スマホの中の淋しさ
どこでも誰とでも繋がる時代
手軽になった繋がりが
ぼくにくれたのは、淋しさだ
リアルという言葉
それは、この場所を示さない
顔も、本当の名前も知らないからだ
でも、ぼくは知っている
君を、ぼくは知っているんだ
リアルと呼ばれる場所
そこでも、相手の全てはわからない
それでも、ぼくは言うだろう
ぼくは君を知っている、と
この繋がりは、リアルだ
出会いも、別れも、淋しさも
なにもかもがリアルだと、ぼくは思う
スマホという魔法の道具
それを手に入れてから
出会いの数は増えていった
その分、別れの数も増えていった
画面を閉じれば、もう会えない
そんな別れがいくつも増えた
この場所をリアルと呼ばないのは
顔や名前を知らないからじゃない
きっと、別れが淋しいからだ
夢だと思いたい
そう思えば、涙の数は少なくて済む
この場所の付き合いは
そんなに長くは続かない
でも、リアルと呼ばれる場所だって
そんなに長くは続かない
流れていく時間の中で
ぼくは君とすれ違う
その一瞬、君を知ってしまったなら
それはもう出会いであり、別れだ
人の生き方はいっぱいあって
別れの理由はいっぱいあって
ちゃんと別れの言葉は言ってない
そんな別れもいっぱいある
でも、それもいいだろう
もう一度出会ったときには
きっと笑顔で会えるから
顔も名前も知らないのなら
再会じゃなくて、新しい出会いかな
でも、それもいいとぼくは思うよ
アルバムを眺めるように
君とした、昔の会話を読み返す
少しだけ、淋しさが紛れていく
読み終わって残ったのは
やっぱり、リアルな淋しさだ