大量にある。
正直、一年で食べれる気がしない。
それもそのはず、ボアは体長3メートル、ドラゴンに至っては10メートルを余裕で超えている。
まぁ満足したところで、
「ついでにあれもしちゃうか」
ストレージからボアの毛皮を取り出し、魔法で水を生成。
そこに毛皮を入れて、洗濯するように水流を作る。
この水に、洗剤をイメージした魔法を浸透させ、細かい汚れも落とす。
落ちたら、取り出し、重力操作で浮かせながら、そこにドライヤーの要領で風を当て乾燥。
「よし、これを敷けば直で寝るよりはマシだろ」
一通り終わったので、家に入り、床にさっきの毛皮を敷き横になりそのまま眠った…。